喘息なのに猫を飼っていた②
もう20年以上前のお話。1996年、私が高1の夏。妹が道端で拾ってきた生まれたばかりの子猫が家族になりました。→喘息なのに猫を飼っていた①それまで毛がある動物を触るともれなく喘息になっていた私でしたが、喘息を発症してしまうと親にこのかわいい猫を捨てられてしまうかもしれない!という恐怖からか不思議と触っても一緒に寝ても猫が原因の喘息の発作は20年間一度も起こしませんでした。喘息にはならなかったけれど長時間この子と一緒に遊ぶと皮膚はかぶれたり、目は痒くなったりしました。それでも喘息悪化時の意識を失う呼吸困難の苦しみに比べれば全然マシで、あとで目薬とムヒ塗っとけばそのうち症状治るでしょ、というスタンスでした。実際ムヒは最強で、ステロイドの入っていないスーッとするムヒSは猫と共存する20年で100本は使ったと思います。そして子猫を家族にして1年半が経った高2の冬、家の近所に中猫の野良猫がうろつくようになり、夕方近所の小学生たちがよくお菓子をあげている姿をみかけるようになりました。お菓子ばかり食べているので野良猫なのにとても太っていてコロコロしてかわいい猫でした。そんなある日、雪が降り珍しく積もったときがありました。雪の中、傘をさしながら高校からの帰り道、家にもうすぐ着くというところで雪の中でうずくまっているいつもの野良猫を見かけました。屋根の下に入るでもなく、じっと目を閉じて固まっていたのです。白い猫だったので雪と同化していました。凍死してしまっているのかと驚いて近づくとニャーと小さく泣いたので、良かった!生きてる!と思わず抱きかかえてそのまま家に連れて帰りました。野良猫なのに寒さで弱っていたからか逃げることもしませんでした。家に連れて帰り、親に見つからないようにストーブをつけた部屋で体を拭いてあげるとしばらくするとぐるぐる歩き回るようになりよかった、と思ったと同時に親になんて言おう、と思いました。うちにはすでに猫がいるし絶対に怒られる…。先住猫と野良猫が喧嘩してしまうかもしれないしどうしよう、そう思いながらも再び外に猫を出すことはできませんでした。さらに先住猫とは違い、その野良猫の毛はふわふわというよりちょっと重さのあるウエットタイプで私は気づくとちょっと息苦しくなっていました。やばい、これは喘息になる…。私は喘息の吸入をして、一度呼吸を通常に戻した後野良猫を抱いて親のいるリビングへ行きました。母は野良猫を見るなりあ!いつもいる野良猫!と驚きました。雪の中で死にそうになってたから連れてきたと言うとあんた抱っこして喘息は大丈夫なの?とやっぱり聞いてきた。大丈夫じゃない。今も吸入で一時的に大丈夫にしてるけどたぶんこのままだとまた苦しくなる、しかも体も痒くなってきた。と返したいところだったけどそんなふうに言ったらかわいそうだけど外に戻してきなさいって言われてしまうのがわかっていたので、大丈夫だよもう猫には慣れたからと言ってこの猫もうちで飼えないかとお願いをした。お父さんに聞いてみないとねと母はこたえ、とりあえずその日は家に野良猫をおいておけることになった。野良猫は先住猫を見つけお互いにシャーッと2.3度言い合った後はどちらも興味なさそうにそれぞれ過ごしていたので猫同士は大丈夫かな?と思った。また、野良猫は最初から猫トイレをわかっていて、先住猫用のトイレを見つけると上手にそこで用を足していた。きっと子猫の時は誰かに飼われていたのかな?それで人間を怖がらないのかもしれない。そして、夜に父が仕事から帰宅し、猫のことを相談しようと思ったけれど言わなかった。父は、子どもとか小動物とかそういう小さい生き物に興味がない。もちろん世話もしない。先住猫の時も飼ってからも一度だって抱っこはしないし、話しかけもしない。かといって父の部屋に猫が入ると追い出すかと思いきやそうではなくて、いないものとして扱う。父の書類がたくさん積んである机の上に猫が伸びていた時も、気にならないのかきいたらあー猫いたの、という返事で本当に存在に興味がないのです。そんな父なので、一匹猫が増えたところで気付かないのでは?と思い言わずにいたら本当に1週間以上気づかなかった。ある日先住猫と野良猫が隊列でリビングを歩いていて、父の前を横切りん?なぜ2匹いるの?とそこで初めて気づかれた。それまでにも父の部屋で勝手に寝ていたりしていたのに…。もうそのころには野良猫もすっかり我が家に慣れていてそのままうちの子になりました。この子も元気いっぱいで、先住猫と同じく20年間生きて2年前に老衰で亡くなりました。先住猫と違って私は最後までこの野良猫の毛は慣れることができず抱っこをしたり一緒の布団で寝ると喘息に苦しむことになりました。なので、かわいそうだけれど20年間で抱っこをした回数はそれほど多くはありません。撫でたり話しかけたりすることしかできませんでした。私以外の家族にはこのような喘息やアトピーといったアレルギーがないので本当に悔しいです。慣れによって喘息が出なくなったかと思いきや同じ猫でも毛の質によってそうではなくアレルギーが発生することもあると学んだ出来事でした。決して最後までお互い仲良くなかったけどだいたいいつも一緒にいた猫たち