島田荘司 著、『斜め屋敷の犯罪』を読みました。
講談社文庫です。










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今回の本のお供は、新入りの、ダイソーエリーちゃん人形です。

現行のエリーちゃんは、カールしたブロンドとカールしたブラウンと、このストレートのブラウンの、三種類の髪のお人形さんがいます。


今までうちにいたのは、「エリーちゃんズ」の二人だけでしたが。
ストレートヘアのエリーちゃんも、ついに手に入れることができましたので。

今後「エリーちゃんズ」には、新規加入メンバーが一人入って、トリオで活躍することになりましたよ。



ちなみに、この新入りエリーちゃんも、「エリーちゃんズ」に加入するくらいですから…オツムの具合はきっと…お察しください、です。

見た目はなかなか賢そうなんですけどねぇー。











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本作は島田荘司の探偵「御手洗潔シリーズ」の2作目です。
御手洗潔シリーズの1作目は『占星術殺人事件』でして、それに続く作品になります。

島田荘司と言えば、本格ミステリの巨匠です。
本格ミステリとは、ミステリの中でも「謎解き」「トリック」に主眼を置いた作品群のことです。

ですから、本作は読者もページをめくりながら、「ヴーム。一体犯人はどんなトリックでこの犯罪をやりおおせたのだ???」と楽しく悩みながら読んでいくことになります。
作中に与えられたヒントから、パズルを解くようにして、真相を推理する愉しみを味わえますよ。





私が島田荘司の本を読むのは、これが2冊目となります。

1冊目は『占星術殺人事件』でした。
…実は、漫画『金田一少年の事件簿』において、この『占星術殺人事件』のトリックがそのまんまパクられているという疑惑で揉めていたのを聞いて、気になって読んだのです。
(そのパクリ問題は、その後解決しています。)

『占星術殺人事件』、私はそういう理由で、興味本位で手にとって読みましたのですが、たいへん面白かったです。
探偵の御手洗潔がいいキャラなんですよ。
とんでもない狂人ぶりを発揮して、暴れ放題暴れた後に、サクっと事件を解決してくれる…
その暴れ馬のような御手洗潔を、なんとか静かにさせようと頑張っている探偵のパートナーの石岡和己も、いい味を出しています。






今回はシリーズ2冊目の『斜め屋敷の犯罪』です。
随分前に買って、積んでおいたのですが…なかなか「いざ読まん!」という気分になれなくて、何年も寝かしてしまいました。

この間、鯨統一郎の『ミステリアス学園』を読んだ時に、


この『斜め屋敷の犯罪』が作中に出てきまして。
それで積ん読本の山にこの本があったのを思い出して、読んでみようと思ったのです。






『北海道の最北端、宗谷岬の高台に斜めに傾いて建つ西洋館。「流氷館」と名づけられたこの奇妙な館で、主人の浜本幸三郎がクリスマス・パーティを開いた夜、奇怪な密室殺人が起きる。招かれた人々の狂乱する中で、またもや次の惨劇が……。恐怖の連続密室殺人の謎に挑戦する名探偵・御手洗潔。本格推理名作。』
(カバー裏より)






奇怪な建物の中で起こった密室殺人事件…これが本作の謎です。

「斜め屋敷」は、『流氷館』と呼ばれる『エリザベス王朝ふうの白壁に柱を浮き立たせた三回建ての西洋館と、その東に隣接した、ピサの斜塔を模したふうな円筒形の塔とから成っている』風変わりな建造物です。

ピサの斜塔を模した傾いた塔は『その円筒形の周囲にびっしりとガラスがはめられて』おり、『そしてこのガラスに、アルミニウムを真空蒸着した、いわゆる鏡面フィルムが貼られているために、晴れた日には周囲の風景がその円柱に映』ります。

この変わった塔のついた館を建てたのは浜本幸三郎という、相当な好事家の老人です。
彼はハマー・ディーゼル株式会社の会長で、富と権力を持つ富豪です。
その財力を注ぎ込んで建てた趣味の館が、この不思議な斜め屋敷なのです。

斜め屋敷が変わっているのは外観だけではなく、その中身も、です。
地下一階から地上三階までそびえ立つ館は、迷路めいた複雑な構造をしております。
そして何より不思議なのは、わざと傾けて建てられていることです。
傾斜角はほんの五度程度ですが、それでも人間の感覚を狂わすには十分な傾きで、訪問客たちはここに長く滞在すると調子が狂ってしまいます。

主人の浜本幸三郎は、そんな客たちが戸惑う様子を見るのを楽しむ、稚気を持った老人なのです。




昭和のある冬のクリスマス、この斜め屋敷でクリスマス・パーティが開かれました。

ホストは館の主人の浜本幸三郎と、その娘英子。

客は英子の愛を争う東大生の戸飼正樹、医大生の日下瞬。
それから、ホストの親戚、幸三郎の兄の孫である浜本嘉彦。
浜本幸三郎の会社と取引のある、キクオカ・ベアリングの社長菊岡栄吉とその愛人相倉クミ、お抱え運転手の上田一哉。
それに、キクオカ・ベアリングの重役、金井道男とその妻、初江。

館には住み込みの使用人の早川康平、千賀子夫婦と、梶原春雄もおります。

この総勢13名の人間が集った斜め屋敷のクリスマス・パーティの夜、惨劇が起こります。

完全に施錠された部屋で、ある人物が、ナイフを刺されて殺されてしまうのです。
外の雪の上には犯人の足跡も残されておりません。
密室殺人事件です。

通報を受けて刑事たちが到着し、捜査が進む中…警察官達が館に泊まり込んでいるにもかかわらず、またもや密室において第二の惨劇が…!



