「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド -8ページ目

「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド

ブラジル移民から世界放浪 若い頃にフラッシュバック
消せないアルバムの話。

出張で来たハワイ「懐かしい」

まさか何度目のハワイでこんな事が起きるなんて。

 

仕事は飛行機に食事を提供する事、親会社は大手航空会社。

その航空会社が、念願のホノルルからの初フライトに、食事を乗せるまで調整する為の出張だ。

 

初フライトの何日前から現地入りし調整「いよいよ明日フライトですね」

一緒に来た航空会社の社員は緊張している。

「明日は社長も来るので 今日は寝れないです」

俺は「まあ 大丈夫ですよ」「普通にやりましょ」

 

ワシントンDCでこの業界の仕事携わったのがきっかけで、この会社に誘われて入社。

入社して何年かで、大手航空会社の念願の仕事を任された。

 

「今日の夜から準備があるので少し休みます」

「ゆっくり休んで下さい 今夜はよろしくお願いします」

「解りました」そう言って別れ、ホテルの部屋に戻りベットに入った。

 

どの位経ったのか「起きて下さい」強くドアを叩く音。

「どうしたのですか」

「大変です 準備していた業者が保健所のチェックでダメに」

「どうしましょ どうにか出来ますか?」

「何でもやります お願いします」泣きそうになる社員。

「飛行機は満席ですよね」

「エコノミーは洋食対応でどうにかなる でも 蕎麦が付く 出汁か」

こんな会話を何分かして「やるしか無いでしょ」

 

それからが大変、ホノルル市内のスーパーで日本食材の大量買い。

その食材を仕込みして、明日のフライトまでに調理する。

 

ワシントンDC時代の経験がここで発揮。

 

そして翌日、昨夜から徹夜で調理した料理を、飛行機に無事に積む事が出来た。

 

「本当にありがとう御座います」目いっぱいの涙の社員。

「俺は疲れたので休みます」流石に疲れた。

 

それから何週間か、何人かの現地ヘルプを使ってこなした。

その後は現地業者を決め、段取りをつけて帰国する事が出来た。

 

世界を周り、やってきた事がこんな形で結び付く。

「俺のハワイ色々物語」

「正月の花園ラグビー場」今準決勝で俺は戦っている。

「3対3の同点、5メーター先にはゴールラインだ」

「モールでボールが見えない」

 

俺の学校は全国でも有名な優勝候補「ここで負ける訳にはいかない」

 

「この学校でラグビーを始めたのは、テレビドラマの影響」

「これが青春だ」刺激的に俺の体に感じた。

「初めて知るラグビーと言うスポーツ」

 

中学時代は全校での体育員長「運動には自信があり」

「走って負ける事はなかった」

 

ところが、この学校は全国の中学からの集まり。

「放送陸上で活躍した奴、格闘技で活躍した奴」

「体がでかくおっさん見たいな奴、悪で喧嘩ばかりしてた奴等々」

「普通の中学生にはハードルの高い学校だ」

 

先輩達はとても高校生には見えない「皆んな怖いおっさん達」

「OBには全日本メンバーの人もいる」

 

「俺は場違いでラグビーをやってしまった」

そんな俺が今、花園ラグビー場で準決勝で試合をしている。

 

「回せ 回せ 回せ」スタンドオフの俺は叫んだ。

スクラムハーフの二年生は「俺の声が聞こえないのか」

「回せ 回せ」俺は又叫んだ。

二年生はそのままゴールラインに突っ込んだ。

 

ゴールライン前で敵に潰された。その時 ホイッスル「ノーサイド」

ラグビーは同点での延長は無く抽選「負けた」

 

俺の青春がこの時に終わった「もしも ボールが回っていれば」

「抽選で勝っていれば」人生はこんな物なのかも知れない。

 

その二年生のスクラムハーフは、その後 日本で有名な伝説のラガーマンになった。

 

「濃縮な5分だ」ラグビーは今では好きでも嫌いでもない。

 

「触れたくない、あの時間」甲子園に出た球児達にもきっとあるだろう。

 

あれ以来 あの時の仲間に会った事がない。

一緒にやっていた寿司職人の夜逃げ。

 

何時ものようにアパートの前で待っていると「若い奴が血相を変えてやって来た」

「こんな物が置いてあって、居ません」「置手紙だ」

「迷惑かけてすいません、探さないで下さい」と書いてある。

 

直ぐに店の女将さんに連絡をし、俺達は時間がないので仕事に行った。

飛行場から帰ってから女将さんと相談「判断がつかないので、少し時間がほしい」

「日本から社長を呼んで相談する」と言う。

 

数日後、社長が来た。事情を説明してこれからの体制の相談をした。

すると、「昼の店の方も経営が上手くいっていない 逆に機内食ビジネスの方が利益が出ている」

「それならば、ちゃんと人を入れて下さい」

「今の様な夜中の時間帯ではなく、昼間に出来る場所でお願いしたい」「解った」社長は約束した。

 

後日、若い人が日本からやって来た「とりあえず人の確保出来て、又いつもの時間が流れた」

 

ある日、店の女将さんが部屋に尋ねて来た。

「昼間の経営が上手くいかない、天ぷら屋の責任者がちゃんとしていない」と言う。

「大変ですね」散々いい様にされた自分には興味が無い。

すると「又、昼間に戻ってくれない」と言う。「俺は即答を避けた」

 

「何ていい加減な奴らばかりなんだ」「この店は多分失敗する」

 

アメリカに見ていた夢が、現実のグレーに染まって行くようだ。