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予防接種(9) おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

【おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の予防接種】任意接種


【ワクチンの種類】
生ワクチン。ムンプスウイルスの病原性を弱めたものです。

【接種方法】
皮下注射。赤ちゃんの上腕に皮下注射します。

【接種時期・回数】
1歳以降に1回。
一切を過ぎれば接種が可能です。
大人がかかると重症になりやすいため、子供はもちろん、大人も受けていない場合は早めに接種しましょう。

通常は感染力の強い水ぼうそう→おたふくかぜの順に接種することが多いようですが、流行の状況などで判断します。

予防する病気

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)を予防します。

耳の下やあごの下が腫れて、痛みを伴います。
38度前後の熱がでることもあります。
腫れは4~7日で治まります。

自然感染した場合、重い合併症を起こしたり難聴になることもあります。
また、思春期以降に感染すると、睾丸炎や卵巣炎を併発し不妊になる場合もあります。


接種の注意点

集団生活に入ると感染しやすくなります。
保育園などに入園する予定がある場合は、1歳を過ぎたら早めに受けましょう。

任意接種ですが、自治体によっては費用の一部を負担してくれるところもあるようです。

37.5度以上の発熱や咳などの風邪症候群の症状があるときや、他の病気にかかっているときは受けられません。


接種後の注意点

接種の2~3週間後に発熱や耳の下が軽く腫れるなどの、おたふくかぜの症状がでることがありますが、数日で治るので心配ありません。

予防接種をしてもかかることはありますが、軽症で済み、後遺症を残すことはありません。


副反応と受診の目安

まれに接種から2~3週間後に無菌性髄膜炎を起こすことがありますが、そのほとんどが1~2週間で治ります。
自然感染して無菌性髄膜炎を併発した場合は後遺症を残すことがありますが、予防接種の場合は併発する可能性も低く、後遺症が残ることはありません。

接種後約3週間頃に、嘔吐や発熱、機嫌が悪い状態が続く時は受診しましょう。


【子供の予防接種】

1 予防接種の基礎知識
2 予防接種の種類
3 スケジュールの立て方
4 BCG
5 DPT(3種混合)
6 ポリオ
7 MR (麻しん風しん)
8 日本脳炎
9 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
10 水ぼうそう(水疱瘡、水痘)
11 Hib (b型インフルエンザ菌)
12 インフルエンザ
13 B型肝炎
14 小児用肺炎球菌ワクチン


予防接種の必需品 母子手帳ケース
  
  

予防接種(8) 日本脳炎

【日本脳炎の予防接種】定期接種

※2005年より国による積極的な勧奨が控えられていましたが、2010年度から再開されました。


【ワクチンの種類】
不活化ワクチン。以前はマウスの脳を使った旧ワクチンが使われていましたが、平成22年3月9日が使用期限のものを最後とし、その後は一律Vero細胞(サル腎臓由来細胞)を使った新ワクチンが使用されています。

【接種方法】
皮下注射。上腕に皮下注射します。

【接種時期・回数】
6カ月~7歳6カ月に3回と9~12歳に1回の合計4回。
Ⅰ期は6カ月~7歳6カ月で、2回接種+追加接種1回の合計3回(通常は3歳に2回と4歳に1回)。
Ⅱ期は9~12歳に1回接種。

新ワクチンはⅠ期3回の接種で100%抗体が陽性となることが確認されています。
Ⅱ期の接種の有用性と安全性が確認されていないため、新ワクチンはⅠ期にのみ使用可能とされています。
またこれまでⅡ期に使用していた旧ワクチンは廃止されているため、現在Ⅱ期の接種は予定されていません。


予防する病気

発症すると治療法がない日本脳炎を予防します。

通常は感染しても髄膜炎や夏風邪のような症状で終わりますが、100人~1000人に1人の割合で急性脳炎を発症します。
脳炎は高熱、頭痛、嘔吐、けいれん、意識障害などがでる病気で、致死率が高く、治っても麻痺などの重い後遺症が残ることが多い上、有効な治療法がありません。

特に乳幼児や高齢者に発症が多い病気です。

日本脳炎は豚などの体内で増えたウイルスが蚊を媒体にして感染します。
東アジアや南アジアに多く見られる病気ですが、ウイルスは日本でも西日本を中心に北海道を除く全国に分布しています。


接種の注意点

2010年度から、日本脳炎の予防接種の積極的勧奨が再開されました。

日本脳炎ワクチンの接種後に重症の急性散在性脳脊髄炎(ADEM)の発症が確認されたため、2005年より国の積極的な接種勧奨は控えられていました。
しかし現在は新しいワクチンが開発され、旧ワクチンは使用されなくなったことで、2010年度から接種を勧奨することになりました。

2010年度は3歳児を積極的勧奨の対象とし、再開しています。
また、予防接種法によりその病気の発生状況を考慮して予防接種を行うか否かを都道府県知事が決めることができるため、北海道などでは実施されないようです。

