ひらめき電球コラムニストの尾藤克之です。

ひらめき電球ご訪問ありがとうございます!

 

8月5日(金)銀座百年大学で講演いたします。

※7月から5回にわたり講義をおこないます。

 

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第208回通常国会が1月17日に召集されます。本格論戦が期待された昨年の臨時国会で月額100万円の「文書通信交通滞在費」の問題が浮上し与野党ともに見直しを主張していました。しかし、与野党間で折り合いがつかず結局は法改正は見送られることに。有権者からは「身を切る改革はどうなった」「経費削減はどうしたのか」など批判的な意見が目立っています。

■各党は議員報酬に切り込めるのか
2021年10月31日の衆議院選挙後に「満額」が振り込まれたことにより「文書通信交通滞在費」を巡る問題は、連日メディアで報道されました。その後は、与野党ともに「日割り」にするだけで決着をつけようとする姿勢が強く見受けられます。

「文書通信交通滞在費」の問題は日割りではなく「報告・領収書提出義務」がないことです。使途の公開義務まで議論が進まなければ何ら意味はありません。

現在、新型コロナウイルスの感染拡大による国民生活への影響を踏まえて、国会議員の歳費(給与)は2割削減されています。改正歳費法による期間は2022年7月末とされています。しかし、月額129万4000円の歳費から25万8800円が減額されたにすぎません。

年間支給額は約1200万円以上、年2回の賞与(年間約600万円)、先送りされた文通費は年間1200万円、立法事務費は780万円などを加算すると軽く3000万円は超えて4000万円に届く金額になります。

新幹線のグリーン車を含めたJR線はすべて無料、航空券も月に4往復分が無料になります。政党からの支給、役職に応じて黒塗りの車もあてがわれます。さらに、秘書3人を雇用することができ、これにかかる費用も国から支給されます。秘書給与に関する費用は年間2000万~3000万円ともいわれています。

議員会館の賃料は無料、議員宿舎には格安で居住することができます。2014年に賃料引き上げをおこないましたが、周辺相場の2割程度で借りることができます。24時間体制の警備がほどこされセキュリティは万全です。部屋から緊急通報のボタンを押せば数分でスタッフが駆けつけます。

 

国会中継を見ていると、居眠りしている議員も少なくありません。夢心地の間にお金を稼ぐことができる仕事はほかにはないでしょう。そのため、議員報酬のあり方や経費のつかい方に違和感を覚える人が多いのです。

 

また、日本の国会議員は世界最高水準の歳費を受け取っていると言われています。世界的にどの程度のランクにあるのでしょうか。

 

■世界議員報酬ランキング

議員報酬ランキング30位は次のとおりです。イギリスのLOVEMONEY.COM の調査「This is what politicians get paid around the world」を参照しています。調査時期(2019年)は1ドル=110円であることから同水準で算出しています。

 

1位 シンガポール 88万8428ドル(約9772万円)

シンガポールの議員報酬は世界最高水準です。批判にさらされることもありますが、政治家は政治の質を維持するために必要だと弁明しています。

 

2位  ナイジェリア 48万0000ドル(約5280万円)

ナイジェリアの議員報酬も世界最高水準といえます。シンガポールと異なる点は、国民の多くが2ドル/日で生活している点です。

 

3位  日本 27万4000ドル(約3014万円)

改正国会議員歳費法が適用されて2割がカットされていますがそれでも高い水準です。各種手当を含めると世界1位の水準になります。

 

4位 ニュージーランド 19万6300ドル(2159万円)

2021年から、アーダーン首相は、全閣僚、官庁の責任者の給与を2割削減しています。それでも、議員報酬は高水準です。

 

5位  アメリカ 17万4000ドル(1914万円)
上院議員、下院議員ともに同額です。しかし、2010年以降、下院議員は昇給に反対票を投じていることから2009年以降も給与水準はかわっていません。

 

6位 オーストラリア 14万1300ドル(1554万円)
オーストラリアの議員報酬は2016年以降、毎年2%上昇しています。ジチュヒ上院議員はテレビ番組で報酬を高いと思わないと主張し物議を醸したことがあります。

 

