泡坂妻夫 著『ヨギ・ガンジーの妖術』を読みました。

新潮社、ソフトカバー版です。
短編集なのですが、ソフトカバー版は新潮文庫版よりも一編少ない内容となっております。

先日読んだ『しあわせの書 迷探偵ヨギ・ガンジーの心霊術』の前篇です。
ユーモア・ミステリ、ヨギ・ガンジーシリーズの一作目ですね。

『しあわせの書』に出てきたガンジーの一番弟子参王不動丸、二番弟子の本田美保子ちゃんなど、ヨギ・ガンジーシリーズのレギュラー陣初登場シーンもこの短編集の中にあります。




あ、お写真一緒に写ってもらったベアは、私の手作りです。
この子はキットを買って制作しました。
キットだと材料が揃っているので、楽でいいですねぇ。
やっぱり、作家さんのぬいぐるみは可愛いし。




私は長編ミステリも大好きなんですが、短編集もまたいいですねぇ。
特にキャラの立った探偵さんが出てくるシリーズもののミステリは、短編集の方が好きです。

シャーロック・ホームズもジェーン・マープルも、長編よりも短編の方が、私は面白いと思います。

あ、そうそう、私のHN、the old man in the corner=隅の老人も、バロネス・オルツィのミステリ短編集『隅の老人』シリーズから採りました。
私の一番好きな探偵さんです、隅の老人。




さて、『ヨギ・ガンジーの妖術』ですが…

やっぱり面白いです。

とにかくヨギ・ガンジーのキャラがいい。
胡散臭すぎなんです。
まず外見。浅黒い肌に大きな目、外国人のような容姿をしています。
が、ドイツ人とミクロネシア人と大阪人の混血だとか、インドにも関係があるとか…本人も他人も色々言ってますが、嘘か本当かわからない。出自はさっぱり謎です。
どこでも勝手にヨーガのポーズを始めて注目を集めたり、話し相手の言葉にすぐ影響されて変な関西弁やらイタコ言葉を話しだしたり、フィクションならではの奇人っぷりが素敵です。
また、怪しい心霊術のパフォーマンスをして、そのトリックを暴露し、人の目の騙されやすさに警鐘を鳴らす為のレクチャーをして回っている…はずなのに、肝心のトリックの暴露を忘れて本物の超能力者だと思われていたりする。
ガンジー先生、とにかくゆるくっていい感じなんです。

でも、このヨギ・ガンジー、自分がそんなこと(種のある超能力)をやっているだけあって、他人の一見本物にしか見えない奇跡のトリックもすぐに暴いてしまいますよ。
名探偵です。




作中の登場人物や小物もいいです。

物語の進行にはあまり関係ないサブキャラが可愛いんです。
たとえば、テレビの中では超美人アナウンサーだけど、放送されないとなると地が出てすごい訛りで話し凶暴化する女性、赤染明子さん。
この人はシリーズ通してチョコチョコでてきますが、ガンジー一行とのからみもあまりなく、ストーリーにもほとんど関係ない人なんです。
なのに、すごくキャラが濃くて可愛い。

ガンジーが心霊術レクチャーで使う小物、アヒルや地球儀、掃除機なんかも、意外な場所でチョロチョロでてきて、もう可愛いったらありゃしない!

ストーリーに関係ない意味のない可愛いものが、必然性なく沢山出てくるシリーズもののエンタメ小説とか漫画とか、最高ですね。大好きです。
人間、やはりこういった意味のないオブジェを愛せるかどうかで、人生の彩りが変わってくるような気がしますよ。ふふふ。




ところで、この短編集はミステリですからね、肝心の作中のミステリはどんなものかと言うと。

一言で言うと、マジックの種明かし系ミステリです。
なので、読者も一緒に考えられるような内容ですよ。
頭のいい人なら、トリックを見破れるかも?です。







アリストテレスの本を読んだばかりでしたので、次もギリシア哲学の本を読む予定だったんですがねぇ。
積読本の一番上に、Amazonさんから届いたばかりのこの『ヨギ・ガンジーの妖術』があったもんですから、つい、こっちを読んでしまいました。

次こそはギリシア哲学ものを読みます。

ヨギ・ガンジーシリーズの3冊目を読み出さずに、ね。

















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