「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド -4ページ目

「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド

ブラジル移民から世界放浪 若い頃にフラッシュバック
消せないアルバムの話。

日本戻って間も無く「ワシントンDCでお世話になった会社から、仕事の誘いが」

 

「サラリーマン職人」家族は生活の安定を考えて賛成。

 

俺のような風来坊生活に、不安を感じていたのだろう。

「迷った」「束縛と引換えの安定」「自分の今までに否定していないのか」

家族への安定は俺の我慢で相殺が出来る「自分を取り巻く人達への配慮」

当分の間は俺自身の心との葛藤となるが、家族を守る為「自分を殺してやってみよう」

但し「子供が社会に出た時に自分に戻る」そう自分に言い聞かせその会社に入る事にした。

 

全く人生間感の違う人達との仕事の関係は「我慢の連続」

「職人は口は悪いが腹はいい」この会社の人間達は口では上手い事を言うが、何を考えているのか解らない。

「怖い人間達だ」俺のような人間とは吸う空気が違う。

「信用出来ない」「我慢、我慢、早く子供が大きくならないかな、自分に戻りたい」

「あの世界を旅した事を無駄にしたくない」「俺はあきらめない」

「人生って、自分が楽しくなければ人生じゃない」そして俺はその日が来るまで自分を捨てた。

 

俺は元の姿に戻る時が来た。

 

「なんの未練もない」生活の為だけの時間潰しだった。

本当にろくでもない人間達がいた「人の足を引っ張る事が趣味みたいな奴ら」

少しでも仕事が上手く行きそうになると、便乗したふりをして潰しにかかる。

「つまらない顔をした人間達ども、さよならだ」

 

「自由な時間を取り戻す」何年かはサラリーマン時代の垢落としをする。

 

そして「自分がやりたかった事もう一度考える」「それが、海外なのか日本なのか」

 

「バカブンドな時間の始まりだ」チャオ 俺、アディオ 我慢した時間。

店の女将さんが部屋に又来た「天ぷら屋の責任者が辞めるの」

「助けてくれない」と言って来た。

 

「俺がオープンの時に、大変な思いをしてどうにか起動にのれたら、夜の仕事に変わってくれといい」

「今度は、昼の状態と人の件が上手くいかないから、又 昼の方に変わってくれないかと言う」

「何か都合よく人を使おうとしていないですか」社長と約束した件の答えを聞いてからだと伝えた。

女将さんはがっかりしたように「解った」といい部屋を出て行った。

 

数日後に社長は日本から飛んで来た。

 

社長は「昼の経営がきつい、責任者を日本から呼んでも上手く行く保障がない」

「このままでは、昼のやり方を変えなければならない」

「変えて上手く行くのならば、変えた方が良いではないですか」と俺は言った。

「例えば夜だけの営業にして、人も少し減らす」社長もそうしようと考えていると言う。

「それと、今は夜中のビジネスの方が順調で利益が出ている」

「以前に話をした昼でも出来る体制と、場所の確保の件はどうなったですか」

「当分は無理、給料の件ならいくらでも相談に乗る」

「体もきついし、いつ人が辞めるわからない状態では、長続きはしないと思いますが」

「その時は、そのビジネスは終わり」「えっ、俺達の仕事はとりあえずですか」「それがビジネスだ」

その時、俺は心の中でもう終わりだと思った「言葉にならない」

 

家に戻り女房に話をした。

妻は「出来ればこのままアメリカに居たいけれど、貴方の体が心配」店を辞める事にした。

 

その件を店の女将さんに伝えた。彼女は驚き「社長に連絡するので、それまで待って下さい」

翌日、女将さんが又部屋に来て「もう一度、どうにかならない」「無理」と俺は言った。

女将さんは社長の伝言を言った「人を送るので引継ぎとトレニーグを含め、三ヶ月待ってほしい」

とお願いされ俺は了解した「話を聞いていた女房もうなずいていた」

「私達はワシントンは嫌いではないの、でも、夜中の仕事をずっと続けると内の人が死んでしまうかも知れない」

「この子供達はどうなるのですか」女房は泣き出した「女将さんも泣いていた」

 

