ぼくの秘密日記 -4ページ目

ワタシの評価

長い会議から疲れ果てて自席に戻ると、机に付箋が貼ってあった。
会議室の椅子は、熟睡するにはむいていない。
疲れが増すばかりだ。
付箋には電話があったことと先方の名前、携帯電話とおぼしき電話番号が書いてあり、折り返し連絡をして欲しいという欄にチェックされている。
スタッフの女性が受けたらしい。
先方の名前には心当たりがないし、先方の番号が携帯電話というところもかなり妖しい。
この付箋に書かれていることで信用できるのは、採用されたばかりの若いスタッフの女性だけだ。

慌てて胸の内ポケットを探る。
名刺入れは確かにある。
昨年、10日ほどの間に3回も名刺入れを落として顛末書を書いてからというものの、この手のアクセスには非常に気を使う。
油断するとワタシをセキュリティ違反に陥れる電話だったりするかもしれない。

恐る恐る携帯電話の番号に電話をするとさわやかな男性の声が返ってきた。
仮にその男を『北条』氏とする。
『折り返しありがとうございます。電話差し上げた北条でございます』
いきなり御礼や祝福される電話はかなり危険だ。
こういうのはたいてい何かに当選したとか、モニターに選ばれたといいながら、巧みに誘導され、結果、気がついたときには高い絵画や壺を買わされる可能性が高い。
ただでさえ、ワタシは騙されやすい。
誘導もされやすい。
キャバクラ嬢に、『boke×2ちゃんは純粋だから心配なの』と潤んだ瞳で心配され、『そんなことないよ』と簡単に新しいボトルを入れてしまうくらいなのだ。
電話だけに北条氏の瞳は見えないが、警戒を緩めてはいけない。

『わたくし、株式会社××マーケティングの北条というものですが』
ほらみろ゙わたくじという言葉を使う男はますます信用できない。
なんだ、用事を言ってみろ。
『実は、わたくし人材関連の企業でして…』
『はぁ』
『優秀なビジネスマンを欲しい会社のニーズを伺い、ご紹介する、いわゆるヘッドハンティングの会社です』
なぬっ、とうとうワシに目をつけたか…目立たぬように気配を消して昼間は公園のベンチで時間を潰していたのに、やはり優秀なオーラまでは隠せなかったらしい。
『いろいろな方のお話しを伺っている中で、複数の方からboke×2様のお名前を伺いまして、弊社のお客様でご要望いただいている方の能力とboke×2様が将に合致するように思いました次第で』
なぬ?
複数のウワサか…
キケンだな。
ワシのウワサと言えば『真人間ではない』とか、『会社に遊びに来ている遊び人』とか、『キャバクラで睡眠をとる人』とかろくなモノがないのだ。
そんな能力を欲しがる会社もろくなもんじゃない。
そんな誰も働かない会社になんか行かんもんね。
ちょっと身構える。
『ついてはぜひ一度お会いして…』

会社を辞める気はまったくないが、ワタシのウワサは非常に気にかかるところではある。
ちょっと後ろ髪をひかれたので約束しようとしてから気がついた。

うちの会社のワナでなければよいが…。
隠れてあっているところを写真に撮られて、退職を強要する気かもしれない。
うちのような単純な会社が、そんなに凝ったことをするとも思えないが…。
しかし、さいきんのワタシへの仕打ちを考えると、気づいていないのはワシだけで、会社はワシを辞めさせたいのか?


ヒドイッ!!
いくら仕事をしないからと言ってそんなズルいワナにはめる気かっ!!
断固としてコトワルッ!!

