【次世代の党】江崎道朗先生の講演会に行ってきた【IFCON】 | 独立直観 BJ24649のブログ

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 8月1日、次世代の党のタウンミーティング「IFCON(イフコン)」に行った(http://ameblo.jp/bj24649/entry-12058953457.html)。
 その時配布された宣伝の中に、10月18日の江崎道朗氏の講演会のものがあった。
 主題は「アジア太平洋の平和を守るために日本はどうすべきか」である。
 ギリギリまで行くかどうか迷ったのだが、最近江崎氏に関心を持ったので、行ってみることにした。
 江崎氏を知ったのは3カ月くらい前だと思う。こんなにすぐに講演会に行くことになるとは思わなかった。

 席は、すし詰め状態とまではいかないが、満遍なく埋まっていた。
 江崎氏は日本会議の専任研究員なので、日本会議所属の意識の高い人たちがかなり来ていたのかもしれない。
 日心会という団体も関わっていた。
 私は次世代の党にも日本会議にも日心会にも所属していない、全くの部外者だ。

 まず運営側から挨拶があり、国歌斉唱をした。
 そして、次世代の党所属の政治家である井桁亮氏の挨拶となった。


 井桁氏は、小牧の自衛隊基地でブルーインパルスのアクロバティック飛行ができないことを問題視する。
 小牧基地以外の基地では、ショーを開催してブルーインパルスがアクロバティック飛行を披露している。
 ところが、関係する3つの自治体の長が、事なかれ主義で、共産党系の市民に配慮して、ブルーインパルスのショーに反対し、これが開催できなくなっている。
 そもそも、地方自治体の長が国防に口を挟むこと自体がいかがなものかという話ではある。
 アクロバティック飛行には高度な技術が必要であり、これを示すこと自体が抑止力となる。
 なので、ブルーインパルスが小牧基地で飛べるように、今後も市民に呼びかけていくということを話された。
 この記事を書くに当たり、配布された資料の中の井桁氏のポスターを見てみたら、愛知県第6区(小牧市・春日井市・犬山市)に選挙区が変わったようだ
 井桁氏の従来の選挙区である愛知県第3区(名古屋市昭和区・緑区・天白区)は、新北朝鮮の反日極左で知られる民主党の近藤昭一衆議院議員が猛烈に強い。
 対する自民党の池田佳隆衆議院議員は、愛国保守の安倍派のホープだ。
 そこに井桁氏が割って入ってしまうと、保守勢力同士の潰し合いになってしまい、近藤議員を利してしまう。
 昨年の総選挙では近藤議員が僅差で勝ってしまった(池田議員は比例復活。関連記事としてhttp://ameblo.jp/bj24649/entry-11964719311.html)。
 この選挙区ではとにかく近藤議員を倒すべく、池田氏に保守票が集まるべきだと思っていた。
 井桁氏が選挙区を変えたのは、好ましい判断だと思う。

 江崎道朗氏の講演が始まった。
 運営の方々の様子を見るに、江崎氏は予定時刻よりも遅れて会場入りしたようだ。
 かく言う私も、会場を探すのに手間取り、たまたま見かけた郵便配達員に道を聞き、なんとか開場時間ギリギリに辿り着くことができた。 


 江崎氏は、少し意外なところから話を始めた。


 近年、国際社会で通用するビジネスマンを育てるグロービスというビジネスマン教育がある。
 国際ビジネスのスキルの向上を狙うわけだが、ビジネスの土台には国家、政府、そして家族がある。
 日本のビジネスマンと諸外国のビジネスマンの決定的な差は、国家の滅亡への意識だ。
 諸外国は、国家が滅亡することもあり得ると考えてビジネス活動をする。
 ところが、日本人にはこの意識が薄い。
 そこで、経済界においても、国家の独立・存続について関心が高まっているとのことだ。
 これは私の意見だが、「グローバル人材」「国際人」なる言葉がよく聞かれる昨今、教育への意識の高い親御さんの中には子供にこうなってほしいと願う人もいるだろうが、こう育てたいのであれば、安全保障問題を朝日新聞的に「軍国主義」「戦争法」として忌避するのではなく、前向きに学ぶ必要があるということだ。
 日本人的な平和ボケ感覚では世界で通用しない。

