そんなわけで「日本の詩祭2024」。各賞授賞式が終わり、第2部が始まった。
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森まゆみさんとの二枚看板とはなんという光栄。
森さんには編集者時代、写真家の田沼武能先生と対談していただいたことがある。30年位前になろうか。
講演のテーマは「人の声と震災と」。101年前の関東大震災が日本近代史においてどういう意味を持つかをわかりやすく話してくださった。優しい言葉で語られたがかなり厳しい内容もあった。
この本、読みたくなっちゃったなあ。
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森さんの講演も終わり、いよいよYO-ENさんのライブ。昨秋より準備を重ねてきた大一番の始まりだ。
僕が譜面台やマイクやアンプをセットしている間にレジュメを配っていただいた。僕は受付時に手渡していただくつもりでいたのだけど、実行委員長の松尾真由美さんが「直前にお配りした方が他の資料に紛れなくていいですよ」と配慮してくださったのだ。
配っていただいたのは歌唱予定全曲の詩を掲載したA4判4ページ(A3両面)。ヴィヴィッドなイエローのペーパー。
配り終えたころ、ギターを抱えてYO-ENさん登場。リハーサルではジーンズの「さすらいの太陽」スタイルだったが・・、
本番はシックな黒のロングのワンピースに黒のヒール。頭にはアラブ風のターバン、という謎めいた雰囲気。
歌はレジュメのとおり「貫く光」から。早世した重吉の生前唯一の詩集「秋の瞳」収載の詩。
以下、ノンストップで50分。
最初は「ヨーエン? 聞いたことないなぁ」、または「ふーん、まずはお手並み拝見」という雰囲気もあったんだけど曲が進むごとに拍手の音が徐々に大きくなりお客さんが身を乗り出していくのがよくわかった。
MCで「重吉愛」を訥々と語るYO-ENさん。
子曰、「巧言令色鮮矣仁」、そして「剛毅木訥近仁」。
なにも「論語」を持ち出すまでもないかもしれないが、MCはうまい必要はない、と僕は思っている。流暢でなくても、誠実に気持ちを伝えようと相手に向き合えば必ず心に響く。もちろん「オチ」なんて必要ない(「で、その話のオチは?」なんてツッコミを入れる人は相手にしない方がいいタイプの人だと思う)。ましてやこのコンサートは観客がすべて言葉のプロである。小手先、小細工、小利口、はすべて通用しない。誠実に、ちょっと不器用に言葉を選びながら重吉を語るYO-ENさんに注がれる眼はみな温かなものだった。
YO-ENさんの歌を聴きながら深く頷く人も多くいた、そして心地よさそうに首を振る人もいた。レジュメを熱心に読んでくださる方が多かったのはうれしい。
耳から、さらには目から。重吉の世界、YO-ENの世界が相乗して心に染み入ることができたと思う。
重吉楽曲だけで50分10曲のライブだった。
全国から集まった180人の詩人を前に体当たりで「重吉の世界」と「重吉愛」を歌いあげたYO-ENさんに惜しみない拍手が贈られた。
晴れ晴れとした表情でステージを降りたYO-ENさん。やりきりましたね。半年超におよぶ緊張から解放された瞬間でもあった。
いろいろお世話になった詩祭実行委員長・松尾真由美さんのあいさつで詩祭は終了した。ロビーにいたYO-ENさんに「素晴らしかったですよー」「よかったわよー」と話しかけてくださる人も多くあった。
暫時休憩を経て懇親会。例を見ない参加者数だったとのことで確かに大混雑だった。
乾杯の発声は現代詩人会前会長の八木幹夫さん。八木重吉の親戚というわけではないが町田・八木重吉記念館での「茶の花忌(重吉の忌日イベント)」の実行委員長。そしてその乾杯のスピーチでは「茶の花忌」でYO-ENさんの歌を初めて聴いた時の衝撃を語ってくださった。そのあとは詩壇の重鎮が居並ぶテーブルにYO-ENさんを請じていろいろ紹介してくださっていた。
ターバンを巻いたYO-ENさんは大混雑のパーティ会場でもよく目立ちいろいろ声をかけられて、各地に八木重吉を語り合う小さな輪ができていた。なかには「YO-ENさん、あなた自身が詩人です」と熱く語る人もあった。
何人かの来賓スピーチがありその中の一人が歌人の林あまりさん。1980~90年代、大胆な性描写を織り込んだ短歌で一世を風靡した。歌謡曲の作詞家としても著名で代表曲は坂本冬美さんの「夜桜お七」。近年では丘みどりさんの「椿姫咲いた」も大傑作。編曲、映像も素晴らしいので必見。
その林さんが来賓スピーチの中でYO-ENさんの八木重吉楽曲に触れてくれたのには感激。林さんはクリスチャン歌人としても有名で八木重吉を深く愛している人だ。コンサートを終えてホッとしたYO-ENさんとスピーチを終えてホッとした林さんが2人並んでちっちゃなケーキを食べている姿は仲良しの女学生みたいで微笑ましかったな。
