ひらめき電球コラムニストの尾藤克之です。

ひらめき電球ご訪問ありがとうございます!

 

7月1日(金)銀座百年大学で講演いたします。

※7月から5回にわたり講義をおこないます。

 

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読者の皆さんは文章を組み立てる際に意識していることはありますか。ビジネスの場面では「結論ファースト」が一般的になりつつありますが、日本では、最後に結論を読ませる「結論ラスト」が一般的です。映画、ドラマ、小説のクライマックスは最後です。学術論文や研究発表資料も構成は同じです。

■日本人は「結論ラスト」がお好き

「結論ラスト」は読者の興味を誘う方法なので、最後まで読んでもらえるなら「結論ファースト」よりも理解が深まります。「結論ラスト」は、読者がすでに関心を持っていたり、商品やサービス内容について知識がある場合に適しています。

 

このときに「結論ファースト」を使うと、読者はいきなり結論を求められている(押しつけられている)という錯覚に陥ります。その結果、読者が不快感を感じると、そこで読むことをやめてしまいます。少しずつ、知識を深める「結論ラスト」のほうが丁寧な方法だといえます。

 

「結論ラスト」が比較的万能型であるのに対して、「結論ファースト」には適さない場面が存在します。災害や事故に関する記事の場合、タイトルはわかりやすい表現で構わないのですが、内容に触れる場合、「結論ファースト」だと嫌悪感を抱かれることがあります。

 

描写が生々しい場合、結論(○○人死亡など)が最初に書かれていると、その先を読む気が薄れてしまうこともあります。このような場合には、フォーマルな順序として理解されやすい「結論ラスト」のほうが受け入れられやすいのです。

 

さらに、女性は共感力が男性よりも高いので、そのときの「感情」を実感できる「結論ラスト」のほうが圧倒的にスムーズといえます。あとはテクニカル要素ですが、結論が一般的なら、「結論ラスト」がスムーズです。逆に一般的ではない場合は、「結論ファースト」のほうが断然インパクトがあります。

 

一般的ではないというのは、たとえば、「海がピンク色」「新発売のイチゴが紫色」「重さ10kgのフランスパン」など、通常では考えにくいタイトルがついていたら、「そんなはずはないのでは!」とその理由を知りたがるからです。

■結論をまとめるパターンをマスターしよう

「結論」とは最後を締めくくる、まとめの部分です。文章を書いたらどんなに短くてもいいので、結論としてまとめておくことで収まりがよくなります。今回は、すぐに使える2つのパターンを紹介します。

 

(1)序論のパターンを繰り返す

序論や本論で述べている主張を繰り返して締めるブログやSNSを書く場合、冒頭に主張を書くことが多くなります。このような場合、同じ内容のものを最後に繰り返すことで主張がより明確化します。文章全体の一貫性が強調されるからです。

<例:賛成・反対の強い主張がある場合
工場閉鎖には反対です。私たちはこれまで会社の発展に尽くしてきました。工場を閉鎖すれば工員は路頭に迷い、街の経済は大打撃を受けるでしょう。以上の理由から、工場閉鎖には反対します。>

工場閉鎖反対に関する記事を書く場合、こんなふうにまとめると強調されるのがわかります。また、工場閉鎖反対に関する一貫した姿勢を示すこともできます。

 

(2)自らの意見を総括として述べる

賛成・反対など、伝えたいことが明確でない場合は、意見を述べることで整合性がとれます。ただし、全体のトーンと合わせなければいけません。

 

「◯◯の理由により、私は△△だと考えている」「この問題は◯◯である」「さらなる精査により△△が導き出されると考えている」といったように、書いている内容と相違がないように注意しながら自分の意見でまとめます。

<例:高層ビル建設に反対する住民説明会にて
皆さまのご意見は真摯に受け止めます。ここを未来の子どもたちが誇れる場所にしたい。今回のビル建設にはそのような思いが込められています。50年後の未来に向けて、安全安心な街づくりを実現するために全力を注ぎます。>

