大人女子の恋愛小説 -2ページ目

【小説】Seesaw‐Overflow1

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プロポーズされた。



プロポーズ。



「結婚しよう。」って。


今朝の私なら、喜んで「うん」と言っていたに違いない。



でも…頷けなかった。




昼間…見てしまったから。


これは嫉妬なんだろうか?


でも本当にお似合いな二人だった。


そう思うだけで泣けてくる。


私は中澤くんが好き。

それは変わってない。
でも、中澤くんが好きだからこそ、隣にいるのが私でいいの?

どう考えたって年上で、親父で、中2な彼女より、若くて可愛い大人な子のほうがいいよ。
そんな子が慕ってくれているのだ。
気付いてないだけだよ、中澤くんは。

あの子だったらなんの心配もなく、可愛い赤ちゃんもたくさん産めるだろうし。私はもう丸高だよ。
結婚って…家族を築くことだもんね。

私は元々、誰かと生きて行く事は諦めて、一人で生きて行くつもりだったんだから。


確かに中澤くんを失うのは辛い。
でも、絶対大丈夫だと思っていた手を、離される辛さを私は知ってしまっている。
こんな幸せがいつまでも続くわけないことも。


こんな女に幸せになる資格なんてないのだ。


自分から手を離そう。中澤くんは傷付いたら、可愛い彼女が側にいる。


そう思うのに行動に移せない。



好きだから。



日曜日の間中、ウジウジ悩み過ぎて、夜から熱を出した。




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「はい、すみません。皆さんによろしくお伝えください。」


受話器を置いてため息をつく。



「ふぅ。情けない。」



月曜日も熱は下がらず、休みの連絡をする。



なにも口にしたくないが薬を飲むために、カップスープを口にする。


“美味しかったな、コーンスープ”

…また涙が零れた。



ブーン。



あ、中澤くんからメールだ。




『おはよ。今週も始まったね。もう会社着いたかな?夜、また電話します。』



こんな些細なメールが嬉しい。
でも熱の事も、たわいない返事すらも返せない。


エアコンの効いた部屋で、タオルケットにくるまっていると勝手にまた涙が零れた。
夜までに踏ん切りが付くんだろうか。

熱に浮された頭で考える。


サチコにメールしよ。
薄れ行く意識の中でそんなことを考えた…。


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【小説】Seesaw‐overlap3

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ローテーブルにならんだご馳走の湯気は、見てるだけで幸せだ。


「コーンスープうまい。甘味が違う。」

「本当?よかった。」

大好きなしのぶさんの笑顔。
食べてる途中でもキスしたくなる。
がっつくな俺。気分を変える為に話す。

「しのぶさん、料理上手いよね。」

「そんな、大したことないよ。中澤くんのサラダも美味しいよ。」


「そんなの切って乗せただけだよ。」

「切り方にセンスが出てるよ。」


「そっかなぁ。」

「そうだよ。」


あーもう我慢出来ない。

「しのぶさん今日、泊まっていける?」

「え…。…うん。」

照れているんだと思ってた、その時は。


「よしっ。ご馳走さま。」

「食べるの早い。お腹痛くなるよ。」

「お袋みたいなこと言うんだね。」


言いながら、しのぶさんの後ろに座り、抱えるように腰に手を回す。


しのぶさんの匂いと柔らかさを直に感じる。

あー落ち着く。



「あの…まだご飯食べてるんですけど。」


「大丈夫。くっついてるだけだから。」


「フフッ。大丈夫かどうかは私が決めるんじゃないの?」

そう言いながらも、動かないしのぶさん。
本当はしのぶさんも離れたくないのが解る。


「ゴメンゴメン。ゆっくり食べて。」


敢えて、ちょっと離れたら、しのぶさんは寂しそうな顔になる。




可愛いな。

眺めているとどんどん顔が赤くなる。
ますます虐めたくなる。

「どうしたの?顔赤いよ。」


「もう!恥ずかしいから見ないで。ご馳走様。」



そう言うと立ち上がり、片付けを始める。


「フフッ。俺やるよ。」



「…ありがとう。じゃコーヒー入れるね。」




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まだ三ヶ月だけど、もう三ヶ月だ。離れて暮らすのも嫌だし、しのぶさんさんならずっと一緒にいられる。