 わが国は歴史を2000年以上にわたって紡いできている。
 なので、国が滅ぶという意識が薄い。
 しかし、そんな国は日本だけだ。
 数百年で滅びる国など世界中にはざらにある。
 アジアだけ見ても、第二次世界大戦後、3つの国が滅んでいるではないか。


※ 写真に取り損ねたが、国の寿命を比較した年表も映し出された(http://img.atwikiimg.com/www35.atwiki.jp/kolia/attach/253/358/nenpyo.jpg)。


 満州国、東トルキスタン、そしてチベットは、中華人民共和国によって滅ぼされてしまった。
 チベットは現代のホロコースト状態だ。
 滅びてはいないが、モンゴルも国土の半分を中国に奪われてしまった。

 中国は、わが国を含め、海洋上の諸国を侵略するために、40年にわたって海洋戦略を立て、実行している。


 中国の劉華清という軍人が、日中国交正常化以後、近海積極防衛戦略を策定し、中国はこれを実行してきた。
 中国は陸軍・海軍・空軍の他に、ミサイル部隊を設けるという特殊な編成をしている。
 この海軍・ミサイル部隊を強化して、国境を押し広げていくという戦略だ。
 日本人は、国境は定まったものだという考え方をする。
 ところが、中国は国境について「戦略的国境」という独自の考え方をしている。
 中国が強くなれば、その分国境は動き、広がるのだという考えだ。
 そして、国境を広げていくことが国益だとする。
 日本人的な専守防衛や平和論など、中国には全く通用しないのだ。
 これは私の意見だが、中国とは、本質的に軍国主義であり、侵略国家なのだ。
 経済関係を深めていけば侵略意欲を失うという国ではない。
 日本人の多くは、中国と戦いたくないという願望を持ち、半ば現実逃避的に、中国と経済関係を深めれば平和になると考えていると思われるが、そんな甘い考えは通用しない。

 江崎氏は、日本に亡命してきた中国の民主活動家と交流を持ったことがあった。
 ある日、江崎氏が彼らに「中国が民主化したらチベットは解放されるのだよね」ときいたら、彼らにその意思はなかった。
 中国人にとっては、隣国関係とは支配であり、共存の概念が無いのだ。
 その民主活動家は、「平和とは、和してたいらげることだ」と言う。
 そして、彼らは、「日本が中国と共存したければ、日本は強くならなければならない。」と言う。

 中国は国境を、彼らの言う第一列島線、そして第二列島線に広げようとする。
 日本を支配下に置き、太平洋に出ようとする。
 多くの日本人から見れば「何を馬鹿な話を」ということになるが、北京は本気だ。


 本気かどうかは予算に表れる。
 本気で実行する政策には予算を付ける。
 逆に、どんなに口先でいろんなことを言っても、予算を付けない政策は本気ではない。
 では、中国の軍事費がどうなっているかというと、冷戦終結以来、公表しているものだけで、軍事費を40倍に増やしている。
 中国は、軍隊とは別に、軍隊としても機能する国内治安部隊を持っている。
 その予算が、軍事費と同等についている。
 対して、わが国の国防費は増えていない。

 中国は近年、南シナ海に積極的に進出し、周辺国が漁業に支障を来している。


 日本政府は、尖閣諸島海域で漁業ができなくなることを前提に、パラオの排他的経済水域で漁業をさせてもらうべく、同国と交渉を既に始めている。
 これは私も全く聞いたことがなかった。
 ここまで危機が深刻化していたとは。
 こんなことを知っている国民は、ごく少数ではないか。

