ボクらの映画めし

ボクらの映画めし

映画に出てきたごはんを作ってみた。なるべくヴィーガン

ロードムービーと鉄道と湾と。私好みがそろったので、最近観なかった恋愛モノに腰が上がった。

藤井道人監督の日台合作の映画。

 

恋に落ちるのは、台湾の人気俳優シュー・グァンハン演じるジミーと、清原果耶が役の上では4歳年上の日本人、アミだ。

 

台湾で二人が食べてたそばを想いながら作ってみた。昆布と干しシイタケのだしにフライドオニオンを入れてコクを出した。台湾には台湾素食という菜食文化がある。

 

バックパッカーのアミが、台湾南部の田舎街にやってくるが、財布をなくしてカラオケ店で働くことに。

そこでアルバイトをしていたのが高校3年生のジミーだ。

 


スタッフはみな温かく、絵が得意なアミは、カラオケ店の古い壁画を塗り替え、オリジナルの絵を描いてと頼まれる。

話の展開とともに、その絵が出来上がっていくのがいい。

 

 

私たち観客は、二人の甘酸っぱいやりとりが展開する18年前の台湾と、おじさんの入り口に立った彼が鉄道旅をする今の日本を、行ったり来たりする。

 

 

ネタばれゴメンだけど、実はアミは病気を抱えていて、それゆえの思いやりが恋にブレーキをかける。
というわけで、とことん泣かされた。

 

 

劇中、台湾の映画館で主演の二人が「ラブレター」(岩井俊二監督/1995年)を観て、感動のあまり涙涙の放心状態となるが、私が座った映画館の小さなホールも、おかしいくらい同じ状況。若いカップルと学生さんたちが、あちらこちらで鼻水すすってた。

 

しかし、だ。どこか冷めたおばはんが私の中にいて、切ない二人の恋をななめに見てたりもする。 

 


君たち、もっとハチャメチャでいいんだよ、誰しも人生いつ終わるかわからないし(劇中でアミが言ったように)、苦しいこともうれしいこともぶちまけちゃいな!あとのことはなんとかなるさ!

 

大人になったジミーに、父親や旅先の蕎麦屋さんがかける言葉に、台湾のことわざ「一休みはより長い旅のため」がある。そうだよね、成り行き任せで生きていけばいい。  


心の隅のそんなインクの染みのようなものが、すーーっと真っ白になっていったのは、18年前に二人が聴いたミスチルが流れるエンドロールを観ているとき。

 

 

あれ?!

 

製作スタッフの中に若くして亡くなった友人の娘の名前が!

この道に進んだのは聞いていた。最後に会ったのはそう、ちょうど彼女が18歳のころだったと思う。

 

 

人は命の終わりを決められないし、その迎え方は様々だけれど、誠実に生きることが、どんな死に方も豊かにしてくれるし、残されたものに力を与える。


劇中でアミがほれ込んだ台湾は行ってみたいところ。街も人もあったかい。二人でおそばをすすってた。麵の太さがやさしかった。

 

ポルトガルに暮らし、ドキュメンタリーを撮った鈴木仁篤監督の2作品を二本立てで鑑賞。

鈴木監督がヨーロッパを放浪した末に住み着いた、魅力ある土地。その感じがスクリーンから漂ってきた。


2つの映画ともに、エンドロールでバーの喧騒や演奏が使われていて、想像を掻き立てられる。

「ポルトガル料理」と検索してみた。魚介、とくに干し鱈や、じゃがいもがよく使われるらしい。

 



ポルトガル語で「Batatas ao Murro(げんこつじゃがいも)」という料理。


蒸したジャガイモをパンチしてひびを入れ、ニンニクやオリーブオイルをかけてオーブンで30分。やってみた。


ひび割れにオリーブオイルやにんにくの香りがしみこんでうまい😋

レシピはここを参考にしました⇒

「丘陵地帯」は、 ポルトガルの手仕事の現場を丁寧に描いていて興味深かった。
エッセンシャルオイル抽出するのに、どんだけ身体使うのか!
チーズひとつ作るのに、2つの手でどんだけ手間をかけるのか!

