たまふの書物語まりふ -19ページ目

649 魔法使いルーフィ

フランスの女神は、「資本家の欲望に、民衆の自由が奪われるのはダメね」と。


それには、アメリカの神様も
ドイツの神様も頷く。


めぐの国の神様は「それで、ジャパニーズの郵便を、外国の資本家が狙っているので
国が保護してるのさ。
郵便だけじゃない。鉄道もそうだ。民間資本家は言うまでもない。
日本人の顔をしているが、外国資本家の手先になって
民衆の自由を奪ってるのさ。例えば」と


個室のスクリーンに、ホログラムを映した。
そのくらいのこと、神様ならできる(笑)。



それは、郵便を届け先順に仕分ける作業。
原始的に、人間が住所を見て仕分けている。


立ったまま作業をしているひとの傍らに、立ち腰掛けが畳んである。



その向こうで、管理職が時間を測っている。




「なんだ、あれは」アメリカの神様。


まるで、囚人と看守だな。と言うと


ドイツの神様は「いまどきは刑罰だってもっと民主的だ」と。




あんなふうにして、民衆の利益を
資本家が搾取してるのさ。


以前は、座ってできた作業を
立たせ急かして、人数を減らしてるのさ。




それで、失業者が増えれば
結局社会が面倒を見るので、同じ事。

でも、資本家は外国人だから、日本人の

社会は知らない。




「ふざけた話だ」と、アメリカの神様は憤慨。




「でも、アメリカンも関わってるんだ」と、めぐの国の神様。

648 魔法使いルーフィ

そんなふうに、思い出してあげることで

天国のリチャードや、エリックは
幸せなのかもしれなくて。


リチャードの親友、スティーヴは
ドラムを叩きながら、そんな白昼夢を
見ていて

めぐが、その夢に
おじゃましたのかもしれなかった。



音楽が好きな、めぐのお父さんが

持っていたレコードの中に、ひょっとしたら
彼達の演奏があったのかもしれないし


ラジオか何かで、流れていたリズム&ブルースを
めぐが、小さな頃に
それを聞いて、なにげなく

夢に思ったのかもしれないし。



それは、どうでもいいけど




レコードの
中に、リチャードは
いつまでも残る。


永遠に。



聴けば、リチャードの楽しかった演奏は
いつでも蘇る。



それも、ひょっとしたら
天国なのかもしれなかったり。



音楽だけじゃあなくて、

映画でも、物語でも。


そうして、生きてきた証を残すのも
生き物の在り方、かもしれないと


めぐは思う。

647 魔法使いルーフィ

その音楽は、もちろんめぐの
生まれるずーーっ前の
ニューヨークの片隅で、輝いていた音楽。


もう、、ピアノのリチャードも
天国のひと。


そのことを、めぐ自身も気づいていないのに

でも、飛んでしまったのは?


そう、天国に境界なんてないのだし



誰でも、心の中に天国がある。


その天国を思い出すきっかけが、めぐに
とっては音楽だったりするのだろう。


リサも、そうなのかな。


ただの音の重なりが、響きが。



どうしてこんなに美しいのだろうと
めぐは思う。


ロックギターの、凛々しさとは
また、違った天国だったり。



時々、ここへ来ていい?と


めぐは、リチャードや、スティーヴ、エリックに尋ねて見ると


みんな、楽しそうに演奏しながら頷くのだ。



いつになったら、あんなふうに
心を音に乗せて、楽器を弾けるのかな、なんて
めぐは、ふと思う。




そんなふうに、地上を思うと
瞬間に、心は地上にもどって

夢は醒めてしまうのだ。

646 魔法使いルーフィ

めぐは、もう一度眠って
リサの夢と一緒に バンドしようかと思った。

でも、リサは起きだしてしまっていたので


(笑)

