ぼくの秘密日記
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G.W.前後の過ごし方

連休前は忙しい毎日だった。
心身共に疲弊し、このままでは休みに入るなんてありえないと思われたほどだ。
普段は仕事が手につかないのだが、いつにもまして仕事が手につかないくらいの忙しさだった。

連休中も忙しい毎日だった。
心身共に疲弊し、このままでは休みが終わるなんてありえないと思われたほどだ。
普段はなにもないとTVをつけてゴロゴロしているのだが、TVをつけるどころではなかった。
起きている間は、TVを消す暇もなく、TVはずっとつけっぱなしになっていたくらいだ。
そんな中、よく寝る間があったと思う。
昼はソファーで忙しくくつろぎ、起きる間もないくらいだったからだ。

そんなに何が忙しかったかと言えば、先に京都旅行でオランダシシガシラ先輩に紹介された携帯電話の無料ゲームだ。
文字どおり忙殺されていた。
昔からツボにハマるといい仕事をしてきたが、今回は携帯サイトの思うツボにハマったようだ。
これが仕事ではないのが残念だ。

どれほど忙しかったかは、ブログを更新できなかったから、そのことで推測して欲しい。
書きたい内容を考えているうちに未更新の期間が続いてしまった。
ブログは一応開いたり閉じたりはしていたが、マブタと同じでただ何度も開閉しているだけでは、役に立たなかった。
そのことに途中で気づいてからはずっと閉じていたが、これまたマブタと同じでただ閉じていると寝ていることと代わりなかった。
せめて数行でも書いたのかと訪ねられると、今、いろいろと言い訳をしているから何も書いていないことは間違いない。

会社の仕事も同様である。
G.W.前はG.W.になったら一人静かにやろうと検討していたし、G.W.中はG.W.中で明日はやろう、明日こそは…と毎日画策していた。
G.W.前に仕事をしなかった代わりに4月29日と30日は出社したほどだ(後輩が休日出勤するので、ワタシは高級なケーキを差し入れるように脅されたのだ)。
そんなにがんばったのだが、いずれも携帯サイトの策略に負けてしまった。
気づいたら、G.W.は終わっていた。
学生時代の夏休みと同じで、ワタシのG.W.計画は、終わってみると脆くも崩れさっていたのだった。
悔しいので、死ぬ前に見たいモノリストに『ツチノコ』に次いで『計画倒れにならない計画』を追加した。

しかし、誓って言うが、ブログも仕事も全く忘れていた訳ではない。
嘘だと思うなら、ワタシの上司や部下や同僚に聞いてみるとよい。
彼らは総じてG.W.前にワタシに頼んだ仕事をしっかり覚えている筈だ。

G.W.が明けて上司や部下や同僚に頼まれた仕事ができていないことを伝えるとたいへん残念そうな顔をしたが、彼らがワタシに頼んだ仕事を忘れていなかったことは、ワタシもたいへん残念だった。

きれいなバラにはトゲがある

サントリーが青いバラを開発した、と言う記事を少し前に新聞か何かで読んだ覚えがある。
これは科学的にかなり難しいことをなしとげたのだそうだ。

ワタシは花にはあまり興味がないが、バラは女性が好きな花だということは知っている。

そんなバラにはトゲがあることも周知の事実である。
三段バラには贅肉があり、秋葉バラにはメイドがいて、ちゃんバラにはトリオがいることも周知の事実である。

しかし、一般的に『きれいなバラにはトゲがある』という言い方は、きれいな女性はうっかり近寄るとトゲに刺されることがあるから気をつけるように…という比喩である。

だが、この比喩はおかしなところがある。

きれいな女性は、小さい頃から周りから蝶よ、花よ、とチヤホヤされて育てられるため、たいてい性格も素直で裏表のないよい性格になりやすい。
それこそ華のような乙女になるのだ。

きれいな女性に近寄って刺されるとしたら、せいぜい鼻の下を伸ばしたワタシへの第三者の後ろ指か、視線くらいなモノだ。

その反対として、トゲがあり、ワタシに損害を与える女性は、ワタシが心中『きったないなぁ~』と思う場合が多い。
例えば会議の終わりに『遅刻したバツとしてboke×2が次回の会議の資料当番』とか、45分4000円ポッキリではいったキャバクラで『ねぇねぇ、ワタシも一杯呑んでもいい?追加料金2000円だけど』とかいう場合だ。
(注意して欲しいが、ワタシに害を与える女性がきれいではないと言っている訳ではない。『きったな~い』と密かに思っているだけだ。)

