思うように資金調達ができない方へ -2475ページ目

融資を受けるために 4

3月3日

銀行からの融資の可能性は業種業態によって違うことがあります。
今日はこのことを3つのポイントに絞ってお話をしていきたいと思います。
昨日同様、主に都市銀行から新規融資を受ける場合の傾向とご了解の上お読み下さい。

①融資を受けやすい業種、難しい業種
②融資を受けやすい会社の規模
③シンプルな組織の会社が融資を受けやすい


【融資を受けやすい業種、難しい業種】
まず非常に融資を受けにくい主な業種は金融業、性風俗関連産業、産業廃棄物処理事業などです。

金融業の中でも金利水準の高い消費者金融系、商工ローン系には、風評を懸念するため、都市銀行が取引をすることは非常に稀で、大手と言われる一部の会社でさえ子会社のノンバンクを経由して融資を行う傾向があります。ただ銀行も一般消費者に対する金融に力を入れてきていますので、大手に対しては融資をする方向にあると思われます。

またファッションホテル、ソープランドや性風俗関連の事業を経営する会社への融資は99%行われません。ファッションホテルの場合のみ、通常のホテル旅館業がたまたま時間貸しをしているとエクスキューズできる会社には融資をする可能性はあるものの、風営法に基づいた営業をする会社にはまず融資は行われないと思われます。

産業廃棄物処理の事業会社も、財務内容が良くても、銀行が融資をしたがらない業種です。100%難しいと言うわけではありませんが、かなりの事業規模と優良な財務内容がないと難しく、弊社のお手伝いでも融資が成功したケースは非常に稀です。しかし地銀や信金についてはこの限りではありません。

弊社の顧客の中でも比較的数の多いパチンコ業界についてですが、数年前のように全社にネガティブと言う状況ではなく、銀行それぞれの基準で選別融資をしています。
財務内容が良く、数百億円以上の売上を多数の店舗で計上しいる会社には、かなり積極的に融資を行っています。この業界の件に関しては、後日改めて詳細を書くつもりです。

また90年代のバブル崩壊以降、不動産関連会社への融資は非常にネガティブでしたが、昨年の夏以降、銀行によってはかなり積極的に融資を実施するようになってきています。
ただ銀行の場合は、取得する不動産の収益が高くても、過去の会社の財務内容が良くないと融資は難しい上、審査に時間がかかるため、不動産を担保に運転資金を借りるような場合は良いのですが、スピードが必要な不動産取得のような時には機能しないことが多いと言えます。

以上の業種以外の業種による、融資の可能性の高低は基本的にはないと思われますが、前にもお話をしましたように、一般的には新規性、独自性、成長性などの要素が少ない業種の会社への融資は不利と言わざるを得ません。


【融資を受けやすい会社の規模】
以前にも書いたと思いますが、融資の条件をクリアした会社への無担保の融資額は、概算ですが月商の1~2ヶ月が基準です。
銀行も営利を追求する企業ですから、費用対効果を考慮し、また融資を担当する部署やスタッフの予算上の都合でも、500万円を融資するより3~5千万円の融資をできる会社を望む傾向がありますので、ミニマム1億円以上、理想的には3億~10億円の年商の会社が一番融資受けやすいように思います。このような傾向の真偽は分かりませんが、経験上の感想なので多分遠からずあたっていると思います。

ただ売上規模が10億円以上の会社なら更に可能性が高いか言うと、確かに高いのですが、そうとも言えない時があります。
事業規模の大きい会社への融資額は当然大きくなる場合が多いので、融資額が大きすぎると、銀行の営業部門が審査部門の審査を通す手続が大変で、会社の資産内容の査定やキャッシュフローの流れなどを通常より精査しますので、その結果、結局のところ融資が実行されないことも多々あり、売上規模の大きい会社ほど融資が受けやすいかと言えば、新規取引の場合は必ずしも受けやすいとはいえないところがあります。


【シンプルな組織の会社が融資を受けやすい】
弊社のお客様の中にも時々見受けられるのですが、多種多様の事業を多数の会社で運営していて、財務内容を拝見しても、実際のところどのような状況なのか、非常に分かりにくい場合があります。社長も分からないよう場合も多く、特にパチンコホールや飲食業などサービス業で良く見受けるのですが、このような状況の会社への融資はほぼ絶望で、できたとしてもかなり時間がかかります。
ですから弊社がお手伝いする場合、まず事業内容に応じて合併、廃止など整理をお願いし、シンプルな組織になってから、銀行に打診していただくようにしています。

融資を受けるために 3

3月2日

今日は「融資を難しくすると思われる会社の状況」についてお話をしたいと思います。
この件は昨日以上にコンサル業務の中から経験的に感じた私見ですのと、地域に密着した地銀や信金などの見解とは若干違う部分もあるかも知れません。

主に、新規に都市銀行と取引を希望されるお客様のお手伝いをした時の感想が中心であると思ってください。

融資を難しくすると思われる会社の状況については多種多様、様々な状況を考えることができますが、今日は次の2点についてご案内いたします。

・会社の代表者、所在地、決算期などの変更
・事業内容のオリジナリティー


【会社の代表者、所在地、決算期などの変更】
事業の運営上仕方がないことなのですが、会社の登記内容の変更については、理由が明白でない場合は、融資の可能性をかなり低くすることがあるように思われます。
再三再四変化があるような場合は、より悪影響があるとお考え頂いて良いと思います。
特に代表者の変更と決算期の変更は、理由が、たとえば前代表者が亡くなったとか、会社合併をしたというように、明確に理由を説明できない場合は、かなりの懸念材料になっているように思われます。