 中国が進める、南沙諸島の要塞化ももちろん深刻だ。


 南沙諸島を要塞化するには、予算も労力も相当かかる。
 それをここまでやっているのだから、北京が周辺海域を支配しようという意思は明白だ。

 困ったことに、アメリカのオバマ大統領は、中国のかかる侵略行為をほぼ黙認しているということだ。
 日米間で、中国に対する向き合い方の認識にズレがある。
 心胆を寒からしめるとはこういうことを言うのだろうか。
 このズレの深刻さは、ぜひ皆さんにも知ってほしい。


 日本人から見れば、「中国が南シナ海で侵略を拡大しているのに、アメリカは何をやっているんだ。オバマはけしからん。」という話になる。
 では、アメリカ人はどう考えるのか。
 「中国が南シナ海で侵略を拡大しているのに、日本は何をやっているんだ。日本はけしからん。」という話になる。
 日本人からは、そんなバカな話があるものか、憲法9条を押し付けたのも、日本を弱体化したのも、アメリカじゃないか、と言いたくなる。
 しかし、アメリカ人の多くは憲法9条など知らないし、知ったとしても、独立したら改正すればいいじゃないか、という話になってしまう。
 アメリカは、日本の安全保障体制強化の難しさについて同情などしない。

 米軍幹部の必読書に「THE NEW WORLD STRATEGY」という本がある。
 この本には、アメリカが他国に助力する条件として、自分の国を自分で守ることを挙げる。
 そしてアメリカが条約を守る時というのは、守ることがアメリカの国益に適う時だ。
 アメリカは、同盟国を見捨てることもあるのだ。
 本書は日本語版も出ているのだが、恐ろしいことに、日本語版ではこの部分がカットされている。
 本書を訳したのは防衛大学校の教授である。江崎氏はこの教授が誰かは明かさなかった。
 調べてみたのだが、本書の邦題は「アメリカの戦争の仕方」で、訳者は杉之尾孝生氏と久保博司氏だ(http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062111485)。そして杉之尾氏が防衛大学校教授だったことが確認できた(https://ja-jp.facebook.com/ShippainoHonshitsu/posts/512988575429329)。
 4月29日(現地時間)の安倍総理の米国議会演説について、倉山満氏が「あんなにリップサービスすればスタンディングオベーションも起きるわな」というようなことを言っていた覚えがある。
 また、安倍自民党は、今夏、安保関連法案を成立させるために政治力を最大限に使った。
 江崎氏の今回の解説を聞くと、安倍総理大臣は、日本は自国を守る努力をしている、日本を守ることはアメリカの国益にも適うと、アメリカに示す意味があったのかもしれないと思う。
 江崎氏は、創生「日本」の事務局を担当していたことがあり、安倍総理大臣をよく知り、そして支持している。
 江崎氏によれば、安倍総理大臣周辺の一部の政治家は安全保障の厳しさを理解しているが、自民党の大半は理解していないとのことだ。
 だからこそ、次世代の党が自民党の上をいく安全保障の提言をしていく必要がある。

 2年前、オバマ大統領は、「アメリカは世界の警察官ではない」ということを公言した。


 ここまでは覚えている人も多いだろう。
 問題はその後だ。
 今年の4月28日、日米防衛協力ガイドラインが改定された。
 従来はアメリカが「矛」、日本が「盾」という役割分担であった。
 ところが今回の改定によって、アメリカは日本の代わりに敵を攻撃しないということになった。
 オバマ大統領が日本の命運に冷淡であることに注意しなければならない。
 


 中国は、アメリカが日本を助ける前に日本を屈服させる計画を立てている。
 アメリカ軍のジェームス・ファネル大佐は、この情報は日本も共有した方がよいと考え、リークした。
 するとオバマ大統領は、パネル大佐をクビにした。
 これは私見だが、共産党の志位和夫委員長が「国民連合政府」を掲げ、野党の結集を呼びかけているが、もしこんなことが実現すれば、アメリカは日本を見捨てる。
 「自民党に勝たせすぎたらよくないよね」みたいな浮ついた気持ちで共産党や民主党に投票すること自体が、もはや許される状況ではない。