話をきれいなバラの例えに戻そう。
おそらくこの例えは、昔、きれいな女性に恋をした男、仮に与五郎がいたとする。
与五郎が、その女性を独り占めするために周りの男どもに触れ回った噂が元になったのであろう。
バラは万葉集にも記述があるそうだから、おそらく時代は平安時代か。

しかし、この目論見(もくろみ)は、平安から平成に代わった現代でもきれいな女性には男性が群がることから見ても失敗したことがわかる。
ワタシは失望した。
与五郎はなんて情けない男だ。
なんて実行力がなく、他力本願なヤツなんだ。
まるでワタシと同じじゃないか。

与五郎さえしっかりしていれば、今の世の男性がきれいな女性に群がることもなかったろうに。
ワタシがいまだ独身でいることもなかったろうに(きれいな女性を労なく、手に入れたろうに)。
与五郎の、バカッ。

…話を戻そう。
きれいなバラにトゲがあるというのは、どんなに優れたものでも欠点があると理解するにはわかりやすい。
きれいなバラにはトゲがあり、うまい肉まんには高いカロリーがある。
そう言えば二枚目で知的な技術者のワタシも、周辺から理解されないという欠点がある。

しかし、利点がある場合はまだよい。
欠点だらけの場合は、始末に悪い。
トゲのあるきれいではないバラや、高カロリーでまずい肉まんなどはどうしようもない。

それなので、トゲはあるけどきれいなバラ、という発想になるのかもしれない。

そういう意味では、ワタシもどうせ刺されるならば、きれいなバラのトゲに刺さりたい。

どうせ後ろ指を刺されるなら、美女から刺されたい。

打ち合わせに15分遅刻して、かわいい後輩に『boke×2さんにしては早い方では…』と言われてそう思った。

みんなこのように暖かいトゲでワタシを刺してくれれば、まだいいのに。

目標のつぶされ方

年度始めに際し、昨年度の総括と来年度の目標を報告する会議があった。
一般的に、目標とは達成できる基準より、やや高いレベルに設定することがよいと言われている。
登山を始める際に、いきなりエベレストを目指す人間はいない筈だ。
まずは靴屋で登山靴を買うべきである。

ワタシも一般に習って、年度始めに目標を立てた。
会社の目標は、売上いくらだとか、営業利益がなんぼだとか数値を追いかけるモノばかりである。
個人的にはいくらもなんぼもマンゴーもどうでもいいのだが、営利を目的とする企業は、それではいけない。
会社の目標があって、事業部の目標が割り当てられるし、事業部の目標がしっかりしていないと、各プロジェクトに対して目標を振り分ける際にあいまいになってしまう。
中身がスカスカな目標は、営利を産まない。
餡が詰まっていないたい焼きは営利を産まないのだ。
営利のための餡だから、エイリアン。

…いや。
単にこれを言いたかっただけなので、会社の目標に意味はありません。


会社の目標はともかくとして、個人の目標も重要だ。
かくいうワタシも大晦日にお風呂に入りながら、今年の目標を立てた。
目標を立てた後は、実践あるのみだ。

すがすがしい気持ちで床についたが、翌朝早くも目標を破ってしまっていることに気がついた。
毎朝早く起きることを目標にしていたのだが、元旦は昼近くまで寝てしまったのだ。

幸い、どこの時間を基準にするかまでは決めていなかったので、時差を調べて今日はエジプトのカイロ時間(日本の7時間前)に起きたことにして、事なきを得た。

そういう訳でしばらくの間、ワタシの手帳には毎朝何時に起きたかを記録していたのだが、そのうちに毎日の起床時間が6時半に固定された代わりに、起きたときの基準の場所が合わせて書かれるようになり、そのうち、そもそもの目的を見失ったワタシは無理矢理この目標を達成したことにした。


しかし、目標はそれだけではない。
残りは覚えているだけでも8個あり、全体では30個くらいはあった筈だ。
残念なことは、目標を立ててから3ヶ月経ち、既に過半は目標を諦めてしまったことか。
中には目標を忘れない、という目標もあった筈だが、いま覚えているのが8個だから、達成は不可能に近い。
しかし、サッカーのW杯で優勝する、という他力本願な目標もあったが、これは国を決めていなかったので、達成は濃厚だ。
W杯が開幕する6月が待ち遠しい。

そんな訳で、目標が毎日の生活にメリハリをつけているのだが、今日は久しぶりに残業しているワタシを見て、社長が近寄ってきた。
『あっ、boke×2が残業してるッ』

社長には、年始にあたり今年の目標を年賀状で高らかに宣言していた。
昨年の大河ドラマに倣(なら)って、大きく三文字だけ書いて出したのだ。

゙真人間゙

社長に声をかけられたワタシは、すぐに答えて言った。
『ハイッ、真人間になるべくがんばっておりますッ、大将殿ッ。』

『…ムリだな。そんな簡単に真人間になってたまるかっ!!なぁ。そう思うだろ?』

窓際で(席が)聞き耳を立てていた事業部長もウンウン頷いている。
『真人間てのはなぁ、boke×2とは真逆の人間をいうもんなんだ。ガッハッハ』
社長は高笑いして去ってゆく。


