「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド -13ページ目

「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド

ブラジル移民から世界放浪 若い頃にフラッシュバック
消せないアルバムの話。

空はどんより、街が暗いロンドンに住む事になった。

突然のパリとの別れ、今でも尾を引いている「逃げる様な出発が嫌だった」

 

今は、パリにいた時の知り合いのツテでバイトしている。

この街には、パリの店で一緒にバイトした仲間だったり、北欧を一緒に旅して、

フランクフルトでのバイト仲間等々、結構多くの人が住んでいた。

 

バイトしている店は、居酒屋と鉄板焼きをやっている。リージェント通りが近く、

「ロンドンの中心街って感じ」、店に慣れるのには時間はかからなかった。

 

何人も知ってる仲間いるので、色々な情報は毎日届く「気になるパリの事も」

ある日、フランクフルトのバイト仲間が「今夜時間あります」「あるよ 何?」

「それは 今夜に会ってから」「わかった」

 

トラフィラガー広場のライオン近くで待ち合わせ「待ちました」「うん〜ん」

彼のそばにもう二人がいた「あれ フランクフルトにいたオックスフォード」

彼はロンドンから車で旅行、お金がなくなりフランクフルトの店でバイト。

 

見た目は頼りなく、頭も良さそうには見えない、ところが、オックスフォードの学生だ。

「信じられないな」、俺はイヤミ半分でオックスフォードと呼んだ「久しぶりです」

「アムステルダムへの珍道中は迷惑かけました」「あの時の車は?」「未だ 乗っています」

「あっ こちらは僕達の店のオーナーです」「初めてまして」、若い人だけど礼儀正しい。

「お話は色々と聞いています、今日はお近づきでお酒でもどうですか」俺は戸惑った。

「良く解らないけど いいんですか」、二人の仲間が「行きましょうよ 話はそれから」

 

若いオーナーの後を歩いた。リージェント通りの裏通りの店の前に着くと「ドアをノック」

するとドアの小窓が開いた、若いオーナーはカードを見せるとドアが開く。

 

「ここは有名なプレイボーイクラブ」、中は暗く映画に出てくる店の感じ。

バニーガールを初めて見た「こんな所に連れて来て どうするんだ」と呟いた。

 

「こんな所に連れて来てごめんなさい」「私の店に来てもらえませんか」「はいっ」

「俺なんかをですか」「僕は、この二人を凄く信用しています」

「この二人が絶対いい人と言うので お会いしたくて」「大した人間じゃないです」

「今日は顔見せだけにしますので 自由に飲んで食べて楽しんで下さい」「わかりました」

 

オーナーが席を外す。俺は二人に「どうゆう事なの」「オーナーには何か計画あるみたいで」

「信用出来る人間を集めているみたいです」「詳しい事は 又 次回と言う事です」「ふん〜」

バニーガールの綺麗な女がお酒を持ってくる「こんな世界もあるんだな」

「あのオーナーは何者なんだろう」不思議な時間を見た。

 

その後にもう一度会った「オーナーの計画は、リゾート地で店をやる事」

その時に、信用出来る人間で固めたいと言う事だ。話は食事をしながらショーもある店で。

面白そうな話「迷った」、二人は「一緒にやりましょうよ」その夜は押し気味で話を聞いた。

結論は二人に伝えてと言う事で、豪華なディナーは終わった。

 

俺は自分の旅の夢があるので「その計画に参加する事はなかった」

 

二人は本当にがっがりして「もし 気持ちが変われば連絡ください」「ごめんな」

人生の中にはどんな人にも別れ道がある。

 

「後悔がないとは言わない でも 面白い時間だった」「あれから二人はどうしたかな」

 

ロンドンは、普通では経験出来ない場所と時間「二度と出会う事がなかった あの不思議な空気」

でも、夢があったな俺の旅「笑える」

この街に来て何ヶ月が過ぎた。

 

日本の大手デパートの日本食店「店の中は日本だ」

 

少ない日本人だけでやっている。

 

従業員のコミュニケーションとして、誕生会をやっていた。

 

その月の誕生日は、表のサービスの女子「小柄で元気な子」

 

その子は、以前いた厨房の男の子の彼女だそうだ。

 

俺と入れ違いで日本に帰ってしまった「好きだったんだろうな 」

 

