新書野郎 -64ページ目

スティーブ・ジョブズ 神の交渉力

スティーブ・ジョブズ神の交渉力―この「やり口」には逆らえない! (リュウ・ブックスアステ新書 48)スティーブ・ジョブズ神の交渉力―この「やり口」には逆らえない! (リュウ・ブックスアステ新書 48)
竹内 一正

経済界 2008-05
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ジョブズの評伝は前にアスキー新書で読んだのだが、こちらは「経済界」の「リュウ・ブックスアステ新書」というヤツ。ここの新書は意外な新書界の最右派なのだが、「経済界」だから基本はビジネスものか。著者はアップルOBなので、割引が必要かと思いきや、初っ端からジョブズの奇人変人ぶりに焦点を合わせたものだった。もっとも、小泉ではないが、改革派は「変人」が条件になっているところもあるので、これはこれで著者一流の賞賛なのかもしれない。とはいえ、部下の手柄を自分のものにする。気に入らない質問を浴びせた記者を退場させる。更には女子社員を公衆の場で面罵して泣かせてしまう。といった「武勇伝」に接すると、ジョブズだからいいもの(良くはないけど)、カリスマでもなんでもないただの経営者だと、社内中を敵に廻してまうのは必然だろう。やれパワハラだ、やれセクハラだ、P・Cだと煩いアメリカ社会にあって、裁判沙汰になっていない(なってるかもしれんけど)のも、ジョブズだからこそということになるのだろう。あのアメリカの訴訟合戦は、結局のところ、人権というより、実利的なものなんだろうね。

平和ってなんだろう

平和ってなんだろう―「軍隊をすてた国」コスタリカから考える (岩波ジュニア新書)平和ってなんだろう―「軍隊をすてた国」コスタリカから考える (岩波ジュニア新書)
足立 力也

岩波書店 2009-05
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これも岩波ジュニア新書だが、この著者は同時期に扶桑社新書からも出しているのか。別に右から左へ転向した訳ではなかろうし、扶桑社のも読んではいないのだが、なんたって著者の肩書きは「コスタリカ研究家」だ。軍隊がない=平和であるという価値観は微塵も動かない様だ。映画「軍隊をすてた国」にアシスタント・プロデューサーとして係わったそうで、この本もその映画に依拠した話が多い。あの映画のプロデューサーは早乙女勝元の娘、早乙女愛だったかな。いずれにしても監督とプロデューサーはコスタリカを良く知る人間ではなさそうなので、「コスタリカ研究家」である著者が実際は仕切っていたのだろう。あの映画は内容はともかく、沖縄と結びつけたかったのか、訳分からん沖縄舞踏でコスタリカを旅するという意味不明の設定で、なんかアブナイ宗教っぽい様な印象が残ったのだが、その辺は「コスタリカ研究家」の意図するところではなかったのかもしれない。最初にコスタリカに行った時、コスタリカで国会見学が許されて、大統領府の秘書官が応対してくれたという日本ではありえない話に感激してこの道に入ったそうだが、日本でも国会見学は受け付けてるし、麻生事務所で申し込めば応対する職員は首相秘書だ。刑務所の「ヤリ部屋」はともかく、どうも隣の芝生は青く見える的な話が多いのだが、これは著者のメシの種だから当然か。バランスをとるためか、コスタリカの汚点についても少し言及していて、それはマチズモなのだという。著者はグアテマラ人にみられる容貌が幸いしたのか、チーノ口撃など受けたことがない様だ。チーノを差別しているのはコスタリカ人ではなくニカラグア人たちだという説もあるのだが、黒人と少数の先住民を除くマジョリティのコスタリカ人は白人であるというのが幻想である様に、実のところ、コスタリカ人とグアテマラ人、ニカラグア人の容貌は大差がない。

東大教師が新入生にすすめる本2

東大教師が新入生にすすめる本〈2〉 (文春新書)東大教師が新入生にすすめる本〈2〉 (文春新書)
文藝春秋 文芸春秋=

文藝春秋 2009-03
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東大教師4千人もいるのか。
定番本が多いな。

女が読む太宰治

女が読む太宰治 (ちくまプリマー新書)女が読む太宰治 (ちくまプリマー新書)
筑摩書房編集部

筑摩書房 2009-05-09
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今年は太宰で引っ張るのか。

政権交代論

政権交代論 (岩波新書)政権交代論 (岩波新書)
山口 二郎

岩波書店 2009-03
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自分の著書まとめみたい。
★★

100円ショップの会計学

100円ショップの会計学-決算書で読む「儲け」のからくり  (祥伝社新書 (130))100円ショップの会計学-決算書で読む「儲け」のからくり (祥伝社新書 (130))
増田 茂行

祥伝社 2008-10-24
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別に100円ショップじゃなくても良い感じ。