こうしてワタシは、またひとつ今年の目標を失ったのだった。

忙しい、忙しい

年度が代わり、忙しい毎日をおくっている。
先週は、お客様との会議に二回出て、会社の会議に二回出て、四回本社に行き、二回失注し、少なく見積もっても五回ランチを食べた。

これだけのことを一週間でなしとげたとは、改めて驚いた。
ワタシの計算が正しければ、一日一回こなしても半月近くかかることになる。
そんな忙しい中、更に事態を悪化させる事件が起きた。

先々週、急に思い立って京都に旅にでたが、その際、二人の子供を抱えたオランダシシガシラ先輩(♀、以下O先輩)とランチを同席した。
注意しておくが、子供を二人抱えながら、同時にランチを口に運んでいた訳ではない。
O先輩は、同席しなかった同僚には、そんな注釈が必要なほどの肝っ玉カアチャンだ。

O先輩は、ワタシが新人の頃に一緒の現場で仕事をしていた。

いわゆる同僚という類(たぐ)いのやつだが、゙やづなんて言う人間の気が知れない。
このO先輩は、面倒見はあるが、マイペースな性格で、他人を自分のペースに巻き込むという点においては、著しい才能を持っている。
特に、疑問系で他人を服従させる才能には、並ぶモノがない。
モノがないと書いたが、仮にお金とO先輩のどちらに服従するか尋ねられたとしたら、ワタシは迷わずO先輩を選択する(但し、お金が100円未満の場合)。

例えば会議中にO先輩が『あれ?COPYが足りないわね。』とつぶやいた場合は、すぐに立ち上がって『ハイッ、喜んで!』と言わなくてはならない。
しかし、そのまま資料を掴んで会議室から出ていこうモノなら、まだ半人前かワタシと同じレベルだ。
『boke×2~、何部か確認しなくていいの~。まったくせっかちねぇ。』と言われるに違いない。
しかも、これを聞いたワタシと周りの同僚は、O先輩からワタシへの命令があったと理解しているのに、本人はあくまで感想を述べただけだと言うのだ。

そういう意味ではO先輩は、大人物とは、命令しようと思わなくても、他人を動かせる身体の大きな人だと学ぶにはちょうどよい(大人物だけあって身体も大きいのだ)。

そのO先輩と京都で昼食を食べに店に入って座敷に座るなり、ワタシは先輩に質問をされた。
ワタシが敏感に反応したことは言うまでもない。

『ワタシさぁ、boke×2の携帯メールのアドレス知らないんだよね。』
『ハイッ、××ですっ。』
『いいって。話されてもわからないから。あなたは赤外線送信できないの?』
『で、できませ、いやっ、やります。直ぐに送ります。』

(苦闘五分 なんとか送信する)

『でさぁ、boke×2は、××って会員サイト知ってる?』
『ハイッ、会員ではありませんがっ。』
『ふぅーん。…会員にならないの?』
『ハイッ、なりますッ。今すぐに!』
『ダメよ。ワタシがメールするから、そこから加盟してよ。』
『ハイッ、喜んで。』

画してワタシの好むと好まざるとに関わらず、某携帯会員サイトに登録してしまった…。
しかも二つもである。

先週は移動の間も寝る前もすっかりハマってしまい、今に至っている。
時間泥棒だ。
しかもハマっているのはCMでも流れている怪盗のゲームで、ワタシは要領が悪いのかすぐにお宝を他人に盗まれちゃうのだ。
クヤシイから盗まれた後は相手にメッセージを送っている。

『く、悔しくないもんね。
チ、チクショー\(>д<)>』

某大手の携帯無料サイト(二つとも)にはワタシが出没しているので、なにかの折りにはお手柔らかに仲良くしてくださいませ。

体調が悪いのは…

朝起きると、頭痛がひどかった。
寝ている間に鈍器で殴られたか、自分の頭が鈍器になったかと思ったほどだ。
幸いにも鈍器にはなっていなかったが、もし鈍器だったら殴った相手か鈍器が壊れていたくらいの痛みだった。

これだけなら、いつものように会社で寝ていれば治るのだが、更なる災難に見舞われていた。
胃がムカムカする。
今ならレントゲンを撮らなくても、胃がどこにあるのか場所を説明できる。
胃だけに胃場所だ。
そんなくだらないことを考える余裕がないほどの気持ち悪さだ。

