狸です。

(4)について
退職年金の支給コストは、長期の支給の場合と短期の支給の場合で別れます。本来の年金型の長期支給の場合は基本的には、企業年金基金等を設立して、安定的に支給することが望ましいでしょう。しかし、この部分は退職金が担う部分ではなく、福利厚生等して企業年金が担う部分です。すると、退職金が担う年金支給部分は原則として短期の支給となります。

具体的には、60歳以後定額部分支給開始までの間の生活保障と考えるなら1年から5年となります。今年度(平成18年度)60歳になる方は、昭和21年4月以降生まれの方ですから、女性で61歳、男性で63歳から定額部分支給開始となります。この時に退職年金の支給期間を男性と女性で区別することは男女雇用機会均等法違反となりますので、男性に会わせて支給期間3年とすることが望ましいでしょう。同様に、来年度は4年となります。

同業他社への就業禁止を目的としている場合は、自社の営業機密の保持期間を目安に設定します。つまり、技術革新が早い業界では、就業禁止期間は6か月から1年で充分でしょう。しかし、顧客や従業員さんの流出や引き抜き防止を目的とするのでしたら2年ぐらいでしょう。

いずれにせよ、退職年金の支給期間が短期の場合は、給料振込と同時に行えば、資金調達以外のコストは無料となります。しかし、給料振込と同時に行うと、本来期間満了で支給停止にすべき所を、うっかり支給停止を忘れて過払いが発生する危険があります。この危険を回避するためには、金融機関等の定額自動送金サービス(名称は金融機関により異なります)を利用して、毎月確実に振り込めばいいでしょう。殆どの金融機関では、支給開始年月と支給終了年月を設定できるようになっていますから、退職年金支給開始時に支給終了年月を設定しておけば、過払いの危険はなくなります。

次に税法上の問題があるのですが、税金のことは税理士法により税理士の先生しか回答できませんので、どこか他で調べてください。

ところで、退職金は退職金支給用に民間の保険に加入するのですが、この考え方ですと、いわゆる積立方式となります。しかし、前述したように、積立方式の保険は一旦会社に入金された後の支給となります。会社に入金された積立金は、年金支給用に一時保管しておくのが原則ですが、現実的にはあり得ません。退職年金の支給原資は、支給月の企業の営業活動により得られます。つまり、退職金のうち退職一時金の部分は積立方式、退職年金は実質的な賦課方式として運用されていくことになるわけです。もちろん、退職年金の受給者の各月毎の退職年金相当額を現役の従業員さんのお給料から控除するわけには行きませんので、賦課方式には該当しませんが、企業の利益は従業員さんの働きにより生み出されることから、広い意味で賦課方式と考えてもいいと思います。

積立方式が良いのか賦課方式が良いのかは、いろいろと議論がありますが、学術的な判断は別として企業として安全勝つ円滑に運用できるシステムですとどちらでもいいと思います。


つづく

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