完全な密室で、犯人は一体どうやって犯行を遂げることができたのか?
一体誰が、なんのために、二人の人間を殺さねばならなかったのか?
外部からの侵入の形跡が見つからないということは、犯人はこの館の中にいるのか?

謎が謎を呼び、事件解決の糸口が見つからない中、人々は疑心暗鬼に取り憑かれて疲弊していきます。
そして、八方塞がりの刑事達がついに呼び寄せることになった助っ人が、狂人名探偵御手洗潔と、その助手石岡和己でした。













以下、ネタバレしまくりの、感想文になります。
この本は本格推理小説ですから、犯人やトリックが分かっちゃったら、つまらなくなってしまいます。

『斜め屋敷の犯罪』未読の方は、以下、閲覧をお控えくださいね。



















↓↓↓ネタバレ、注意!↓↓↓


















本書の密室殺人のトリックは…
評判通り、バカミス一歩手前のギリギリのトリックでしたねー。

確かに館の構造上、できなくはなさそうですけど…
まさかの滑り台とは!

各階の廊下の隅の隙間と、換気口の位置が、直線で繋げることがわかれば、このトリックは見破れるのかなー?

ちなみに私はサッパリわかりませんでしたよ。

御手洗潔が最後に謎解きをしてくれた場面を、ビックリしている登場人物たちと同じ気持ちで「そんなバカな!」と思いつつ読みました。

天狗のお面のお鼻も…なんか、想像したら、ちょっと笑っちゃいますね。
並んだお鼻の上をツララが滑っていく、という光景はなかなか妙な感じであります。

一人目の殺人の、あのダイイングメッセージは、ちょっと分かりづらいかなー?
専門知識が無いと、わかりませんよね、あれは。
まあ、今回の事件は、菊岡殺しのトリックがメインだから、あれはあれで、わからなくてもいいのかもしれませんけど。



犯人については…きっとトリックは館の構造に隠されているってのはわかるので、そうなると主人の浜本幸三郎しかありえないだろうと、わかりますが。

犯行動機は、こりゃ最後まで読まなきゃわかるわけがありませんね。
動機にそれほど重きが置かれなくて、トリックを見破って犯人を特定させようとするあたりは、やはり本格推理ならでは、でしょうね。





私は本格推理小説で、トリックを見破れたことはありません。
小説を読みながら色々と、あーでもない、こーでもないと考えるのは好きですが。
真相を暴きたいー!とまでは、思いませんです。

とっとと探偵の鮮やかな謎解き部分を読んで、そういうことだったのか!と、ビックリしたいタイプの読者であります。

(ちなみに、私は本格推理の謎解きは出来た試しがありませんが、叙述トリックは得意です!たいてい見破りますよー!ふふふふふ!)

そして、ついでに言うと、探偵のキャラ萌えを楽しみたい読者でもありまして。

ですから、この本は、御手洗潔がなかなか出てこないので、最初の方はなんかヤキモキしながら読むことになりました。
早くあのとんでもないキャラの御手洗潔に会いたくて。
いつになったら、御手洗潔が出てくるのかしら?と、そればかり考えてしまいました。

御手洗が斜め屋敷にやってきて、まずぶちかました演説は面白かったですねー。
探偵の登場を待ちわびていた身の私としましては、拍手を贈りたいくらいの気持ちになりました。




この『斜め屋敷の犯罪』、なかなか面白かったですけど。
できればもっと早くに御手洗と石岡くんに登場してもらいたかったなー。
そしたら、もっと早く深く、このお話の世界に入り込めた気がします。

名探偵は偉大ですね。
彼らがいないと、ミステリ世界はただのパズルでしかなく、それはそれで面白いけれど…味がなくなりますねぇ。







ところで、この『斜め屋敷の犯罪』ですが。

私は講談社文庫版で読みましたけれど、改訂完全版も出ているのですね。
改訂完全版の方は、解説が綾辻行人だそうです。
面白そうですね、綾辻行人の解説読みたかったなー。


ちなみに、私の読んだ講談社文庫版では、解説は綾辻行人ではなく、別の人が書いてるんですが。
その解説が…なんというか…みごとな怪文書でした…
すんごいものを巻末に持ってきたものですねー。
これは、一読の価値ありです、逆の意味で。

なんか、この巻末の解説がすごすぎて、本文よりも解説の方の印象が強く残ってしまいましたよ。

この講談社文庫版の『斜め屋敷の犯罪』の一番の謎は、『解説』、かもしれません…















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私の、他のミステリの感想文も、どうぞ↓

アイザック・アシモフ『黒後家蜘蛛の会5』



鯨統一郎『ミステリアス学園』













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建国記念日の意味、知ってる?

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調べてみましたら。
初代天皇である神武天皇の即位した、旧暦の紀元前660年1月1日から、この建国記念日はきているらしいですね。
それを新暦に換算した日付が、今日なわけですね。

日本は、王朝が一度も滅びずに続いている世界最古の国、世界最長の歴史を持つ国です。

すごいことですよねー、これって。
そんな珍かな国に、実は自分が生きている…なんか考えてみるとちょっとファンタジーだなぁ。