ねぇぇ
首にはならんよね、ワシ。
大丈夫だよね、ブチョー。
信じていいよね、シャチョー。
うわ~んあせる

季節外れの大雪

もう3月である。
うちの近所に流れている小川の畔(ほとり)では梅がいい塩梅(あんばい)に咲き誇っている。
そういうワタシも今日はランチに石焼きビビンバを食べて勝ち誇っている。
誰に勝ったというより、猫舌なのに熱いランチを食べたという自己満足でしかないのだが。

満足は満腹のおかげもあるのだが、満腹のおかげで午後の仕事がはかどらないこと、この上ない。
仕事はいつもはかどらないのだが、今日はいつにも増してはかどらない。
恐るべし石焼きビビンバ。
いや正しくはメニューでは石焼きピビンパとなっていた。
ビビンバとは違うらしい。
そういえば、以前食べたビビンバとは少し違った気もしてきた。
とは言え、同じ濁点と半濁点の違いの中でも、『ボウズ』と『ポーズ』のように意味が違ってしまうほどではなく、『ポロリ』と『ボロリ』程度のポケットからこぼれたモノのサイズの違い程度にしか過ぎないが。
具の『ピ』が『ビ』に変えられて『ンバ』が『ンパ』に変わったくらいの違いだろう。
元々ビビンバも、妖しいもやしや名前のわからない茎を食べさせられているからたいしたことではないと思うことにする。
こんなくだらないことを考えてしまうほど満腹だった。


そんなこんなで石焼きピビンパショックのために、はかどらない仕事をするくらいなら、はかどる現実にむけて逃避をしようと19時過ぎに職場を後にした。
面倒な仕事や苦手な職場は後にするのが一番だ。
できることなら、いつもそうしたいのだが、中々ハードルは高い。

しかし、職場を後にして驚いた。
雨かと思った天候は、雪になっていた。
傘にはバシャバシャとぼたん雪が積もっていく。
『東京は3月に雪が降る聞いてたんけどホンマですわ~』
関西から単身赴任で来ている後輩がつぶやいている。
新婚でワイフがかわいい羨ましいヤツだ。
単身赴任がなんだ。
愛があれば距離の差なんて!!
…いや、ワシが熱くなるところではなかった。
寒いからね、ちょっと熱くなってみたんだよ。

東京で雪が降ると電車やバスのダイヤは乱れるし、交通事故も多くなる。
われわれにも危険が迫っていた。
駅に向かう途中で、足取りは乱れ、出会い頭に居酒屋のノレンを潜ってしまった。
しかし、神はわれわれを見捨てなかった。
出会い頭の居酒屋には、かわいい店員さんがいて先月にも来て長居したワタシを覚えていたのだ。
ワタシの方が忘れていたのになんて素晴らしい店員さんだろう。
捨てる神あれば拾う神あり。
いや、会社に捨てられたのではなく、職場を捨てたのはワタシからだ、間違えてはいけない。
元気よく生ビールを注文し、張り切って鍋を選んだら、店員さんに言われた。
『前もその鍋でしたよ』
数ある鍋の中から、新鮮な気持ちで選んだ鍋は前回と一緒だった。
そう言われてまた店の想い出をひとつ思い出した。
去年都内に雪が降ったときもこの店に曲がって鍋を飲食した。
出てきたら真っ白になった都会に興奮して傘もささずに雪の中をかけずったら風邪をひいたのだった。
居酒屋を後にしても今日ははしゃがないぞ。
昨年までのワタシと比較するな。
ワシは正月に真人間になると誓ったのだ。
犬のように雪に興奮してしまった昨年までケモノのようなワシじゃないもんね。


…店をでて雪の中では、はしゃがなかったのだが、やっぱりなにか興奮してついもう二軒はしごして、いまは乗った電車にも遅れられて、雪が積もってべちゃべちゃの歩道を泣きながら歩いている。
いつもの通勤路でもないので、自宅まで距離もありタクシーで帰りたいところだが、タクシー乗り場も待ちの行列でタクシー自体もぜんぜん来ない。
頼みの個人タクシー協会にも電話したがしばらく待たされたあげく『今日はすみません、ちょっと捕まらないです。悪天候なので…申し訳ありません』と丁重に謝罪された。

