FORDのルーフは電動で下がっていきマックスとモントークは、そのままFORDに回収された。


 上空のF-16戦闘機は二手に分かれ、そのうちの1機がキャサリンのヴァイロンに再び襲い掛かる。


 「さぁ~て、あいつが厄介なのよね」


 キャサリンはギヤを入れるとヴァイロンを走らせた。


 「フル加速を連発しちゃったから、ガソリンがもうそんなに残っていない・・・」


 大通りから脇に入り込めば、戦闘機からの攻撃は避けられる。しかし、キャサリンはあえて大通りから出ようとしない。それは、奴を攻撃する為にこのビルの谷間に奴を引きずり込む必要性があるからである。


 ヴァイロンは、100リットルのガソリンタンクを装備しているがフル加速を繰り返すと直ぐに空になるくらい、とにかくガソリンを食らう。キャサリンはこれ以上加速出来ないと判断せざるおえなかった。


 上空からは容赦なくファイティング・ファルコンが機首を下げて20mmガトリング砲で攻撃を仕掛けてくる。その弾丸の嵐を避けようとしてステアリングを切ってアクセルを踏み込んだ時、ヴァイロンはあっけなくもガス欠で止まってしまった。


 「やばぁ~」


 キャサリンが運転席から飛び出すと、息を切らしたヴァイロンはファルコンのM61 20mmガトリング砲の餌食となって大破した。


 「キャサリン! 大丈夫か?」


 戦闘機が上昇していく隙にマックスがモントークで駆けつけ、ナイトのようにキャサリンを拾い上げる。


85

 映画007


 バイクに跨ったマックスに抱きかかえられたキャサリンは、モントークのリヤシートに乗る事は出来ない。なぜならそこには先程FORDに収まった際、先客を乗せて来ていたからだ。


 とっぱらわれたリヤシート部には、M61A1を小型軽量化した7.62mmのガトリング砲M134(ミニガン)が取り付けられていた。リヤのハードタイプのサイドバックの片方にバッテリー、もう片方には連なった銃弾が十分に収まっている。


 「女王さま、お待たせしました。準備は整いましたぜ」


 キャサリンが最初に無線でマックスに言った「マックス、あれの用意しておいて」というのは、これのことであった。


 キャサリンは片足を振り上げて
 マックスを両足で跨ぎ
 サイドバックに足をかけ
 ガトリング砲のグリップを
 マックスの胸越しに両手で握った。


 「さぁ~いくわよ! ヴァイロンをあんな姿にして、もう許さないから」

  ?、、、マ、マックス、、、
  、、、何か突き上げてる、、、


 「い、いや~、、、それは男の条件反射ってことで、、、」


      ・・・・・・・


 「取りあえず脇道に入って戦闘機の攻撃を避けてチャンスを伺うか」
 「何いってんの」
 「ここでやるのか?」
 「決まってるじゃない」

 「とにかく、ここじゃ奴も一直線に飛行できる。
                撃ち放題、狙い撃ちだぞ」


 「それはこっちも同じことよ! いいからいきなさい!」


 バイクの後方上空に位置したジェット機は、機首をバイクの進行方向に合わせて降下を開始した。失速ぎりぎりの速度とはいえ、両者の速度差は圧倒的だ。見る間にバイクが眼前に迫る。


 パイロットは、にやりと笑みを浮かべた。


 「やつらに逃げ場はない」


 戦闘機の20mmガトリング砲が炸裂した!


 「マックス、いくわよ~!!」


 M134ガトリング砲も炸裂した!


 「俺も炸裂してぇ~」 By マックス・デニーロ


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このストーリーは個人の趣味レベルで創作を楽しんでおります。
ストーリーはフィクションであり実在する国家・団体・企業・作品・HP・個人・アーティスト等とは一切関係ありません。



 流れる景色の中でキャサリンは、
 マイバッハのステアリングを握るスピード・キングと目が合った時
 ニッコリ笑みを飛ばし
 キングもしかめ笑顔を返す。


 ゆっくりとした流れの中で方向を転換する間
 キャサリンはギヤをニュートラルに入れ
 アクセルを吹かしあげ
 エンジンの回転数をトルクバンドまで引き上げ
 後方より迫り来るアパッチ戦闘ヘリに
 フロントマスクが向き合わせた瞬間、


