「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド -3ページ目

「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド

ブラジル移民から世界放浪 若い頃にフラッシュバック
消せないアルバムの話。

ヨーロッパを転々して、バイトを見つけたジュネーブ。

 

店の感じはカフェ、オーナーは洋食の人見たいな感じ。

奥さんは店でキャシャーをしている「冷たい感じ」

それに若い人がいた「仕事が出来ず いつも怒られていた」

俺は「はい はい」と言って働いた。

 

ジュネーブの街は小さくて「見る所が少ない感じ」

 

綺麗な部屋に泊めてもらい、朝は9時頃までに入ればいいので「楽な環境だ」

 

レマン湖を見ながら歩いて店に向かう「ある朝の事です」

 

ジュネーブの街を抜け、レマン湖の方に向かう時「白いロールスロイスのオープンカー」

信号のある交差点でそれを見た「金持ちの男と毛皮に膝が破れたジーンズの女」

女はシートに座らず、後部の車の上に腰を下ろして「何か叫けんいる見たいな」

背も高そうで金髪「多分モデルだろう」

「かっこいいな ロールスロイスに金髪の女 破れたジーンズ ミンクの毛皮」

「どんな生活をしているのかな 少し覗いて見たいな」

 

今見た光景を考えながら、レマン湖の脇を歩いて店に向かった。

 

白鳥のつがいが「ガーガー言ってる」

そんな朝のジュネーブを迎えた事がある「この時の朝も世界では普通かも知れない」

 

旅の途中の俺には「普通には見えない 羨ましくもない」

 

草木も枯れ始め、いよいよ間も無く雪の季節が草津にも到来。

 

あれから何回か、中居の若い子との湯畑での無駄話が続いた。

 

その度「今年は一緒に冬を越そうよ」「俺にだって東京に用事があるよ」

 

「どんな用事 わかった女でしょ」「まっ 色々あるから」「別にいいけどね」

 

「私はあなたの彼女じゃないし」「でもね ちょっと深い友達だからね」

 

「わかりました」この中居の子とは楽しい時間もあった。

 

それでも俺は、後一週間で山を降りる事にしていた。

 

そんな時、あの中居の子が「今日は付き合ってもらうからね」「どうしたの」

 

「それは今夜話す」何か怒っている。

 

いつもの湯畑の店で先に来て待っていた「今日も寒いな 先に熱燗でも飲んでいよ」

 

そこに彼女が息を切らして来た「ごめん 片付けに時間がかかって」「あっ もう飲んでる」

 

「まっ いいか 私は先ずビール、そして文句を言うよ」「文句って何」

 

彼女はビールを一杯飲んで「お腹の減っているのでおでんも食べよ」じっと見ていた。

 

少し落ちついたようだ「ねえ 山を降りるんだって 聞いたよ 本当」「早いね もう耳に入ったのか」

 

「冷たいじゃない」「明日でも言おうと思っていたんだ」「嘘だ 黙って行こうとしたんでしょ」

 

「俺はそんな事はしないよ」「でっ いつ行くの」「来週の月曜」「もう何日もないじゃない」

 

「この薄情者」「そんなに怒るなよ 草津くらいはいつでも来れるよ」「わかりました 約束だからね」

 

その夜は彼女のうだうだ話に多め酒で疲れた「でも 優しい女だな 後ろ髪引かれる」

 

草津を去る前の日に付き合う約束を、ひつこく文句言われ「はい 守ります」ただ返事。

 

本当に草津の山にも雪ぱらつき始めた「いいタイミングで降りれる 後は今夜か」

 

そして、その夜もいつもの湯畑で話が始まった「明日でさよならだね」「未だ その言葉は早い」

 

「私し明日休みなんで、今日はひつこいよ 覚悟して」「お手柔らかに」

 

初め頃の話から始まり、昔の彼氏の話、ホテルの話で盛りだくさん。

 

「もう話す事はないでしょ」「少し休んだら 又 話すよ」可成り飲んだけど呂律は回っている。

 

「酒強いね 俺はもう充分」「寒くなったので、最後にホテルの温泉でも入るかな」「私も入る」

 

二人で暗い坂道をぞろぞろ歩いた「ちょっと待って」急に彼女が抱きついて来た「馬鹿」

 

「又 来るよ」若いのに情熱的な子だ。

 

ホテルの大浴場は夜中も開いている「もう この時間は誰もいないから独り占めだ」

 

「じゃ 私も一緒に入るね」「何言ってるの」「そこでサヨナラ言うよ いい」

 

彼女はさっさと風呂に入ってしまった「ここは男風呂だぞ」「誰も来ないよ」

 

勇ましい女だ「俺に裸をみられるぞ」「お別れのサービス」湯煙の向こうで彼女は笑っている」

 

草津は雪国になり、春が恋しい待ち時間に入る。

 

あの寒い湯煙の温泉での事は中々な話。そう言えば、その後二人で布団部屋でぐっすり朝まで。

 

「笑えるな 俺の温泉物語」人には言えないあの湯煙り模様。

万博の仕事が終わり帰国に。

 

途中ロスに寄り前泊「多くの連中は有名地観光に前日からそわそわだ」

 

「ロス観光はいらないな」「秋のベニスビーチでもうろつくか」

 

そんな俺の行動に気がついた女子がいた「私も暇な時間を観光には行かない」

 

「明日 どうするの?」「ベニスビーチに行って、太陽でも浴びる」「ふーん」

 

この女子は、ニューオリンズ万博で一緒の仕事仲間「見た目 ラテン風の女子」

 

何回か夜遅くまで飲んで事もあった「ちょっと乗りのいい女子だ」

 

「皆んなと観光に行かないの?」「私 昔ここロスに住んでいたの」「へ〜」

 

「じゃ 今更 観光はないね」「でも 皆んなを案内でもしたら」「面倒」

 

要は彼女は俺と時間を潰したいんだ「じゃ ベニスビーチにでも行く」「行く」

 

翌日 朝早くから海に向かった。カフェで小腹を満たし、ベニスビーチまでそぞろ歩く。

 

「二人でこんな所を歩いている私たち、どんな関係」「成田までの友達」「それでいい?」

 

「今はいいじゃない、楽しもう」秋のベニスビーチは未だ日が強い。

 

何組かのカップルが日焼けしている。彼女もビキニになったいる「スタイルいいね」

 

「成田で本当にいいの」「うん〜ん 」可愛い女子だ。

 

「お腹空いたね」「そろそろランチしようか」「シーフードがいいね」

 

ビバリーヒルズの小洒落た店でランチ。店のお客はセレブに見えた「いい店だね」

 

もう何時間も彼女といるのに話が尽きない「気楽に楽しい時間」

 

記憶は少し鮮明で、少しロマンチック「夜はどうするの」彼女が聞いてくる。

 

「美味しいご飯とワインで、アメリカの余韻を味合うかな」「私は?」

 

「成田までの友達か」「私、大人の雰囲気の店知ってるよ」「どうしたい」

 

「もちろん 一緒にいたいよ」睨む様な目の彼女が大人に見えた。

 

アメリカのラストナイトは、長い無駄話とワインで朝まで。

 

ニシシッピー川の河川敷を歩いた時の青草の香り、俺の記憶の香りは消えない。