 生活の党(以下略)の山本太郎参議院議員が、原子力発電所が攻撃された場合の対応を質問した。
 中国は、原発を攻撃目標にしている。
 山本議員がどれだけ自覚しているかは別にして、この質問は、日本政府がどういう対応をするか、中国のために情報を聞き出す意味を持っていたと言える。
 仮に日本が中国に攻撃された場合、アメリカはグアムに逃げてしまう。
 日本はアメリカをあてにせず、独自に自国を守れる体制を作らなければならない。


 戦略的コンドミニアムについては、私の理解が及ばなかった。
 中国が軍事力を背景にして日本政府を恐喝し、日本のメガバンクの経営権を取得するのを、アメリカは黙認するということだろうか。
 中国共産党は現在進行形で日本の大手銀行の株を取得している。
 ちなみに、これも日本語に翻訳されていないとのことである。

 このブログを読むような人であれば、安倍総理大臣が第2次安倍内閣が発足するや否や、セキュリティ・ダイヤモンド構想を発表したことは知っているだろう。
 問題は、我々がこれに過度の期待をしていることである。


 セキュリティ・ダイヤモンド構想は、日本・インド・オーストラリア・アメリカハワイのダイヤモンドで中国を封じ込めるものだと理解されることが多い。
 ところが、そうではない。
 中国の海洋進出を封じ込めることはもはや無理だということが前提となっている。
 この構想は、封じ込めはできないまでも、スピード・ダウンさせることを狙ったものである。
 現に、同構想発表後も中国は着々と海洋進出を進めている。

 今国会でいわゆる安全保障関連法が成立したが、全く不十分だ。
 所詮は公明党が呑める法律に過ぎないのだ。


 結局のところ、島嶼防衛についても、ミサイル反撃能力・防護能力についても、有効な内容がない。
 島嶼防衛については、次世代の党が領域警備法案を作成した。
 ミサイル反撃能力については、同党の和田政宗参議院議員が質問したら、中谷元防衛大臣は、「個別的自衛権の行使をするつもりはない」と答弁した。
 わが国にとってはやられっぱなし、中国にとってはやりたい放題だということを、中谷防衛大臣が公言してしまった。
 中谷防衛大臣の答弁は問題発言であるが、ただでさえ安保国会で安倍政権の支持率が下がっている中、安倍政権批判をしたくないということで、産経新聞も読売新聞も、この中谷発言の批判を避けてしまった。

 敵は中国だけではない。
 北朝鮮にいる拉致の被害者の救出も進めていかねばならない。
 しかし、政府の動きは鈍い。


 和田議員は拉致被害者救出を米軍に依頼しているかと質問したところ、岸田文雄外務大臣は依頼しているという含みのある答弁をした。
 しかし、実際には、依頼などしていない。
 仮にそういう依頼があれば、CUBIC社が拉致被害者救出作戦を検討する。
 しかし、同社幹部によると、そういう打診はないとのことである。

 安倍政権はわが国を守るべく頑張っているが、不足な点が多い。
 安全保障政策を頑張って議論しているのは次世代の党だけだ。
 安倍総理大臣は頑張っても、自民党がついてきていない。

 わが国を守るためには、防衛理念を進化させる必要がある。


 協働防衛という概念は、次世代の党を離党してしまった松沢成文前幹事長が提唱したものだ。
 松沢前幹事長は防衛政策に明るい。
 専守防衛は、場合によっては民主党の岡田克也代表のように、個別的自衛権のみの一国平和主義にも陥る。
 そうではなく、アメリカ、ASEAN、インド、オーストラリア、台湾などと連携してわが国を守るということを当然だとしなければならない。
 また、日本版NSCを設立したのはよいが、実行部隊がない。
 国家戦略を持ち、これに基づいて立案できる機関が、政府にも野党にも必要だ。
 民間シンクタンクの発展が必要だ。江崎氏は、中西輝政氏と共に、民間シンクタンクの設立を模索しているとのことだ。


