「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ -344ページ目

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。


青猫 外箱

               『定本 青猫』外箱



「風船乗りの夢」は第二詩集『青猫』にある詩。
大正12年・1923年に刊行。
朔太郎36歳。


青猫 表紙

              『定本 青猫』表紙


さらに十年後、
詩の入れ替えなどをして編集し、
それを『定本 青猫』とする。


青猫 扉

               『定本 青猫』扉


この「風船乗りの夢」は
『定本 青猫』に収められた詩。



  
  風船乗りの夢
                       
                      萩原朔太郎


夏草のしげる叢から

ふはりふはりと天上さして昇りゆく風船よ

籠には旧暦の暦をのせ

はるか地球の子午線を越えて吹かれ行かうよ。

ばうばうとした虚無の中を

雲はさびしげにながれて行き

草地も見えず 記憶の時計もぜんまいがとまつてしまつた。

どこをめあてに翔(か)けるのだらう

さうして酒瓶の底は虚しくなり

酔ひどれの見る美麗な幻覚も消えてしまつた。

しだいに下界の陸地をはなれ

愁ひや雲やに吹きながされて

知覚もおよばぬ真空圏内にまぎれ行かうよ。

この瓦斯(ガス)体(たい)もてふくらんだ気球のやうに

ふしぎにさびしい宇宙のはてを

友だちもなく ふはりふはりと昇つて行かうよ。


風船乗り




作曲は石渡日出夫。
スケールの大きな曲となっている。























朔太郎



萩原朔太郎「猫」、
第一詩集『月に吠える』におさめられている。
この『月に吠える』は朔太郎31歳、
大正6年・1917年に刊行された。

「おわあ」「おぎゃあ」など猫の声のオノマトペが独特。
「おわ嗚呼、ここの家の主人は病気です」
このフレーズをご存知の方も多いのでは。



「月に吠える」の夜の花

           『月に吠える』田中恭吉装画「夜の花」

 
      
   
                         萩原朔太郎



まっくろけの猫が二疋、

なやましいよるの屋根のうへで、

ぴんとたてた尻尾のさきから、

糸のようなみかづきがかすんでいる。

『おわあ、こんばんは』

『おわあ、こんばんは』

『おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ』

『おわ嗚呼、ここの家の主人は病気です』

















海程



金子兜太主宰・俳誌「海程」11月号に
「萩原朔太郎をうたう」の紹介記事が載りました♪


同人で歌手の山本掌さんが出演する
「高崎演奏家協会 第35回定期演奏会」が
次の要領で開催されます。
ぜひご参加ください。(編集部)

・日時 11月30日(月) 19:00~

・会場 高崎シティギャラリー コアホール

・会費 全自由席 1500円


<萩原朔太郎をうたう>

 「猫」 『月に吠える』より (曲 牧野由多可)

 「風船乗りの夢」『青猫』より (曲 石渡日出夫)























  ゆっくりと身を起こす修羅冬薔薇              掌



















 じんかん
 人間の流刑のわれに寒薔薇                掌































  
 寄せ返す鬱のありよう冬の薔薇               掌













◆冬薔薇(ふゆばら・ふゆそうび)・冬の薔薇
 寒薔薇(かんばら・かんそうび)

冬に咲く薔薇。


冬の季語。






















プラド美術館展 ちらし

            


「プラド美術館展」を
三菱一号館美術館で観た。

「スペイン宮廷 美への情熱」とあり、
今回はプラド美術館にある個性豊かな
コレクションのなかから、小品を中心にしたもの。

時代は15世紀から19世紀にかけて、
スペイン、フランドル、イタリア、オランダ、フランスの5つの国から、
エル・グレコ、ベラスケス、ゴヤ、
ボス(ボッシュ)、ルーベンス、ムリーリョなど
ヨーロッパ絵画の巨匠たちがそろう。


ボス「愚者の石の切除




ボスの板絵、カンバスが出来る前には
板に描かれたとか。

ヒエロニムス・ボス(1450年頃~1516年)は
ルネサンス期のネーデルラントの画家で
なんとボスの作品は世界に20点ほどとか。
プラド美術館は「快楽の園」などの貴重な真筆5点を所蔵。

この油彩画「愚者の石の切除」は寓意にみちている。
背景は緻密な田園風景で、
中央に漏斗をかぶった偽医者が
善良そうな患者の頭から花を取り出している。
本を頭に載せた妻が彼らを見つめている。

チラシの解説によると漏斗は愚行を、
書物は科学の重要さを象徴し、
花は金のシンボルとされ、あやしげな司祭は妻の間男。
人間の欲や偽善などを風刺する作品。

http://mimt.jp/prado/sp_1.html

この美術館のホームページにクリックすると
ルーペで各部分が大きく再現される。行って見てください。


かつてプラド美術館で、
このボス(ボスコと発音していたかな)の部屋で
「快楽の園」などをじっくりと観た。

ゴヤの黒い部屋で、
「子を喰うサチュロス」などなどを堪能したことも。

ゴヤ作品は下絵と完成した作品が展示された
「傷をおった石工」。

一つひとつゆっくりと観る
愉しさにみちた展示。


1月31日(日)まで。


























  真淋しくただ月白に鉄を組む              掌

















             うろじむろじ
  そのあわい有漏路無漏路に月あかり          掌























漆黒の翼




『漆黒の翼』 山本 掌の第3句集
  図書新聞刊 2003年 四六版 302頁
  表紙の装画はアルブレヒト・デューラー
  装幀は長谷川周平。

金子兜太 ブログの紹介
 http://kanekotota.blogspot.jp/2015/05/blog-post_381.html



  

もう12年前になるのか・・・

11月18日が発行日なので再掲を。
数年前から萩原朔太郎記念前橋文学館にも
置いていただいている。

編集は元小沢書店の長谷川郁夫氏。
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E8%B0%B7%E5%B7%9D%E9%83%81%E5%A4%AB



いまは田村隆一全集の責任編集・評論・大阪藝大の教授などを
やっておられるが、
本を造っている時は日日、侃侃諤諤。
じつに面白かった。
「本」作りとは、「言葉」とは、などなど。
しごいていただいた。

そんな本。


●前橋 

萩原朔太郎記念前橋文学館 http://www15.wind.ne.jp/~mae-bun/

ノイエス朝日 http://www.neues-asahi.jp/

フリッツ・アートセンター http://www.f-ritz.net/

煥乎堂(かんこどう) http://www.kankodo-web.co.jp/