…家まで歩いて30分の距離を、雪の中歩くとどのくらいなんでしょうか。

けしからん、けしからん

世の中は危険がいっぱいだ。
先週も『合宿をやろう。会社の将来のために』と前向きに提案したがタメに、『じゃあ、オマエが企画せい』と合宿の幹事をする羽目になった。
そもそもは2月の終わりにたまたま飲み屋にいたメンバー(呑んだくれのマネジャーと役員、全員男の5名)でベトナムのはなしで盛り上がり、海外視察の合宿を検討したことが発端だった。
当初、事業部全体100人超での合宿費用として組んでいた予算が、皆の業務多忙が原因で全体合宿を中止して余っていた。
われわれはその皆の予算を有意義な形で使えないか考えていたのである。
そういう議論には業務多忙とは縁のないワタシがピッタリだ。

なぜベトナムかと言えば、別にベトナムに事業部があるわけではなく、『アオザイはサイコー』というようなまさにしょうもない理由だったことは、口が裂けたら言えない。

翌週明けにさっそく役員が社長に直訴したところ、企画書段階で社長から人選を怪しまれ(なぜ女性マネジャーを含んでいないのか等)、なぜ海外であるかを怪しまれ、ワタシの人間性を怪しまれ、頓挫した。

このままでは事業部の予算は来年度繰越金としてアワと消えてしまう。
強い危機感を感じたワタシが合宿の必要性を熱く語ったがタメに幹事をする羽目になってしまった。

ホテルの予約やらワガママな同僚や上司への案内やら、稟議の捻出(根拠がいる予算作りはたいへんだった)やら、婚活やら、幹事は忙しい。
海や山や自然の中でよりよい議論をしたい、とか、遅れても行きやすい場所にしてくれ、とか、朝食の納豆は勘弁して欲しい、とかワガママをいう輩(やから)が多すぎるのだ。
まったくけしからん。
ちなみに納豆が嫌いなのはワタシだ。
電話したホテルの話では、この時期は合宿をする会社が多いそうで、まとめて部屋を確保するのは中々ムズカシイそうだ。
ワタシの家から行きやすく、便利な場所(遊んだり飲んだりできる場所)を探して、飲み屋のない浦安や朝早く行くのがちょっとツラい横浜などを却下して、なんどかあちこちのホテルに電話をいれ池袋にした。
会議室とプロジェクターも借りることができ、すべてシングルルームという好条件だ。
総勢15名で予算稟議も無事に通り、合宿当日を迎えた。

議論は冒頭から白熱し、一部知恵熱もでて、冬なのにとても暑かった。
会議室のエアコンも28度になっていたくらいだ。
こうして熱く長い会議も終わり、夕食になった。
ワタシが幹事をしていなければ17時半から夕食になることなどなかったであろう。
部下はまだ現場で働いているというのにけしからんことだ。

まだ明るい中、長い夜が始まった。
ワタシはそうしてふぐ屋を起点に居酒屋を三軒はしごしただけだったが、中には気がついたときには石鹸の匂いをプンプンさせて池袋の街を歩くメンバーも居た。
行ったのは石鹸の国ではなく、格安のセンタイだそうだ。
船体でも戦隊でも仙台でも千台でもない。
漢字では『洗体』と書くらしい。
字は漢字だがサービスするのは超ミニのスカートを履いた漢字圏ではない女性だそうだ。
こっちがパンツだけになって横たわったところを数名の女性に洗われるそうだ。
石鹸まみれになるが、それ以上のサービスは別料金らしく、同僚はそこででてきたといいはっている。
しかし不思議な風俗である。
この同僚はそこをでたところを女性上司に見つかったのだが、ホテルのすぐ裏の風俗に捕まるか、普通は。
池袋は半径50mでなんでも手に入るけしからん街である。

翌日もわれわれの熱意は止まらなかった。
とどまることを知らなかった。
15時終了予定の合宿は、役員のエネルギー切れ(昼に生ビールを飲んで景気をつけたつもりが14時にはしゃべらなくなった。全くコストパフォーマンスがワルイ身体である。)により14時半に切り上げられた。
しかし、この役員もそこからすぐにエネルギー補給をすることになり、14時半から暗くなるまで散々遊び歩いてしまった。