このような文章をよく目にすることがありますが、高層ビル建設に反対する住民には何ひとつ答えていません。結論が出ていない場合、もしくはあいまいにまとめたい場合には、重要なポイントを避けて論点をズラしながらクロージングさせるとまとまりがよくなります。しかし、内容によっては批判を避けられないので注意が必要です。

 

今日、アナタは彼女と念願のデートをしました。気持ちがまだ高揚するなか、日記にしたためようと思いました。日記は他人が見ないので、デートに付随する感情や風景を加味したいところです。そうすることで文章には奥行きが出てきます。

 

文章を書くときの慣行として「5W1H」というものがあります。欧米では「Five Ws」ですが、日本ではさらに「1H」をプラスして「5W1H」と呼ばれます。文章のテクニックとして「六何の法則」などともいわれています。

■「5W1H」が万能でない理由

多くの文章術の本で「5W1H」は必須スキルだと書かれています。When(いつ)、Where(どこで)、Who(だれが)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)を押さえて書くというものです。実は、無用の長物です。「5W1H」を意識しすぎるとかえって伝わらないからです。

 

役立たないというのではありません。商談用の文書や報告書を作成したり、共通認識を持たせるためには役立ちます。しかし、考えてみてください。日常会話で「5W1H」で話している人などいません。それでは、「5W1H」で書いた日記を見てみましょう。

<例:5W1H で書いた日記
朝 7 時に起床し、お昼の 12 時(when)に彼女の家に車で迎えに行った(Where)。その後、お台場まで 2 人(Who)でドライブ(What)デート(Why)を楽しんだ。22 時には彼女を家まで送った(How)。>

かなり極端な書き方ですが、「5W1H」をすべて使用して文章を作成するとこうなります。不明点やモレはありませんが、まったくしみじみきません。

 

会社の報告書やレポートに使用するなら、これほど合理的で無駄のない文章の書き方はありません。「5W1H」を意識した報告書を書いてみます。仕事上の トラブルが発生し、社内に共有する目的だと仮定します。

<例:顧客 S 社とのトラブルについて
昨日の 14 時(When)に、顧客 S 社(Where)に納品された商品に不良品が混入している(What)ことが、S 社からの連絡で明らかになった。営業担当の山田(Who)が S 社を訪問し、総務部田中課長に謝罪(Who)した。不良品は速やかに回収し、明後日までに再納品することで合意(How)した。原因は調査中でわかり次第報告する(Why)。>

「5W1H」が報告書向きであることがわかります。ロジカルに書かれているので、ことの顛末が第三者にもよくわかります。事実を淡々と伝えれば、基本的な報告書は完成します。

■「ロジカル」で感動は生まない

ビジネスの世界では、5W1Hを意識してさらにロジカルを意識することで、ビジネスを潤滑に進めることができるという人がいます。また、このように伝えられる人が「デキる」と評価される向きさえあります。しかし、それは幻想です。

 

ロジックやロジカルは相手を説得したり、事実を客観的に伝えるためのフレームワークにすぎません。そこからは何も価値は生み出されません。どの会社にも、必ず「ロジカル・バカ」みたいな人がいますが、人の気持ちはロジカルでは動きません。

 

テーマが「コロナ」だろうが、「経営課題」だろうが、「鬼滅の刃」だろうが、どんなことでもロジカルに説明することはできます。ただそれはあくまでも、報告書という体裁の場合だけなのです。

 

ニュースなどの報道も「5W1H」ですが、これは事実を端的に伝えるためです。ニュースに視聴者を感動させる要素は必要ありません。ロジックやロジカルにだまされてはいけないのです。繰り返しますが、人に伝えたいと思うならロジカルではなく、感情に訴えて「共感」を生み出すことが必要になります。

 

※本記事は、6月8日に東洋経済オンラインに掲載した「文章が冴えてる人は結論の使い方が抜群に上手い」をブログ用に再構成し掲載しています。

 

20冊目、『最強の文章術』を出版しました。

 

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