そんなわけでオオタスセリライブ打ち上げの翌日、会場に謎の金ボタンが落ちていたのである。そのことをブログに書いたらその宴席にいてかつて僧籍にあったチュウ君から「それはおそらく早逝したS君のだろう」由のメールが来たのある。
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そしてその記事は「そうしたらチュウ君のメールはそれでは終わらなかったのである。」で結ばれている。
そう、それでは終わらなかったのである。
そのライブには水島裕子さんが来られていた。水島さんはスセリさんが脚本を書いて役者が演じる「スセリ台本劇場」の常連出演者である。
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で、僕は水島さんのファンなのである。30年来の憧れの人。
水島裕子さん。モデル、女優として多くの映画やVシネ、ドラマに出演し、子育て休業を経て復帰、旺盛に活動されている。
その一方で随筆、小説も書く才人である。
テレビで初めて水島裕子さんを見たのは「グッドモーニング」という深夜番組だった。そこで白いタンクトップ姿の水島さんは「てん・ぱい・ぽん・ちん体操」を踊っていた。まだ女子大生だったかもしれない。可憐だった。
スポンサーは当時、新進の企業だったリクルートの一社提供だった。いわゆる「リクルート事件」の前。実を言うと僕も同社には何度か寿司をご馳走になったりルドルフ・ヌレイエフの最後の来日公演のチケットを融通してもらったりした。
いや、そんなことはどうでもいい。水島裕子さんである。初めてリアルに水島さんにお会いしたのはその10年近く後。代打の代打の代打の代打くらいで行った日本ペンクラブの総会だった。高齢者が多い中、場違いに若い女性の二人連れがあった。その一人が水島裕子さんだったのだ。そしてもうお一人が歌人の林あまりさんだった。そう、今月初めの「日本の詩祭」内でのYO-ENさんのコンサートにお越しいただきその後の懇親会ではスピーチまでいただいた林あまりさんと初めて会ったのもこの夜だったのだ。。
場違いに若いお二人と、やはり30代前半と場違いに若かった僕は名刺交換などさせていただいた。その後、共通の知人も多いことがわかっていろんなところでお会いした
ドキッとすることも多かった。渋谷の文化村でのイベントでご一緒して渋谷駅まで一緒に帰ったときのこと。109の前でファンの若い男性に声をかけられた水島さんは大きな声で明るく
「今度、ヘアヌード写真集が出るので見て下さいネ♪」
「ヘアヌード見てください」ってあなた・・・。
気弱なお父さんみたいな気分になった。
件のファンの青年は礼儀正しく「すみません、プライベートの時に」と僕の方をみて丁寧に挨拶した。そのころ体重が116キロでアタマは角刈り。太いチェックのスーツなどを好んで着て無駄に見た目が怖かった僕は、「いえ仕事ですから仕事ですから」と強調した。
銀座の試写室でお会いしたとき、「今日はお仕事の帰りですか?」と何気なく尋ねたら大きく明るい声で、
「はい、車内でのファックシーン撮ってました」
いえ、そこまでは聞いてないです。
僕の会社員時代の後輩のトニー・セイント(職業不詳)は偶然にも水島さんの中学の後輩である。「不健康美人の水島さん」と呼ばれその儚げな美少女ぶりで全校の憧れだったそうで、友達何人かと連れ立って水島さんを尾行して家を突き止めたこともあると言う。今なら犯罪だね。いや昔でも犯罪だ。
そんな話を共通の知人である漫画家のいしかわじゅんさんにしたら、いしかわさんが面白がってくれてエッセイに書かれた。
しかしどう間違ったか、水島さんを尾行したのが僕と言うことになっていた。僕はすべての誤解を受け入れる主義なので怪しい尾行者の汚名も喜んで甘受する。どうぞ、ストーカーと呼んでくれ。
しかし僕が水島さんの後輩と言うのはちょっと具合が悪い。いうまでもないが僕の方がずっと年上である。
そんな偽装ストーカーの僕が、往時とまったく変わらずお美しい水島さんと宴席をともにできるなんて。しかも自分の店にお招きして。人間、正直に生きているとたまにこういういいことがおきるので、世の中というのは平等にできている。
宴席ではスセリさんにさんざんいじられた。
「むかーし、二人で渋谷を歩いていて彼氏と間違えられたのが自慢なんだよね?」
(上で書いたエピソードである) まあね。
「一緒に歩いてる男性を“マネージャーさんですか”とか“スタッフさんですか”とか聞かれることはよくありましたけど、“彼氏”と思われたのはあの時だけでした」と水島さん。そして「若いころに一緒に仕事をしたり遊んだりした人とまたこうやってお会いできてうれしいです」と。
「よかったね。これで一生、元気に生きていかれるね」とスセリさん。
ありがとうございます。一生はどうかわからないけど、しばらくは前向きに生きていけそうです。
そうそうそれでチュウ君のメールの件である。
僕には珍しく水島さんとのツーショット写真を撮ってもらいそれをメールで送ってもらったのだ。
(水島さんの許可済)
緊張のあまり、「ねじ式くん」ポーズになってしまった。
早めに帰られた水島さんを見送った後、スセリさんはギターを執って即興で歌ってくれた。
〽トマツは眠る~~、水島さんの夢を見て~
トマツは眠る~~、ツマの隣で~
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