原因は明白だ。
昨晩は、帰宅しようとしたら、廊下で社長を見かけた。
社長が頭痛とムカつきの原因と早合点してはいけない。

社長に笑顔で近寄ると師のたまわく。
『わしは美味しいものを食べにいくけど、boke×2はくるなよ。なんたってわしは boke×2とは立場が違うんだもんね。』

社長と立場が違うことが、頭痛とムカつきの原因だと早合点してはいけない。
社長がこんな意地の悪いことを言うので、嫌がらせのつもりでずぅーっと着いて行ったところ、社長は先輩ふたりと一軒の寿司屋の前に立った。

先輩ふたりと一軒の寿司屋が、頭痛とムカつきの原因だと早合点してはいけない。
その寿司屋は、社長も始めての店だそうだが、大通りからちょっと奥まった道の突き当たりにあり、やや敷居が高い。
ワタシも社長がいないとまず入らない店だ。

まず入らない店が頭痛とムカつきの原因だと早合点してはいけない。
『着いてきちゃったの。仕方ないやつだなぁ。』
とまたいじわるいことを言われて、四人で入った店は、美味い料理が多かった。
結果、散々飲み食いして最後は社長の行きつけのバーに曲がることになった。

この曲がったのが頭痛とムカつきの原因だと思われる。

それにしても頭がイタイ。
ビールに日本酒と焼酎にウイスキーを混ぜて飲んだくらいにキモチワルイ。

みなさまには申し訳ありませんが、そういう症状であるからして、今日はおやすみいたします。
お疲れさまでした。
おやすみなさい。

床屋に行かない不退転の覚悟

社長と銀座のクラブで飲んでいたら、社長が席を外したタイミングでママから指摘を受けた。
前に社長を始めとした、うちの役員数人が、ワタシをなんとかならないかと言っていたそうだ。

ワタシもかねがねそう思っていただけに驚いた。
『ひょっとして給料が上がるとか…ま、まさか出世しちゃうんですか?それとも全社を代表して表彰されてしまうとか?』

『……ばかねぇ、boke×2ちゃんの評判で、あまりいいことなんかないわよ。それともなにか思い当たることでもあるの。』
喜び勇んだのもつかの間だった。
『いや、前々からワタシの机の中がなんとかならないかとは思ってましたが。』
『えぇっ?違うわよ、…髪型よ、髪型。そのぼさぼさ頭はなんとかならないのかって。』

改めて驚いた。
ワタシは今まで、性格や考え方、それにアルコール分解に優れた肝臓といったいろいろな身体の内面を否定されたことはあったが、外見まで否定されるとは思いもよらなかった。

しかも、なんとかならないか、というのは、そうとうひどい状態と思われる。
なにしろ、普段ワタシがなんとかならないかと思っているものは、世界中の内戦、地球温暖化問題、満員電車、若者の電車の乗り方、中年女性の電車での会話、中年男性の電車での酔っ払い方、ワタシの机の中、ワタシの結婚問題、というようにヒドイものばかりなのだ。
まさか髪型でこれらと同じレベルの責めを受けるとは意外だった。

こう見えてもワタシは管理職として、部下を教え導く立場である。
責任を果たすための威厳や体面にはコダワリを持っている。
残念なことは、教えられることと、威厳を示すことができるところが見当たらないことだ。
しかし、そんな中でもなんとか内面を誤解されまいと苦労に苦労を重ねてきたところに、髪型のダメ出しとは、神はワタシをお見捨てになったのか。

こうなると内面だけではなく外見も誤解されているとしか思えない。

誤解されないためにはどうするべきなのか。

ワタシの経験では、内面がよい人が、外見でダメ出しされることはまずありえない。
性格が『いい人』と言われる人は、顔が恐ければ恐いほど、最初は最悪だった『いい人』ランクが上がるのがよい例だ。

また反対に、外見がよい人は、内面もよい人と思われる傾向がある。
綺麗な女優が、ドラマでかよわく辛い、でも負けずにがんばる主人公役をすると、本人までもがいい人だと誤解されるのがよい例だ(本人が本当に『いい人』の場合もあるが、ややこしいので今回は考えない)。

内面は、外見に左右されないが、外見は、内面を左右しているとは、言えないだろうか。

確かに、ワタシが二枚目俳優だったら、内面を誤解されるなんてことはまずないはずだ。
しかし、自分でいうのもなんだが、残念ながらワタシは二枚目俳優とは比較にならない。
そのあたりは同僚も認めるところだろう。
二枚目俳優とは比較にならない二枚目技術者のワタシが、不当な誤解を招いているのは、やはり髪型に問題があるのかもしれない。