前に書いたとおり同僚のひとりはワイフから三度も『しね』というメールを受け取っていたほどである。
連絡もせずに呑んだくれるとは、まったくけしからん。

このように疲労困憊で合宿は幕をおろした。

当日になって参加者3人にキャンセルがでたのだが、そのキャンセル料の戻りを入れて会社で清算を終えたところ、ワタシのたてた予算からは、2万円ほど余っていた。
まだ一軒行けたと悔しがったが、もう十分に満足したじゃないか、疲れ果てていたじゃないかと自分に言い聞かせた。
そんな合宿だった。
まったくけしからん。
街も上司もワシも。

来年度もやろうね、けしからん池袋でドキドキ

サムイ

先週、ちょっと暑くなったと思いきや、今日はめちゃくちゃサムイ。
ついてないことに、この冬一番のサムさにあったのはこれで三度目だ。
こんなにサムイのは、バンクーバーかウラジオストク以来だ。
ただし残念なことにバンクーバーもウラジオストクも行ったことはない。

なぜこんなにサムイ中、ワタシは外出してしまったのか。
サムさで低体温症になると、幻覚を見たり、錯乱することがあるらしい。
幻覚ならば目が覚めて欲しいところだが、眠れるどころのサムさではない。
真冬に深夜帰宅してあまりの眠さに風呂に入らずベッドに潜り込んだときを思い出す。
やはりサムくて眠れない。
いや寝てはいけない。
このサムさの中、寝ては死んでしまう。

ちなみに錯乱していないことを証明することについては、ことある毎に周囲の人物から『オマエはアタマがオカシイ』と言われるため、諦めの境地にいる。

そんなワタシがサムイ中、外出した理由は、残念ながら家に食べたいものがないからだ。
外出しないことには食べたくないもの(消費期限が三日前のタマゴ、新聞、コタツ板等)を食べるしか選択肢がなかった。
さらについていないことに財布にあまりお金もない。
振り返ってみても、財布がついていたこともあまりない。

そんな理由がなければ、誰もこんなサムイ日を狙って外出するものか。
その証拠に今日が平日だったら理由をつけて会社を休んでいる。
ニューヨークは先月、あまりの大雪に町中が休日になったらしい。
よりによって出張した日本人サラリーマンは、先方にアポイントをキャンセルされた上に『大雪により明日は休みます』という先週末日付の張り紙を翌週の火曜日にみて呆然としたそうだ。
そんなニュースを見た。
コタツで。
コタツが恋しい。
こんなことならコタツ板をかじっていた方がよかった。
昔から『ご飯はちゃんとよく噛んで食べなさい』と言われていたが、コタツ板もよく噛めばご飯になったかもしれない。

ちなみに財布がサムイのは、この冷たい雨の降る外のサムさとは関係ない。
…こんなサムイおやぢギャグが出るのも外のサムさのせいか。

いずれにしてもワタシはこのサムイ冷たい雨の中、近所のスーパーに向かっていた。
自然と足は小走りである。
そう言えばこの間、昼食に行くのに後輩に遅れまいとちょっと急いだら、後輩に『boke×2さんが走る姿を何年かぶりに見ました。ちょっと感動しました』と言われたことがあった。
ワシだって走ることはあるのだ。
…どちらも食べ物が目的だったことは偶然に違いないが。

しかし、いつも歩き慣れた道がかなり遠く感じる。

そんなこんなでたどり着いたスーパーは暖かかった。
買い物カゴに食材を入れてレジに並ぶ。

はたと気がついた。
あまりお金が入ってはいない財布がない。
…そういえば玄関で靴を履く際に下駄箱に置いた気がする。
幻覚だと言いが。

カゴから商品を棚に戻しながら、ワタシは声を殺して心で泣いた。

今日はそんなサムい日だった。

合宿

昨日から会社の合宿だった。
幹事のワタシは、ホテルの予約から食事の予約(ホテルでの夕食は断ったのだ)、パソコンの手配やら合宿のしおり作成、会社への稟議申請、合宿キックオフ飲み会、いとこの結婚式、しゃぶしゃぶ食べ放題、春の園遊会と大忙しだった。
春の園遊会は関係ないか。
まぁ、そのくらい混乱するほどちょっぴり働いていた。