3歳児以外でも、Ⅰ期の接種対象年齢であれば希望すれば定期接種として公費で受けることができます。

まだ接種を受けていない対象年齢以外の子供は任意接種となり自己負担および予防接種法による補償が受けられないことや、Ⅰ期に旧ワクチンを接種したⅡ期対象児に接種できるワクチンがないことなどについては、現在国が対策を検討中です。

日本脳炎の予防接種については今後の決定により対応が変わることが考えられるため、詳しいことはお住まいの市区町村に確認するのが確実です。


接種後の注意点

新ワクチンは旧ワクチンよりも接種部位が赤く腫れたり発熱の出現率が高いことが確認されています。
その他せきや鼻汁などの風邪のような症状が、接種3日後までにあらわれることがあります。


副反応と受診の目安

接種した人数がまだ少ないため、どのような副反応が起こるか未知の部分があります。

起こりえる可能性としては、従来の日本脳炎の予防接種にみられていたショック、アナフィラキシーのような症状、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳炎、けいれん、急性血小板減少性紫斑病などがあります。

高熱、呼吸困難、けいれんなどの症状や、普段とは違う様子が見られたらすぐに受診しましょう。


【子供の予防接種】

1 予防接種の基礎知識
2 予防接種の種類
3 スケジュールの立て方
4 BCG
5 DPT(3種混合)
6 ポリオ
7 MR (麻しん風しん)
8 日本脳炎
9 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
10 水ぼうそう(水疱瘡、水痘)
11 Hib (b型インフルエンザ菌)
12 インフルエンザ
13 B型肝炎
14 小児用肺炎球菌ワクチン


予防接種の必需品 母子手帳ケース
  
  

予防接種(7) MR (麻しん風しん)

【MR(麻しん・風疹)の予防接種】定期接種

【ワクチンの種類】
生ワクチン。麻疹・風疹ウイルスを弱毒化して作られます。

【接種方法】
皮下注射。赤ちゃんの上腕にワクチンを皮下注射します。

【接種時期・回数】
1歳代と、就学前の1年間の2回。
Ⅰ期は1歳0カ月~2歳未満に一回、Ⅱ期は5歳以上7歳未満で、小学校就学前の1年間(4月1日~3月31日)に1回接種します。


予防する病気

はしか(麻疹)と風疹を予防します。

はしかは発熱、せき、鼻汁、めやに、発疹を主症状とします。
38度前後の熱が3~4日間続き、治まりかけたと思うとまた39~40度の高熱と発疹が出ます。

口の中の頬の内側にコプリック斑と呼ばれる小さな白い発疹が現れるのが特徴です。
また、全身に赤い小さな発疹が広がります。

高熱は3~4日で下がり、次第に発疹も消失します。
発疹の痕の色素沈着がしばらく残ります。


風疹は風邪のような症状からはじまり、発疹、発熱、後頭部や首のリンパ節の腫れ、目の充血などの症状が出ます。
はしかの発疹よりもまばらで小さく、色も薄く色素沈着はしません。

発疹も熱も約3日で治るので、三日ばしかと呼ばれることもあります。


どちらも感染力が強く、重症になったり合併症を起こすこともあります。
1歳~2歳の間に感染する可能性が高いので、1歳になったらなるべく早く予防接種を受けるようにしましょう。


接種の注意点

はしか、風疹それぞれのワクチンを別々に摂取することもできます。
しかし1回で2つの免疫ができるMRワクチンの方が赤ちゃんへの負担が1回で済むのでおすすめです。

また、Ⅰ期とⅡ期の間などにどちらかに感染したことがあっても、MRワクチンを受けることができます。


接種後の注意点

接種直後から数日中に発熱、発疹、かゆみなどができることがありますが、1~3日で治るので心配ありません。
また、接種から7~10日前後にはしかや風疹に似た発熱や発疹などの症状が見られることもありますが、通常は1~2日で治まるので、機嫌も良く元気にしていれば受診の必要はありません。
自宅で安静にして様子を見ましょう。

きちんと2回接種すれば、99%の人に免疫がつきます。


副反応と受診の目安

ごくまれにリンパ節の腫れや熱性けいれんが起こることがあります。
また、100万~150万人に1人以下の割合で脳炎や血小板減少性紫斑病など、はしかや風疹にかかったときと同じ合併症が起こることがあります。

指で押さえても消えない発疹(点状出血、紫斑)が出た、38度以上の高熱が2~3日続く、ひどいせきや嘔吐、けいれん、呼吸が荒いなどの症状があればすぐに受診しましょう。


【子供の予防接種】

1 予防接種の基礎知識
2 予防接種の種類
3 スケジュールの立て方
4 BCG
5 DPT(3種混合)
6 ポリオ
7 MR (麻しん風しん)
8 日本脳炎
9 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
10 水ぼうそう(水疱瘡、水痘)
11 Hib (b型インフルエンザ菌)
12 インフルエンザ
13 B型肝炎
14 小児用肺炎球菌ワクチン


予防接種の必需品 母子手帳ケース