 ギヤを繋いでヴァイロンを一気に加速させていく。


 フロントガラスから突き出た
 マシンガンが目に飛び込んだ
 アパッチヘリの操縦者は、
 その加速して向かってくるヴァイロンに

 ヘリコクピット下に武装したM230 30mm自動式機関砲を照準せんが為に
 必死で操縦桿を操作する。


 時速300kmを超える猛スピードで突っ込んでくる標的を
 戦闘ヘリのそれが容易に捉えられる訳もなく
 あっという間にヴァイロンは、アパッチの下を駆け抜けていった。

 

 そのヴァイロンの姿を追うように
 機首を旋回させ
 逃げさる獲物に照準を合わようとした時、


 ヴァイロンがサイドブレーキでターンして止まった。

 

 キャサリンがヘリのパイロットに向かってニッコリ微笑んで投げキッスを送ると
 パイロットの身に衝撃が走った。


 ヘリの後部で爆発が起き
 機体は完全に操作不能に陥った。


 パイロットは何が自身の機体に起きたのか知る間もなく
 緊急脱出するしか術はなかった。


 脱出レバーを引き、上空に舞い上がったパイロットは、そこで初めて事態の成り行きを悟りえた。


 前方を走っていたハマーのFORDのルーフにBMW R1200C モントークが乗っかり、両足を開いてシートから立ち上がり銃を構えたマックスの姿がそこにあった。




116

 マックスは、スピンターンで後ろ向きで突っ込んで来るマイバッハをジャンプ台にして、その後ろを走っていたハマーのFORDのルーフに飛び乗っていた。


 左手で支えるフォアブリップも
 右手で握っている独特の形状をしたグリップも
 真っ黒のそれは、
 ライフルスコープが取り付けられライフル射撃のように
 両腕で狙い撃つスタイルの
 リボルト・カイザー、マックス・デニーロモデル。


 立てにダブルで並んだステンレスバレルの下段バレルから撃ち出されたロケットランチャーがアパッチの交尾を破壊していた。


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このストーリーは個人の趣味レベルで創作を楽しんでおります。
ストーリーはフィクションであり実在する国家・団体・企業・作品・HP・個人・アーティスト等とは一切関係ありません。


 ミサイルを発射した2機のファイティング・ファルコンは上空に舞い上がり、大きく旋回して再び攻撃体制に移ろうとしていたが、パイロットに管制塔から支持が促された。


 「何の為にFBIに根回して一般車両を取り払ってもらっていると思うんだ?
  市民を被害に巻き込むとあとあと厄介な事になる。ミサイルは撃つな!」


 「了解!」


 ビルにミサイルを撃ち込んだパイロットが、気まずそうに呟やいた。


 (仕方ない、機関砲で始末するか・・・)


 もう一方の敵、アパッチ戦闘ヘリはハマーの車の後方2kmまで迫っていた。


 敵の動きを監視しているデェイ・ジーが無線を飛ばす。


 「あと少しでアパッチのM230 30mm自動式機関砲の有効射距離に入ぜぇ~」


 「・・・にしても、何でヴァイロンとモントークがこっちに突っ込んでくるんだ?」


 不思議顔でデェイ・ジーがハマーに無線で問いかけた。本来このハマーの車の今デェイ・ジーがスタンバってる指令室の席は、クレージー・ドッグの指定席である。しかし、今日は訓練も兼ねてデェイ・ジーがその役を任されている訳で、デェイ・ジーは、マックスやキャサリンの戦いっぷりを知らない。


 「まぁ、見てな。お前の先輩達の腕前をな」


 ハマーが笑顔で返答した。


 マックスやキャサリン、ロンもそうだが、Justiceの特殊部隊あがりのツワモノ達は、その場の状況から即興的に独創性に飛んだ変幻自在のプレイを生み出す。そういったプレイが出来なものはJusticeの特殊部隊では容易には生き残れない。個々人の持つ戦闘能力、それを極限まで鍛え上げるのがJusticeに於ける特殊部隊の役割でもある。


 前方からバックで突っ込んでくるキャサリンのヴァイロンと、向きを変えて一緒に突っ込んで来るマックスのモントーク。


 運転する二人の顔がニッコリ微笑んでアイ・コンタクトを交わす。


 2台が突っ込む先にはスピード・キングがハンドルを握るアドバンのマイバッハが突き進んでくる。


 マックスのモントークが
 一瞬減速した次の瞬間、


 すれ違う形で


 横に並んだヴァイロンとマイバッハが


 タイヤを唸らせ2台同時にスピンターンした。




 2台のモンスターマシンのダブル・スピンターン。




 明るい華やかな色彩のヴァイロン
 不気味な程に逞しいブラックボディーのマイバッハ



 まるで男女のスケーターが氷上で
 華麗にツインスピンを演じているように見えた。



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このストーリーは個人の趣味レベルで創作を楽しんでおります。
ストーリーはフィクションであり実在する国家・団体・企業・作品・HP・個人・アーティスト等とは一切関係ありません。