マンダラの謎を解く

マンダラの謎を解く─三次元からのアプローチ (講談社現代新書)マンダラの謎を解く─三次元からのアプローチ (講談社現代新書)
武澤 秀一

講談社 2009-05-19
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講談社ポータルで連載していたヤツらしい。入門書であることは間違いないんだろうが、予備知識ゼロの私だとまだ敷居が高い。アジャンター、雲岡といった所は私も行っているのだが、例によって、一応行ったという程度のもの。まさか石窟がマンダラと深い関わりがあるとは知らなかったが、著者によれば、これらはリアル・マンダラというべき、その世界を三次元で表現したものだという。通常、マンダラで思い浮かぶのは一枚の布?に描かれた仏教世界なのだが、ディズニーランドやキティランドの様にテーマパーク化することにより、仏教が人心を掌握してきたところがあるらしい。バーミヤンなんかもその手なのだろうが、中国の石窟マンダラが、朝鮮半島を経由して東大寺や法隆寺で再現されるとことなる。二つのマンダラが中国で「対」となり、日本では「不二」となったというのは興味深い。最近は仏像ブームだそうだが、あれも立体マンダラが出発点であったことが、芸術的価値以上に、宗教的畏敬心を人々に感じさせられるのだろう。仏像泥棒も手元に置いて拝んでいたというし、ギャルがイケメン仏像を崇めるのも、アイドル(偶像)崇拝と一緒で、宗教心の一種と言えないこともない。
★★

諸子百家

諸子百家―儒家・墨家・道家・法家・兵家 (中公新書)諸子百家―儒家・墨家・道家・法家・兵家 (中公新書)
湯浅 邦弘

中央公論新社 2009-03
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諸子百家の入門書。例によって、思想系と古代の歴史系は苦手なのだが、儒家・墨家・道家・法家・兵家と一堂に会してくれると、新書だし、読んでおいて然るべきか。現代中国人の行動様式を司るのも、これらの思想であるとも言われるのだが、孔子以外はそれほど影響力が及んでいる訳ではない。道家などは、むしろ日本に大きな影響を与えたのだが、それも漢文世代までの話であろう。最近はもっぱらビジネス自己啓発本の道具として扱われている感もある。孟子以外は原典がはっきりしないものが多いそうだが、出土した楚簡を軸に解釈を試みている。これらは膨大な数が盗掘され、海外に流出したり、文革期に散逸したりということもあって、その全容が解明されている訳ではなく、諸子百家の思想とは現在進行形で新解釈が進められている学問の様だ。ということで、最後に現代諸子百家の旅を掲載しているのだが、どこもテーマパーク化が進んでいるらしい。日本でも孔子の直系をウリにした中国人評論家がいるのだが、子孫って何百万もいるんだよね。直系のホンモノは台湾にいたのだが、「直系」を名乗る者も数万は下らないのかな。
★★

通訳者のしごと

通訳者のしごと (岩波ジュニア新書)通訳者のしごと (岩波ジュニア新書)
近藤 正臣

岩波書店 2009-05
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近藤正臣懐かしいなと思ったが、別に通訳に転身した訳ではない様だ。同姓同名同年生まれだが、こちらは日本通訳学会初代会長。通訳を学問的領域で捉えることを提唱したパイオニアらしい。高校時代に米留学というのは、当時としては特筆すべきものだが、船旅で、ケネディにも招待されたとのこと。大学2年で国務省通訳に採用されて再渡米するのだが、その時ケネディ暗殺。仕事は訪米する労組などアメリカの工作対象者の通訳で、後に山岸章の通訳などもしたらしい。当時、アメリカは非共産系の労働運動育成に力を注いでいた様だ。ドルが万能だった時代にあって、労組専従の山岸よりは相当稼いでいた様だが、その金でドイツへ語学留学もしたらしい。とはいえ、日本では通訳の地位はまだまだ低く、英語をしゃべれるのは知性がないという言説がまかり通っていたのだという。これはなんと鶴見俊輔が言っていたことらしい。鶴見が英語を話す日本人は信用ならんとしたのは、自虐というより、英語は学問の言語として欠陥があるという見方の様だ。まあ鶴見だから言えることではあるのだが、鶴見の歪んだアイデンティティにも関係あろう。当時の学術界において英語は現在の様な必要不可欠な道具という意識はなく、学問の本質を追及せず、英語にだけ拘泥することは軽薄と見られていたのかもしれない。そうした雰囲気に違和感があったのか、著者は通訳学という新しい分野を日本で切り開いていくのだが、ジュニア諸君にはこうした論理はピンとこないのでは。
★★

ハックルベリー・フィンのアメリカ

ハックルベリー・フィンのアメリカ―「自由」はどこにあるか (中公新書)ハックルベリー・フィンのアメリカ―「自由」はどこにあるか (中公新書)
亀井 俊介

中央公論新社 2009-05
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アメリカ文学におけるマーク・トウェインとは、日本における漱石と鴎外を合わせた以上の存在であるのだろう。日本における小説の歴史が西洋の小説を翻訳することで始まったのなら、アメリカのそれはフロンティアが消滅し、開拓以外の価値観を模索し始めた時に始まったらしい。その意味でトウェインが小説の形でアメリカの価値観を提示したことは現在に至るまでアメリカ文学の雛形となっているのだろう。「ライ麦畑でつかまえて」が私小説でない理由は、そこにアメリカの価値観の揺らぎが現れているからで、村上春樹が成功したのは、その価値観を無国籍化したからではなかろうか。となると、村上春樹の原型もトウェインにあって、決して漱石ではない。ハックルベリー・フィンのアメリカを語るということは、近代文学が求めた価値観を再認識するということなのだが、著者はそれは「自由」であると明確な答え。亀井俊介氏も今年、喜寿ということだが、氏の長い文学生活を司った価値観は、やはり「自由」であったのだろうか。フィクションの世界に自由を求めるのは、現実世界には真の自由が存在しないからなのかもしれない。