そうして、三ヶ月後に日本に帰る事が決まった。

 

二人きりになった時、俺は女房に「済まない」「日本に帰るけど、又、苦労かけるな」言葉が続かない。

 

夢を抱いてきたアメリカだけど上手くいかなかった。

「アメリカンドリームか 夢は蜃気楼なんだな」「又 さよならか」

空はどんより、街が暗いロンドンに住む事になった。

突然のパリとの別れ、今でも尾を引いている「逃げる様な出発が嫌だった」

 

今は、パリにいた時の知り合いのツテでバイトしている。

この街には、パリの店で一緒にバイトした仲間だったり、北欧を一緒に旅して、

フランクフルトでのバイト仲間等々、結構多くの人が住んでいた。

 

バイトしている店は、居酒屋と鉄板焼きをやっている。リージェント通りが近く、

「ロンドンの中心街って感じ」、店に慣れるのには時間はかからなかった。

 

何人も知ってる仲間いるので、色々な情報は毎日届く「気になるパリの事も」

ある日、フランクフルトのバイト仲間が「今夜時間あります」「あるよ 何?」

「それは 今夜に会ってから」「わかった」

 

トラフィラガー広場のライオン近くで待ち合わせ「待ちました」「うん〜ん」

彼のそばにもう二人がいた「あれ フランクフルトにいたオックスフォード」

彼はロンドンから車で旅行、お金がなくなりフランクフルトの店でバイト。

 

見た目は頼りなく、頭も良さそうには見えない、ところが、オックスフォードの学生だ。

「信じられないな」、俺はイヤミ半分でオックスフォードと呼んだ「久しぶりです」

「アムステルダムへの珍道中は迷惑かけました」「あの時の車は?」「未だ 乗っています」

「あっ こちらは僕達の店のオーナーです」「初めてまして」、若い人だけど礼儀正しい。

「お話は色々と聞いています、今日はお近づきでお酒でもどうですか」俺は戸惑った。

「良く解らないけど いいんですか」、二人の仲間が「行きましょうよ 話はそれから」

 

若いオーナーの後を歩いた。リージェント通りの裏通りの店の前に着くと「ドアをノック」

するとドアの小窓が開いた、若いオーナーはカードを見せるとドアが開く。

 

「ここは有名なプレイボーイクラブ」、中は暗く映画に出てくる店の感じ。

バニーガールを初めて見た「こんな所に連れて来て どうするんだ」と呟いた。

 

「こんな所に連れて来てごめんなさい」「私の店に来てもらえませんか」「はいっ」

「俺なんかをですか」「僕は、この二人を凄く信用しています」

「この二人が絶対いい人と言うので お会いしたくて」「大した人間じゃないです」

「今日は顔見せだけにしますので 自由に飲んで食べて楽しんで下さい」「わかりました」

 

オーナーが席を外す。俺は二人に「どうゆう事なの」「オーナーには何か計画あるみたいで」

「信用出来る人間を集めているみたいです」「詳しい事は 又 次回と言う事です」「ふん〜」

バニーガールの綺麗な女がお酒を持ってくる「こんな世界もあるんだな」

「あのオーナーは何者なんだろう」不思議な時間を見た。

 

その後にもう一度会った「オーナーの計画は、リゾート地で店をやる事」

その時に、信用出来る人間で固めたいと言う事だ。話は食事をしながらショーもある店で。

面白そうな話「迷った」、二人は「一緒にやりましょうよ」その夜は押し気味で話を聞いた。

結論は二人に伝えてと言う事で、豪華なディナーは終わった。

 

俺は自分の旅の夢があるので「その計画に参加する事はなかった」

 

二人は本当にがっがりして「もし 気持ちが変われば連絡ください」「ごめんな」

人生の中にはどんな人にも別れ道がある。

 

「後悔がないとは言わない でも 面白い時間だった」「あれから二人はどうしたかな」

 

ロンドンは、普通では経験出来ない場所と時間「二度と出会う事がなかった あの不思議な空気」

でも、夢があったな俺の旅「笑える」