 今年、フィリピン海軍と自衛隊が、戦後初の合同軍事演習を行った。
 これは国内メディアでほとんど報じられなかった。


 アメリカ、オーストラリア、インドと連携するのはよいのだが、これらの国々に比して、わが国の防衛予算は圧倒的に足りない。
 問題はカネなのだ。


 なぜ防衛予算が足りないかと言えば、日本だけが長期デフレに陥り、経済成長してこなかったからだ。


 45歳以下の不本意非正規雇用が200万人もおり、長期デフレ不況の中、国民は大変痛めつけられてきた。
 これでは子供を育てることもできない。


 子供の貧困率も上昇し、貧困が連鎖し、格差社会になっていく。


 奨学金制度も、返済が必要な現行制度だと、卒業後に就職に失敗した場合、重い借金に困ることになる。
 そこで、次世代の党は、返済不要の奨学金制度を提案している。


 貧困の放置は、実はコストである。


 就職できる人が増えれば、生活保護は減り、彼らは納税者となるため税収が増える。
 その差額は1人1億円などと言われることがある。


 アベノミクスの第1の矢である金融緩和によって、失業率が下がっている。
 これは子供の貧困の改善にも資する。
 にもかかわらず、昨年4月の消費税増税によってデフレ圧力がかかってしまった。


 現在、消費税の再増税および軽減税率が議論されている。
 企業は、自己の商品が軽減税率の対象となってほしいため、自民党・公明党に陳情合戦を行っている。
 両党のパーティー券も売れる。

 経済成長なくして財政再建なし。


 ドイツは経済を拡大して財政再建に成功した。
 他方、ギリシャは財政再建を優先して経済を縮小させてしまい、財政再建に失敗した。
 消費税増税は、経済を縮小させてしまう。


 次世代の党は、消費税増税に反対することを明確化した。
 憲法改正などの大改革をするエネルギーを得るためには、デフレ脱却が必要なのだ。
 憲法にせよ安全保障にせよ、日々の生活に困窮していてはこれらを考えることはできない。
 デフレは防衛予算不足の原因にもなる。
 次世代の党が消費税増税に反対するのは、選挙対策のためのポピュリズムではない。
 増税反対は共産党の専売特許ではない。
 「保守=増税容認」ではない。
 次世代の党が消費税増税に反対していることが周知されてほしく思う。

 以上が江崎氏の講演の概要だ。
 質疑応答の時間が設けられた。


 私は素早く挙手し、質問することができた。
 私がまず気になったのは、アメリカ人が「中国が南シナ海で侵略を拡大しているのに、日本は何をやっているんだ。日本はけしからん。」と考えるいうところだ。
 アメリカの対日政策に関心のある人ならば、日本を強くするストロング・ジャパン・ポリシーと、日本を弱くするウィーク・ジャパン・ポリシーという言葉を聞いたことがあろう。
 江崎氏の解説を聞いて、前者が優勢になっているのかと思い、質問した。
 が、江崎氏の回答を聞いて、愚問を発してしまったと気づき、反省した。
 こういう話は、江崎氏が過去に口を酸っぱくして説いている。
 今回の講演会の数日前に聴いたばかりなのに、うっかりこんな質問をしてしまった。


「平成25年08月04日「ヴェノナ文書が暴いたルーズヴェルトの戦争責任」講師:江崎道朗先生」 YouTube2015年5月6日
https://www.youtube.com/watch?v=roG0s4kuCgE



 江崎氏によれば、まず大前提として、アメリカは日本以上に議論が多様であることを知らなければならないとのことだ。
 現場の太平洋司令軍はストロング・ジャパン・ポリシーを支持する。中国のことをエネミーと呼んでいるとのことだ。しかし、ペンタゴンは中国との連携を考えている。
 政界では、共和党はストロング・ジャパン・ポリシー支持が多い。が、これで一枚岩というものではない。他方、民主党はウィーク・ジャパン・ポリシー支持が多い。が、これで一枚岩というものではない。
 今後我々が考えるべきことは、アメリカがどっちのポリシーをとっているかという顔色を伺うのではなく、ストロング・ジャパン・ポリシー支持者にどう働きかけるかである。
 総合的に考えると、アメリカでは中国と手を結ぶべきだという考え方が優勢である。
 というのは、中国は対米工作資金に1兆円をかけているからだ。時にはアメリカの新聞社を買収し、親中プロパガンダを行う。
 日本の外務省がしていることと言えば、食事をおごるくらいのことがせいぜいだ。
 かけているカネが違いすぎる。
 安倍総理大臣は「価値観外交」を掲げる。
 無意味ではないが、大した意味はない。
 大事なのはカネだ。