おかげで合宿はたいへん有意義なものになった。
参加した役員ふたりもたいへん満足したそうだ。
よい議論ができて、普段は聞けないことをたくさん聞けたと喜んでいた。

ワタシも満足だった。

まず初日の昼はホテルのレストランの弁当だったが、ドタキャンが四人もでたのでふたつも食べた。かなり美味かった。

夜はふぐのコースだったが、やはり唐揚げは最高だった。
その後は和風と洋風の居酒屋を二軒はしごして二軒目ではバーボンをしこたま飲んだ。
最後はひとりで屋台のたこ焼きを食べた。

朝はホテルのモーニング。
バイキングはいかんね。
ついつい取りすぎて、ヨーグルトにフルーツまでがっつりいただいてしまった。
昼は焼肉。
想像にお任せしてよい。
補足することは全くない。
こうして合宿は夕方解散したが、一部は博打に行き、ワタシは同僚と夕方から蕎麦屋でまたビールを飲んでしまった。
同僚がワイフに『合宿は終わりましたが、打ち上げに巻き込まれました』とメールを打つとワイフからは『しね』と二文字返信があり、打ち上げは対策会議に変わった。

結局いま帰宅だ。

それにしてもなかなか有意義な合宿だった。
なにが有意義だったかはよく覚えていないが、来年もぜひ、開催するべきだ。

うちの会社は飲食業ではないことは付け加えておく。

暇の功罪

金曜の朝、ワタシは珍しく早朝から某所でモーニングを食べている。
今日は会社の合宿で、ワタシは幹事なのだ。
そのため、予約したホテルにひと足早めに来てみたが、たまに早く出勤してしまったせいか時間計算を間違えてしまった。
集合より一時間も早かった。
オリンピック気分が抜けず、バンクーバー時間で計算してしまったのかもしれない。
それで仕方なく、喫茶店に入ったのだ。
幸いなことに仕方はなかったが、食欲はあった。

しかし、どうもワタシは暇そうに見えるらしい。
合宿の幹事は暇そうにしていたら引き受ける羽目になった。
こうも周りから『暇なboke×2でいいんじゃない』と枕詞(まくらことば)のように゙暇゙という言葉がついて回るのは由々しき問題だ。
言葉以外に作業や役割がついてくることはもっと問題である。
それよりなによりも実際に暇なことも大きな問題である。

暇じゃなくなれば、合宿の幹事をすることも、つまらない会議で寝ることも、時間潰しに公園のベンチに座ることもないのに。
暇なおかげで会議後によだれの跡を指摘されたじゃないか。
暇なおかげでリストラされたサラリーマンと間違われたじゃないか。
暇なおかげで合宿の幹事をする羽目になったじゃないか。
暇なおかげで…。

そうなのだ。
暇でさえなければ幹事もしていないし、さっきのように『セットにポテトは付いてますが?』と怪訝な顔で聞かれることもなかったのだ。
動揺しながら『ハイ、モーニングとポテトをお願いします』とわきに汗をかきながら、必死に平静を装うこともなかった。

しかし、モーニングにポテトが含まれていたとは誤算だった。
意味なくポテトをふたつも食べる羽目になった。

これというのもすべてば暇゙のせいだ。

このように゙暇゙って意外と辛いんだぞ。
人を捕まえで暇゙゙暇゙言うなっ。

オリンピック

バンクーバーオリンピックが終わってしまった。
仕事を忘れ、会社に行くことを忘れ、最後は会社に忘れられそうになったほど熱中したが、気がつくとTVから五輪の話題はなくなっていた。

あの熱く盛り上がった日々が懐かしい。
ワタシも選手と一緒に笑って、泣いて、転んだ。
気持ちはバンクーバーにあった。
違ったのは転んだのが、競技場のスノーパイプか、会議室のパイプイスかということくらいだ。