めぐはひとり、夢の中を漂っている。


そのうち、ゆらゆらと


どこかの、ミュージカルスタジオのようなところにたどり着いた。



コンボの4人は、ギター、ドラム、ピアノ、ベース。



ドラムは白人の大男で、カーリーヘアのブロンド。



スティックを4本持って、重いサウンドを
叩く。



それは、Take the "A" train。


タイトなドラムに、ピアノが絡む。


ピアノは、太った黒人で


やっぱりカーリーの黒い髪。


両手を大きく拡げて、ビートを叩くように


メロディー。


かと思うと、軽やかな風のようなオブリ。





めぐは、、圧倒された。


それは、R&B。



本物の音楽って、こんなものだったのかしらって
めぐは思った。


自由な気持ちになれる。




自分たちが感じていた、ロックの開放感とは
少し違う。



でも、素敵なサウンド。

645 魔法使いルーフィ

「こんなに素晴らしいレールウエイがあるのにな、ジャパニーズは。」と、アメリカンの神様。


「国鉄のままでは、できなかったのかしら」と
フランスの女神。





それが、生き物の怖いところ。
現場の職員は、昔も今も変わらないけれど

国鉄が、国営組織であるが故に
楽して生きようとする、人々が
それに群がる。


それが、国の財源を食って行ったので
国から切り離すと、途端に
利益が出る。


その代わり、鉄道の利用者がお金を
多く払う。



それで利益が出るのは当然である。



それまで、ジャパニーズの社会が
発展途上だった時は


鉄道輸送で、国を発展させる事が
第一だった。



そのコストを国が払っていた。

そういう事である。




郵便はちょっと違っていて

国民からお金を預けて貰って、それを原資にして

お金を、例えば公共のために使った。



それでうまく行っていたのだが

やっぱり、お金がたくさん集まるところには
楽したい人々が群がる。





両方に共通するのは、つまり




欲望の過剰な人々が、社会をダメにしていった。



そういう事で。



それで、ジャパニーズは国鉄を民営化して
郵便局も民営化した。


それを、外国人の欲望が狙っている。



めぐの国の神様が、憂いている先にあるものが
ジャパニーズの現状である。

644 魔法使いルーフィ

めぐは、もいちど
寝たら、夢に戻れるかな?
なんて思って(笑)。


窓際から、朝の光が
レールを綺麗に輝かせるのを

ぼんやりと見ながら、のんびり。



れーみぃも、また寝ちゃったみたいなので(笑)





もいっかい、寝た(笑)。













神様たちは、遠い極東で
naritaexpressの個室、4人部屋に3人。



そこに、もうひとり。



それは、フランスの神様だ。


「こちらにいらしたの?」と、綺麗な声。
澄んだ瞳に、長い髪はふんわりウェーブ。


割と、しっかりとした脚どりの女神だ。




「これはこれは」と、ドイツの神様。


うやうやしく礼をすると、女神は
「また厄介なのが来た、西から雨雲と一緒に、なんて」と、笑った。




いえいえ、とアメリカンの神様も笑う。



和やかに、ショートトリップ。


東京までの短い時間。



「皆様は、これから?」と、女神が聞くので



アメリカンの神様は「ああ、せっかくだから
サンライズエクスプレスで、出雲へ直行しようか、とね」と言うと

女神は、まあ、と笑顔になった。

もともと華やかな顔立ちが、笑顔になると

大輪の薔薇のようで。



神様だから、男でも女でもないけれど
とっても魅力的である(笑)。





「人間だったら恋してしまいそうだな」と
ドイツの神様は、角ばった顎でそういうと



「似合わんな」と、めぐの国の神様。



みんな、笑顔になった。

643 魔法使いルーフィ

「確かに欲望は必要だ。だがな、生きる為に必要なものだけで十分なんだ。
贅沢がしたかったり、威張りたいとか
そんな欲望は要らない。

周りに迷惑なら、群れで生きていけないのさ。


そして。」ドイツの神様は、スマホを手放さなかった
さっきの変な日本人ふうの外国人を指して


「ああ、始終情報刺激に浸ってると
刺激がないと退屈になって、苛立つのさ。
禁断症状のようなものだ。要らないな、あんなものは」と、医学の先進国らしい言葉を述べた。


それは、めぐの国の神様が言った
3次元的な現実だけが欲望でいい、と言う
主張を

生物学的に置き換えたような意見だ。




幸せになる為にコンピュータを使うならいいのだが。


無意味に刺激ばかりを得ていたら疲れるだけだと。



頷ける。



それで、疲弊して
今は、人間っぽい受け答えができない
人間も増えていたりする。

642 魔法使いルーフィ

めぐの心に、まだ
夢でロックンロールした心地よさが残っていて。


もう一度、ロックしたいな、なんて(笑)


思う。




「おはようめぐ」なんて、れーみぃが起き出す。



ほのぼの眠たげだ(笑)。



まだ早いから、もいっかい寝たら、なんて

れーみぃはのんびり。




それもそだね、と


めぐは、少しあくび娘(笑)。




夢うつつの頭で思うのは[ギター弾いた事ない]って事(笑)。



夢の中でロックギター弾いたのは、魔法だったのかなぁ、なんて思う。



リサの夢にお邪魔したんだけど。(笑)。

641 魔法使いルーフィ

動き出したnaritaexpressは、スムーズにスピードを乗せる。

見事なものだが、もともと成田新幹線になるはずの線路あっての事。

本当だったら、新幹線がそのまま通っていたので
もっと便利だったはず。
それを、国鉄民営化が阻んだのだった。



そんな事は、まあ神様たちにはあまり関係ないが
ひとつの国の政治に一貫性がないと、国民は損をする。


成田新幹線を作る資本は、結局国民が払っていたのだから。


それが成立せず、結局naritaexpressが
走っていたりして。



そもそも、国民のサービスのための国鉄が
利益を出さないから、解体された。



と言われるが、本当はそうではなくて
国の組織にぶら下がり、働かないで
高い給料をとっている者
、役人崩れが増えたので

解体したのだが。



つまり、それも言ってみれは
神様の言うような[欲望]が過剰な連中の仕業である。




だから、神様は欲望を抑制した。







「でもな、人間に欲望は必要だよ。」と
アメリカンの神様は、いかにもそれらしく言う。

640 魔法使いルーフィ

神様たちが、遠い極東に旅立った頃

bluemorrisのめぐたちは、のんびり目覚めて


とは言っても、国鉄の朝は早い。

5時頃にはもう、宿泊所は起き出すので


なんとなく、めぐも目覚めてしまって。



ゆうべの変な夢(笑)を思い出す。


ロックミュージシャンになったみたいな気持ちで

神様に出逢ったりして。


神様は、オリエンタルエクスプレスで


遠くへ旅していったんだっけ。




「そう、ロックしようって学園祭で」
れーみぃが言ったんだっけ。



めぐは、みんなが起きて来ないので

のーんびりしながら、そんなこと、考えていた。