その女子が22歳になる誕生会。その日はお客も少なく、早めに会が始まった。

 

お酒もまわり、宴会の付き物の歌が始まった「俺も何か歌わなければいけない感じ」

 

少しギターが出来たので「22歳の別れを歌います、ギターは下手ですけど」

 

♫ あなたの誕生日に22本のローソクを立て ♫

 

その時「その子が泣いている」俺は戸惑った。

 

俺は歌うのをやめた。周りの同僚の女子達は「大丈夫、元気出して」

 

すると、その女子が「歌やめないで、最後まで歌って下さい」

 

俺は言われるままに、又 歌い出した。

 

何となく時間が過ぎて、その誕生会は終わった。

 

次の日、その子から仕事終わりで「今日、時間あります?」

 

二人で夜のカフェに行く事なった。「昨日はごめんなさい、急に日本に帰った彼を思い出して」

 

「いいえ 気にしないで。彼の事が本当に好きなんだね」

 

「うん でも それだけじゃないの。貴方が少し似てるので」

 

「22歳の別れも、彼の好きな歌」

 

「それは、まずい歌をやってしまったな。でも あんなに泣くなんて」

 

「でも 嬉しくて。ここに彼がいるみたいな感じがした」

 

「お願いがあるんです」

 

「何ですか?」

 

「ローマに私がいる間、友達になってくれませんか?」

 

「それじゃ浮気になっちゃうじゃないの?」

 

「大人の友達、二人の秘密、お願いします」

 

「まあ いいか ローマの思い出。そんな感じでいいのかな」

 

22歳の別れの歌で、この時間が生まれ、若い子とのストーリー。

 

あんな時代もあった。でも 懐かしい「ローマ 夏って感じ」

再びパリ、一年ぶりでシャンゼリゼを歩いた「なんか ただいまだかな」

 

前にバイトしていた店に顔出した「あら 久しぶりね」店の女将が声をかけてくれた。

 

「又 バイトしたいですが」「真面目にやってね 直ぐに辞めない事 守るならいいわよ」

 

「はい 守ります」着いて直ぐにパリ生活に目処がついた。

 

前にいた人達とは結構変わっていた「俺の仕事は変わらずの、揚げ物係」

 

それと、週二回の朝早くの市場への買出し「これは前にはなかったがしょうがない」

 

ある日、新しい表のサービスメンバーに、日本から女性が来た「見た目が地方の子みたい」

 

「よろしくお願いします」一人一人に挨拶して来た「お願いします」俺も挨拶を返した。

 

特に気にする事なく1ヶ月が過ぎた。今度はアメリカ人の女性がサービスメンバーに加入して来た。

 

この女性はモデル並み美人で長身、日本語も出来る「ねえ お茶でも一緒しない」「いいよ」

 

店の表で彼女を待っていたが出てこない。そこに先月に来た女の子が「彼女なら帰りましたよ」

 

「え〜 お茶の約束してたのに」「残念でした ふふふ」笑われた「可笑しいですか」

 

「いいえ ごめんなさい」「ねえ よかったらお茶でもする」「身代わりですか」

「まあ そう言わないで」

 

行きつけの店でカフェを飲んだ。信州の出身だそうだ「話は弾まない」

 

そんなきっかけで何度かお茶したり、たまに酒を飲んだり「なんか近くなった感じ」

 

相変わらずの友達以上に意識はなかった。そんな時「ねえ 今日軽く飲まないですか」「いいよ」

 

「どうせ俺は暇だから」サンジェルマンの雰囲気いい店でワインを飲んだ。

 

「どう最近は店にもパリにも慣れた」「まだまだですよ」「まあ 来年になればもうベテランだよ」

 

「もう何年パリにいるの」「うんーん パリだけじゃないけど約二年はいるね」

 

「パリ以外は何処に」「あちらこちらヨーロッパを回って、バイトしたのはブリュッセルと

フランクフルト、ジュネーブとパリだけど」「え〜 凄いね」

 

「ヨーロッパの前はブラジルのリオとサンパウロで働いていたよ」「本当に凄いいんだね」

「大した事はないけど、歩いたな」

 

そんな話をしたけど、夜も遅くなったので「この続きは又にしよう」

 

この日から始まったような気がする「花のパリのラララが」