しかし、オリンピックの影響は凄い。
普段、まったくスポーツと縁のなさそうな友人(趣味はアニメのDVD収集→ドラマの中身より棚にならんだパッケージを眺めるのが趣味らしい)までもが、フィギュアのジャンプのうんちくを暑苦しいくらいに語っている。
しかし、奴はまだフィギュアつながりがあるだけましかもしれない。

普段、スポーツに一切の興味を持たないワタシのハハまでもがカーリング中継にハマっていたらしい。
最初はルールがわからず見ていたらしいが、予選が終わる頃には『いまのショットは今日の中で一番よかった』と頷いていたそうだ。
4年間がんばってきた選手に対して、4日ほど観ただけの素人に出来不出来を評価されるとはなんとも申し訳ない気分である。
『カーリングならワタシにも出来るかもしれない』と話していたことは、なんとしても我が家だけの秘密にしておこうと思う。

しかし、イベントというのは終わってしまうとあっけない。
選手は既に4年後を目指しているし、TVも何事もなかったかのようにタレントの熱愛を報じている。
次の大会や恋愛に情熱や目標を持っていける選手やタレントが羨ましい。
オリンピックが終わってからというもののなんにも力が入らないワタシはどうすればいいのか。
なにかに強く打ち込んで、それを達成したり、一定のレベルに到達すると目標を見失い気持ちが乗らなくなるという。
『燃え尽き症候群』というらしいが、ワタシもオリンピックに熱中しすぎてしまい、気持ちをバンクーバーに忘れてきてしまったようだ。

ひとり公園のベンチに腰掛けながら、そんな言い訳をつぶやいた平日の午後だった。
さて仕事に戻るか。

日曜ミステリー劇場

こんなドラマを考えてみた。

日曜ミステリー劇場
『湯煙混浴露天風呂連続殺人事件~美人三姉妹は見た!!愛と憎しみと欲望とササニシキの四重奏』予告編

原作者も先行きを見透せない本格ノープランミステリー。
シナリオも奥行きもないドラマ。
原作者も絶対に予測不可能な驚愕の結末はあなたの五感を刺激する(やけ食い,ふて寝なども含む)。

台葉(だいば)刑事(通称ハッチャンネル)がカンと運と占いで事件を解決する!!
相棒はFBIから来たドジな新米女刑事マッチ(通称ミス、マッチ)。

ミスマッチの日本で最初の事件は、摩訶不思議な事件現場から始まった。
老舗旅館の混浴露天風呂にウェットスーツを着て革靴を履いた女性が倒れていたのだ。
彼女は露天風呂に頭を突っ込んだ状態でコト切れていた。

『なんてことだ』
ハッチャンネルはつぶやいた。
『ゴーグルを忘れるなんて』

事件はこうして幕を開けた。
露天風呂で死んでいた女性は著名な資産家の一人娘で来月には総合格闘技戦のデビューを控えていた。
死因は圧死。
『発見したのは?』
FBIで学んだ高度な捜査方法を駆使してミスマッチが発見者を呼ぶ。

発見したのはたまたま同じ宿をとっていた中年の女性。
『混浴露天風呂というのでドキドキしながら入ったらドキドキドコロか心臓が止まるかと思ったわよ』
『残念ながらこっちの女性は本当に心臓が止まっちまったんだがね』
ハッチャンネルは自分の冗談に満足して尋問をすぐに切り上げた。

ハッチャンネルのカンは冴え渡る。
『これは国際犯罪だ』
ハッチャンネルは断定した。
『なぜですかっ』
ミスマッチは驚きのあまり勢い込んで問いかける。
『今日の魚座のラッキーアイテムは世界地図だった』

根拠のない裏付けに事件の核心をみたハッチャンネルは相棒ミスマッチを連れてブラジルはリオ・デ・ジャネイロに飛んだ。
しかし、捜査は暗礁に乗り上げる。
自分がポルトガル語を話せなかったことに気がついたハッチャンネルは犯人の周到な罠にハマったと周りに吹聴する。
しかしその悲痛な叫びも日本語では通じなかった。