 「10km後方より2発のミサイル発射確認!」

 「そう来るわけね。いやらしい奴だわ」


 ヴァイロンの前方に、ディーラーに車を積み降ろし途中で非難した二段車両運搬トレーラーが止まっているのをキャサリンは見逃さなかった。


 そのトレーラーの荷橋に向かって一気に加速する。


 荷橋をジャンプ台にしてトレーラーを飛び越え
 空中にヴァイロンが舞った瞬間、


 グリップから開放された4輪のタイヤを
 フル・ブレーキングで完全にロックさせ
 ギヤをバックに叩き込み
 アクセルペダルを全開にして踏ん張る。


 4輪駆動のタイヤは空中で1000馬力の逆回転トルクに転じた。


 勢い良く前方に突っ込むGと
 1000馬力の逆回転トルクとが
 着地の瞬間、激突し
 タイヤが悲鳴を連呼する。


 ヴァイロンは数m前方に突っ込んで
 白煙を巻き上げながら
 急激なバック加速に転じる。


 空中まで意気揚々と追撃してきたスパロー君だったが
 そのヴァイロンの過激な運動転換に
 付いてこれる程の賢さも運動性も持ち合わせて無く
 悲しいかな間の抜けた面で
 ただ直進していくしか芸がなかった。
 そんなスパロー君が
 遥か前方のビルに直撃して自爆したのは言うまでも無い。


 ヴァイロンは弾丸加速でアドバン達の車両編隊から飛び出して来た訳だが、後方からは機関砲を装備したアパッチヘリが既にハマーの車に攻撃を加えようと迫りつつあった。


 キャサリンはそのままバックで加速しながら隊列に向かってくる。


 バックで戻ってくるヴァイロンに合わせるようにマックスがモントークをスピンターンさせ、ヴァイロンとモントークとが横に並んで一緒に、後方車両のアドバンのマイバッハめがけて突っ込んでいく。


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このストーリーは個人の趣味レベルで創作を楽しんでおります。
ストーリーはフィクションであり実在する国家・団体・企業・作品・HP・個人・アーティスト等とは一切関係ありません。



 1930年代、マンハッタン島には 狭い土地を有効に活用する為、高層ビルが次々と建てられた。


キングコングがよじ登ったエンパイアステートビルは、102階(381m)
クライスラービルは、77階(318m)
ウォール街40番地ビルは、71階(282m)


 高層建築のラッシュによって出現した天に向かって聳え立つ超高層ビル街は、スカイスクレーパー(摩天楼)と呼ばれ破竹の勢いで発展するアメリカを象徴していた。


114

 ニューヨーク摩天楼


 ハマーのFORD-F650の中でヘッドフォンから流れてくる激しいロック・サウンドに頭を振って体でリズムを打っているデェイ・ジーが、上空より迫り来る敵をレーダー・スクリーンで確認した。


 「アパッチとファイティング・ファルコンのお出ましだぁ~」


 アパッチ戦闘ヘリAH-64が一機、ファイティング・ファルコン戦闘機F-16が2機、Broadway上空に迫りつつあった。アパッチは陸軍戦闘ヘリ、ファイティング・ファルコンは空軍戦闘機、このヘリと戦闘機が意味するもの。それは陸軍も空軍も「ある機関」に絡んでいるという事、そしてFBIも・・・


 「やはり上空から来たか・・・」
 「なによ、戦闘機って・・・そこまでやる?」


 キャサリンが呆れ顔で無線を通してマックスに話しかける。


 「確実に是が非でも始末しておきたいんだろ」
 「いいわ、お相手してあげましょう。 マックス、あれの用意しておいて」

 「了解」


 キャサリンとマックスが無線でやり取りしてる間にも、音速で迫ってきた2機のファイティング・ファルコンが高層ビルの谷間に飛び込んで来た。


 Broadwayを走るキャサリンのヴェイロンの後方より急降下してきた一機目のF-16がヴェイロンをロックオンした。


 「ヴェイロンが、ロックオンされたぞ!」


 デェイ・ジーが叫ぶ。


 キャサリンは一人隊列から外れるように隣の車線にヴェイロンを車線変更させ一気に加速した。


 4基のターボチャージャーが
 ジェット機のような唸り声を上げ
 搾り出された1000馬力が
 ヴェイロンを0-100km/h 2.5秒で
 弾丸のように加速させていく。


