松尾芭蕉:葛飾北斎(ウキペディアより)
箕作秋吉「芭蕉紀行集」の第三曲。
『野ざらし紀行』では前書きのように
「海辺に日暮して」とあって、この句が置かれる。
新潮古典集成「芭蕉文集」ではこうある。
「海原は夕暮れて一面に薄暗くなった。
その中に餌を求めて飛び立つ鴨のしわがれ声が響く。
その方を透かしてみると見ると、
なお海上に幽かな白さの漂っているのがみえる」
暮れてゆく、その薄暮の光のうつろいを積み重ね、
微光までの時間の経緯をも感知する。
そこに「鴨の声」がかすかに聞えて。
じつに印象的。
鴨の声すらほの<白く>聞える、
と、どうしても受け止めたくなる。
箕作作品の滲むようなピアノに、
メロディーラインがそっと寄り添う・・・