しかし、心当たりはある。
実は、ワタシは小学生の頃から、健康診断と歯医者と納豆と床屋は大嫌いなのだ。
これらは、過去に体験した後で物事がよくなった試しがないからだ。

一番よくても『異常なし』の健康診断、歯が痛いと言っているのに更に痛い思いをさせる歯医者、なにもコメントする気もおきない納豆、そして最後の極めつけが、行くたびにワタシの評判を下げる床屋だ。

昔から、床屋に行った翌日は、必ずと言ってよいほどに、同級生や先生から『なんか変だ』、『前の方がよかった』、『なんで前髪をそんなに短くしたのか』、『お前のアタマは空っぽか』というふうに罵倒された記憶しかない。
床屋に行ったばっかりに、不当に評判を下げたのだ。

床屋にさえ行かなければ、今頃は歌って、踊って、モテて、結婚して、二枚目俳優だったかも知れない。
いまこうして不必要に評判を下げ、内面だけではなく外見も非難されるようになってしまったのも、長年の散髪のせいではないか。

これ以上、評判を下げないために絶対にワタシは床屋になんて行かないぞ。
行かないもんね。

桜の魅力

東京の桜が満開だ。
千鳥ヶ淵の映像は、朝から晩までニュースに写っている。
もちろん写っているのは、お堀の映像ではなく桜の映像だ。

日本人はなぜこんなに桜が好きなのか。
日本人にとって『桜』は、花の代名詞と言っても過言ではない。
なにしろお花見というとたいてい満開の桜の木の下で飲んだり、食べたりすることを指す。
仮に花が満開でも、松や杉の木の下で、お花見をする人はまず見かけない(代わりにお鼻にマスクをする人ならよく見かける)。

春の陽気に、桜の木の下を居酒屋と間違えたかと思いきやそういう訳でもないようだ。
その証拠に、桜も花が咲いていないときには、木の下で宴会をしている人を見かけることは、まずありえない(酔ってたまたま桜の木の下に倒れている人は除く)し、桜の木にやきとりを注文する人も見かけない(酔って間違って桜の木に話しかけている人は除く)。


しかし、こうまで桜を愛でるのは、ワタシが知っている限りでは、日本人とワシントンくらいだ。
ワシントンは幼少の頃、桜の枝を折ってしまったた後悔の念から、初代アメリカ合衆国大統領になったと聞く。
そんなことなら、ワタシも幼少の頃、桜の枝を折っておけばよかった。

それにしたって日本人の桜びいきは目に余る。
遠山の金さんの入れ墨が、『波しぶき』だったら、名が後世に伝わることはなかったはずだ(決め台詞で語呂が悪い)。
国民的映画『男はつらいよ』、主役の車寅次郎の妹は、『さくら』だ。

そんな一方的、盲目的な桜びいきはなぜなのか。
天気予報や花粉情報と同レベルで、まったく日常生活に影響のない桜前線がニュースになるのはどうしてなのか。

ワタシはこのキモチ(決してヤキモチではない)から、長年の間に日本人のアイデンティティにまで刷り込まれてしまった桜びいきを分析した(決してヤキモチではない)。

分析とは、まずは相手をよく知ることからだ。

桜のなにがよいか。

まず桜は控え目で上品な花をつける。
しかし、控え目で上品な花は、桜の他にもいろいろある。
スミレやタンポポ、ドクダミも控え目である。
分類されれば、ワタシだって控え目の部類だ(除飲食)。
疑うのであれば、会議室でのワタシの振る舞いを見て欲しい。
極力気配を消し、息を殺し、無にならんと欲して、ときどき熟睡している。
存在感のなさは、会議の議事録に登場しないことからも証明できる。
控え目をモットーにしているからだ(除飲酒)。

この分析の結果、ひとつの疑問が沸いた。
ワタシももう少し桜のように愛されてもよいのではないか。



だが、まだ桜の一面しか分析していない。
分析を続けよう。

桜は咲いてはすぐに散るその儚(はかな)さが可憐だ。
花は、咲いても一週間かそこらで散ってしまう。
ただ、この程度の短命な花は、他にもたくさんある。
露草や夕顔は、咲いても夕方には萎れてしまうし、稲の花は三時間しかもたないそうだ。

しかしまだ、結論を焦ってはいけない。
桜は短命なだけではない。
絶頂期にアッという間に散ってしまう。
桜吹雪と言う言葉があるように、可憐な花を咲かせながら、一気に花びらを落とすところが、他の短命花と違うのだ。
まさに潔い。