 江崎氏の回答を聞き、関連した質問をした。
 安倍政権になって、外務省の予算が増えたことは知られている。
 では、この予算がどのように使われているのかという問題だ。
 江崎氏によると、外務省の予算は20億円から580億円に増えたが、ジャパンハウスというハコモノに予算が使われてしまっているとのこと。
 ジャパンハウスは外務官僚の天下り先となる。
 増額された予算が対中戦略のために有効に使われていない。
 外務官僚の立場に立ってみると、特定アジアへの謝罪外交を否定するのは、先輩の業績を否定することに等しい。
 なので、安倍政権になっても、外務省はなかなか従来の親中姿勢を改めることができない。

 私は民間シンクタンクの話に興味があったので、上の質問と同時に、どういう人材が求められているかも質問した。
 江崎氏は、はたまた江崎氏と民間シンクタンクについて協議している中西輝政氏は、どういう能力のある人を欲しているのか。
 江崎氏の答えは、海外から情報を取ることのできる人材が欲しいとのことだった。
 言葉が分かり、インテリジェンスが分かり、諸外国の実態を理解できる人材だ。

 外国人に対する奨学金の給付に反対する質問者が、この問題について次世代の党の姿勢を問うた。
 江崎氏によれば、次世代の党はそういう姿勢ではあるが、昨年の総選挙に大敗したことにより、そういう姿勢は国民の支持を受けなかったと文科省に見られてしまっているとのことだ。
 次世代の党の党勢拡大をいかにするかという質問者がいた。
 江崎氏も詳しくは知らないとのことだったが、安全保障に理解のある他の野党議員との連携を模索したり、石原慎太郎御大が裏でいろいろと動いたりしているとのことだ。次世代の党の連立与党入りは否定していた。
 ここにもいたか、と思ったのが、安倍政権は緊縮財政だ、次世代の党は財政拡張路線で行け、などという質問者だ。
 三橋貴明に汚染されたバ・・・かわいそうな人だ。血祭謙之介さんがこの場にいたらどうなっていたことか・・・。
 三橋経済論の害毒は保守勢力の間に根深く浸透している(前回のタウンミーティングにもこう言う人はいた。http://ameblo.jp/bj24649/entry-12058953457.html なお、安倍政権が緊縮財政路線か否かについてはhttp://ameblo.jp/akiran1969/entry-12066077108.htmlを参照。そもそも消費税増税を決めたのは民主党政権であり、安倍政権は消費税を一度は増税したものの再増税は延期したわけで、緊縮財政路線とは言い難い。)。
 江崎氏はやんわりと、次世代の党は補正予算を11兆円組むよう提言していると答えた。
 対して、次世代の党はみんなの党の流れを汲んでいるのだから、サラリーマン向けの政策を前面に出すべきだと提案する質問者もいた。
 習近平政権は崩壊するかという質問者がいた。
 江崎氏はそれはわからないと断った上で、中国経済は多額のアングラマネーで動いており、これは中国の余力と見るべきであり、中国崩壊は間近だなどと侮ってはいけないと言う。
 アングラマネーは通常、経済を不安定にする要因だと見るものだと思うが、これを余力だという見方は新鮮だった。

