大人女子の恋愛小説 -8ページ目

【小説】年上の彼女

合コンはちょくちょくしてた。


知らない女の子と酒を交えて、ひと時喋る。

それだけで単純に楽しいし。



まぁ…気が合って?向こうもその気なら、そのまま…なんて事もあったりなかったり。

でも軽い気持ちでノッかると、修羅場をみたり、意外としつこかったりで…。

相手には悪いけど、面倒臭いんだよね。



最近は深入りしないで、女の子とは話す程度。それが1番楽だな…とか。

30も過ぎたし、そろそろしっかりしなくちゃな…とか?

揺れる三十路プラス1。



あの頃の俺はそんな感じだった…。



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とある合コンから早三ヶ月。



今や週一で飲み会してる中に、気になるヒトがいる…のは内緒。



面倒臭いのはコリゴリな恋愛消極派な俺。




「私たちにも男友達が出来たね~。」
なんて、こっちの気も知らないで笑う彼女に、胸の辺りがチクッとする。


しのぶさんは5コ上。

俺が中2の時大学生だもんな。






気になるけど…結構キツイよな。



別に年上好きじゃない。好きになった人が、たまたま年上だっただけ。


あれ?気になるんじゃなかったか?
俺はしのぶさんが好きなのか?




でもしのぶさんに「中澤くん」って呼ばれる度、眼中にない事を知らされる。




色々経験すると、一周して中2に戻るのかな。


自分から告白なんて、今の俺には逆立ちしたって出来ない。



焼酎のお湯割り、しかも梅干し入りを、ちびちびやる“自称親父”な、しのぶさん。

そんなしのぶさんが、フッと笑う時の目がやわらかいから、俺はジッとみつめてしまうんだ。


「なに?今日は疲れてんの、中澤くん。」



いやいや…そうじゃなくて。好きなんですよ、あなたが。


なんて。


心の中で突っ込んでみたりするけど、口にはしない。


気付かないあなたにホッとする、俺。




だって、しのぶさんの困った顔なんてみたくねーもん。




だから、


「大丈夫ですよ。週末で魂が抜けただけ。」



「魂抜けちゃうの?気じゃなくて?マジで?ハハハッ」



よかった、笑ってくれた。
しのぶさんといると、俺も自然と笑顔が増えんだよな。

それだけで、十分だ。


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【小説】年下の彼。Final

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本当に終わりでいいの?本当に終わりでいいの?


電車の中で繰り返す。

そして気付くと、中澤くんの家の駅で降りていた。

メールで『中澤くんちの前で待ってます。』とだけ送って、電源を切った。

“迷惑だから帰って”なんて言われたら、勇気に水を注す。



何を言うかなんて解らない。ただはっきりさせたい。



中澤くんは30分もしないで、帰ってきた。


マンションの、外廊下に相対する二人。
先に口を開いたのは私。

「なんで?」

緊張で上手く声が出ない。

「なにが?」


俯いたまま立ち尽くす、中澤くん。
1メートル60センチの距離が縮まらない。
中澤くん、拗ねてるみたい。
怒ってる?怒ってるよね…。
いや、怯むな私。


「なんで、あの時『ごめん』なんて謝ったの?」

「あれは…。」

怖い。


「…俺、我慢きかね~なって。30過ぎてさ。しのぶさんとの事は、ゆっくり育てて行きたかったのに。だから…寝顔で我慢したのに。あんな風になったら、全然しのぶさんの気持ち聞けなくて。だから、ごめんって。」


「本当?」


「本当だよ。だけど、しのぶさん何も言わないで帰っちゃったから、怒らせたって。嫌われたって。そう思ったら連絡するの怖くて。」

中澤くんも不安だったの?ホントに?


「家…入ってもいい?」

と、扉を指さす。


「もちろん。」


嬉しそうに鍵を開ける中澤くん。


今すぐギュッとしたい。でも本当にいいのかな?

疑ぐり深いおばちゃんは、実はウサギ並のハートなんだよ。


…ぱたん。


扉が閉まると同時に


「しのぶさん…。」


と、肉食系の中澤くんが近付いてきたけど、


「待って!やっぱり解んない。総務の新人ちゃんの方が、明らかにいいじゃない?なんであたし?」
往生際の悪い私。


「解んないよ、一目惚れだもん。」

そういうとすっぽりと抱きしめられた。


「解らないって。そんなのこっちの方が解んないし!一目惚れとか有り得ないし!」

トクトクトク…中澤くんの鼓動が聞こえる。


「うん。確かに一目惚れじゃないけど。」


「なにそれ?からかってるの?!」

頭一つ背の高い中澤くんを見上げる。


「いいじゃん、好きなんだから。」


フッと笑ったと思ったら、もう唇奪われた。


ズルいなー。年下男め。でも、いっか。
負けた。


「…大好き。」



って言える私がいるから。





-END-

【小説】年下の彼。⑤

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サチコの手前、エレベーターには一緒に乗ったけど、扉が開くやいなや私は走った。




「待って!」


知らない。待ったりしたら、糸が切れる。
これ以上みっともないのは嫌。


「待てって!」

ハァハァしながらも、中澤くんは私の腕を掴んだ。

街中で、それはドラマのワンシーンみたいだった。
そんな風に思えたら、すっと気持ちが落ち着いて

「あ、そうだ総務の新人ちゃんと付き合う事になったんだって?おめでとう!」

と笑顔で手を叩いてみせた。


「…誰から聞いたの?」


否定…しないんだ。


強張った表情を見られないように、声だけは明るく


「相田くんがさっき教えてくれたの。良かったじゃない。じゃあね!」


とだけ言うと、肩を落とした中澤くんにくるりと背を向けて歩き出そうとした。

その瞬間。
サッと後ろから腕を回されて、中澤くんに包まれた。

ヒューヒューと囃し立てる酔っ払い。



「本当にいいの?俺が違う子と付き合ってもいいの?」



なに?
ワケ解んない。


「私の許可なんて要らないでしょ?!離して!」
…涙腺が崩壊寸前だ。



「しのぶさん、この間のなんだと思ってる?遊び?」


“遊び”であんなこと出来たら、こんなに苦しくない。でも重い女にはなりたくない。


「なんだ、そんなの気にしてるの?あれは事故だよ、事故!気の緩み?大丈夫、彼女には言わないから。」


「なんだよ、それ。彼女なんていないよ。てか…もういいよ。良く解った。しのぶさんの眼中に…俺がいないの。…バイバイ。」


そういうと中澤くんは回してた腕を解いた。


私は涙が止まらなかった。でも振り返らなかった。彼には私なんて似合わないもん。


これで本当の終わりだ。
私は一人、歩き出した。




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