たまふの書物語まりふ -22ページ目

619 魔法使いルーフィ

神様は、呆気に取られているけれど
それは、神様が生き物じゃないから(笑)

排他するエモーションが、そもそもないのだ。







ハードロックは、若々しい。

若者の、魂の叫びのようで。


世の中、ともすれば
年寄りの利益のために傾いてしまいがちで

窮屈なもの。そうなってしまいがちな


へんな理屈に


それは違う、って


心が、生き物として生きてきた
長い間の記憶が、反発して



生まれる叫びが、音になって
流れる。



それが、ハードロック。


リサが、LED ZEPPELINを好きなのも
なんとなく理解できるとめぐは思う



それで、無意識にリサの夢におじゃまwして


一緒に歌ったのだった。


もちろん、夢の中だから

どんな超絶技巧だってできる。



ギターを奏でる左手に、右手でピッキングして
時には右手で指板を叩いて。



それで、ヴァン・ヘイレンになっちゃったり。



めぐは、明るいアメリカンのヴァン・ヘイレンが好きだ。

618 魔法使いルーフィ

そういうめぐは、なぜかハードロックンロールのような気分で


レザーのジャケットに、短い赤のスカート。


なんて格好だろう、と神様が思うまでもなく。



そう、ここはめぐの夢の中だった。




めぐは、リサの夢の中に行って来て

リサの好きな、イギリスのハードロックンロールを
歌って来たのだった。


めぐ自身は、歌い足りなくて


大好きな、アメリカンロックンロールの


ヴァンヘイレンを口づさんで。



フェンダーのギターで、ライトハンドを決めて。


それは、もちろん夢だった。




little dreamerだもの。








ロックンロールはいいものだ。


ひとを元気にする。





神様は、めぐのその姿に微笑みながら
でも、戸惑いながら(笑)。





それで、切符を手に入れて。
オリエンタルエクスプレスに乗ればいいのだが。

なぜか、始発駅のupperfieldから乗らずに

途中の、ここbluemorrisから乗る事になったのは

単に、思いつきである。


そもそも、飛行機で行けばいいのに


夜行で行こう、などと考えるのも



ちょっと、趣味趣味な神様だ(笑)。



見た目、全然神様には見えないけれど
そんなものかもしれない。



そのひとの心の在り方が、周りから
ありがたいものならば



それは、神様なのだ。




クリスタさんが、天国はどこにでもある、そう言うのと似ていて

神様も、どこにでもいるのかもしれない。

617 魔法使いルーフィ

それで、神様は
オリエンタルエクスプレスに乗ろうと
おめかしして(笑)。


下界に下りて。

なぜか、bluemorrisのめぐたちの側に降り立って。



でも.....「はて、どうやって乗るのかのぉ」


ずっと昔、人間だった頃の記憶はあるけれど
その頃は、まだ蒸気機関車が引っ張っていたし。


汽車が走ってたら、飛び乗れば良かった。







「切符がいるんかの」そう思って

駅の切符売り場を見てみたが、ひとが居なくて。




それは深夜だもの(笑)。




「それじゃあ、あの、めぐと言う娘に聞いてみるか」 どうやって?(笑)。




神様は、そういえば
いくらか能力のようなものを持っているので。




めぐの夢にお邪魔します(笑)。







眠ってるめぐは、のんびりと
おいしいもの食べて、ごろごろしてる

わんこみたいな夢を見てた(笑)。




そこに、知らないおじいちゃん、でも
どこか見覚えのあるようなひとが出たので
びっくり(笑)。



めぐは、魔法使いさんだから
それが、ふつうの夢かどうか、分かる。



「もしかして、神様?」と
めぐに尋ねられて、びっくりしたのは
神様のほう。




「なんで、わかったかのぉ?」と
変装したつもりの神様だけど、そういえば
昔々、めぐは神様に大変お世話になったから



少し、記憶にあったのだろう。

616 魔法使いルーフィ

おじいちゃんは、微笑みながらリサに言う。

「石炭は、大昔は森だったのは知ってるね」


リサはうなづく。



おじいちゃんは、更に「本当だったら、土に帰っているはずの森が、今、ようやく燃えて

灰になって土に帰るのさ。




リサは、連想した。

悩み、なんてものもずっと心に残って
いつか燃えるのかな、なんて。



自分は、そういうものを
燃やして生きて行けば、悩まずに済むな。









そんなふたりを、神様は傍観して思う。




空から(笑)。




リサの悩みは、ひょっとして
おじいちゃんの事が好きで、おじいちゃんの
望みを叶えたくて。

それが、国同士の取引みたいな
妙な事のせいで、叶わなくなったら
どうしよう?




