大人女子の恋愛小説 -4ページ目

【小説】Seesaw‐sideしのぶ

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「あの主人公がまさかあっちとくっつくとは思わなかった。」


「あたしも~。最初の彼のほうがかっこよかったよね。」


出汁の効いてるタレのかかったおぼろ豆腐と焼酎を片手に、さっきまで観ていたラブコメ映画の話で、ひとしきり盛り上がる私たち。


「そういえば…あんたたちもくっつくとは思わなかったけど。」


サチコがニヤケ顔でこちらをみた。


気にしない風を装って、「あたしだってくっつくと思わなかったし。物好きよねぇ、中澤くん。」
とぶっきらぼうに答える。


「フフッ。でも良かった。しのぶ幸せそうで。」


「そうかな?」
なんだか恥ずかしい。


「そうだよ~。最近キラキラしてるよ。」


「じゃ、今まではどんよりしてたの?」
照れ隠しに怒った振り。

「まぁね。ハハハッ。」

「ひど~い!フフフ…。」


気のおけない友達との会話はあっという間だ。

私…ホントに光ってるかな?


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「ただいま~。」


パタン。


誰もいない部屋に向かって、挨拶しちゃうのは一人暮しの癖だ。


「ふぅ。」


楽しかった。


でも、以前のようには楽しめない自分にも気付いた。
ずっと頭の隅から離れないのだ。


どんな時も。


…まだ仕事してんのかなぁ、中澤くん。


—23:30を指す携帯の液晶画面には、メールの着信すらなかった。


確かに明日連絡するって言ってたけど…さ。

電話くらいくれたっていいのに。


声…聞きたいなぁ。








ブィーン
ブィーン
ブィーン


携帯が鳴る。


中澤くんから?



ディスプレイも見ずに、電話に出る。



「もしもし?」


「しのぶ?」


残念。母さんだ。


「なに?」

ついついテンションが下がって低い声になる。



「なんで急に低い声になるの?」


「そんなことないよ。」



「まぁいいわ、ねぇ、しのぶ。明日家に来て欲しいんだけど。」


「え?いいけど…なんで?」


本当はヤダけど。だって中澤くんから連絡来るかもだし。


「ほら、北海道からジャガ芋とトウモロコシが来たから。」


「あ、秋子おばちゃん?」


「そうそう、食べにおいで。」


「うん!分かった。じゃね。」


秋子おばちゃんのジャガ芋と、トウモロコシは格別だ。


私の実家は電車でたった30分。


中澤くんにも食べさせてあげたいし、行って来るか。


と…軽い気持ちだった。

あんなことがあるとは思わなかったから。


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【小説】Seesaw‐side奏太


カチッ。
フーッ。



“今日は星が見えるな。”

非常階段の踊り場で一服しながら、つかの間の休憩。



“なにしてんのかな、しのぶさん。”


昼間、メールには明日連絡するって書いたし。
休憩出来たけど、マメ過ぎんのも鬱陶しいよな。


中身が中2の年上の彼女は、やっぱり年上なだけあって、普段はサバサバしている。


会うと中2なんだけどなぁ。

「やべっ、こんな時間だ!」



仕事中も彼女の事考えるようになるなんてマジだな、こりゃ。


俺は足早にデスクに戻った…。


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「おい、中澤、これ頼む!」




「はいよ!」



「はいよ!っておまえ、こんだけ忙しいのに、気が抜けるような返事すんなよ~。」



弱々しい笑みを浮かべて、二日越しのワイシャツみたいにぐったりとしてる相田。


「え?そんなこと言ったか、俺?」



「げっ。天然かよっ。」

天然…?誰かさんがうつったか?ちょっと嬉しい。


「フフ。まあまあ。…よしっ。仕上がったぞ、さっきの書類。」




「サンキュー。なんでニヤケてんの?こわっ。やったー!今日はこれでおしまいか?」



「何言ってんだよ、さっき会議の召集かかったろ。」
どっちが天然だっつーの。


「あっ!そうだった~。いや!聞いてない、俺は聞いてないぞ。」


「なんの逃避だ、相田。プロジェクトも大詰めなんだ、今日は諦めろ。」


「なんだよ中澤、その余裕は。お前、今日は金曜だぞ。血が騒がないのか?」

「なんのだよ。」


「合コンのだよ。」



「あぁ。俺はもうそういうのいいから。」
しのぶさん居るし。

「なんだよ、彼女持ちの余裕かよ。」


「一途って言えよ。」



「けっ。そんな他の女の臭いがしないやつ魅力ないぜぇ。相手は年上なんだから。」



「大丈夫だよ、気持ちは中2だから。」


「え?」


「フッ…。いやなんでもない。行くぞ、会議室。」



「はいはい。仕方ない、仕事してデキル男でも目指すかぁ!」


相田の大袈裟なガッツポーズに笑いながら、会議室に向かった。



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【小説】Seesaw



別れを切り出したのは私だった。


はず…。


付き合って三ヶ月を過ぎた頃、「忙しい」とか「疲れた」とか言って、会えなくなった。


メールも電話も少しずつ減っていった。


真綿で首を絞められるってこういうことかと思うくらい辛い時間。


会えなくて苦しくて、好きな人に嫌われるのが嫌だった。


フェードアウトなんて、堪えられなくて


「別れたい」


って言ったら、あっさり

「解った」

って返ってきた。


その瞬間“自分で言わないのはずるい”って思ったけど。


同時に、“やっぱり別れたくない”って思ってた。





帰り道の途中…道の端に車を停めて、一人でしみじみ泣いた。


もう恋愛は出来ないだろうと思った。


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そんなこともあったなぁ…。



…あれからもう5年が経つ。



ずっと一人だったし、これからも一人だろうと思っていた。



ところが。

私には今、隣で微笑んでくれるヒトが出来た。



…中澤くんとはあれから3ヶ月を過ぎ、夏を迎えた。



付き合い始めの頃は、二人とも平日デートが新鮮で、週2回ペースで会っていたけど、最近はお互い仕事が忙しいこともあって、週1回、休日の前に一緒に過ごすことが多い。



今日は金曜日。


やっと取れた昼休みにメールする。




『お疲れ様!
たまには“お家飲み” する?
おつまみ何品か作りっ こしない?
どうかな?』


『ごめん!プロジェクトの立ち上げで今日は会議なんだ。遅くなりそうだし、明日また連絡する。』


『了解!お疲れ様。仕事頑張ってね。』



と、年上の懐深いところをみせたけど…内心はがっかりだ。


通り掛かったサチコに声掛ける。

「ねぇ、今日映画観に行かない?」


「珍しいじゃん。あ、さては中澤くんにフられた?」


「バレた?」



「解るよ~そんな時ばっかり。まーいいけどさ。」


「サンキュー。」


穴埋めに付き合ってくれる、サチコに感謝した。

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