しかし、また分析結果には、疑問符がつく。

ワタシだって儚さと潔さには自信がある。
ワタシの人生のピークは、おそらくは五歳くらいだった。
近隣には、boke×2家の次男として認知され、幼児の名を欲しいままにした。
そして両親からは、将来に対して一番夢を見させていた時代だ。
将来はきっと大人になるに違いないと、大方の人間は思っていたはずだ。
それが今や、大人になるどころか、人間になれ、と社長や部長に言われる始末である。
絶頂期を五歳で失ったワタシも、潔い部類に入らないか。
文字どおり、人の夢は儚いことを身をもって体現しているのだ。


桜ばかり好かれるなんて、やっぱりズルイッ!(決してヤキモチではない)

なぜ桜だけが好かれ、似たようなワタシが叩かれるのか益々わからなくなってきた。

まとめると、桜は慎ましく淡く咲いては、派手に散る。
将に武士道である。
慎ましく浅く仕事をしている点は、ワタシも自信がある。
しかし、散ったのは五歳の頃だからして、今の上司や部下、同僚の前では散り様を見せた覚えがなかった。

しまった。
さてはワタシにはまだ散り方が足りなかったか。

仕方ない。
もっと派手に同僚と散財するか。
できれば、桜が見える居酒屋で。

新年度になった

新年度になった。
『新』とつくモノは、人の意識を切り替えるにはよい働きをする。
新築、新品、新春、新車、新幹線、新井白石…。
新井白石は違うか。

その他にも、新橋に行ってみるとよくわかる。
家庭を忘れたいサラリーマンが、現実を逃避して新たな自分を発見するために辺りを徘徊している。

新年度になってうちの会社にも新入社員がきた。
新入社員は、見てすぐわかる。
初々しく、スーツがまだ身体にフィットしていない。
それと大抵の場合、新入社員は集団で行動する。
このことは、鰯で説明できる。
鰯は、文字どおり弱い魚である。
海の生態系では、プランクトンの次か、プロテインだかプロパンガスの間くらいだったと記憶している。
そんな鰯は、群れで行動することで外敵にたいして自らを大きく見せ、身を守るのだという。

新入社員も、入社直後は周りの社員と比較して、弱い立場にある。
同期以外の周りの誰もが先輩なのだ。
群れをなしてせめて自分を大きく見せる必要があるのも、いたしかたない。

『がんばれよ、早く一人前になれよ』
新入社員の初々しさを見ているとそんな気持ちでいっぱいになる。

まぁ、この新入社員も大抵の場合、十数年もすれば、ワタシのように威厳を保つことができるようになるのだ。
安心してよい。

ただ、残念ながらワタシの威厳は、一番威厳を認めて欲しい上司や部下、同僚に受けが悪い。
これというのもワタシの仕事ぶりに問題があるということはわかっている。
調子の波が大きいからかも知れない。
あまり仕事をしていないときと全く仕事をしていないときの差が、かなりあるのだ。
他人には違いがよくわからないと言われるのだが、悪いときには自分でも仕事をしている気がしない。
悪いときは、公園でハトに餌をやっているような気がするのだ。
そういうときには実際に公園でハトに餌をやったりしている場合があるので、今後は注意しようと思う。

せめて仕事では自分でも満足できる実力を発揮できればよいのに、と思うのだが、満足にはいまだ程遠い。
もし実力さえ思い通りに出せたら、言うことはないのだが。
実力を思い通りに出すことは難しい。
特に100%以上の実力はなかなか出すことができない。

ワタシも100%以上の実力、せめてその三倍くらいでよいから出すことができさえすれば、事業部長の娘さんに『boke×2は、仕事してるの?』と言われることもあるまいに…。
事業部長に『いや、してないよ』と言われることもあるまいに…。

新年度のこれからこそ、生まれ変わるチャンスだ。
仕事ができるサラリーマンに近づくべく努力するのは今からなのだ。
仕事はコツコツ努力あるのみである。
こんどこそ、真摯に仕事に向かい、早起きして遅刻もせず、体調に注意し、健康的な生活を送ろう。


そう言い聞かせていると、うっかり忘れていた仕事を思い出した。危ないところだった。

後輩に電話を入れる。
『うっかり連絡忘れてたんだけど、再来週からひとりメンバーが増えるんだけど。』
『え~っ、パソコンとか座席をどうするんですかっ、もう。boke×2さんはワタシに言えばいいだけの仕事ですけど、こっちは準備がいろいろあるんですよ!!言うだけの仕事もできないなんて!』
明らかにワタシを叱っている。

そして思い出した。
この後輩にも初々しい新入社員の頃があった。
先輩のワタシも彼女の将来に期待し、仕事に対しの厳しさを教え、一生懸命やるように、励まし、勇気づけようと期待に胸を膨らましたモノだった。

