大人女子の恋愛小説 -7ページ目

【小説】年上の彼女④

「ぅん…。」


一人で頭ん中グルグルしてた俺の胸元で、しのぶさんが動く。
フワッとフローラルの香りにドキッとする。


「しのぶさん、大丈夫?」



「あ~、大丈夫。」

「良かった!」


これで一安心だな。


ホッとした瞬間、フリーズしたしのぶさんが


「え~っ!ごめんっ。」

といいつつ慌てて起き上がる。


と思うとすぐ

「痛てて…。」
とこめかみを押さえる。


やっぱりまだ完全じゃないな。


「あ~無理しちゃダメだよ。」


「うん。ごめん。」


「謝んなくていいって。」



「大丈夫?」


「うん、大丈夫だよ、ゆっくり動けば。ありがとうね、中澤くん。」


…中澤くんか。




とりあえず御礼を言って、店を出た。




「あ~、もうあのお店行けないよ。」



うろたえるしのぶさんは、可愛い。


ヤバイ、襲わない自信がなくなりそうだ。
いや。軽い関係にしたくないんだから。

下心なしで(いや、下心は出したいけどぐっと我慢して…の方が正しいか?)
「始発まで休んで行って。」

と言うと


「でも、悪いし…どうしよう。」

と悩むしのぶさん。

やっぱり悩むよな。二つ返事でも、それはそれで悲しいしな。

でも心配だし。

「大丈夫、遠慮しないで。」

「う~。…じゃ、ちょっとだけ休ませてくれる?」

と、遠慮がちに言ったしのぶさんに



「もちろん。」


と笑いかける。


頼りがいのある男になるんだ…。


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「ごめんね~。すぐ帰るから。」

「さっきからそればっか。気にしないでいいですよ。」


「ありがと。」

「そうそう。素直が1番!」


笑いかけると、すっと目を反らされた。…照れてる?と思うのは自惚れだろうか?




「休んでていいから。」と残して、シャワーを浴びる。





使ってと言ったベットは断固拒否された。



故に、しのぶさんはソファにいる。


彼女がここにいるってだけで、嬉しい。



どうしよう、舞い上がんないようにしなくちゃ。
やっぱりまだまだだな…俺。

まだ知られちゃいけない。


「出たよ~。」



勤めて自然に明るくバスルームを出ると、しのぶさんは寝ていた。


「気持ち良さそうに寝るなぁ。」



側に座って頬に触れる。


「好きだ。」


俺はいつまでも彼女を眺めていた。

【小説】年上の彼女③

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路地にあるスタンディングバーで、俺はウイスキー、しのぶさんはジンジャエール。



俺、警戒されてんのかな?なら嬉しいけど。
まさかな。


酒、意外と弱いんだ。
「雰囲気が好き。」
って言ってたもんな。


「気持ちいいね~風。」


「ごめんね、鈴木のやつ。」


「いいよ、いいよ、嬉しそうなの伝わってきたし。楽しかったよ。」


「そう言って貰えるとホッとするけど。」


「本当に楽しかったよ。」


そう言ってフッと笑うしのぶさん。


…やっぱりいいな。



「あ~、しのぶさんといるとなんか落ち着く。」

やべっ!
つい本音が出ちった。



「そぉ?頼りがいある感じ?」


「そうそう!」



あ~良かった、気付かれなかった。


「それって誉めてなくない?」


「ハハハッ。」


あ、嫌われたか?



……………




「やっぱり…ちょっと飲みたいな。ちょっと頂戴。」


「えっ?」


ウイスキーをジンジャエールに入れてるしのぶさんは、ニカニカして実験してる子供みたいだ。



「美味しい!」


「どれどれ?ちょっと頂戴。」


「いいよ~。」


ラッキー。間接キス!なんて。

やっぱり中2か?と心の中でツッコむ。


「うん、上手い。」



グラスを返すと顔を赤らめたしのぶさんが、一気にグラスを空けた。


その途端…フラッとして。



「えっ?しのぶさん、どうしたの?」



って言いながら、倒れるしのぶさんを腕の中で支えた。


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バーの控室まで、抱き抱えて連れて行き、冷やしおしぼりをしのぶさん頭にのせた。




救急車を呼ぶか迷ったけど、呼吸も落ち着いてるし、しばらく休ませて貰う事にした。



長いすを縦に使い、しのぶさんを後ろから支える形で座る。


全てを預けるしのぶさんの、柔らかい肩や背中をずっと抱きしめていたいと思う。


不謹慎な俺。


ゆっくり呼吸する口元も、まるで誘惑してるみたいだし。




…ヤバイな。


誰がおばちゃんだよ…。

今日、鈴木に肩触らせてるしのぶさん見て、なんも言えない自分に、マジでムカついた。

もう誰にも触らせたくないって思った。


こんな風に気持ち掻き回される相手は、本当に久々だ。


でも、もし告白したら、しのぶさんはどう思うんだろう…?




幸せで苦しい時間が過ぎていった…。



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【小説】年上の彼女②

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ある日の金曜日。



「中澤さん!今日は相田さん都合悪いって」



「じゃ鈴木と俺で行くか!」



「はいっ!飲みますよ~俺。中澤さん聞いて下さいね!」

「わかった、わかった。」


この一週間、プロジェクトで追われた鈴木は、充実した顔してる。


移動の電車の中でも、「本当、部長って意見がコロコロ変わるんすよっ。」

「まぁ、周りの状況も見なくちゃなんないしな。」

「なんで部長の味方なんすか~!」

…なんて不満げな顔も緩んでた。


馴染みの飲み屋にはしのぶさんだけ。



「お疲れ様~。」





取り敢えずビールで乾杯。



ガンガン飲む鈴木は、2時間でベロベロ。





「飲んでますか~しのぶさん!」



しのぶさんの肩に気易く触るな、鈴木!


でも口には出せない…。


「鈴木、飲み過ぎだぞ!」

「フフッ大丈夫だよ。」

人がいいな、しのぶさん。
…俺が大丈夫じゃねーっつーの。



鈴木が潰れるまでの1時間、俺はしのぶさんに触る鈴木にイライラしながらやり過ごした。



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「業平橋まで。」


ばたん。




鈴木をタクシーに押し込んで、一息つく。



「もう一軒だけ行きませんか?」



ダメ元で聞いてみる。
せっかく初めて二人きりになれたのに、このまま帰るなんて淋し過ぎるし。


「うん、喉渇いた。」



よっしゃ!

この時までは、もう少し一緒に居たかっただけだったんだ。

この時までは…。



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