もう一度、人生がはじまる恋
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なんかハーレクインロマンスみたいなタイトルだが、「愛と官能のイギリス文学」という副題が付いた、イギリス文学の恋愛名作の解題もの。早稲田のエクステンションセンターの講義がきかっけだという新書ということで、テキストは「ロミオとジュリエット」、「プライドと偏見」、「ジェイン・エア」、「嵐が丘」、「つれなき美女」、「チャタレイ夫人の恋人」と私でも知ってる(但し、全部は読んでいない)王道路線。この辺は講義の性質上、仕方がないのだろうが、専門がラファエル前派を中心とした19世紀世紀イギリスの文学と美術の相関の研究という著者は、せめてもの抵抗で、入れたのがキーツの「つれなき美女」なのだろう。このキーツという人は名前も聞いたことがないのだが、著者によると、日本ではよほどの専門家でもなければ、知らないのが普通とのこと。恋愛で人生リセットというのは女性的なものなのかも知らんが、人は誰でも人生で一度は小説を書くことができて、その処女作のほとんどは自分の初恋について書かれているというのは、ギクッときた。まあ小説を書くことも、読むこともしなくなって久しいので、「チャタレイ夫人の恋人」の章くらいしか興味を覚えんかった。もはや、もう一度、人生がはじまる恋などすることもなかろう。
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美しい言葉づかい
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副題に「フランス人の表現の技術」とあるのだが、完全にフランス中世宮廷史の話だった。著者は仏文の名誉教授の人なのだが、仏語辞典などを作っていたらしい。そこで近代フランス語を完成させたのは誰かという命題が出てきたのだろうが、フランス語教師らしいというか、語学教師らしいというか、生徒不在の自分ワールドの解題みたいな感じ。正に「サロンでの洗練された会話」なのだが、この当時は国内でも、「フランス語」の普及率はそう高いものではなかったのであろう。しかし、「国語」としての「美しい言葉づかい」のフランス語を創成した宮廷文化は革命で打倒された訳だが、現在の共和国が受け継いでいる「美しいフランス語」との連綿性はあるのだろうか。
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海はゴミ箱じゃない!
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岩波も譲歩したんだろうが、「韓国」の名指し批判は許されなかったか。
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甲骨文字に歴史をよむ
![]() | 甲骨文字に歴史をよむ (ちくま新書 732) 落合 淳思 筑摩書房 2008-07 売り上げランキング : 6161 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
甲骨文字についての論考は、例によって、こちらに知識がないので、何とも言えないのだが、この世界も他の「中国研究界」同様、世代間の軋轢が結構あることが窺われる。著者は立命館の人なので、白川静直系なのかもしれないが、初期の甲骨文字研究者が貝塚茂樹、白川静など、著名な学者ばかりだったので、後を継ぐ勇気ある学者がいなかったと、やんわりと上の世代(二世代分くらいか)を批判。「氏族制社会」についても中国で建前として、国是であるマルクス史観がをそれを絶対的な存在としているから、現地の研究者が容易に反対できないのは、やむを得ないが、日本の研究者までが、それに追随するのは滑稽であるなんてことも書いてある。なるほど、この方面も中国の「公式見解」に追随する人たちが多いのか。これも「上の世代」の人たちなのだろうか。その辺は『史記』を絶対的とみることの批判にも表れていて、岡田英弘の後の支配権力が自己正当化する為の道具としての「正史」という見方にも通じる。あちらでは、こんな殷の時代の話まで「歴史認識」を求められるのかは分からぬが、その意味では手探りで、自由に発想できた白川静の世代の方が学問的には新鮮だったのかもしれない。最後に、言い過ぎたと思ったのか、穴埋めみたいなことも書いているのだが、やっぱ、非常勤の身でも柵があるのかな。とりあえず甲骨文字が占いであるということは分かったよ。
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一度も植民地になったことがない日本
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この新書は結構、売れたみたいだね。タイトル勝ちなんだろうけど、在欧日妻の凡エッセイに過ぎなかった。ネタ元になる様な話は実際にあったのかもしれないが、書いてあることの、ほとんどはフィクションであろう。それは、それで別に構わないのだが、オランダ、フランス、イタリア人がステレオタイプっぽい。スリナムとマダガスカルに「第三世界」を代表されているのだが、これも、ちょっとリアリティに欠けるなあ。結局、ダンナであるスウェーデン人ぐらいしか現実的ではないのだけど、こういう誇張した民族ネタは、あちらでも、国際関係本の王道とは言えるのであろう。70年代に渡欧であれば、それなりの苦労があったと思えるし、最初の渡航先であるイギリスについては、恨みつらみしか書いていない事情も察しられる。結局、日本批判なのか、欧州批判なのか、そっちつかずな感じもした。新書なんだから、変な小細工などせず、積年の恨みを吐き出してもよかったのではないかとも思う。ダンナは日本語を読むことができる人だったのだろうか。
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2階で子どもを走らせるなっ!
![]() | 2階で子どもを走らせるなっ! (光文社新書 360) 橋本典久 光文社 2008-07-17 売り上げランキング : 1581 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
この手のものには珍しく、フィクション事例がシュールでイイ。
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最高裁が法を犯している!
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この人も新書版元コレクターになったなあ。
テンション高いのは相変わらずだけど、最後に自著の宣伝もパターン通り。
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戦争絶滅へ、人間復活へ
![]() | 戦争絶滅へ、人間復活へ―93歳・ジャーナリストの発言 (岩波新書 新赤版 1140) むの たけじ 岩波書店 2008-07 売り上げランキング : 625 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
タイトルだけみれば、岩波も直球勝負っぽいけど、そうでもないか。
日野原先生じゃないんだから、93歳ジャーナリストはさすがに書くのは無理。
本人は戦後のことだけ言いたかったそうだが、戦前の話の方がやはり面白い。戦後から現在にかけては、とたんに怪しくなるが。
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