グローバル恐慌
![]() | グローバル恐慌―金融暴走時代の果てに (岩波新書) 浜 矩子 岩波書店 2009-01 売り上げランキング : 5067 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
それがカラーなんだけど、岩波の金融危機ものは、金子勝とか本山美彦とか反米色が強いものばかりで、アメリカがその癌細胞だとしても、それを取り除けば、景気が戻るみたいな説にはどうも納得がいかなかった。その点、浜矩子は「欧州派」だから、米国の問題点を指摘しながらも、その先に連なるグローバルな視点で、ものが見えるので、分かりやすいことは分かりやすい。世界経済におけるアメリカの影響力の大きさを憂うより、これを機に地域化する「グローバル経済」を模索する方が、遥かに建設的ではある。政治や歴史を棚上げしてまで、「東アジア」が連携する必要性もこうした機会でもない限り感じさせられない。折りしも、政治面でも統合を果たさんとしているEUにも逆風が吹き、東アジアはEUをモデルにすることなく、通貨防衛面だけに専念することができた。日中が握る米国債をカードにすることもできるが、それも東アジアの基軸通貨争いが解決してからのこととなるだろう。いずれにしても、第二次ニクソン・ショックは米国がくしゃみをしても、他国が風邪をひかない程度に米国のプレゼンスが弱まらないと始まらない。中国の成長神話が米国に支えられている段階ではそれは難しかろう。
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マッカーサー
![]() | マッカーサー―フィリピン統治から日本占領へ (中公新書) 増田 弘 中央公論新社 2009-03 売り上げランキング : 61880 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
政治家評伝で岩波と競っている中公新書。ついにマッカーサーまで登場。驚きの488頁。この内容といい、岩波が真似できない仕様で作ったとしか思えん。通常、マ将軍の評伝というと、厚木のコーンパイプ姿から始まり、天皇会見や日本国民からの手紙といった、占領下日本との関係性をメインに綴られるものだが、この新書の中心となっているのはフィリピン時代。そして「アイ・シャル・リターン」を体現した戦闘史と、おそらくは米国と同じフォーマットの評伝。彼の軍歴は52年にも及ぶそうだから、戦後日本で過ごした5年数ヶ月は、そのキャリアの10分の一にも満たない。軍人マッカーサーが地位を確立し、かつ最も愛した地はフィリピンであったことは間違いなかろう。やがてバターン・ボーイズと呼ばれる側近集団がマ将軍とともに、「アイ・シャル・リターン」を体現していく訳だが、その略歴が詳しい。ホイットニーなどはフィリピンで弁護士をしていたところを見出されたらしい。敵前逃亡した負い目があったのか、「バターン死の行進」に対する粘着は強く、日本占領の先遣隊には迎える日本軍との合言葉に「バターン」を使用させたという。東京ローズが自分を宮城で絞殺荊にすると言ったとかで、降伏文書調印式も宮城ですることに拘ったそうだが、これは安全の都合上、ミズーリー艦上となった様だ。アメリカのイラク侵攻の勘違いには、その日本経験があったことが言われるのだが、たしかに「十二歳の少年」扱いを甘んじて受けて、マ将軍を「慈父」扱いにした被占領国民というのは世界史的にみても、稀有な事例かもしれない。アメリカが第一次湾岸戦争で、サダムを温存したのも、その天皇経験が念頭にあったのかもしれない。もちろん、チンピラ軍人上がりのサダムが米軍駐留下で延命することなどは有り得ないから、何らかの取引があったのだろうが、サダムはアメリカが期待した「天皇」の役割を果たさなかったのだろう。結局、二度手間になってしまったのだが、サダムが天皇でなかった様に、アメリカにもマ将軍がいなかったことが、大いなる勘違いの布石となってしまったのか。
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小説の書き方
![]() | 小説の書き方 小説道場・実践編 (角川oneテーマ21) 森村 誠一 角川グループパブリッシング 2009-04-10 売り上げランキング : 5063 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
森村は最近小説書いてんの?
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戦争を止めたい
![]() | 戦争を止めたい―フォトジャーナリストの見る世界 (岩波ジュニア新書) 豊田 直巳 岩波書店 2009-04 売り上げランキング : 150066 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
岩波ジュニア。著者はイラクの劣化ウランで名を上げた人。イラクでは呉越同舟だった不肖の人からも、九条系の中では例外的に評価されていた人。もっとも、自衛隊に関しては不肖の対極の位置にある人で、自衛隊という「軍隊」が「人道支援」するなどということは有り得ないとのこと。つまりは自衛隊の仕事とは全て軍事作戦なのだという立場なのだが、イラクの様な地で、自衛隊規模の支援が行える組織が他にあるとでも言うのだろうか。話題になったサマワの「自衛隊歓迎」の横断幕についても疑問を呈している。そもそも、現地の人が本当に日本企業が直ぐに進出してくると思っていたとは考えにくいのだが、不肖が言うように単純に自衛隊を歓迎していたとも思えない。となると、あの横断幕は利権を期待した地元ボス集団によるものか、撮れる絵を求めた日本マスコミのヤラセかどちらかではなかろうか。一般市民は外国の進駐者に対してはもっと冷めた見方であったろう。軍隊が平和を阻害するものという思想は世界の常識にはないから、悪化する治安対策に人々が望むのは武力による安寧である。実際のところ、歴史的怨念を持つ中韓北以外の国で、九条派が「反自衛隊」の声を拾うのは困難ではなかろうか。著者が通っているパレスチナ、イラクにしても、一般レベルでは「平和」の名の下に占領が恒久化する方に人々は懸念を抱いているだろう。戦争を止めたいどころか、戦争でイスラエルを殲滅してやりたいという声の方が多いと思う。日本に期待するのは、「戦後平和」の経験などではなく、ヒロシマ・ナガサキの復讐戦ではなかろうか。「九条」を彼らに押し付けたら、死刑宣告とでも受け止められるだろう。
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スティーブ・ジョブズ 人を動かす神
![]() | スティーブ・ジョブズ 人を動かす神ーなぜ、人は彼に心を奪われるのか? (リュウ・ブックス アステ新書) 竹内一正 経済界 2008-12-09 売り上げランキング : 33863 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ということで、ジョブズ新書がもう一冊あったので、こちらも読まされた。別に続編ではないんだろうが、評判が良かったのでもう一冊出してみたのかな。ただ、前のみたいに、奇人変人を流すのではなく、こちらはオーソドックスな礼賛もの。副題に「なぜ、人は彼に心を奪われるのか?」とあるが、嫌な奴から一転して、魅力的な人物像が描かれる。嫌な奴と魅力的な奴というのは表裏一体なのであろう。例の膵臓がんで余命宣告を受けての復活も書かれているのだが、最近、肝臓の手術も受けたことが報道されている。しっかり転移していた様だ。ジョブズが「いい人」だったら、とっくに死んでいたかもしれない。悪い奴ほど良く眠るではないが、病気になってから、それまでの自分を悔い改めるなんてことはしない方がよいのかもしれない。罰当たり人間が改心することは天国へのパスポートを手に入れる様なものか。
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