捜査が行き詰まりを見せ、ハッチャンネルの焦りもピークになり、ミスマッチが皿洗いをするレストランから最初の給料を受け取ったころ、捜査本部から呼び出しがかかる。
次の殺人事件が起きてしまった。
犠牲者は寿司屋の板前。

店のカウンターの裏に仰向けに倒れていたところを発見された。
死因は出血多量によるショック死。
そばには血塗れの包丁を握りしめた妻が震えている。

『連続殺人事件だ』
誰もが同意しない中、自説を曲げず、執念であるはずもない証拠を探すハッチャンネル。

追い討ちをかけるように事態は急展開する。


ミスマッチが、昔京都の芸者だったことがわかったのだ。
そして、ハリウッドでレストランのウェイトレスをしながら猛勉強し、宮大工になったという過去があった。
『なぜ宮大工がFBIに?』
ハッチャンネルは混乱する。


原作者はこのねじれて破綻したストーリーをどう解決するのか?
好ご期待!

今日は暑かった

今日は暑かった。
どのくらい暑かったかと言うと着ていたのが薄手のコートだったにも関わらず、ちょっと混雑した電車に乗ったら暑さで頭が朦朧としてしまい、ケインズの『雇用・利子 貨幣の一般理論』の原書がまったく理解できなかった。
暑くなければそんなものを読もうと思うことなどなかった筈だ。
いや、手にしていたのが、『猿でも解る会計学の初歩』だったことにも気がついただろう。

その上に会社の最寄り駅で降り損ねて、山手線を余計に一周してしまった。
座席がヒーターと窓からの陽射しにポカポカしてさえいなければ、乗り過ごしたことに気づいた三駅先からは多少なりとも悔しがって一周した筈だが、『最初の一周はオープニングラップだ』と勘違いしてまたぐっすり熟睡してしまったのもこの陽気のせいなのだ。

オープニングラップのおかげでちょうどお腹が減る時間に会社に到着してしまい、ランチを一緒に食べる同僚を待つために公園のベンチでしばしの間、東京湾を眺める羽目になった。
幸いベンチの近くにハトが近づいてきて、周りをうろうろしていたので時間潰しには大いに役立った。
ハトはワタシ以上に充血した目を眩しそうにしばたたせて、ワタシがなにかを落とす振りをするたびにそこに近づいて食べ物でないかを確認するのだ。
おかげで、『バカだなぁ、ハト並の脳みそしか無いのか?おまいらは』と会社ではなかなか味わえない優越感に浸ることができた。

ハトに瞼があったことを発見したのもそのときだ。
これには驚いた。
慌てて仕事中の同僚と後輩にメールで報告してしまったくらいだ。
『ハトがワタシを見てまばたきした。どうしよう。』

最初に来た返信(同僚・♂)にはこう書かれていた。
『バカ、どうしようじゃねぇ、会社に来い』
…こういうタイプは難しい。
言い訳を一生懸命考えてもぜんぜん聞いてくれないタイプだ。
メールをしなければよかった。
これも暑さのせいだ。

幸い次にメールを見た後輩(♀)の一人は『またバカリーダーは公園でハトを見ているのか』とワタシと同様に驚いたという返信をよこした。
リーダーが驚いているのだから、ここは素直に驚いておくべきである。

さらにもう一人の後輩(♀)からは『うちのベランダじゃない方の窓にハトがつがいでくるんでくるるっくぅ』と暑さにやられたとおぼしき、よくわからない返信があった。
即座に『糞害に憤慨しちゃ、ダメ』と素敵なポエムで切り返したが無視された。
ついでに最初のメールへの返信も考えついた。
『行き先が会社なんて、いカンパニー』
ただ、もっと怒られそうな気がするので送付は止めてそっとメールを保存した。