気がついたら、叱られる側と叱らる側が逆転していたが、今年の新入社員には配属されても三ヶ月は叱られまいぞ。

出版記念

驚くべきことがおきた。
某出版社から連絡があって、ワタシの駄文を本にして出版しないかというのだ。

ワタシは驚くと同時に迷いに迷った。
本を出版するということは、ワタシの文章が不特定多数の人々の目に触れることになる。
広く人に読まれることになると、ワタシの知性が益々多くの人たちに疑われることにはなるまいか。
そうでなくても、会社では上司にも部下にも知性を疑われている(知性以外にも、仕事をしているかどうかさえ疑われている)。
どんな状態(肉まんを食べながら?、婚活しながら?)で書いていたかもわからない駄文をそのままワタシの著作として世に出しては、ワタシの評判を落とすことにはなるまいか。


幸い、まだ回答日までには余裕がある。
一度過去の文章を推敲してみるのも悪くはあるまい。


しかし、改めて読み直してみると、いたるところに問題を発見する。
かなり足したり、削ったりしなくては、今の状態ではとても世に送り出すことは難しい。
まず不足しているところは、例えば主語、であるとか、句読点、といったレベルから、著者のメッセージ、話のオチ、文才、嫁、金、知性まで多岐に渡っている。

無駄なところも多い。
余計な句読点や無駄な改行、つまらないおやじぎゃぐから、楽屋オチのネタ、脂肪、納豆、タンスの角までいらないものが多すぎる。

ワタシの文章に改善の余地が多いことはよくわかった。
さてどうするか。

人間には二つのタイプがある。
簡単に決めて後で死ぬほど後悔するタイプと、熟慮に熟慮を重ねて決断して後で死ぬほど後悔するタイプだ。
ワタシは前者に近い。
ラーメンと担々麺のどちらかに迷ったら、両方を注文してしまい、更に餃子をつけたことに風呂場(体重計がある)で後悔するタイプだ。

まぁ、なんとかなるんじゃん。
今回も安易なワタシの本能がそう言っている。

幸いにしてまだ時間があるのだから、文章を修正することだって可能だ。
先ほど明確になったように改善の余地が多いことには自信もあるのだ。

そう考えると、妙に自信がわいてきた。
唯一の難点はまだ改善法が見つかっていないことくらいだが、最悪はワタシの駄文を日本人に読まれないようにアラビア語で出版するように出版社に働きかければいいし、逆に日本語にしてサウジアラビアで出版しちゃってもよい。
この際だから、他人の文章にすり替えてその人の名前を借りて出版するという手だって考えられる。

このように、期日までにはなんとか推敲するので是が非でも出版していただきたい。
ただし、本当にそんな問い合わせが出版社からきたら、の話だ。

そんな今日はエイプリルフール。

スパイ小説

男は暗闇の中にいた。
圧迫感と強い緊張感のただ中に、男はいた。

ふと冷たい風がほほを撫でる。
それをきっかけにして男は目を覚ました。

男は両手を前に組んで、椅子に深く腰かけていた。
身体の上下を包んでいるスーツは、皺が目立ちくたびれている。
遠くを走る電車の音がする以外は静寂に包まれていた。

男は少し顔を上げてから、目を眩しそうに細め、頭を振った。
ひどい頭痛がする。
長く寝ていたような気もするのだが、その割には強い倦怠感が全身を包んでいた。

男はつぶやいた。

『ここはいったい、ドコナンダ』

男が座っていた椅子は床に固定されていて、動かない。
しかし、お世辞にも眠ることを目的とした椅子ではなく、寝ていてもずり落ちなかったのが不思議なくらいだ。
見上げると、天井からは先に固い輪のついた革のバンドが何本も垂れ下がり、異様な光景だ。
一瞬、囚われの身になったかと錯覚したが、自分の手足には輪はついていないことに気がつき、男はホッと息をついた。
異臭がする。
男は異臭が自分の口からでたことに気がつくと、顔をしかめた。
喉はからからで、唇を舐めると強い鉄の味がした。
口を拭った手に赤いモノがついた。
血だ。
心当たりはないが、唇に血が滲んでいる。
『クソッ』
ちょっとつぶやいてから、男はようやく周りを見渡した。

目の前の戸が開きっぱなしになっている。
戸の外は、屋外に直結しているらしい。
いまいる場所より暗く、ぼんやりと木々や周りの建物のシルエットが見える。
どうやら何かの拍子に戸が開いて、冷たい外気が流れ込んできたようだ。
しかし、誰が戸を開けたのか、辺りに人影はない。