さぁ僕もぼーっとしてはいられない。YO-ENさんを引き回さなくちゃ。詩歌は専門外だが痩せても枯れても(痩せてないし枯れてないが)元編集者。いろいろ紹介できた、のだが、迂闊なことを書いて差し障りがあっちゃいけないのでプログラムにお名前のある人だけで書くと…。
現代詩人会の現会長・郷原宏さんには絶対紹介しないと、と決めていた。
今回、上記のレジュメを作るにあたって原典としたのは筑摩書房版「八木重吉全集」だ。その第一回の月報(全集に挟み込まれる小冊子)の筆頭執筆者が郷原さんだったのだ。
八木重吉記念館に詩碑のある「素朴な琴」について論じておられる。1982年の発行の本。詩壇の重鎮も当時は40歳の中堅の詩人。
ぜひともYO-ENさんをお引き合わせしたいが郷原さんとお話ししたい人は多くて周りに人が絶えるタイミングはない。でも僕は痩せても枯れても(痩せてないし枯れてない←しつこい)元編集者。無事にお引き合わせし上記月報の話を入口に重吉を語り合っていただくことができた。「いやぁ、若書きでお恥ずかしいのですけどね」と笑っておられた。今後ともよろしくお願いいたします。
そして森まゆみさんにも。僕自身はすでに講演前に30年振りの再会は果たしている。パーティー会場でYO-ENさんを森まゆみさんに引き合わすことができた。話題は「伊藤野枝」。森さんには岩波文庫「伊藤野枝集」という労作がある。
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一方のYO-ENさんは最近、野枝の生き方に興味を持って小説を中心にいくつか本を読んでいると数日前に聞いたばかりだ。上記の本の表紙にもなっている野枝の言葉
「私は人間が同じ人間に対して特別な圧迫を加えたり不都合をするのを黙って見てはいられないのです」
は確かにYO-ENさんの根本的な考え方と合致していると思う。
20時に終宴。お疲れさまでした。
YO-ENさんと僕もここで解散。先に書いた「YO-ENさんの控室」というのは3つ星ホテルでもあるアルカディア市ヶ谷の客室で、YO-ENさんはこのままお泊り。後で聞いたら皇居外濠を見下ろす9階のお部屋だったそうだ。
(YO-ENさんのFacebookから)
僕は最後の老泥(ローディー)業務。YO-ENさんのギターをお預かりして担いで帰った。
21時30分帰着。ギターを置くべき場所に安置して任務完了。頼まれていた演奏動画もちゃんと撮れていた。
プレッシャーに打ち勝って堂々とステージをつとめ多くのお客様を魅了したYO-ENさん、お疲れさまでした。本当に立派でした。数々の図々しい要望を快諾してくださった現代詩人会理事の松尾真由美さん、推挙してくださった八木幹夫さん、ありがとうございました。スピーチをしてくださった林あまりさん、ありがとうございました。詩祭実行委員の詩人の皆様、いろいろお世話になりました。
昨秋以来、このプロジェクトのことが頭から離れることはなかったが、大成功でフィニッシュできて本当によかった。出版畑出身の僕としては「H氏賞」というワードにYO-ENさん以上にビビるシーンもあったし逆に過剰反応していろいろ思いついては鬼の無茶振りもずいぶんしたが、YO-ENさんはそのすべてに応えてくれた、というか僕の予想の斜め上を行くアクションをしてくれた。
無事お手伝いできてよかったし滅多にできない経験ができて楽しかった。またまたこのコンサートが何かの萌芽となればうれしいなぁ。
・・・もうすぐ開催・・・・・・・
6月13日(木)〜25日(火)
「国立うちわ市2024」
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初日の6/13午前は予約制です。
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6月15日(土)18時開演
6月16日(日)13時開演
6月16日(日)15時開演
6月16日(日)18時開演
「オオタスセリワンマンライブ《4回興行》」
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7月6日(土)
グレート義太夫&みま! 【七夕前夜祭 織姫と彦星!?】
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7月13日(土)
恋うたでない恋うた ~パロミタ友美のバウルの歌舞い
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・・・・・・・・・・・・公開中・・・・・・・・・・・・・・
当ビブリオが「美術協力」したミュージックビデオ「私の孤独」「わたしはわるい人間だもの」、YOUTUBEで無料公開中です。
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