 ヴェイロンの加速と同時に
 F-16に装備されたスパローミサイルが、
 ジェット機から分かれ
 地を這うように
 マッハ3の音速で飛来する。


115

 F-16とAIM-7スパローミサイル


 後方のミサイル発射熱源を感知した
 ヴァイロン搭載装置の警報が叫ぶ。


 「10km後方よりミサイル発射確認!」


 キャサリンは、発射警報と同時にリズムを刻む。


 (ワン・トゥ・スリー)


 のタイミングで一瞬アクセルを抜いて
 クイッキーなステアリングをあてると
 高速加速していたヴェイロンは
 片輪を浮かせ横転仕掛ける。


 再びテクニカルに
 ステアリングを刻みながら
 アクセルを思いっきり踏み込み
 横転寸前のヴェイロンを
 パワーとテクニックで
 強引にねじ伏せる。


 4輪駆動のヴェイロンは、
 運転席側の前後輪の2駆の
 ワイドタイヤの側面で路面を捉え、
 ホイールのリムを完全に路面に干渉させ
 アスファルトを抉りながら
 車体を60度の傾斜を保ったまま
 華麗な片輪走行で後方ミサイルを交わす。


 ヴェイロンの跳ね上がった

 左車体の下を突きぬけたスパローミサイルは
 遥か前方に乗り捨てられた
 大型トラックの荷台に着弾し
 爆発音が大地を揺るがし
 巨大な火の玉が膨れ上がった。


 F-16戦闘機はミサイル発射と同時に上空へ舞い上がって行ったが、後を追うように高層ビルの谷間に飛び込んで来た2機目のF-16が4輪走行に戻ったヴェイロンを再びロックオンする。


 「起用なマネをするじゃないか。しかし、これは交わしようが無いだろ」


 パイロットは、ハンティングを楽しむかのような笑いを浮かべ、両翼に装備した2発のミサイルを同時に発射させた。


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このストーリーは個人の趣味レベルで創作を楽しんでおります。
ストーリーはフィクションであり実在する国家・団体・企業・作品・HP・個人・アーティスト等とは一切関係ありません。


 その頃、Bison工房では、


 ロンが呑気にテレビでメジャーの試合を観戦していた。


 「このジョウジマってバッター、なかなかやるな。
  あの低めのとんでもないクソボールをスタンドに叩き込みやがったぜ^^
            こいつ、おっさんと同じ、ジャパニーズだろ?」

 「そうだな。俺の故郷の球団出身さ」

 「おっさんにも故郷があったのか^^」

 「ところで、ロン、今日はお前は行かなくて良かったのか?」

 「はぁ? ああ、Destinyの護送ね。
      マックスとキャサリンが護衛に付いてりゃ
            俺様の出番なんざありゃしね~よ^^」

 「まぁ、そうだな」


 その時、ロンが見ていた野球中継がいきなり臨時ニュースに切り替わった。


 「ちょ! 待てよ、今良いとこなんだって!」


 不機嫌そうにテレビに向かってぼやき出すロンの目が点になった。


 「ニューヨークに武装テロ出現って? あいつらが何でテレビに映ってるんだ?」


 ロンのその声に、私もテレビの前に駆けつけ、二人は思わず声を揃えて叫んだ。


 「美味しすぎる!」


 どうやらこの二人は事の成り行きを全く理解出来ていないのか・・・はたまた、そんな事態などJusticeにとってはへでもないというのか・・・どちらにしても事の重大性はテレビのキャスターの緊迫した声と、飛び込んでくる物々しい映像とが、嫌が上にも世間の目を引き付けていた。


 現地キャスターは、張り詰めた声でマイクに向かって叫んでいる。


 「武装集団は、一般車両に発砲し国連本部に向かっている模様です!

