大人女子の恋愛小説 -9ページ目

【小説】年下の彼。④

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あれから、中澤くんからはなんの連絡もない。

仕事してる間も彼の事を思い出す自分にウンザリしつつ、誰にも相談出来ず、悶々とした毎日。


結局。
あれは事故。単なるアクシデントだったんだ。
あたしなんかに本気になる訳ない。
そんな風に思い込ませて、時折泣きたくなる気持ちを、無理矢理押し込んだ。




そして、また金曜日が来た。



今日は男4人、女4人の8人の予定。
でも男子はまだ3人。

…中澤くんは遅れているらしい。


「あ、そういえばさ。」

生中をおいしそうにゴクリとやった、相田くんが嬉しそうに話し始めた。彼は中澤くんの同期だ。

「なになに?」

「中澤のやつ、総務の新人から告白されて、付き合うみたいなんだよね。」


「…えっ?…本当?凄いじゃん。さすがイケメン!」


…嘘だ。


相田くんは枝豆を片手に続ける。
「イケメンかね~あれが。でも女の子のほうは、すっげー可愛いんですよ!ムカつくことにっ。22歳だし。」


うわっ14も下だわ。しかも…可愛いんだ。


「あ~。私も、若くて可愛い奥さんが欲しいなぁ。」

やけくそだ。


「しのぶさん、発言が親父ですよ。」


「そうなの、最近おばちゃん飛び越えて、おじちゃんなのよね~。」

いっそおじいちゃんになっちゃえば楽なのに。

「ハハハッ!ヤバイッすよ、加齢臭とかしだしますよ!」

おい、相田。


「そうなっちゃう?ハハハッ!」


笑う度にどんどん虚しくなる…。



そんな中

「しのぶさん、加齢臭するんですか?気付かなかったなぁ。」

と呑気な顔でやってくる中澤くん。

「よぉ~中澤。待ってたんだぜ、色男!」


「やっと解ったか、相田。」


ムカつく。
なんかムカつく。
いや、はっきりムカつく!


「ちょっとトイレ。」


と明らかに大人げない私は席を立つ。


「いってらっしゃ~い!」


へらへらと手を振る中澤にイライラMAX。


「ごめん、やっぱり急用思い出した、帰る。」



と言い残し、歩き出した。



「ちょっと、しのぶ?!どうした?」


追い掛けて来たのはサチコ。

「大丈夫、ちょっと気分悪くて。みんなに迷惑掛ける前に帰るね。」

「そっか。じゃ送ってこうか?」

心配そうなサチコに嘘をつく。

「大丈夫、今なら一人で帰れるし。」

「大丈夫ですよ、サチコさん。僕が送って行きます。」


やって来たのは…ムカつく中澤だった。





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【小説】年下の彼。③

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…どれくらい眠ったんだろう?
外に目をやると薄ぼんやりと白んでいる。


…帰らなくちゃ。

身体を起こそうと反対を向く。


「わっ!」

目の前にソファに頭を預けて寝ている中澤くん。


「ん…しのぶさん、おはよう。」

爽やかな中にも、ちょっと抜けた感じの彼にキュン。まずいなぁ、あたし。

「お、おはよう。なんでここに?」


「だって、ここ俺ん家ですよ。昨日のこと覚えてないの?」

「そうじゃなくて、ちゃんとベッドで寝ればいいのに…!」


「ん~。あんまりしのぶさん気持ち良さそうに寝てるから、見てたらそこで寝ちゃった。」


欠伸をしながら、なんでもないように言ってる。
寝顔見られるなんて、正直恥ずかしかったけど、女っぽいとこは見せたくない。今は特に。
自分が勘違いしそうになるもん。


「やだ~!もうお嫁に行けな~い!」

ワザとらしく、おどけた声で言った。
なのに…。


「大丈夫、俺が居ます。」

何時になく、落ち着いた声で返す中澤くん。


今、なんて?