しかし、まだ冬だというのにこんなに暑いと仕事への支障が大きい。
さっき自席で働いているとたまたま通りかかった社長に『boke×2が残業してる…。ぼくは帰るね』と言われて、うっかり残業してまで働いていたことに気がついた。
暑くなければ、残業しないで飲みに行った筈だ。
普段はしない残業をさせてしまうとは恐るべし。
しかも今日は曲がらずに帰宅してしまった。
こんなにも例外だらけな一日も珍しい。
しかし、原因は冷害ではない。
今日のところは暑さのせいにしておけばよいだろう。
地球温暖化には気をつけようという意味がようやくわかった気がする。


冬なのに春を思わせるような暖かい日があります。
インディアンサマー、今日はそんな日でした。

(ワタシの文章には珍しく、爽やかな締めくくりで終わるのも暑さのせいだ)

会社での扱われかた

さいきん社長がゴルフの最中にワタシの名前を連呼しているらしい。
ワタシの名前が『ボケ田』とするとゴルフ場で「ボケッ田ー、ボケッ田~」と叫んでいるそうなのだ。
社長とゴルフをした先輩が、二人で飲んでいるときに「そういえば…」と教えてくれた。


ちなみにこの先輩は、娘のフィアンセが豆腐屋の息子で、豆腐には困らない老後が約束されている。
豆腐屋だけに『ダイズ』な娘をあっさり取られてしまったのだ。


話を戻すが、、、社長に名前を連呼されると言っても、ワタシは一緒にラウンドしている訳ではないし、社長の秘書として同行している訳でもない。

さては遠回しの愛の告白か?

よくよく問いただすと、どうも自分や周りのプレイヤーがショットやパットに失敗した場合にワタシの名前をコールしているらしい。
ダメな代名詞と言うか失敗の動詞と言うか。

はたと思い当たった。
昨年秋頃に10日ほどの間に名刺入れを三回落としたことがあった。
その際、いずれもワタシの周辺への厳しい事情聴取の結果、事件当日のワタシの行動に多少のアルコールが検出されたため、セキュリティ担当役員から顛末書の提出を求められてしまった。
幸い顛末書についてはお客様からも「よく書けている」とお墨付きをいただいたこともあるくらいの得意技である。
謝罪経験の多さとキーパンチの早さは人後に落ちない。
ササッと作って三回ともすぐに出した。
しかし、10日で三回はマズかった。
件(くだん)のセキュリティ担当役員には、「お前はうちの組織に挑戦しているのか?」と言われ、それ以来ことある毎にいじられ放題であり、納会でも参加者全員の前でこの役員に最後の挨拶でつまみだされ、笑い者になってしまった。


ワタシはこう見えても繊細なのだ。
その夜は散々飲みあかし、ヨダレで枕がしっとり濡れたものだった。

しかし、その失敗が原因としても、この『ボケッ田~』はあんまりだ。
これでうっかり殉職しようものなら、アホな社員の代名詞として社史に載ってしまうかもしれない。
うちの会社の文化は、そんなことを平気でしかねないのだ。
このことは社長に密かに問いたださなくては。

チャンスを狙っていたが、先日その機会が訪れた。
社長と事業部長から夜になって食事に誘われたのだ。



食事をしながら、ワタシはついにタイミングを見計らって、この気になっていたことを聞いた。


「…ボケッ田とは動詞なのか代名詞なのかどっちなんでしょう?」
「バカだな~。そんなのどっちも使えるんだ。ボケッ田、ボケッ田とき、ボケッ田ら、ボケッ田れ!など何段活用もできるな。ワハハハハハ」
「……」

名誉のため(拾われた方の)に言えば、落とした名刺入れは三回とも郵送や店からの連絡で戻ってきたので「奇跡の名刺入れ」と命名し、お守りがわりに毎日持ち歩いている。
ただおかげで今はあらゆる現場の社員から二言目には「名刺入れは持ってますか」と心配されるようになった。
さらに電話で出先の後輩を呼び出すと電話を繋いだ後輩(女子社員含)からも裏で「゙あの゙ボケッ田さんから電話ですよ」と失笑されているらしい。

記録よりも記憶に残りたいというプロ野球選手には自慢できそうな気がしてきた。