                   自爆テロとの情報も入ってきております!
        只今、Broadway一体はFBIとニューヨーク市警の手によって

                      完全に通行規制がひかれています!」


 上空ヘリから捉えたライブ映像がテレビで放映され、仕組まれた捏造報道が始まった。Justiceのメンバーはテロ犯にしたてられ、ワイマール博士も含めての、公開処刑がある機関の手によって今行われようとしていた。


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このストーリーは個人の趣味レベルで創作を楽しんでおります。
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 Broadwayを突き進むJustice車両の後方に、数台の武装した車の隊列が姿を現した。ローリングしながら先頭を走っていたマックスのバックミラーにも、その後方に迫り来る敵の存在がはっきりと写った。


 マックスがアクセル・ターンで車体の向きを変えようとしたが・・・


 最後尾を張っていたキャサリンのヴェイロンが白煙をあげて既に突撃体制に入っていた。


 逸早く後方に迫り来る敵の存在を認識していたキャサリンは、助手席足元に忍ばせていたマシンガン Bison GAU-7 (Type 2)を右手で拾い上げ銃口をヴェイロンのフロントガラスに突き当て、突き払われたフロントガラス の一部から、Bison GAU-7の長い銃口が、思いっきり外に向かって突き出す。


ヴェイロンがタイヤを唸らせ

真っ白なスモークを巻き上げ
勢いを落とすことなく車体を反転し
後ろの敵にその雄姿を拝ませ
バック進する。


後方の敵が慌てて銃器を構えた時、


左手でハンドルを保持し

バック状態で車を走らせながら
ダッシュボードのメーター横に

ワンタッチで固定されたGAU-7のストックを
右肩に当てて・・・


トリガーに添えた一指し指が
爆風の嵐を引き起こす。



突如反転し
フロントガラス越しに突きつけられたマシンガンに
慌てふためいて乱射した弾丸と
狙い済まして撃ち出される弾丸の
射的の差は歴然で


車体を掠めていく弾丸の濁流の中から
逆流するように飛び出してくるGAU-7の弾丸は
後方車両の駆動部を鋭く撃ち砕き
操縦を失った車両は
次から次へと激突を招き

耳障りなノイズをあげ

路面にスモークを巻き上げて
無慚な残骸と化す。



But some stupid with a flare gun   Burned the place to the ground

どっかのドアホウが銃を撃って     あたりは火の海さ


Smoke on the water, fire in the sky   Smoke on the water
湖上の煙 燃え上がるファイヤー     湖上の煙



 「そこでおとなしく指でもしゃぶってなさい^^」


 キャサリンはニッコリと微笑むと再び白煙を巻き上げながらヴェイロンを前進状態に反転させ、無線でマックスに告げた。


 「後ろは気にしなくていいわよ」


 女王様は手強いんだぞ^^


 マックスはニヤケ顔でそう呟き、何事もなかったかのようにBroadwayを突き進む。


Smoke on the water


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このストーリーは個人の趣味レベルで創作を楽しんでおります。
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 「アドバン、やつらまさか空から攻撃してくる気はねぇよな?
           これじゃ上空から、狙い撃ちだぜ。
           Destinyの戦闘機を援護に呼んでおくか?」



 デェイ・ジーが無線でアドバンに呼びかける。



 Destinyは普段は部隊として行動する。しかし今日は一般車両として護送に当たっている為、情報局の先輩方と合同でチームを組んでいる。マックスやハマー、キャサリン等は特殊部隊のOBでもありアドバンはいささか遠慮顔で運転席のキングの顔を見た。



 キングは助手席のアドバンに言った。



 「今日はお前が指揮官だぜ。お前の好きにしろ」



 Destinyの補佐官スピード・キングの言葉にアドバンは安堵してデェイ・ジーに無線を返した。



 「その必要はない」



 スピード・キングが「俺もそうするぜ」と言わんばかりに満足げに頷いた。



 「じゃ~せっかく道を譲って下さったんだ。一曲ぶちかますぜ!」



 そういうとデェイ・ジーは割れんばかりの大音量でミュージックをプレイモードにセットした。





静まり返ったBroadwayに



Smoke on the Water の



ぶ厚い粘り気の8ビートのヘビーなメインリフが響き渡る。





ハイハットが静かにリズムを刻み


スネアが眠れるベースを呼び覚ます。




深い眠りから覚めたベースが


不気味な程に音律を響かせ


周囲を威圧感で征服していく。




熱く激しい鼓動に


攻撃的なヴォーカルが


生命の躍動を開始して


その場に居合わせる者達を


次から次へと飲み込んでいく。






But some stupid with a flare gun   Burned the place to the ground


どっかのドアホウが銃を撃って     あたりは火の海さ



Smoke on the water, fire in the sky   Smoke on the water
湖上の煙 燃え上がるファイヤー     湖上の煙





