【小説】年下の彼。③ | 大人女子の恋愛小説

【小説】年下の彼。③

***********



…どれくらい眠ったんだろう?
外に目をやると薄ぼんやりと白んでいる。


…帰らなくちゃ。

身体を起こそうと反対を向く。


「わっ!」

目の前にソファに頭を預けて寝ている中澤くん。


「ん…しのぶさん、おはよう。」

爽やかな中にも、ちょっと抜けた感じの彼にキュン。まずいなぁ、あたし。

「お、おはよう。なんでここに?」


「だって、ここ俺ん家ですよ。昨日のこと覚えてないの?」

「そうじゃなくて、ちゃんとベッドで寝ればいいのに…!」


「ん~。あんまりしのぶさん気持ち良さそうに寝てるから、見てたらそこで寝ちゃった。」


欠伸をしながら、なんでもないように言ってる。
寝顔見られるなんて、正直恥ずかしかったけど、女っぽいとこは見せたくない。今は特に。
自分が勘違いしそうになるもん。


「やだ~!もうお嫁に行けな~い!」

ワザとらしく、おどけた声で言った。
なのに…。


「大丈夫、俺が居ます。」

何時になく、落ち着いた声で返す中澤くん。


今、なんて?

「しのぶさんには俺が居ますから、大丈夫です。それとも、俺じゃ頼りない?」

そう言いながら、近付く中澤くん。
ソファに座ったまま動けない私。


なんだ?この流れ。
やっすい昼メロ?

動揺している間にも、近付く中澤くん。


「あ、そうか据え膳食わぬはなんとかってやつ?私に恥を掻かせないように?も~気にしなくていいのに~。」

ぺらぺらと思ってもないことを口にしている。

あ、とうとうおでこがくっついてる。中澤くんの目は今までの優しい草食系から、肉食系に変わってる。

「ずっと…こうしたかった。」


ちょっと掠れた声が色っぽくて、私はもう目をつぶるしかなかった。




***********



触れ合うようなキスは、いつの間にか互いを貪るようなものに変わっている。

上手いな~、中澤くん。
てか歯磨きしてない。
やだやだ~!恥ずかしい!
…でも気持ちいい。


唇を離した中澤くんが、いい?と目を合わせて囁く。


何が?
そんなの言える訳ない。

…結局、気持ちに負けて最後まで許してしまった。




…すべて終わる頃には、眩しい陽射しが窓に映っていた。


でも…。私は事が終わるとそそくさと服を着て、部屋を出た。


「待って!」って言われたけど、そんなの無理だった。


だって…中澤くんは終わった後、

「ごめん。」

と後悔したような、切ないような顔で一言言うと、俯いてしまった。


ごめんってなに?

ずっとこうしたかったって言ったじゃない。

嘘だったの?
やっぱり据え膳?

悔しいやら、情けないやらだったけど。許したのは私だ。あの時は私だってしたかったのだ。


もう思い出にしよう!と無理に気持ちを奮い立たせ、知らない街を駅まで急いだ。




***********