時々税金対策のために決算期を変更されているようなケースがありますが、銀行からの融資を検討されているような場合は、絶対に避けていただいたほうが良いと思います。

また本店所在地の変更や支店開設(特に)を融資申込みの直前にすることも、いかにも融資を引き出すための方策で、実質上の本店は変更前のところであったり、支店も活動拠点としての機能がなかったり、このようなことが明らかな場合は99%融資は難しくなります。

地方に本店を置く会社の場合は、東京に支店を置くことは、資金調達の選択肢を広げるのに効果がありますが、最低でも融資を申し込む6ヶ月以上前に開設をし、実質的にも支店が機能していることが大切です。

【オリジナリティーの低い事業】
銀行からの融資だけではなく、VCからの資金調達でも、事業のオリジナリティはとても大切なポイントです。

事業のオリジナリティが低いと、同じ財務内容であっても、銀行融資については、融資額、金利、融資期間など条件が低くなるような傾向を感じます。

たとえば、他社の代理店として活動する事業よりも、自社独自の商材やサービスを提供する事業の方が、融資の可能性も条件も有利です。
他社の代理店事業であっても、他の代理店にはないプラスアルファのサービスや相乗効果が期待できる複数の商材を持っているとか、ともかく同業他社との差別化ポイントを持っているかどうかが大切です。

とは言うものの、いくら事業にオリジナリティーがあっても、事業の具体性や具現性がなければ、前にもお話をしました誇大妄想社長になってしまいますので、融資の申込さえできないので、ご注意下さい。

融資を受けるために 2

3月1日

今回は、前回お話をしました融資を受けるための3つの最低条件の続きです。

融資を受ける場合、銀行がチェックしていると思われる中で重要なポイントをご案内したいと思います。

①役員の過去の金融上のトラブル履歴
②融資を難しくすると思われる会社の状況
③融資の可能性が業種業態により違う
④融資を受けにくくする勘定科目
の順番にご案内いたします。

まず今日は「①役員の過去の金融上のトラブル履歴」のお話です。

この件は銀行の守秘条項と思われますので、本当にチェックしているのかどうか?どのようにチェックしているのかどうか?などは、全く公表されていませんし、我々にも正式に伝えられている事ではありません。
ひょっとすると銀行は、この部分を書かれること自体、嫌がる部分なのかもしれません。
ですから、今日は全く私の独断と偏見で書かれた私見と思ってください。
間違った見解かもしれませんが、経験上推量できることを書きます。



銀行によってこの部分はシークレットですし、銀行によってチェック方法が違うように思われます。
なぜなら同じ会社なのに、銀行によって違った対応になることが時々あるからです。

財務内容が良いのに融資を断わられることが時々あります。
このような場合、弊社では違う銀行に打診することが多いのですが、融資OK、しかも良い条件で融資が行われる場合も結構あります。

財務内容に対する見解の相違かとも思いますが、時々、打診した日、もっと極端な場合は、社名を伝えた瞬間、「この会社は行内ルールに合わないので融資はできない」というような場合があります。

まず、銀行それぞれのルールで、会社、代表者、役員と監査役の方々の過去の金融上の履歴を照会することは確かだと思われます。

よくこの段階で問題になるのは次の3つです。
・打診をしている銀行との過去のトラブル(不渡り、代位弁済、債務不履行、リスケなど)の有無
・保証協会とのトラブルの有無(代位弁済、債務不履行など)
・他の銀行、信用金庫とのトラブル(不渡り、代位弁済、債務不履行、リスケなど)の有無

それから、次のポイントも多分このことが引っかかったかなと思われるケースです。
・主に代表者の個人の債務(消費者金融、カードローン、商工ローン、街金などの借入状況)
・手形の乱発や手形事故(よく分かるなと思われるときがあります。)
・主に代表者の刑事事件の履歴(よく分かるなと思われるときがあります。)

それと、考え方によっては、くだらないと思われる、次のようなことも融資阻害ポイントになることがあるようです。それは顧客の銀行に対する心象の問題です。
過去に同じ銀行の他のセクションに融資の申込をしたときに、態度が悪かったとか、文句が多かったとか、打診途中で連絡が取れなくなったとか、このようなことが銀行の心象を悪くするようです。

また短期間に同じ銀行に再三打診して断わられているような場合も問題になることが良くあります。

テレビでも金融関係の番組に出演されていた方の会社のお手伝いをしたことがあるのですが、ある銀行に打診したところ、上記でも書きましたように、社名を伝えただけで、銀行の担当者は「当行はこの方には融資しないことになっています。」と瞬時に答えたことがあります。
財務内容も確かに融資すれすれの印象でしたが、この対応は「何なんだろう?」と思ったものでした。
後日この社長から聞いたところ、私どもがお手伝いした1年位前に、弊社で打診した法人営業部とは違う、別の同じ銀行の法人営業部に打診された時、審査が通らない理由を、何度も質問したところ回答をしないので、感情的に席を立ったことがあったらしいのです。またこの社長もすぐに感情的にになる癖があり、悪いことに、その後間を置かず、別の法人営業部にも打診して、同じような状況になったらしく、このことで、多分その銀行独自のブラックリストに登録されていると予想されます。
その後、この社長を他の銀行にご案内をしたところ、融資を受けることができたことからも、銀行独自の情報データはあると確信するところです。

このような銀行の措置には釈然としない部分もあるのですが、現実的には銀行に感情的になっても得はないと、ご注意願いたいと思います。

以上のほかにも、事業内容や財務内容以外に融資の阻害要因になっていることは様々ありますが、主なものはこのようなところです。

この部分のご質問は、公開ではされにくい、またお答えしにくい場合もありますので、bhycom@hotmail.com にいただいても結構です。
私に分かるようなことであれば、ご案内したいと思いますので、お気軽にご連絡下さい。