7位 イタリア 14万3352ドル(1576万円)
欧州でもっとも議員報酬が高額な国として知られていましたが、2018年に、反体制派のポピュリスト党である5つ星(※)が政治家の年金を標的にして勝利しました。

(※)五つ星は、2009年10月に人気コメディアンのジュゼッペ・ピエーロ・グリッロと、企業家・政治運動家のジャンロベルト・カザレッジョによって結党された。

 

8位  ドイツ 13万3279ドル(1466万円)

欧州ではイタリアに続く2位の高額議員報酬です。個人で秘書を雇った場合はその人件費として最大23万9000ユーロ(約3100万円)が支払われます。

 

9位 カナダ 13万0710ドル(1437万円)

上院議員、下院議員ともに同額。上院議員は総理大臣の推薦により任命されます。下院議会議員は、4 年に1度行われる連邦選挙の際に一般市民から選出されます。

 

10位 オーストリア 11万7903ドル(1296万円)

欧州では、イタリア、ドイツにつぎ議員報酬が高額です。オーストリアの平均年収は約558万円で議員は国民平均の2.8倍の報酬を得ています。

 

~11位以降は国名と金額を記載します~

11位 ノルウェー 10万8907ドル(1197万円)
12位 アイルランド10万6389ドル(1170万円)
13位 オランダ 10万4076ドル(1540万円)
14位 イギリス 10万2364ドル(1126万円)
15位 デンマーク 10万0587ドル(1106万円)
16位 フランス 9万8647ドル(1085万円)
17位 ベルギー 9万7549ドル(1073万円)
18位 ロシア 9万3330ドル(1026万円)
19位 フィンランド 8万9317ドル(982万円)
20位 スウェーデン 8万6556ドル(952万円)
21位 南アフリカ 7万5280ドル(828万円)
22位 ケニア 7万3200ドル(805万円)
23位 スイス 6万6000ドル(726万円)
24位 ポルトガル 5万5455ドル(610万円)
25位 スペイン 3万7965ドル(417万円)
26位 トルコ 3万3630ドル(369万円)
27位 ポーランド 3万1480ドル(346万円)
28位 チェコ 3万0884ドル(339万円)
29位 ハンガリー 2万8000ドル(308万円)
30位 中国 2万2000ドル(242万円)

 

このランキングでは議員に支払われるものを議員報酬と定義しています。日本の基準(月額歳費+賞与+文通費)にならいました。たとえば、立法事務費780万円は個人ではなく政党に支払われるものですから除外しています。

 

■お手本にしたいイギリスの仕組み

日本はイギリスと同じ議院内閣制ですがウェストミンスター・システムとも呼ばれるイギリスの政治形態は参考になります。上院は貴族院と呼ばれ世襲によって構成されてきましたが現在は大幅に削減され無報酬を踏襲しています。議員は名誉職の位置づけて資産があるため無報酬なのです。

 

下院は基本給に手当が加わりますが、各議員が実費精算することから内容が異なります。議員1人ひとりの手当や使いみちは詳細に公開され、誰でも閲覧できるようになっています。

 

過去には、イギリスでも議員の出費が不透明だった時代がありました。2009年に多くの不適切な経費請求が相次いで発覚します。イギリスの新聞、デーリー・テレグラフは、全国の646人の議員のうち、200人以上の不適切な経費請求を明らかにします。議員は国民から強い反発を受けました。

 

その後、ルールが厳格化され、現在ではすべて公開が義務付けられています。議員がどのように税金を使っているのか厳しく問われるようになりました。

 

議員は国の代表ですから、相応の報酬があることは然るべきと考えます。しかし、それは国民の血税です。税金によって支払われる以上、議員の仕事に見合うかどうかを国民1人ひとりが注視して吟味すべきではありませんか。日本で、報酬の使いみちがガラス張りになる時代はやってくるのでしょうか。

 

※本稿は、東洋経済オンライン(1月17日)に掲載した記事をブログ用にアレンジしたものです。この記事は、メディアをはじめ多くの人に読まれましたが、出典を明記せず、引用ルールを守っていないものが多くみられます。今後、相応の措置をとる可能性がありますのでこの場を借りて警告いたします!

 


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