鯨統一郎 著、『ミステリアス学園』を読みました。
光文社文庫です。










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今回の本のお供は、何年も前の清涼飲料水のオマケについてきたらしい、小さなテディベアです。

『Afternoon Tea』のロゴが入ったTシャツを着ているので、コラボなのかな?

小さいけれどちゃんと縫って作られたクマちゃんで、可愛いです。









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今回の本はミステリです。

ミステリファンの方なら、鯨統一郎の名を聞けばすぐに「バカミスの人ね!」って思うはずです。
(バカミスというのは、そんなバカな!と思うような荒唐無稽なトリックが使われたミステリです。これはけしてけなした言葉ではなくて、褒め言葉なんですよ。私もバカミスは大好きです。)

本書もユーモラスなミステリ短編集なのですが、バカミスって感じではないなー。
メタミステリですね。





『ミステリアス学園ミステリ研究会、略して「ミスミス研」。ミステリは松本清張の『砂の器』しか読んだことがない、新入部員・湾田乱人(わんだらんど)が巻き込まれる怪事件の数々。なぜか人が死んでいく。「密室」「アリバイ」「嵐の山荘」……。仲間からのミステリ講義で知識を得て、湾田が辿り着く前代未聞の結末とは!?
この一冊で本格ミステリがよくわかるーーー鯨流超絶ミステリ!』
(カバー裏より)





ミステリアス学園(大学)のサークル、ミステリ研究会が舞台の本書は、エドガー・アラン・ポーに始まるミステリの歴史を短編推理小説の連作で紹介してくれる、ミステリの歴史の教科書みたいな本です。



さらに、本書は、

第1話 「本格ミステリの定義」
第2話 「トリック」
第3話 「嵐の山荘」
第4話 「密室講義」
第5話 「アリバイ講義」
第6話 「ダイイング・メッセージ講義」
最終話「意外な犯人」

の全7話から構成されている短編連作なのですが。

第1話を読み終えるまでは、なんてことない短編なのですが。
第2話に差し掛かると、実は第1話が第2話の作中作だったことが判明します。
さらに第3話では、第1話を作中作に含む第2話もまた第3話の作中作だったことが判明します。
このようにして、次々とマトリョシカのような、入れ子構造が判明していくのですが。

1話につき一人、ミステリ研究会のメンバーが消えていきます。
メンバーは元々は七人おりますから。
話が進むたびにメンバーが欠けていくと、最後にはどうなるんだろう?という謎も楽しめます。




本書は、多分私くらいの、「有名どころのミステリは大分齧ってきたなー」という程度の、ミステリ初心者にはとても楽しい本です。

沢山のミステリの名著を挙げながら、ミステリ講義をしてくれるので、ミステリの歴史がよくわかります。
次に読みたいなーと思わせるミステリが何冊も紹介されていて、非常に刺激的です。
逆に、読んだことのあるミステリが出てくると、ニヤリとしてしまいます。





本書の探偵は、ミステリは松本清張の『砂の器』一冊しか読んだことない湾田乱人(わんだらんど…ワンダーランドのもじりです)君です。
湾田乱人は数学や物理の好きな男の子で、ミステリにはそんなに興味が無いけれど、数字を小説で表したいと企んでいまして。
例えばE=mc^2なんかを物語で表現したいそうです。
そして、その小説の表現方法としては、ミステリが一番適当だろうということで、ミスミス研に入会しました。

彼は、ミスミス研で起こる怪事件を、並み居るミステリマニアの部員達の推理にまさる、物理や数学の定理に基づいた推理で解決していきます。

本書の前半は、作中で起こった事件が作中作として、次々にフィクション化し事件は葬られていきますが。
後半は逆にそれらは事実を扱ったノンフィクションの作中作として、事件が現実のものとして復活してきます。

最終話で判明する、ミスミス研を襲った連続怪死事件の本当の犯人とは、一体誰なのか?
メタミステリの立場から、犯人が明かされます。


ちなみに、私はすでに本書を読み終えておりますから。
私は犯人ではないのですよ、ふふふ♪










普通のミステリだけでは満足できなくなってしまった、ちょっとひねったメタミステリを読みたい方におススメいたします。

また、ミステリの歴史を楽しく学んで、次に読みたいミステリを探し出したい方にも、おススメいたします。
なんといっても、100人を超える内外のミステリ作家の作品が、作中のミステリ講義で紹介されておりますから。
読みたい本のメモを取りつつ読んでいくと良いと思いますよ。













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アイザック・アシモフ『黒後家蜘蛛の会5』

泡坂妻夫『しあわせの書 迷探偵ヨギ・ガンジーの心霊術』












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フナ甘露煮食べたことある?

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ないでーす!

私は金魚が好きですし、日淡(日本の淡水魚)も好きですから。
私の目にはフナは食べ物と言うよりは、飼育魚として、魅力的に映りますよ。

いつか飼ってみたいお魚ですねー。
飼うとしたら、何フナがいいかな?
フナにも種類がありますものね。