先頭を走るマックス・デニーロのマシンは


リズムに合わせてゆっくりと蛇行を繰り返す。



その後ろからは


異様な面構えのモンスターマシンが


ブラック・ボディーから爆音を轟かせ


ゆっくりと進んでくる。




They burned down the gambling house   It died with an awful sound


焼け落ちるギャンブル小屋           もの凄い音をたてた



Funky Claude was running in and out   Pulling kids out the ground


みんなが逃げまどう              子供の手を引いて





アドバン・J・ルークの愛車
マイバッハ Exelero


運転するスピード・キングのフットレスに置いた左足が


重たいリズムを打つ。





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 先頭を走るマックス・デニーロは黒のジェットヘルに、Barracudaの刺繍が入った革ジャン、鈍く光沢を発するタイトな革パンの黒一色で身を染め上げ、モントーク1200 を意気に転がしていた。


 ジェットヘルに埋め込まれたヘッドフォンから後ろを走るスピード・キングの声が飛び込んできた。


 「やけに警察が多くないか?」


 マックスは周りを見渡しハンズフリーマイクで答えた。


 「のようだな。10m先にも白バイが待機してるぜ」


 と、その時


 待機していた白バイがけたたましいサイレンと共に走り出した。後方からも数台の白バイが一斉に追い上げてくる。


 「何のまねだろね」


 マックスは余裕声でキングに無線で話しかけた。


 すると、


 後方から追い上げて来た白バイの隊列は、Justice車両を抜き去り前方車両を悉くBroadwayから排除しにかかった。付近に間隔を置いて待機していた相当数の警察官が慌しく動きはじめ、通行車両、歩行者をBroadwayから一斉に排除する交通整理を行い始めた。あっという間に20kmに渡る道路区間から、車と人の往来が消えた。


 「タンバー長官、交通整理は完了しました!」


 付近に待機していたFBI長官、タンバーの車の車載無線が伝達した。


 「悪く思うな、上層部には逆らえん・・・」


 タンバーは、そう独り言を呟いて無線に出た。


 スピード・キングの後ろからは、グランド・ハマーが運転するFORD-F650が今日は別バージョン で付いてくる。


 その馬鹿でかいハマーの車の2列目セカンド・シートにワイマール博士が落ち着きの無い素振りで座っている。3列目以降は、リヤハッチゲートまで1つの大きな部屋に成っており、そこには様々な機材が備え付けられていて、まるで走るコンピュータ・ルームの様でもある。そこで複数のモニターを集中管理している、コンバット・デェイ・ジーが先ほどのタンバーへの無線を傍受していた。


 「タンバーのおやじが、何か企んでいやがるぜぇ~~」


 隊列を組むそれぞれのJusticeメンバーに無線で知らせた。

 ブガッティ・ヴェイロン のハンドルを握って最後尾を張るのはキャサリン・ローズ。


 「どっからでも掛かってらっしゃい」


 ヴェイロンの助手席足元には、黒光りする相棒が身を潜めている。



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ストーリーはフィクションであり実在する国家・団体・企業・作品・HP・個人・アーティスト等とは一切関係ありません。



 City of New York


 そこは、アメリカ合衆国最大の都市、世界的大都市の一つでもある。


 2001年9月11日、アメリカ同時多発テロ事件が発生、ニューヨーク世界貿易センタービルが崩壊。2973人の犠牲者(犯人含む)を出すなどの甚大な被害を及ぼした。


 2007年4月10日、そのニューヨークを舞台に今再び


 大々的なテロ事件が


 ある機関の手によって


 演出されようとしていた。




102


 ニューヨーク・タイムズスクエア。


 そこは、多くのハリウッド映画の舞台として使われることでも有名で、「ディープインパクト」 「エンドオブデイズ」「スパイダーマン」「メン・イン・ブラック2」「バニラ・スカイ」 「34丁目の奇跡」等々に登場するように、アメリカを象徴するもっともアメリカらしい場所。ニューヨーク区・マンハッタン島(参照地図 )のハゾソン川沿いに位置する。


108

 そのタイムズスクエアと繋がるBroadwayは、マンハッタン南端のバッテリー・パークを起点とし、北端のイースト・リバーと交差する形でマンハッタン島を南北に貫通する20km以上も続く長い道路。


 今、Broadwayを走っているJustice車両は、イーストサイド、イースト川のタートル湾を見下ろす土地に位置する国連本部ビルへとワイマール博士 を護送中であった。


107


 国連本部の位置


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