「ねぇ。しのぶさん。」


コーヒーの香りが立ち込める中、斜め横のしのぶさんに話かける。



「なに?」



「結婚しよう。」



「え?」
豆鉄砲喰らったような愛しいヒトの顔。


「え?」
聞き返す俺。

「結婚?」


「あれ?ダメ?結婚。」


「それってプロポーズ?」

プロポーズ以外になんだと思ってんだ。

正座し直して、真剣に言った。


「結婚しよう。」


すると、しのぶさんの目に涙が滲む。

「ごめんね、嬉しいけど返事は待って。」


「え?」

勝手に二つ返事を期待してたから、当惑する。


「なんで?」



「…なんでも。」



「言ってよ。俺、直すし。」


「そんなんじゃない、悪くないよ、中澤くん。」



「じゃあ、なんで迷うの?」


「ごめん、ごめんね。」



気まずい空気が流れる。




しのぶさんは「やっぱり帰る。」と言って帰ってしまった。


メールも返事は「待って」だけだし、言いようのない不安な週末を過ごした。


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「そりゃ色々考えるだろ、36だもん。」

月曜日の仕事終わり、相田を掴まえて相談する。
なんとも情けない。


「なんで歳の話なんだよ。俺が年下だから?」


「まぁ、それもあるかな?」


「それは付き合う時にクリアしてるよ。」


「ん~。例えば、例えばだよ?」


「うん。」


「しのぶさんにフクヤマみたいなイケメン実業家、年収1500万が迫ってたらどうする?」


「ん?しのぶさんフクヤマ好きだしなぁ、年収1500万は負けた気はするな。」


「だろ?しのぶさんもそういう感じなんじゃないの。若宮に。」


「なんで若宮が今出てくんだよ?」


「だって、鉢合わせしたんだろ?」


「したけど。」


「あの子可愛いもん。フクヤマとは言わずとも、負けた気がしたんだろ。」


「でも俺がプロポーズしたんだぜ。」



「そこが女の難しいとこだよ。」



「わかんねぇ。」


「まぁ、押すしかねぇんじゃん?」


「だよな。」



帰りに電話してみよう。
相田と話ながら、地道なアピールを考えていた…。
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【小説】Seesaw‐overlap2

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駅までの道も、中澤くんが待ってると思うと、ジャガ芋やトウモロコシの重みも気にならないくらい気分が甘く、楽しい。


“こんな気分、随分忘れてたなぁ。”



浮かれてた、といえばその通りだった。

今年中には母さんにいい報告出来るかも。なんて思っていた。


強めの陽射しに目を細めながら、駅前の喫茶店の窓辺に見えたのは、中澤くん…と可愛い女の子。

あと50メートルってとこで思わず立ち止まる。




“やだ、好きな子が出来たんだとか言われたらどうしよう。”


“帰る?逃げる?”


迷っていると中澤くんに気付かれた。



“行くしかないか。”


私は扉に向かって歩き出した。


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「ごめんね、しのぶさん。驚いた?」
すまなそうな中澤くん。

「ううん、大丈夫。」
笑顔は作れたけど、心なしか声が震える。



「若宮さん、さっき話した彼女のしのぶさん。」

困った顔で紹介する中澤くん。




「あ、初めまして。私、中澤さんと同じ会社で受付してます、若宮文香です。偶然通り掛かって、中澤さんの彼女さんにお会い出来るなんて、光栄です。」

「偶然?」


「はい。私、この駅使ってるんです。」


「え?じゃ地元?」


「はい!なんかご縁がありそうですね。」



こんな可愛い子に、こんなとびきりの笑顔で微笑まれたら、コロッといっちゃうなぁ。


「若宮さんみたいに、可愛い子とご縁なんて嬉しい。」


本心だけど…言葉とは裏腹に私の気持ちはどんどん沈んで行った…。


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若宮さんと別れて、中澤くんの家に向かう。



中澤くんは心配してくれたけど、平気な振りをした。


私なんて勝負にならないくらい、彼女は若くて可愛らしい。
中澤くんは嫌だって言うけど、見え見えな態度すら可愛い。
ハキハキして礼儀正しいし、いまどきいないお嬢さんだ。勿体ないよ。


中澤くんの家で、トウモロコシたっぷりのコーンスープとベイクドポテト、ハンバーグにサラダを作りながらもぐるぐる考えてしまった。


あの子はまだ中澤くんが好きだ。



中澤くんと喫茶店で向かい合わせに座っている時も、お似合いだった。似合い過ぎて、胸が苦しかった。


「お腹空いたぁ。」




テーブルセットを手伝っていた中澤くんが、キッチンにやってくる。



「出来たよっ。」


「旨そう!」


「さぁ、食べよっ。」

「うん。」


中澤くんの笑顔に私は癒されてきた。
これからも隣に居たい気持ちは変わらない。

でも本当に私でいいのかな?

隣に居ていいのかな。




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