赤の女王。
同じ場所にいるためには、力の限り走らねばいけない!
どこか他のところに行きたいのなら、少なくともその二倍の速さで
走らなければいけないのだ!
と言ったのは、ルイス・キャロルの著書、
「鏡の国のアリス」の中の、赤の女王だった。
子供の頃に読んだときはヘンなことを言ってるなあ、と
思ったくらいだったこの場面だけど、
今改めて読んでみると、結構深いことをいってる気がする。
私たちが何もしなくても、一日というのは勝手に過ぎていく。
誰だって、その日を楽に過ごせるなら、そのほうがいい。
でも、何もしないってことは、後退だぜ。
一日はそれでも過ごせるのかも知れないけど、
そんな日て、実はただ無駄に時間を浪費しただけの、意味のなかった一日なんじゃないかなあ。
確かに、ただ毎日学校へ行って、帰ってきて寝るだけの生活を、
仕事に行って、帰って、また仕事へと向かうために朝起きるだけの生活をしていると、
そこに、本当に自分のやりたいことがあるのだとしても、
私たちはふと、こんな毎日でホントにいいのかな、
他にもっとやるべきことが、自分にはあるんじゃないのかな、
と思ったりすることがある。
でも、決して何もしていないわけじゃなく、
それどころか私たちは、そんなことを思いつつも、
自分自身のために、毎日必死に、頑張って生きているのだ。
でも、女王は言う。
「力の限り走って、ようやく同じ場所にいられるのだ」、と。
走れば走っただけ、他のところにいけてしまうのは、
「それは呪いの国だ」、とまで言う。
もし、私たちが本当に今の自分に満足できないでいるのなら、
今いる場所より、もっと違うところに行きたいと願うなら、
そのときは、
自分で「これ以上ないくらい頑張ったぞ」といえるような努力をした瞬間を、
ずっと上回ったその先にある、もっと、ものすごい努力こそが必要なのかもしれない。
それが、私たちにとって前に進むということなのかも知れない。
雨。
えっと、
だって、
学校にはあの、
子供にとって、
もう、手に余って仕方ない。
折りたたみ傘という、お洒落なものをもっている友達が、いつも羨ましかった。
雨というのは、朝の登校をするときにはふっていても、
だから、朝起きて、思ったよりも雨足が弱々しかったり、
天気予報で「午後にはやむでしょう」なんて言っていたりすると、
「傘なんていらないんじゃないかなぁ、どうせ帰るころには止むのなら、
荷物になるだけだしさ」
と思うんだけど・
そんな、持っていくのをやめる!
うっ、うっ、うっ・
どうして、
雨さえなかったら、毎日はもっと楽しいのに。
でも、
傘を持ちつづけても、疲れることのないだけの体格になったからかな。
ただ子供じみた考えを、しなくなっただけなのかも知れないけどさ。
特に、
ザザァッ、
突然の通り雨なんていいぜ。
それが過ぎていったあとには、
洗いざらいの匂いと共に、冷たくて心地いい風がとどまっていて、
こいういうときは、
人工的に作られた冷気では、決して味わえない心地よさがあるんだ。
楽しむ設備もない自分のことを棚にあげて言っているわけじゃないぞっ!
ああ、でも、
森エリア。
家庭用ゲーム機初のオンラインRPG、「PSO」が発売される!
当時、悲しいくらい貧相なインターネット環境にあったにも関わらず、
怖いもの知らずな私は、そのゲームを迷うことなく予約!
ワクワクする気持を抑つつ、発売日を指折り待っていた私の元に送られてきた
一枚の先行体験版お試しディスクを、
「無料」という甘い言葉にも誘われて、早速開始した私。
この辺りのことは、テーマの「オンラインゲーム」の過去の記事を参考にしてよね。
というわけで、ようやくゲームの始められる段階にまで到達した私が、
目にしたその光景というのが・・・・・・。
一番最初のフィールド、森。
降りたった私の目のまえに広がったのは、
ここまでに見てきていた映像より更にも増して美しいグラフィック!
木々の間からは黄金色の光の束がこぼれ、
足元には靴の先をわずかにぬらす程度の浅いきれいな河原があって、
本当に音を立てて水が流れている。
うわっ、チョウまでとんでるぞ。
そして、自分でさっき作成したばかりキャラクターはといえば、
さっきまでは明らかになかった、緑色に発行する剣を右手に持って立っていた。
うっ、燃えるなぁ。
このキャラクターを操作して、こんなにきれいな世界を歩けるなんて思うと、
それだけで、ちょっと感動。
うーん、早くこの先にあるフィールドを見てみたいっ!
