強弓の戦士アルジュナが、いざ戦う場面において敵方に、血縁関係を持った従妹や、戦術を教えてくれた恩師がいる。
その様な場面を前に、倫理感や道徳心を持ったアルジュナは相手を殺すことに躊躇し悩み果ててしまう。
そしてアルジュナは絶対神クリシュナにどうしたらよいのか問うたのである。
その答えは、戦士として結果に囚われずに、責務を果たす為に戦え、との諭しであった。
私はこのクリシュナの答えに驚愕し、道徳、倫理、宗教、を超越した教えとはいったい何なんだ。
この答えを知るため、22年前にバガヴァッド・ギーターの世界に入り込むのでした。
それまでは、30歳の時から仏陀、老子、密教と学んできましたが、この問答を知って初めて、宗教を超えたインド哲学バガヴァッド・ギーターがある事にきづいたのです。
バガヴァーン・シュリー・クリシュナは語る。
博識なことを君は話すが、悲しむ値打ちのないことを君は嘆いている。
真理を学んだ賢い人は、生存者のためにも死者のためにも悲しまぬものである。
私も君も、ここにいる王たちも、かつて存在しなかった事はなく将来存在しなくなる事もない、始めなく終わりなく、永遠に存在しているのだ。
肉体をまとった魂は、幼年、青年、壮年を過ごして老年に達し、死後捨身してすぐに、他の体に移る。
おお、アルジュナよ、苦楽は季節がめぐるごとく去来するが、全て感覚の一時的作用に過ぎない。
それに乱されず耐えることを学べ。
幸福と不幸に心を乱されず、常に泰然としてゆるがぬ者こそ、大いなる自由を得るに、ふさわしい人物である。
物質と精神の本性を学んで、真理を見据えた人は、肉体は現象しても持続せず魂は、永遠に存在する事を知る。
体内にあまねく充満している魂は決して、傷つかず破壊もされない。
たとえ、いかなる人でも方法でも、不滅の魂を滅ぼすことは、出来ないと知るべきだ。
生きとし生けるものは、永遠不滅であり、その実相は人知によっては図りがたく、破壊され得るものはただ肉体だけである。
原初より在りて永遠に在り続け、肉体は殺され朽ち滅びるとも、魂は常住し不壊不滅である。
おおアルジュナよ、魂は不生不滅にして、不壊不変なりと知る者がどうして誰かを殺し、また誰かに殺されると言おうか。
新しい別の服を着るように魂は、古びて役に立たない肉体を脱ぎ捨て、次々と新しい肉体をまとうのである。
どのような武器を用いても、魂を切り刻むことは出来ない、火でも焼けず、水にもぬれず、風にも干からびることはない。
この、それぞれの魂は壊れず溶けず、燃えることなく乾くことなく不朽にして、あらゆるところに充満し不変にして、不動不滅である。
魂は五感で認識することは出来ない、目に見えず人知で想像も及ばぬもの、常に変化しないものと知って、肉体のために嘆き悲しむな。
もし魂が、誕生と死を絶え間なく繰り返すものと、君が考えていたとしても、悲しむ理由は何もない。
生まれた者は必ず死に、死したものは必ず生まれる。
必然不可避のこのことを嘆かずに、自分の、魂としての義務を遂行せよ。
万物はそのはじめにおいて形なく、中間の一時期に色相を顕し、また終わり滅して無色相となる。
この事実のどこに悲しむ必要があるのか。
ある人は魂の神秘をみて驚嘆し、ある人はその驚くべき神秘を語り、ある人はその神秘について聴くが、愚かなる者はその魂の神秘を全く理解できない。
おお、アルジュナよ、肉体の中に住む魂は永遠不滅にして殺すことは不可能だ。
ゆえに、全ての生物について悲しむな。
クシャトリヤとして生まれ、その義務を負ったおまえが、宗教法則を守る為の、戦いに参戦する善事に、どこにためらう必要があるのか。
ただ義務なるがゆえに戦うならば、けっして君は、罪を負うことはない。
さあ、立ち上がって戦う決心をせよ、ほかの事は一切考えずに、ただ戦うために戦え。
(注)
ここで、宗教法則を守る為の、戦いに参戦する善事にとありますが、なぜ善事かと言うと。
アルジュナは戦士(クシャトリヤ)の階層です。
クシャトリヤは民を守るために敵と戦う事が責務であり、その責務を果たすことが、カルマを果たすことになるのです。
ギーターでは、このカルマを果たすことは善事であると解釈されています。
制作&語り バール・クリシュナ
私は20年以上前に、自己の本性は何か?、それは何処からきてどのようになって行くか?、と言った自己を存在たらしめる根源的疑問を解明しなければならないと思い、インド哲学バガヴァッド・ギーターの探求を決意しました。
<15年間読み続けて分厚くなってしまったギーター>
<何回も何回も読みこんできた痕跡>
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津軽三味線演奏家
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メール sirai-katuhumi@sea.plala.or.jp
白井勝文(バール・クリシュナ・フミオ)