【小説】年上の彼女
合コンはちょくちょくしてた。
知らない女の子と酒を交えて、ひと時喋る。
それだけで単純に楽しいし。
まぁ…気が合って?向こうもその気なら、そのまま…なんて事もあったりなかったり。
でも軽い気持ちでノッかると、修羅場をみたり、意外としつこかったりで…。
相手には悪いけど、面倒臭いんだよね。
最近は深入りしないで、女の子とは話す程度。それが1番楽だな…とか。
30も過ぎたし、そろそろしっかりしなくちゃな…とか?
揺れる三十路プラス1。
あの頃の俺はそんな感じだった…。
***********
とある合コンから早三ヶ月。
今や週一で飲み会してる中に、気になるヒトがいる…のは内緒。
面倒臭いのはコリゴリな恋愛消極派な俺。
「私たちにも男友達が出来たね~。」
なんて、こっちの気も知らないで笑う彼女に、胸の辺りがチクッとする。
しのぶさんは5コ上。
俺が中2の時大学生だもんな。
気になるけど…結構キツイよな。
別に年上好きじゃない。好きになった人が、たまたま年上だっただけ。
あれ?気になるんじゃなかったか?
俺はしのぶさんが好きなのか?
でもしのぶさんに「中澤くん」って呼ばれる度、眼中にない事を知らされる。
色々経験すると、一周して中2に戻るのかな。
自分から告白なんて、今の俺には逆立ちしたって出来ない。
焼酎のお湯割り、しかも梅干し入りを、ちびちびやる“自称親父”な、しのぶさん。
そんなしのぶさんが、フッと笑う時の目がやわらかいから、俺はジッとみつめてしまうんだ。
「なに?今日は疲れてんの、中澤くん。」
いやいや…そうじゃなくて。好きなんですよ、あなたが。
なんて。
心の中で突っ込んでみたりするけど、口にはしない。
気付かないあなたにホッとする、俺。
だって、しのぶさんの困った顔なんてみたくねーもん。
だから、
「大丈夫ですよ。週末で魂が抜けただけ。」
「魂抜けちゃうの?気じゃなくて?マジで?ハハハッ」
よかった、笑ってくれた。
しのぶさんといると、俺も自然と笑顔が増えんだよな。
それだけで、十分だ。
**********
知らない女の子と酒を交えて、ひと時喋る。
それだけで単純に楽しいし。
まぁ…気が合って?向こうもその気なら、そのまま…なんて事もあったりなかったり。
でも軽い気持ちでノッかると、修羅場をみたり、意外としつこかったりで…。
相手には悪いけど、面倒臭いんだよね。
最近は深入りしないで、女の子とは話す程度。それが1番楽だな…とか。
30も過ぎたし、そろそろしっかりしなくちゃな…とか?
揺れる三十路プラス1。
あの頃の俺はそんな感じだった…。
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とある合コンから早三ヶ月。
今や週一で飲み会してる中に、気になるヒトがいる…のは内緒。
面倒臭いのはコリゴリな恋愛消極派な俺。
「私たちにも男友達が出来たね~。」
なんて、こっちの気も知らないで笑う彼女に、胸の辺りがチクッとする。
しのぶさんは5コ上。
俺が中2の時大学生だもんな。
気になるけど…結構キツイよな。
別に年上好きじゃない。好きになった人が、たまたま年上だっただけ。
あれ?気になるんじゃなかったか?
俺はしのぶさんが好きなのか?
でもしのぶさんに「中澤くん」って呼ばれる度、眼中にない事を知らされる。
色々経験すると、一周して中2に戻るのかな。
自分から告白なんて、今の俺には逆立ちしたって出来ない。
焼酎のお湯割り、しかも梅干し入りを、ちびちびやる“自称親父”な、しのぶさん。
そんなしのぶさんが、フッと笑う時の目がやわらかいから、俺はジッとみつめてしまうんだ。
「なに?今日は疲れてんの、中澤くん。」
いやいや…そうじゃなくて。好きなんですよ、あなたが。
なんて。
心の中で突っ込んでみたりするけど、口にはしない。
気付かないあなたにホッとする、俺。
だって、しのぶさんの困った顔なんてみたくねーもん。
だから、
「大丈夫ですよ。週末で魂が抜けただけ。」
「魂抜けちゃうの?気じゃなくて?マジで?ハハハッ」
よかった、笑ってくれた。
しのぶさんといると、俺も自然と笑顔が増えんだよな。
それだけで、十分だ。
**********
【小説】年下の彼。Final
***********
本当に終わりでいいの?本当に終わりでいいの?