立ち上がろうとして、男は呻いた。
背を丸めて深く椅子に腰かけていたためか、腰がひどく痛い。
男は立ち上がり、二、三歩戸の方へ歩いた。
頭が割れるように痛い。

戸に手をかけてようやく外にでた。
外はさほど寒くはなかったが、右手を見ると知らない男が二人、バラバラに一段上の建物に続く階段を登っていくのが見えた。
その男たちは、男には気づいていないのか、カバンを抱えて黙って階段を上がっていく。
既に日はとっぷりと暮れている。
他に人はいない。
声をかけるか迷い、そちらに歩き出そうとしたが、足がもつれて男は転びそうになった。

踏みとどまって顔をあげると、帽子をきちんとかぶって濃紺の制服を来た男がこちらにむかってくるのが見えた。
制服の男は小走りではあるが、明らかに男にむかってきているのが見てとれる。

男は直感的に危険を感じた。
制服の男とは逆の方向に走ろうとしたが、足がうまく運べない。
前を見ると先ほど二名の男が、無言で登っていった階段が見えた。

初めての場所でよくわからないが、階段を登るか、元の椅子がある場所に戻るか、または制服の男にむかって行く以外はないらしい。
しかし、男のいまの体力では、制服の男に軽く組伏せられるに違いない。
どこに通じるかわからないが、階段を登ってみるしかない。


手すりに捕まって階段を必死に登っていく。
階段の中ほどで振り返ると、制服の男がきびすを返して去っていくところだった。

ホッと息をつくと、男は階段の上を目指した。
上の建物は天井も高い上に、明るく、数人の男女がいた。
ロビーのようだが、立ち止まって話をするものはおらず、みな忙しそうに少し先にある通路に入っていく。
通路にはゲートがあり、ゲート脇には先ほど階段の下で見かけた男と同じ制服の男が立っている。
警備係かもしれない。

見ると、ゲートではひとりひとりがなにやらカードのようなものを掲げているようだ。
男は立ち止まってから、立ち止まったことを後悔した。

ゲート脇の警備の男が、こちらを見ている。
なにか失敗したのか。

男が慌てて振り替えると、トイレが目に入った。
トイレにむかってゆっくりと慌てないように歩いていく。
慌てて、目立ってはいけない。
男の直感が告げている。
トイレに入る直前に振りかえると、ゲート脇の警備員はもう、ゲートを通る人々に視線を戻していた。

トイレに入った男は、急いでポケットをまさぐった。
ちょっと汚れたワイシャツの胸ポケットに無造作に一枚のカードが入っている。
しかし、個室に入る時間を惜しんだことがあだになった。
トイレに初老の男性が入ってきて、男を一瞥してから脇をすり抜けて行く。
仕方なしに、男はカードをよく見る間もなく、トイレを後にした。

こうなればなるようにしかなるまい。
トイレを出た男は、多少ふらつきながらもズボンのポケットに入れたカードを握りしめながらゲートにむかった。
焦るな、落ち着け。
男は自分に言い聞かせる。
ゲート手前で前の男に習い、読み取り機らしき機械にカードをかざす。
怪しまれたくはないが、ついゲート脇の警備員からは顔を反らしてしまった。

一瞬の間が、男には何秒にも感じられた。
しかし、ピッという電子音がしただけで、ゲートが男のいく手を遮むことはなかった。


ゲートを後にした男は、その先の薄暗い外の明かりにむかって、急いだ。
後ろを振り返っては終わりだ、と言い聞かせながら。


通りにでたが、やはり街に見覚えはない。
行き来する人も少なく、男は途方に暮れた。

しかし、男はまた歩き始めた。

『ココニ イテハ イケナイ』

また男の直感が、そう訴えていた。

なにかあったときのために、先ほどのカードは握りしめている。
先制できれば、カードだって立派な武器になるのだ。

しばらく歩くと、向こうから自動車の灯りがむかってくることに気がついた。
近くまでくると、それがタクシーであることもわかった。

男は最後の力を振り絞り、手を挙げた。

キキーッ、バタンッ
タクシーが止まり、扉を開く。
男は一瞬ためらったが、開いた扉をくぐり抜け、後部座席に深く腰をかけると、運転手に声をかけた。

『××までって行けますか…』

運転手が少しの間の後で返答した。
『ちょっと遠いけどわかるよ』
『お願いします』

バタンッ
扉が閉まって、タクシーが走り始める。
少しして運転手が男に声をかけた。

『お客さん、乗り過ごしちゃったの?』

街に見覚えはないけど、名前は知っている。
そんなココは、中央線終点の高尾駅。

飲み過ぎちゃってゴメンナサイ。
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