公共事業費 予算と現実 | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

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先日のエントリ『高橋是清の実践主義・現場主義』で是清が昭和恐慌時に採用した金融政策と財政政策のパッケージを「昭和のアベノミクス」と書いたら、「とむてん」さんから「高橋是清が聞いたら激怒するでしょう」とコメントをいただいた。

そう言えば是清の政策がどんなものだったか一番伝わりやすいと思ったのだが、彼はこの政策でデフレから脱却させた世界でも最初の人物である。いわば安倍総理はその考え方を受け継いだわけで、やはり「昭和のアベノミクス」は適当ではない

また、アベノミクスは財政出動が少なく外需主導になっており、内需主導の是清のデフレ対策とは全く違うとの指摘もいただいた。しかし、私は是清なら安倍総理が現在の政治状況に極めて現実的に対処しているのを見て、決して怒ったりはしないと思う

当時は満州事変が勃発した直後であり、世論は沸騰している。軍事費が増えることに反対する声は小さかったはずで、「公共事業=悪」「財政出動=バラマキ」の圧倒的な世論と消費増税圧力が高い現在では財政出動に対する政治的な困難さが全く違う

是清は財政出動を増やすのは容易だったが、一方では行き過ぎた増額を抑えることはできなかった。その彼が様々な圧力や反対勢力の妨害の中で様々な指標を改善し、少なくともデフレとは言えないところまで持ってきている安倍総理に対し怒るはずがない。彼は実践主義なのだ。

また、とむてんさんは安倍政権は財政政策の中で最も効果のある公共事業は伸びるどころか減っているとして、安倍政権は積極的な財政政策を行っていないと指摘しておられる。
(公共事業が最も効果のある財政政策という根拠を見たことがないが、それはここでは置く)

そして、次のような2009年以降の公共事業費の予算を示されている。


2009 8.8兆円 (政権自民党)
2010 6.4兆円 (政権民主党)
2011 7.8兆円 (民)
2012 7.0兆円 (民)
2013 6.3兆円 (自)
2014 6.0兆円 (自)
2015 6.0兆円 (自) 補正予含む 


2015年度はまだ補正予算が組まれる可能性があるので「補正予含む」ではなく「当初予算」だと思う。
これと同じことを三橋貴明氏が最近のエントリで述べているので、そのグラフを拝借した。

(新世紀のビッグブラザーへ『安倍談話と緊縮財政について』より)


三橋氏はこのグラフに続いて次のように述べている。「とむてん」さんと同じ主張だ。


(引用ここから)
 誤解している人が多いのですが、安倍政権は公共事業を増やしてはいません。当初予算は確かに民主党政権期に比べ、多少は増やしているのですが、補正予算を含めると減ってしまっています。

 また、2014年度の当初予算が増えていますが、これは社会資本特別会計の一本化の影響で、増えているよう見えているだけです。
 このまま、今年度に補正予算が組まれないとなると、14年度比で「公共事業関係費の縮小」となってしまいます。すなわち、緊縮財政です。
(引用ここまで)


これはあきらかなミスリードだ。三橋氏が繰り越しの予算の存在を知らないはずがない。
後でもう少し説明をするが、業界の供給力では消化しきれない予算が繰越されている現実があるから、安倍政権は次の年度の予算で調整をしているのである。

予算ではなく実績ベースで見れば第二次安倍政権でGDPの政府最終消費支出も固定資本形成も増えており、財政出動をしていることは明らかである。
それを示すグラフ(ひろさんのブログから拝借したもの)を掲載しておきたい。

(ひろのひとりごと『アベノミクスは金融緩和に偏重しすぎなのか?』より)


三橋氏のグラフは一般会計のみだが、これは公共事業予算の一部でしかない。予算には一般会計の他に特別会計があるし、前年度からの繰越額があるから実際の予算(「予算現額)という)はこれよりもっと大きくなる。

第二次安倍政権は発足後すぐに公共事業の大幅積み上げも含む補正予算を組んだ。しかし、民主党政権下でこなし切れていなかった繰り越し予算があり、業界はすでにお腹一杯になっていた。それを見ながら現実的な予算を組んでいるから、一見、予算を減額しているように見えるのだ。

それに、公共事業は予算も実績も地方の方がずっと多く、政府は民間の事業はもちろん、そちらの事業にもしわ寄せがいかないようにしなければならない。業界の供給力に限りがある現状は、昔のようにお金を積み上げたらいくらでもこなせる時代とは違う

つまり、いくら分かりやすく説明するためでも、一般会計の予算だけを見て「公共事業費を減らしている、緊縮財政だ」というのは間違っている

ニュースなどで取り上げられる予算は大抵一般会計だが、特別会計はどうかとか、繰越額がいくらあって云々とやりだすと、素人にはなかなか手におえない。緊縮云々するのであれば、政府や地方自治体の公共事業の実績である公的固定資本形成を見るのがいいのではないか。

公共事業は国土強靭化、地方創生にも欠かせないから、安定的、継続的に事業が進められるように政府業界は一体となって対応策を練ってもらいたい。いま必要なのは、緊縮財政だと決めつけて予算を確保せよと煽ることより、現実を見て確かな改善策を見つけだすことだ。

(以上)

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