俺、目黒蓮には好きな人がいる。

彼女は俺よりも5歳年上。

見た目は大人の女性で

中身もしっかりしてるんだけど…

恋愛に関してだけは凄く疎くて幼い。

じっと目を見つめたり

手を握っただけで動揺して赤くなる。

それが凄く可愛くて愛おしい。

ただ、彼女が好きなのは俺じゃない。


彼女の心の中にはずっと他の男がいる。

その男の事を思い出す度に

彼女は哀し気な顔をしたり

涙を流したりする。

それが堪らなく悔しい。


俺が彼氏だったら、

絶対に泣かせたり

悲しい顔をさせたりしないのに…

どうすれば彼女の心の中に入れるのかな?

一応、

外見は大人っぽく見えるはずなんだけど…

服装だって子供っぽく見えないように

気を遣ってるんだけどな~。

いつも彼女は俺の事を子供扱いする。

あんまりムカついたから

ちょっと本気を出して攻めてみた。

「俺じゃ駄目?」

めっちゃ赤くなって狼狽えてた。

よっぽど動揺したのか

お酒が弱いくせに一気飲みして

帰れなくなったから連れてきたけど…

一緒に居たのが俺で良かったと

心の底から安心した。


やっぱり彼女のそばについてないと心配だ。

ずっと今のままじゃ嫌だから…

彼女が起きたら勇気を出して言おうと思う。

まずは「君の彼氏になりたい」かな?

それとも「俺の彼女になってよ」とか?

『俺』だと威圧的かなと思ったから、

『僕』にしてみようかな。

「僕の彼女になってよ」

後は…

「絶対に大切にする」かな?

俺の好きになった人には

ずっと笑顔でいて欲しい。

一度しかない人生だから楽しくないとね。

あ~、早く起きないかな?

我慢出来ず隣で眠っている彼女に手を伸ばす。

優しく彼女の頬を撫でると

彼女の目がゆっくり開いていく。

「起きた?」

と俺が言うと、

彼女はビックリして俺から離れようとした。

でも、俺は彼女を離したくなかったから

彼女を腕の中に閉じ込めた。

「ねぇ、君の彼氏になりたい」

彼女は黙ったまま何も言わない。

「これからもずっと引きずって生きてくの?」

黙ったまま俯く彼女に言葉を投げて行く。

「俺が彼氏になったら毎日楽しいよ?」

「寂しい思いなんかさせないし、浮気もしない」

「俺と付き合ったら、他の男の事なんか考えられないくらい俺でイッパイにして嫌な事を忘れさせてあげる」

色んな言葉をかけたけど彼女はまだ黙ったまま。

「じゃあ…試しに一週間だけ頂戴?」

俺が言うと、彼女はゆっくりと顔を上げる。

「一週間?」

彼女の言葉に俺は笑顔で頷く。

「一週間、試しに俺と付き合ってみて決めて。一週間後、同じ事を言うから改めて返事頂戴😊」

俺の提案に彼女は「分かった」と頷いた。

そして一週間のお試し彼氏を終え、

俺は隣で横になっている彼女に聞いた。

「僕の彼女になってくれる?」

俺が言うと、彼女は顔を赤らめて

「言わなくても分かってるくせに…(//--//)」

でも、俺はちゃんと言葉で聞きたかったから

彼女の耳元で囁いた。

「僕の彼女になってよ」

彼女は「はい」と言って笑った。

「絶対に大切にする🖤」

そう言ってベッドサイドの電気を消した。


《END》