電車の中で繰り返す。
そして気付くと、中澤くんの家の駅で降りていた。
メールで『中澤くんちの前で待ってます。』とだけ送って、電源を切った。
“迷惑だから帰って”なんて言われたら、勇気に水を注す。
何を言うかなんて解らない。ただはっきりさせたい。
中澤くんは30分もしないで、帰ってきた。
マンションの、外廊下に相対する二人。
先に口を開いたのは私。
「なんで?」
緊張で上手く声が出ない。
「なにが?」
俯いたまま立ち尽くす、中澤くん。
1メートル60センチの距離が縮まらない。
中澤くん、拗ねてるみたい。
怒ってる?怒ってるよね…。
いや、怯むな私。
「なんで、あの時『ごめん』なんて謝ったの?」
「あれは…。」
怖い。
「…俺、我慢きかね~なって。30過ぎてさ。しのぶさんとの事は、ゆっくり育てて行きたかったのに。だから…寝顔で我慢したのに。あんな風になったら、全然しのぶさんの気持ち聞けなくて。だから、ごめんって。」
「本当?」
「本当だよ。だけど、しのぶさん何も言わないで帰っちゃったから、怒らせたって。嫌われたって。そう思ったら連絡するの怖くて。」
中澤くんも不安だったの?ホントに?
「家…入ってもいい?」
と、扉を指さす。
「もちろん。」
嬉しそうに鍵を開ける中澤くん。
今すぐギュッとしたい。でも本当にいいのかな?
疑ぐり深いおばちゃんは、実はウサギ並のハートなんだよ。
…ぱたん。
扉が閉まると同時に
「しのぶさん…。」
と、肉食系の中澤くんが近付いてきたけど、
「待って!やっぱり解んない。総務の新人ちゃんの方が、明らかにいいじゃない?なんであたし?」
往生際の悪い私。
「解んないよ、一目惚れだもん。」
そういうとすっぽりと抱きしめられた。
「解らないって。そんなのこっちの方が解んないし!一目惚れとか有り得ないし!」
トクトクトク…中澤くんの鼓動が聞こえる。
「うん。確かに一目惚れじゃないけど。」
「なにそれ?からかってるの?!」
頭一つ背の高い中澤くんを見上げる。
「いいじゃん、好きなんだから。」
フッと笑ったと思ったら、もう唇奪われた。
ズルいなー。年下男め。でも、いっか。
負けた。
「…大好き。」
って言える私がいるから。
-END-
本当に終わりでいいの?本当に終わりでいいの?
電車の中で繰り返す。
そして気付くと、中澤くんの家の駅で降りていた。
メールで『中澤くんちの前で待ってます。』とだけ送って、電源を切った。
“迷惑だから帰って”なんて言われたら、勇気に水を注す。
何を言うかなんて解らない。ただはっきりさせたい。
中澤くんは30分もしないで、帰ってきた。
マンションの、外廊下に相対する二人。
先に口を開いたのは私。
「なんで?」
緊張で上手く声が出ない。
「なにが?」
俯いたまま立ち尽くす、中澤くん。
1メートル60センチの距離が縮まらない。
中澤くん、拗ねてるみたい。
怒ってる?怒ってるよね…。
いや、怯むな私。
「なんで、あの時『ごめん』なんて謝ったの?」
「あれは…。」
怖い。
「…俺、我慢きかね~なって。30過ぎてさ。しのぶさんとの事は、ゆっくり育てて行きたかったのに。だから…寝顔で我慢したのに。あんな風になったら、全然しのぶさんの気持ち聞けなくて。だから、ごめんって。」
「本当?」
「本当だよ。だけど、しのぶさん何も言わないで帰っちゃったから、怒らせたって。嫌われたって。そう思ったら連絡するの怖くて。」
中澤くんも不安だったの?ホントに?
「家…入ってもいい?」
と、扉を指さす。
「もちろん。」
嬉しそうに鍵を開ける中澤くん。
今すぐギュッとしたい。でも本当にいいのかな?
