萩原朔太郎をうたう「猫」  | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。


朔太郎



萩原朔太郎「猫」、
第一詩集『月に吠える』におさめられている。
この『月に吠える』は朔太郎31歳、
大正6年・1917年に刊行された。

「おわあ」「おぎゃあ」など猫の声のオノマトペが独特。
「おわ嗚呼、ここの家の主人は病気です」
このフレーズをご存知の方も多いのでは。



「月に吠える」の夜の花

           『月に吠える』田中恭吉装画「夜の花」

 
      
   
                         萩原朔太郎



まっくろけの猫が二疋、

なやましいよるの屋根のうへで、

ぴんとたてた尻尾のさきから、

糸のようなみかづきがかすんでいる。

『おわあ、こんばんは』

『おわあ、こんばんは』

『おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ』

『おわ嗚呼、ここの家の主人は病気です』