 江崎氏が、消費税増税に反対すると「お前は共産党か」などと言ってくる人がいる、という話をした時、中小企業経営者とおぼしき人がこらえきれずに、日本の税金は高すぎると、数分にわたって演説を始めた。
 強気に増税を国民に押し付けるのが保守ではない、憲法改正のためにも、安全保障強化のためにも、消費税増税には反対すべきであり、江崎氏は、ポスターを貼るなどして次世代の党が消費税増税に反対していることを周知してほしいと訴えかけていた。
 これを聞いて思ったのだが、「消費税増税反対=共産党」と思い込んでいる人は、共産党しか選択肢がない。
 共産党以外にも消費税増税反対の選択肢があることを周知するのは大事なことだと思う。

 運良く、私はもう1度質問することができた。
 「仮に日本が中国に攻撃された場合、アメリカはグアムに逃げてしまう。」とのことだが、では昨年4月の日米首脳会談でオバマ大統領から「尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象だ」と言質を取ったことには何の意味があったのか、守らずに逃げるのでは意味がないのではないか、という質問をした。
 江崎氏によれば、中国に対抗するプロパガンダの意味はあったとのことだ。
 オバマ大統領が尖閣諸島を日本領だと認めることにより、尖閣諸島が日本領であるという認識が世界中に広まった。
 英語圏では、尖閣諸島沖漁船衝突事件は日本が中国を挑発したから起きたのであり、日本が悪いという認識が広まっていたが、この認識が是正された。
 しかし、尖閣諸島防衛のために、日米間で何か具体的な動きがあるかというと、それはない。
 こういう現実について、自民党ですら、安倍総裁周辺くらいにしか、まともに認識している議員がいない。
 産経新聞すら、読者が喜ぶ記事を書くことを優先してしまい、厳しい現実が伝わってこない。

 以上で講演会は終了した。


 しかし、終了後も、江崎氏に質問できたので、さらに質問することにした。
 今回の講演とは関係ないが、江崎氏が安倍談話をどう評価しているのかが気になり、質問してみた。
 江崎氏は、安倍談話は欧米追従の歴史観であり、物足りない内容だという評価だった。
 安倍総理大臣は「挑戦者」という言葉を使ったが、これは欧米の作り上げた秩序に反するのは悪いことだという前提に基づく言葉だ。
 だからこそ、中西氏が21世紀構想懇談会でアジア解放の理念があったという指摘ができなかったことを悔やむというところに繋がってくる。
 安倍談話が戦後レジームを乗り越えたというのは過大評価だ。

 江崎氏の経歴を聞くに、もともとさほど政治に縁のある人だとは思えなかった。
 そういう江崎氏が今や政治に深く関わっている。
 私はこの頃、政治との距離感や向き合い方に疑問を感じている。
 どういう勉強をするのがよいか、どういう団体に接触するのがよいか、江崎氏にききたかった。
 江崎氏は、勉強については、倉山満氏が良識的だとのことで、倉山氏の著作を薦めた(倉山氏は次世代の党の自主憲法起草委員会の顧問を務めている。http://jisedai.jp/news/20150119.html)。「正論」などの論壇誌で幅広い見識を持つことも薦めた。
 また、本を読むだけでなく、講演を聞くだけでなく、勉強会に参加して議論をすることも薦めた。
 そして、江崎氏は、保守系諸団体の中では倉山塾が勧められるとのことだった。

 今まで知らなかった事実や見方を知ることができ、有意義な講演会だった。
 わが国を取り巻く状況は思った以上に厳しく、「いい話を聴けてよかった」で済む話ではないと思った。
 こういう講演なのに、江崎氏が中国批判や自国擁護に言及すると、「いいぞ!」「そうだ!」と威勢のいい声を上げる者がいた(机の上に広げた所持品を見るに、おそらく維新政党・新風支持者)。
 この講演会に来て、江崎氏の話を聞いても、わが国が滅びるかもしれないという危機を意識できない人がいる。
 反日勢力は来年の参議院議員選挙に照準を合わせている。ここで反日勢力が議席を伸ばせば、安全保障政策に支障を来すのはもちろんのこと、憲法改正にも支障を来す。危機は深刻化する。
 次世代の党が支持を拡大し、1議席でも多く確保することが望まれる。
 そのためにも、同党が消費税増税反対を打ち出していることが周知されることが有益だと思う。