そういう、どうしようもない悩みだった。




リサの生真面目なところも、おじいちゃん譲りだから。



それも、ひょっとして石炭みたいに
長い時間を経て受け継いだエネルギーの
ようなものだったりもするのかな。




神様は、思う。



「やっぱり、この人達の幸せを守らないとのぉ」






国際会議するけれど。



よその国から、お金儲けに来て
この国の人達の幸せを奪うのは、やっぱり変だと


そう思う。

615 魔法使いルーフィ

神様は、人間のふりをして
オリエンタルエクスプレスに乗って行こうか、なんて(笑)

お茶目に、おひげをなでなでして

「ビロードのズボンでもはこうかの」などと

山高帽子にステッキで、地上に下りようかと
思って。


そろそろ眠りについた、地上のめぐたちを
見下ろした。


神様は、夢の中で
みんなに会えたりする。



つまり、夢を見ている子は

神様や、天使さん、それと魔法使いさんに
会えたりするのだけど


それを夢、と思っているだけで


本当は、神様に会えていたりする。



クリスマスの夜、サンタさんに会えるみたいに。





この夜は、どうかと言うと。





リサは、なんとなく
おじいちゃんの夢を見た。


夢、なのか?

おじいちゃんのいる天国に行ったのか?


どっちかな。



よくわからない(笑)。




おじいちゃんは、まだ元気で
黒い蒸気機関車に、朝早く
石炭を焼べていた。




「おじいちゃん?」とリサが言うと


おじいちゃんは、当たり前のように


リサに振り向き、にこにこするのだった。



おじいちゃんは、40才くらいに見え


そんな歳に、リサは生まれていない(笑)。

もっとも、天国に行ってしまうと
年齢はなくなってしまうのだけど。




何してるの?と
リサは、18才そのままで尋ねているのに
おじいちゃんには、幼い子供のように
見えているのかもしれない。


天国だと、みんな見たいように見える。


それは、認知の問題で

人間世界でも、天国に召される日に近づくと
段々、地上の
時間より認知が自由になる。

見たいように見えるようになるのだ。。



地上の3次元に囚われなくなって
自由さが得られるので


そのうち、魂まで自由になると

地上を離れるのだ。




なので、こんなふうに見える。



夢の中のように。





人生は夢、と言ったのはシェークスピアだが

それは、こんな事を言っているのかもしれない。

614 魔法使いルーフィ

だから、きつい仕事でも
不幸せと言う事はない。

むしろ、幸せなのだろう。

人として、真っ当な事のために
働くなら、それがどんなに辛い事でも
幸せだ。



楽で儲かるとしても
その為に、尊敬できない人に
服従したりするより
余程幸せなのだろう。


人として、生き物として
みんなの為に生きられるなら。



そういう気持ちを持っている、国鉄の
職員たちが集う、宿泊所は

どことなく、和やかなムードだ。




リサたちの女子部屋が、フロア違いで
男子と同じ宿舎だとしても

不思議と、リサたち、そして
女子職員たちも嫌悪感を持たないのは


同士。



そんな意識のせいかもしれない。




凛々しい制服を纏い、白い手袋で

信号、よし!



そんな、安全に心を砕く人達に
雑念などない。



いつかは、リサも、その仲間。



そう、いつかと言っても
もう少し、半年も立てば、そうなるのだけれど。


時間というのは淡々と流れる。



魔法使いを除いては。

613 魔法使いルーフィ

玄関を入ると、右手に大きな食堂を見て
まっすぐが、広い廊下。
廊下を挟んで、反対側はまた、温泉(笑)