「しのぶさんには俺が居ますから、大丈夫です。それとも、俺じゃ頼りない?」

そう言いながら、近付く中澤くん。
ソファに座ったまま動けない私。


なんだ?この流れ。
やっすい昼メロ?

動揺している間にも、近付く中澤くん。


「あ、そうか据え膳食わぬはなんとかってやつ?私に恥を掻かせないように?も~気にしなくていいのに~。」

ぺらぺらと思ってもないことを口にしている。

あ、とうとうおでこがくっついてる。中澤くんの目は今までの優しい草食系から、肉食系に変わってる。

「ずっと…こうしたかった。」


ちょっと掠れた声が色っぽくて、私はもう目をつぶるしかなかった。




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触れ合うようなキスは、いつの間にか互いを貪るようなものに変わっている。

上手いな~、中澤くん。
てか歯磨きしてない。
やだやだ~!恥ずかしい!
…でも気持ちいい。


唇を離した中澤くんが、いい?と目を合わせて囁く。


何が?
そんなの言える訳ない。

…結局、気持ちに負けて最後まで許してしまった。




…すべて終わる頃には、眩しい陽射しが窓に映っていた。


でも…。私は事が終わるとそそくさと服を着て、部屋を出た。


「待って!」って言われたけど、そんなの無理だった。


だって…中澤くんは終わった後、

「ごめん。」

と後悔したような、切ないような顔で一言言うと、俯いてしまった。


ごめんってなに?

ずっとこうしたかったって言ったじゃない。

嘘だったの?
やっぱり据え膳?

悔しいやら、情けないやらだったけど。許したのは私だ。あの時は私だってしたかったのだ。


もう思い出にしよう!と無理に気持ちを奮い立たせ、知らない街を駅まで急いだ。




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【小説】年下の彼②

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がっしりとしたとこに寄り掛かって、気持ちいい。大好きな柔軟剤の香りもする。けど騒がしい。

額の冷たいおしぼりに手をやりながら、目を開ける。

「しのぶさん、大丈夫?」

頭の上に心配そうな中澤くん。

「あ~、大丈夫。」
「良かった!」

ん?

このがっしりとした感じ…
「え~っ!ごめんっ。」中澤くんの腕の中から、ガバッと起き上がる。
途端に頭痛が。

「痛てて…。」

「あ~無理しちゃダメだよ。」

甘いムードになる筈もない、スタンディングバーの控室。

どうりで騒がしい訳だ。私達は深々お詫びをして店を出た。


「しのぶさん、家、埼玉だよね?」

「うん。」

「終電、行っちゃったよ。」

「マジで?!」

「うん。」

あ~やっちゃった。仕方ない、タクシーかな?

「もし良かったら、始発まで俺んち来ますか?」

「え~?!いいよ、悪いし。タクシー拾うから。」

「でもまだ具合良くないでしょ?あんなの並べる?」

そこにはタクシー待ちの長蛇の列。

「う~。」

あと3時間だし。
中澤くんは、こんなおばちゃん襲わないか。
よしっ!

「じゃ、ちょっとだけ休ませてくれる?」


私は気になる中澤くんの家に、図々しくもお邪魔することにした…。




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「ごめんね~。すぐ帰るから。」

「さっきからそればっか。気にしないでいいですよ。」

「ありがと。」

「そうそう。素直が1番!」


フっと笑う中澤くんにキュンとする私。

あんまり優しいのも…勘違いするなぁ。



「休んでていいからね。」
と笑顔で自販機で買ってくれたほうじ茶をテーブルに置くと、中澤くんはシャワーを浴びに消えた。

ソファに座る私の傍らには、タオルケット。
ベッドは頑なにお断りした。
酔い潰れて、胸借りて、いくらおばちゃんでも、そんな図々しいことは出来ない。

雑然としつつも綺麗にしてる部屋。モノトーンの家具と好きだと言ってた映画のポスター。


なんか、お持ち帰りされたみたいって…中澤くんに失礼だよね。
あっちは仕方なくお家に上げてくれたんだし、余計なこと考える前に寝よっと。



私はソファに横になり、目を閉じた…。



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