最初に降りたったスタート地点のすぐ近くには、レーザーフェンスがあって、
それは敵が侵入できない防御ラインの役割を果たしているらしい。
早速私は、ゆっくりとそれを越え、歩いていこうと思ったそのとき!
いかにも、という威嚇の声をあげながら早速現れたのが、クマのような見た目の敵。
急いで手元のコントローラーに目を落とし、ボタンを何個か押すと、
なぜか出てくる、現在の所持品を確認する画面。
私はクルッと回れ右っ。
来たときと同じフェンスを慌てて通過っ!
スタート地点になんとか帰還した。
うっ、あぶなかった。
このゲームでは他の操作をしているときも、ずっと時間が止まらない。
あのままだったら、ホントにやられてたかも知れないぞ・・・・・・。
うーん、ちゃんと操作くらいは覚えてから進むべきだったかなぁ。
敵のクマもどきはといえば、そのまま、ノソノソと歩いて追いかけてはきたけれど
レザーフェンスにぶつかると私のほうをギロッ、と一瞥、
また、来た道をゆっくりと戻っていった。
わーん、怖いよぉ・・・・・・。
それから、安全地帯にとどまって、そこで初めて操作を確認。
何度か武器を素振りしてみる。
最初から持っている武器だから、攻撃力は大したことないんだろうし、
攻撃が当たりそうな箇所も小さそう。
なんだか心許ないなぁ。
とはいえ、さっきのクマもどきは、ドラクエなんかでいえばスライムだよなあ。
つまり、一番弱いお手軽な、練習モンスターなはず。
じゃあ、いくら初めてだからって、こんな所でモタついてはいられないぞ。
これくらいの敵はアッサリと撃退・・・・・・と、思ったらあっ!
当たらないんだよっ、これが!
必死に持っている剣のような武器を振るんだけど、ミス、ミスの連続。
相手は当然、0ダメージ。
そのくせ、相手のクマもどきの攻撃ときたら、ぜんっぜん容赦ない。
たった一度殴られただけでも、こっちの体力はすごい勢いで減っていく。
気がつくと、私は魂となって地面から浮かんでいて、
動かなくなった私に興味をなくして去っていく、
クマもどきの後ろ姿を見ていたのだった。
うっ、うっ、うっ。
ちなみに。
このトライアルディスク版は、実は簡単にどんどん進められてしまわないよう、
難易度が調整されて、特別に最初から難しくなっていたことは、
それからずっと後になってから、知ることになるのだった・・・・・・。
うーむ・・・・・。
赤い女。
とつぜんだけど、目のまえに
いきなり背の高い女性が現れたら、みんなは
どうするだろう?
しかもその女性、足には真っ赤なハイヒール、
太もものところにまで大きくスリットの入った真っ赤なドレスを
着ていて、きれいな長い髪が背中にまでおりていた。
その日、私は深夜に近いちょっと遅い時間に
外を歩いていて、周りには、その人と私しかいなかった。
で、私が歩いていて、落としたカギに
その人が気づいて、後ろから声をかけてくれて、
ソッと、拾って私の手の中に戻してくれたんだ。
そのときまで、まったく人の気配など
感じてさえいなかった私は、
突然現れたその大きな女性に、
実際は飛びあがりそうになるくらい驚いていたんだけど、
さすがに、それを表に出すわけにはいかないもんなあ。
もちろん、私はお礼を言って拾ってくれたカギを
受けとったんだけど、なぜかその人、
カギを返してくれたと思ったら、その手を私の手のひらにのせたまま、
ジッと固まったみたいに、動かなくなってしまったんだよっ!
うっ、その人の手の体温を感じて、私は一気に緊張。
しかも!
その人、どうやら、ジーと私の顔を上から見つめているらしくて、
なんだか強い視線が頭皮をヒリヒリと・・・・・・。
ぐっ、なんだろう、私何かヘンなことしたのかなぁ・・・・・・。
ハイヒールを履いているせいなのか、
その相手の人の背丈は私より少し高いくらいだし、
カギを受け取ろうと頭を下げている私の視線の先には、
スリットから覗く、真っ白で柔らかそうなフトモモが!
ど、どうしよう・・・・・・。
しかも、しかも!
驚くのはまだ早かった。
これだけで終わらなかったんだよ、この話っ!
なんと、ただわずかに触れているだけだった、その人の手が、
とつぜん動いたかと思ったら、
私の手に戻されたカギごと、ゆっくりと握りしめられはじめちゃったのだ!
ううっ、なんなんだ、これはっ!
どうしたらいいんだよーっ!
