「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ -335ページ目

「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。



芭蕉

           松尾芭蕉:葛飾北斎(ウキペディアより)




箕作秋吉「芭蕉紀行集」の第三曲。

『野ざらし紀行』では前書きのように

「海辺に日暮して」とあって、この句が置かれる。


新潮古典集成「芭蕉文集」ではこうある。

「海原は夕暮れて一面に薄暗くなった。

その中に餌を求めて飛び立つ鴨のしわがれ声が響く。

その方を透かしてみると見ると、

なお海上に幽かな白さの漂っているのがみえる」



暮れてゆく、その薄暮の光のうつろいを積み重ね、

微光までの時間の経緯をも感知する。

そこに「鴨の声」がかすかに聞えて。

じつに印象的。


鴨の声すらほの<白く>聞える、

と、どうしても受け止めたくなる。



箕作作品の滲むようなピアノに、

メロディーラインがそっと寄り添う・・・
















芭蕉像

           芭蕉像(江東区・芭蕉庵史跡展望庭園)
           17時ころになると向きをかえる、とか(!?)




   芭蕉をうたう「芭蕉紀行集」



高崎シティーギャラリー・コアホールでの

ウインターコンサート、無事終了いたしました。


「芭蕉紀行集」、

いままも歌ってきましたが、

箕作秋吉の作品の奥深さ、

素晴らしさ、を感じることができたような。



ありがとうございました。



高崎演奏家協会 ちらし
















蕪村筆 芭蕉





 



  馬に寝て残夢月遠し茶のけぶり            芭蕉







 「早朝に旅立って馬上に

なお夢心地でうとうととしていたが、

はっと目がさめてみると、

有明の月は遠く山の端(は)にかかり、

ふもとの村里からは朝茶をたく煙が立ち上ってくる>

                新潮古典集成『芭蕉文集』より




◆陰暦八月二十日過ぎ(太陽暦十月初旬)、
 
 歌枕の地の景色からの句。
 
 西行の「小夜の山中」、
 
 あるいは杜牧の「早行」などの詩歌を追懐したといわれる。




◆「芭蕉紀行集」第二曲。
 
 馬がぽっかぽっかと歩いているような音形から始まり、

 遠くに望む月、茶の焚く煙など、

 ゆったりとのどやかな曲。





















蕪村筆 芭蕉

           「松尾芭蕉」与謝蕪村筆 (ウキペディアより)


  

  
  
 
   野ざらしを心に風のしむ身かな            芭蕉







箕作秋吉「芭蕉紀行集」の第一曲になる。


『野ざらし紀行』は芭蕉41歳~42歳の旅で

紀行文は数年かけて推敲され書かれた。


俳諧を極めるため、

「野ざらし」を覚悟の旅路の冒頭の句。

切迫し、緊張感あふれている。


新潮社古典集成「芭蕉文集」では

<野に行き倒れて髑髏(どくろ)となる覚悟で、

行脚(あんぎゃ)漂泊を魂とする独自な

俳風を建立(こんりゅう)への旅立ちの

覚悟をのほどを語るもの>


句の解釈では

<野に行き倒れて髑髏となる覚悟で、

独自の誹風を開拓する覚悟で旅立つと、

ひとしお心にしみ入るばかりに

秋風の寂寥(せきりょう)を感ずるわが身の境涯である>



箕作作品の第一曲、

前奏の風のモティーフは

終曲「旅に病んで」に現われる音形と

時空を超え、響きあうように感じられる。


















芭蕉





  芭蕉紀行集 
 

                句 松尾芭蕉
                 みつくりしゅうきち
                曲 箕作秋吉



「芭蕉紀行集」は箕作秋吉(1895-1971)の代表作。

一句一曲で全十曲の連作歌曲となっている。

句は松尾芭蕉(1644-1694)の

『野ざらし紀行』『笈の小文』『奥の細道』などから選ばれ、

「野ざらしや」「あらたふと」「荒海や」「閑かさや」「枯野」など

知られた名句に多様性をもつ曲で構成され、

<芭蕉の世界>を構築している。


この「芭蕉紀行集」、

1930、31年にかけて作曲されている。

<俳句>を作曲にするため、いままである和声でなく、

そのための作曲理論、技法を創生した。


「芭蕉紀行集」を管弦楽曲にし、「音詩」として

戦後初めて、国際コンクールで受賞し、

ベルギーで初演されている。



今回のコンサートでは

この初演版の楽譜でうたう。



◆2月22日(月)に高崎コアホール 19時~


◆2月27日(土)に前橋テルサホール 14時~






◆箕作秋吉(みつくりしゅうきち)

東京生まれ(1895-1971)。
東京帝国大学(現東京大学)工学部卒業後、ドイツに留学。
ベルリンのカイザー・ヴィルヘルム研究所で物理化学を研究する。

一方で、中学の時より興味を持っていた音楽にも励み、
ゲオルク・シューマンに和声法を学ぶ。
帰国後、池内友次郎やケーニッヒらに作曲を師事。

戦後は新興作曲家連盟(現日本現代音楽協会)の結成など、
日本の作曲界の振興に尽力するとともに、
東洋音楽大学教授として教育にも携わった。

「日本的なるもの」への探究心から、
「日本的和声」を提唱。
その独自の和声観に根ざした情緒的な作品を多く残した。
                        
              須藤 英子 (ピティナ辞典)



















白梅





暖かかったり、寒かったり


寒かったり、暖かかったりするこの頃、


庭の白梅が蕾をつぎつぎとひらき、


満開に!


























  ゆえなくて恃みし蹉跌白梅ほど            掌



























  
  口中の暗渠紅梅咲きて散り              掌


































 折笠美秋  なほ翔ぶは凍てぬため愛つげぬため    

                       山本 掌



ああ、どうぞ

もうやめて

止めてください

もう、もう、やめて

お願いですから

そんなにもひたすらに

そんなにもひたむきに

翔ぼうとする

あなたを見てはいられない


わかっています

やむにやまれぬ

溢れるおもいで

羽ばたいている、と

それはあなたの

生きる、生きているあかし、だと


でも、でも

知っているでしょうか

その翼はすでに

疵つき

破れ果てている

そんなにも

あらあらとした息で

どうなさるの

もう翔べないと

ご存知でしょうに

それでなお、翔ぼうとするのは

なぜ

そんなにも気高い

あなたを

つきうごかすのは

なに


凍えぬため、と

あなたはいう

愛を告げるため、とも

あなたはいう


おねがい

翼を

羽根を

どうぞ、みて


こんなにも

傷だらけで

いたるところ血が滲み

流れている

野分にもみしだかれ

昼を夜を闇をくぐり

凍れる時刻(とき)をわたり

身熱はこんなにも高い

喘いでいる鼓動は

絶え絶えとなり


それで

なお

あなたは

翔ぶという

高みへと

飛翔すること

そのことのみが

唯一の

のぞみだと

あなたのお気持ちが

おこころが

たましいが

叫びをあげている


翔ばないで

お願いです


<もう翔ばぬ凍るよう愛告げぬよう>


どうぞ

そうして

どうぞ凍ぬように


わたくしの翼を


いえ、いいえ

凍てましょう


告げないで

愛を
































  
  バレンタイン一角獣はもういない          掌
  












◆バレンタイン


2月14日。

3世紀ごろ殉教した聖バレンタインの祭日。


ですが、

チョコレートの日でしょうか。


「バレンタイン」の定番の句(笑)。