先進国のほとんどで工業化された酪農とは別物の、本来の姿。
これなら、動物のお乳をいただくことの罪悪感は劇的に下がる!

そして「TERRA」。

 


 

伝統的な炭焼きの一部始終を丁寧に撮った、美しい映像。
ポルトガルの、田舎そのまま空気ごと味わうような。

炭焼きの蒸気の音と羊の鳴き声。
大きな窯と、背後の壮大な景色。
とにかく炭焼きの男性の、働く身体がカッコいい!
お尻がキュッとしてて。
炭焼き小屋の内部の音を聴きながら、炎を視ながら、自分の感覚をたよりに炭を焼く。

ヒトの感覚と、「製造」がつながってる感じが心地よい。
こうして暮らせば、おのずと環境は維持できる。

なんてメッセージを深読みしてしまうけど

 



上映後の監督さんとの質疑応答で

伝統的な農法や、いわゆるSDGsとか、タイトル「TERRA」(地球、大地、土、地方などの意)のメッセージ性について質問が出たが

鈴木監督の答えは、外から見えない窯の中で起きていること、窯の外の営み
それらを撮りたかったというシンプルなもので、純粋過ぎてほっとした。

画面の縦横比が最近見慣れた横長じゃなくて、ギュッとコンパクトな感じが描いてる人や風景に合っている気がした。

暮らしを大切にしたいと思わせる映画たちだった。
いや、そんな感想も、あの監督さんにとっては、考えすぎ?(笑)

いやいや、自分が感じたことが、あなたにとってのボクの映画なんだよ(←勝手に代弁)

 

平山さんが神社の境内で毎日食べるサンドイッチ

 

 

私のは、近所のおいしいパン屋さんユロの全粒粉のパンで、前回書いたポテトサラダのラディッシュ入りのと、ニンジンとキヌアを塩コショウとオリーブオイルであえたのを挟んだ


コンビニ牛乳ではなく、豆乳と一緒に

 

 

以前観た、ヴィム・ヴェンダース監督作品「まわり道」(1975年公開) ←息子がレビューを書いてます

 

タイトルがなんか違うんだよなあってずっと思ってて、原題を調べたら

 

Falsche Bewegung = 間違った動き (Google翻訳)

 

目的地がある「回り道」ではなく、「間違った動き」なら、わかる気もする。

 

外から見ると意味がなくて間違ってるけど、無駄ではなくて、その人の内面のごはん(あえて栄養とは言いたくない)というか、生きることそのものであるような「間違った動き」

いや、間違ってないけどね

 

この映画の場合は「旅」ですが。

 

1975年といえば、やはり前回書いた「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」の公開年で、ヴィム・ヴェンダース監督の生きてきた半世紀

社会も文化も変化の大きかった半世紀

 

もやっとした感じの「まわり道」と

こうして生きていけば大丈夫と感じられる「perfect days」

どこかに到達するため、何かを成し遂げるため、ではなく

よき日の積み重ねで生きていく

 

その延長で死んでいく

 

と、なりたいもんだ。

 

この映画は、もともとユニクロが企画した、東京都の公共トイレの広報から端を発したそうで、そこはちょっと悔しいし、ユニクロ的大量生産大量消費大量廃棄な生活スタイルは、平山さんとは対極にあると感じるが

 

でも平山さんも、ヴィム・ヴェンダースさんも、この映画も、大好き過ぎて、そこはどーでもよくなりました(笑)

 

あと、「まわり道」も「パリ、テキサス」「ベルリン、天使の詩」も、大好きだけど、私にとってあまり印象に残る食べ物はなくて、平山さんのお昼はコンビニのサンドイッチなんだよね、おにぎりじゃないのかと、私的にはちょっと合わない感。

 

平山さんがガスの火をつけてからやかんに水を入れるとか、歯磨きのときに水出したまま(詳細忘れた)とかも気になってしまう(笑)映像的効果を狙っているんだと思いますが。

話がだんだんこまかくなってきたのでこのへんで。
感謝感謝の映画でした。ありがとうございました!

今日は畑で昼休みして、木を見上げてみました