そのときの私はといえば、
もう緊張するやら、恐ろしいやらで、ただ、もう硬直。
でも、さすがに、されるがままになっている訳にもいかず、
慌てて手を引っ込めた。
のだけど、さすがにそれで走って逃げるわけにも行かないし、
元はといえば、ちゃんとカギを拾ってくれたんだもんな。
それで、もう一度ちゃんとお礼しようと、
そのとき初めて相手の顔をしっかりと見て、お礼を言おうとした。
で、そのとき、気がついたんだ。
あ、この人、女性じゃない・・・・・・。
ものすごくきれいな、女性の姿をした、男性だったのだ。
考えてみたら、私がそのときいた場所は
少し表の通りではあったけど、狭い道を通って
裏通りへと行けば、そこは完全に大人の歓楽街。
でも、当時の私はまだ十代も前半の少年で、そこまで
まったく頭が回らなかったのだ。
よく考えてみれば、時間が時間だし、
そういう人たちがいても、おかしくなかったんだけど、
そうか、女性じゃなかったのかぁ・・・・・・。
なんだか、ホッとしたような、少し寂しいような。
さっきまであんなにも張りつめていた緊張感が、
一気に消え去って、なんだか途端にガッカリしはじめているのは、
うーん、なぜだろう。
ただ、あまりその場に長居することが、
よくないことだけは、そのときの私でもなんとか分かったので、
挨拶もそこそこに、私は立ち去ったのだった。
もちろん、その女性、ではなく、元男性は、
私のことをしばらく見ていたようだったけど、
怖くてそれ以上のことは確認できなかった。
あとになって、その話を友達にしたとき、
こういう場合は、一体どうするのがよかったんだろう、という
話になったんだけど、友達が言うには、
そもそも、ただカギを拾ってもらっただけなのに、
相手の人に見とれてその場でされるがままになっているのが、おかしいんだ!
ということだった。
わーん、ちがうんだよっ!
見とれていたんじゃなくて、どうしていいか分からなくて戸惑っていただけだい!
でも、相手の人が女性ではないとわかったとき、
今にも沸騰しそうなくらい熱かった全身が、
急に冷え切っていったのは、一体なんだったんだろう。
うーむ・・・・・・。
SHIPの選択。
家庭用ゲーム機初のオンラインRPG、「PSO」が発売される!
当時、悲しいくらい貧相なインターネット環境にあったにも関わらず、
怖いもの知らずな私は、そのゲームを迷うことなく予約!
ワクワクする気持を抑つつ、発売日を指折り待っていた私の元に送られてきたのは、
一枚の先行体験版お試しディスク。
お試し版だけあって、その中身は必要最低限のもの。
オンラインゲーム初心者には厳しいもののように思えたんだけど・・・・・・。
この辺りのことは、テーマの「オンラインゲーム」の過去の記事を参考にしてよね。
というわけで、早速、ゲームを始めてみた私!
すでに頭の中では、勇敢な私がバッタバッタと敵を倒していく姿でいっぱい!
だったんけど・・・・・・。
先行体験版のディスクで、なんと、ゲームを遊ぶだけなら
何よりも、
最初に登場したのが、自分の操作するキャラクターを作成する、
キャラクタークリエイト画面。
あ、ダメだ、私。
こういうの、優柔不断だから迷っちゃって決められないんだ。
作成できる箇所は、キャラクターの種族、性別、名前はもちろん、
身長、肩幅、顔、目、足の長さに髪の色!
うっ・・・・・・、どうしよう。
どうせ、お試しのテストプレイなんだから適当に作ればいいんだけど、
そういうの、性格的に許せないんだよぉ・・・・・・。
そのあとも散々迷って、色々と作ってみた挙句、
結局、一番最初のデフォルトの状態に近い、ほとんど変えていない
普通のキャラクターになったのは、
いざというときに決断をできない自分らしさが見事にでたようで、
なんだか悲しかった。
でもさあ、このままだと、いつまでたっても始められないと、
さすがに自分でも思いはじめてしまったんだよぉ。
だってさ、気づいたからその最初のキャラクター作成画面だけで、
延々、2時間くらいやってたんだぜ。
もう、ほとんどこれだけで、一つのゲームしているようなものだもん。
キャラクター作成ゲーム。
ま、それに、どれだけ頑張って色々と試して作ってみても、
実際に動いているところを見てみないとね。
ということで、とにかく、早速始めてみるぞ。
最初にたどり着いたのは、多くの人が集まる場所、ビジュアルロビー。
ここ、とにかく、
もう、目に映るもの全部が珍しくて、
そんな私の前を横切っていった一組のキャラクターが、
ようやく一緒に倒した敵の強さを興奮気味に話しあっていて、
まだ、ただ歩いているってだけなのに、もうドキトキしてしまった。
一体、
高ぶる気持ちを抑えながら、私はようやくロビーの受付に話しかけ、