疑ぐり深いおばちゃんは、実はウサギ並のハートなんだよ。
…ぱたん。
扉が閉まると同時に
「しのぶさん…。」
と、肉食系の中澤くんが近付いてきたけど、
「待って!やっぱり解んない。総務の新人ちゃんの方が、明らかにいいじゃない?なんであたし?」
往生際の悪い私。
「解んないよ、一目惚れだもん。」
そういうとすっぽりと抱きしめられた。
「解らないって。そんなのこっちの方が解んないし!一目惚れとか有り得ないし!」
トクトクトク…中澤くんの鼓動が聞こえる。
「うん。確かに一目惚れじゃないけど。」
「なにそれ?からかってるの?!」
頭一つ背の高い中澤くんを見上げる。
「いいじゃん、好きなんだから。」
フッと笑ったと思ったら、もう唇奪われた。
ズルいなー。年下男め。でも、いっか。
負けた。
「…大好き。」
って言える私がいるから。
-END-
【小説】年下の彼。⑤
***********
サチコの手前、エレベーターには一緒に乗ったけど、扉が開くやいなや私は走った。
「待って!」
知らない。待ったりしたら、糸が切れる。
これ以上みっともないのは嫌。
「待てって!」
ハァハァしながらも、中澤くんは私の腕を掴んだ。
街中で、それはドラマのワンシーンみたいだった。
そんな風に思えたら、すっと気持ちが落ち着いて
「あ、そうだ総務の新人ちゃんと付き合う事になったんだって?おめでとう!」
と笑顔で手を叩いてみせた。
「…誰から聞いたの?」
否定…しないんだ。
強張った表情を見られないように、声だけは明るく
「相田くんがさっき教えてくれたの。良かったじゃない。じゃあね!」
とだけ言うと、肩を落とした中澤くんにくるりと背を向けて歩き出そうとした。
その瞬間。
サッと後ろから腕を回されて、中澤くんに包まれた。
ヒューヒューと囃し立てる酔っ払い。
「本当にいいの?俺が違う子と付き合ってもいいの?」
なに?
ワケ解んない。
「私の許可なんて要らないでしょ?!離して!」
…涙腺が崩壊寸前だ。
「しのぶさん、この間のなんだと思ってる?遊び?」
“遊び”であんなこと出来たら、こんなに苦しくない。でも重い女にはなりたくない。
「なんだ、そんなの気にしてるの?あれは事故だよ、事故!気の緩み?大丈夫、彼女には言わないから。」
「なんだよ、それ。彼女なんていないよ。てか…もういいよ。良く解った。しのぶさんの眼中に…俺がいないの。…バイバイ。」
そういうと中澤くんは回してた腕を解いた。
私は涙が止まらなかった。でも振り返らなかった。彼には私なんて似合わないもん。
これで本当の終わりだ。
私は一人、歩き出した。
***********
サチコの手前、エレベーターには一緒に乗ったけど、扉が開くやいなや私は走った。
「待って!」
知らない。待ったりしたら、糸が切れる。
これ以上みっともないのは嫌。
「待てって!」
ハァハァしながらも、中澤くんは私の腕を掴んだ。
街中で、それはドラマのワンシーンみたいだった。
そんな風に思えたら、すっと気持ちが落ち着いて
「あ、そうだ総務の新人ちゃんと付き合う事になったんだって?おめでとう!」
と笑顔で手を叩いてみせた。
「…誰から聞いたの?」
否定…しないんだ。
強張った表情を見られないように、声だけは明るく
「相田くんがさっき教えてくれたの。良かったじゃない。じゃあね!」
とだけ言うと、肩を落とした中澤くんにくるりと背を向けて歩き出そうとした。
その瞬間。
サッと後ろから腕を回されて、中澤くんに包まれた。
ヒューヒューと囃し立てる酔っ払い。
「本当にいいの?俺が違う子と付き合ってもいいの?」
なに?
ワケ解んない。
「私の許可なんて要らないでしょ?!離して!」
…涙腺が崩壊寸前だ。
「しのぶさん、この間のなんだと思ってる?遊び?」
“遊び”であんなこと出来たら、こんなに苦しくない。でも重い女にはなりたくない。
「なんだ、そんなの気にしてるの?あれは事故だよ、事故!気の緩み?大丈夫、彼女には言わないから。」
「なんだよ、それ。彼女なんていないよ。てか…もういいよ。良く解った。しのぶさんの眼中に…俺がいないの。…バイバイ。」
そういうと中澤くんは回してた腕を解いた。
私は涙が止まらなかった。でも振り返らなかった。彼には私なんて似合わないもん。
これで本当の終わりだ。
私は一人、歩き出した。
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