お湯が豊かな土地らしい。


1階は、会議室とか
卓球場とか。


そのあたりはホテルとちょっと違って

鉄道会社の宿泊所らしい。



「じゃ、寝るだな」とおじさんも、のんびり。



エレベーターなんてないのは
古い建物らしい。


めぐたちは、上の階。

もともと、女子社員は泊まり勤務がないので
当然だが、小部屋である。



男は、2階の大部屋が居並ぶあたりで

雑魚寝である。



でも、特急乗務員たちの寝泊まりする
ここは、国鉄でも特別な待遇であって



普通列車の乗務員たちは、ローカル線の
線路沿いにある国鉄OBの提供する民家で寝たりとか


貨物列車の乗務員に至っては、民家もない
貨物駅の外れにある小屋で


深夜から早朝までの数時間、石炭ストーブを
焼べながら仮眠、とか



それでも、国鉄を支える人達には
使命感がある。

612 魔法使いルーフィ

地上のめぐたちは、それでも
楽しそう。

その実、友人リサを心配した
思いやりの旅なのに。

そんなことを、リサが気にしないようにと
それも、思いやりで


楽しい、秋の旅行、そんなつもりで
振る舞っているうちに


本当に楽しくなってしまう。


みんなと一緒で、遊んでるんだもの。
それだけで、楽しい。



そんなものかもしれない。




学校の玄関みたいな、乗務員宿泊所は
なんとなく、懐かしいけど

学校が建った頃に作られたような、そんな感じ。



下駄箱と、簀の子の玄関
大きなガラスの窓は、枠が鉄で
白いパテで留められていて。



いまなら、さしずめアルミサッシなんだろうけれど

その重厚さが、時代もの。




今となっては、懐かしい。




ミシェルもおじさんも、もちろん一緒に
来る。



おじいちゃんは、この駅の駅長さんだったから
おじさんは、名士の跡取り。


どんなにか、気苦労もあっただろうけれど

そんな事を、気にもしないのか


それとも、無関心なのか。



おじさんは、のんびりとしているように見える。






「こんばん」と、おじさんはにっこりと


玄関から、入口にある管理人さんにご挨拶。



管理人さんは、どことなく

おじさんに似ている感じの、朴訥なお人。



田舎っていいなぁ、なんて
都会の人達は、こんな時に思うのだろう(笑)。


田舎の人達には、ただの日常である(笑)。

611 魔法使いルーフィ

地上のめぐたちと、ミシェル。

「んだな、乗務員宿泊所だな」と、おじさんが
言うので

線路沿いを、駅と反対の方へ行く。
もう深夜なのに、明かりのついている
プチホテル、みたいな建物は白く。


綺麗な宿泊所。と

めぐは思った。

でも、upperfieldの宿泊所よりは
小振りで、落ち着いてるな、なんて
思い直す(笑)。


それは、都会とは全然違うけど
でも、最果ての地に相応しい趣があって。




そんな風に思うに似つかわしい
乗務員宿泊所は、夜遅いから

そろそろ、終列車を降りた乗務員が
眠りに戻ってくる頃。








静かに、静かに。


がらんとした玄関は、広くて
なんとなく、学校を思い出して。


めぐは「学校みたい」



れーみぃも「あーあ、思い出しちゃった。」


「宿題でも忘れたの(笑)」と、naomi。



「そういえば、わたしも授業サボってきたんだった」リサ。




「国鉄職員はもう、いいでしょ」と、れーみぃもにこにこ。


そんなふうに、少しだけ現実を思い出して
ちょこっとブルー(笑)な、JK4人。




でも、今は旅を楽しもう、なんて

ちょこっと現実逃避。









おんなじ旅でも、天上の神様も

やっぱりちょっとブルー(笑)。



「飛行機で、日本まで。それで。」



長い道のりを考えると、ちょっとうんざり。



「そうじゃ。」神様は思う。



めぐたちのように、寝台車で
大陸を渡って行こうかの?



なんて(笑)。




意外に気楽な神様である。

610 魔法使いルーフィ

神様たちは、神様なりに。

地上のめぐたちは、めぐたちなりに。


それぞれ、精一杯に、幸せを願っている。


神様は、みんなの祈りを聞いて。


どうしたらいいのかな、と

いろいろと考える、のだ。





地上のめぐたちは、お風呂あがりで
いい気分。



「でも、よく考えるとさ。
上り2列車で帰れば良かったんだね」と


リサは冷静。



そういえば、そうだ(笑)。



リサの悩みも解消したから、整備した2列車

乗って帰れば、本当は良かった(笑)。


「でも、せっかく来たんだし」と


めぐも、楽しそう。




リサ自身の悩みは、解決したと言うよりは
しっかりと、心に決めてがんばろうと
そう思っただけ。


その、対決する相手になる外国の人達の

気持ちを、宥めて


この国の幸せを考えるようにしてほしい、と
そう願っているのが、天国の神様で



アメリカの神様とか、に

お話して、神様国際会議(笑)で

なんとかしようと、天国の神様は思ってるから



幸せになろう、って気持ちは一緒、みたい(笑)。