この街に来て何ヶ月が過ぎた。
日本の大手デパートの日本食店「店の中は日本だ」
少ない日本人だけでやっている。
従業員のコミュニケーションとして、誕生会をやっていた。
その月の誕生日は、表のサービスの女子「小柄で元気な子」
その子は、以前いた厨房の男の子の彼女だそうだ。
俺と入れ違いで日本に帰ってしまった「好きだったんだろうな 」
その女子が22歳になる誕生会。その日はお客も少なく、早めに会が始まった。
お酒もまわり、宴会の付き物の歌が始まった「俺も何か歌わなければいけない感じ」
少しギターが出来たので「22歳の別れを歌います、ギターは下手ですけど」
♫ あなたの誕生日に22本のローソクを立て ♫
その時「その子が泣いている」俺は戸惑った。
俺は歌うのをやめた。周りの同僚の女子達は「大丈夫、元気出して」
すると、その女子が「歌やめないで、最後まで歌って下さい」
俺は言われるままに、又 歌い出した。
何となく時間が過ぎて、その誕生会は終わった。
次の日、その子から仕事終わりで「今日、時間あります?」
二人で夜のカフェに行く事なった。「昨日はごめんなさい、急に日本に帰った彼を思い出して」
「いいえ 気にしないで。彼の事が本当に好きなんだね」
「うん でも それだけじゃないの。貴方が少し似てるので」
「22歳の別れも、彼の好きな歌」
「それは、まずい歌をやってしまったな。でも あんなに泣くなんて」
「でも 嬉しくて。ここに彼がいるみたいな感じがした」
「お願いがあるんです」
「何ですか?」
「ローマに私がいる間、友達になってくれませんか?」
「それじゃ浮気になっちゃうじゃないの?」
「大人の友達、二人の秘密、お願いします」
「まあ いいか ローマの思い出。そんな感じでいいのかな」
22歳の別れの歌で、この時間が生まれ、若い子とのストーリー。
あんな時代もあった。でも 懐かしい「ローマ 夏って感じ」