8ヶ月を記念して4
2月1日。
ゼミのみんなとディズニーランドに遊びに行った。
もちろん、優紀も一緒。
けれど・・・・男子は何やら不機嫌な様子。
最初は乗り気だったが、徐々に来たくなくなってしまい・・・・それを、優紀が説得して連れてきてくれたらしい。
そのせいか、どこかぎこちない。
しかし、それを知ったのは後になってから。
その時の私は「何て乗りが悪いんだ」と怒っていたくらい。
だが、もっと最悪の事態が起きた。
ゼミのTさんからI君を通じて優紀に手紙が渡された。それを軽く読んだ優紀は私に読んでみる?と渡してきた。
旅行のちらしと、適当に書かれたような手紙。
内容は、読めば読むほど理解に苦しむものだった。
「鮎民と旅行に行くならこのちらしがお勧め」と始まるのに、途中からは否定的な意見に変わり、「イエスマン優紀、私はあなたの味方だよ。言いたいことは早く言ったほうがいいよ」と締めくくられる。
要するに、「イエスマンの優紀は、好きでもないのに断れなくて、仕方なく鮎民と付き合っているのでしょう、可愛そうに。早く嫌なら嫌と言ったほうがいいよ」と言いたいらしい。
怒りたいやら、悲しいやら。
Tさんとも仲が良かっただけに、何故そんなことを私の知らないところで言われなきゃならないんだとショックを受けた。
その後優紀と二人きりになった時に思い切り感情をぶつけた。
「私の知らないところで何の相談をしてたの。嫌なら嫌って言えばいいでしょ!」
「俺だって知らない!」
私は、優紀がしらを切っているのだと思い、余計に腹を立てた。
お互い会話も無く、端と端を歩くほど。
でも、気になって、横目で姿を追ってしまっていた。
何やらケータイをいじっているようだ。
数時間が経過し、さすがに気まずさも頂点にきた。
ので、話しかけてみた。
すると、一通のメールを見せてくれた。
Tさんに手紙のことに関してメールで聞いてくれていたのだ。
「優紀は鮎民を好きじゃないと思う」、とはっきり書いてあった。
「こんなことを言われる覚えもないし、俺はイエスマンじゃない」
だから安心して、と優紀は慰めてくれたけれど、私のショックは癒されない。
はたから見たら、私が一方的に優紀に好意を持っていて、無理やり付き合っているように見えるのだろうか。
凹んだ。
その日の晩、一緒に言った女の子たちとお泊りした時、今日の出来事を話した。
みんなもショックを受けて慰めてくれる半面、「優紀が鮎民を好きで、付き合えてとっても喜んでるのはみんなわかってるよ。おかしいのはTさんだけだよ」と言ってくれた。
そして、「Tさんは優紀が好きだったのかな」という話になった。
昼間、優紀を疑ってしまったことを後悔した。
優紀は私を好きでいてくれて、付き合っているのだ。安心できた。
2月の4~13日は、友達と海外旅行。
旅行先でも優紀の話をひっきりなしにしていた。
一緒に行った友達もよく付き合ってくれたと思う。
エアメールも2通出した。
1通は名前を書き忘れてしまったから、ちゃんと着くか心配だったけど、無事着いて一安心。
バレンタインにマフラーをプレゼントしたくて、イタリアの街をひたすら探した。
自分のお土産よりも、優紀へのマフラー探しにかなりの時間を費やしてしまった。
見えないところで尽くしている私。
日本に帰ってからも、ランチを食べたり、夜ご飯を食べたりした。
泊まりもあって、スキンシップを図ることもあった。
優紀は資格の勉強やら引越しの準備で忙しそうだった。
私は私で、生徒の受験が近く、ばたばたした。
2月の思い出で忘れちゃいけないのが、バレンタイン。
親知らずを抜いたばかりの優紀が食べれるものを作ろうと、軟らかくておいしくて簡単なメニューを探した。
選んだのは、ホワイトフロマージュ。
クリームチーズとホワイトチョコを使ってしっとり焼き上げるお菓子。
作り方を見ながら、必死に材料を混ぜたり焼いたり・・・・・足りない物を買い足しに行ったり。
午後バイトまでの時間に作り終わるかと思いきや、時間が足りない。
バタバタだった。
ラッピングの準備をした後は、冷やす時間をかねて、そのまま放置してバイトへ。
夜には優紀が来てしまうから、その前に帰って、片付けたりラッピングしなければならない。
授業が終わるなり、ダッシュで飛び出した。
電子レンジの中をチェックすると、予想以上に良い出来♪
初めて作ったとは思えない位うまくできた。
ラッピングをし、部屋を片付け、優紀が来るのを待つのみ。
遅刻してきてくれたことが功を奏し、優紀には落ち着いて接することができた。
良かった良かった。
マフラーも喜んでもらえたし、大満足のバレンタインとなった。
2ヶ月記念日。
前日から泊まりに来ていた優紀の様子がおかしい。
今日はバイト、翌日から長野に行くと言うのだが・・・・・・・明らかに熱が高い。
本人の元気も無い。
半ば強制的にバイトを休ませ、ベッドに寝かせた。
アイスノンを頭に当てながら、冷えピタを貼った。
お茶もなかったので、近くのスーパーに買いに行ったりもした。
本当は予定があったのだが、こんな状態の優紀を放置することも忍びないのでキャンセル。
さすがにバイトには行かないととは思っていたけれど。。
夕方になり、少し体調も良くなったところで優紀は帰っていった。
空いている西荻窪の病院に行くとのこと。
バイトに向かったものの、ちゃんと歩けているのか心配で仕方がない。
後でくれたメールによると、インフルエンザで更に熱が上がったようだった。
話題になっていたタミフルをもらったみたい。
翌日からの長野旅行はキャンセルすることになり、ちょっと残念そうだったけれど・・・・仕方ない。
北海道旅行も近いし、早く良くなってくれると良いのだけれど。。
発表
この感情をどう表現したら良いのか、私は言葉を持っていない。
微かな希望も空しく、私たちの遠距離恋愛が決まってしまった。
今日は優紀の配属発表。
最近ナーバスになっている原因だ。
どうしても、行って欲しくない場所が一箇所だけある。
大分県。
優紀の故郷。
生活面のことを考えると、実家のほうが良いに決まっている。
仕事初めの不規則な時期でもあるし、体を壊さないためには最適な場所だ。
それに、高校までの友達もいるのだから、精神的な支えもある。
けれど、私は大分県にだけは行って欲しくなかった。
私の知らない優紀になってしまう気がするから。
高校までの優紀を、私は知らない。
もちろん、交友関係も何もかも、知らない。
だから、高校時代の女友達と言われても「優紀に気があるかもしれない」とか色々な心配をしてしまう。
友達と言われても「女友達かもしれない」とか「友達以上の人かもしれない」とか疑ってしまう。
そう、優紀を信じられなくなってしまう気がする。
元カノがいるのも大分だし、何かのきっかけで二人が出会い、よりを戻してしまうかもしれない。
私は、元カノには勝てないから。
優紀にとってどれほどの存在価値がある人なのかはわからない。
でも、私より優れた人であろうことは、なんとなくわかる。
だから、卑怯な私は二人を引き合わせたくないと思ってしまうのだ。
これは全て妄想ではあるけれど・・・・ネガティブ思考な私の頭の中は、こんな不安で常にいっぱいなのである。
神様は残酷だ。
日本には47都道府県もあるというのに、よりによって、大分県に配属させてしまうなんて。
あれほど嫌だと言ったのに。
あちこちのお寺や神社で御参りする度に、お祈りしたのに。
・・・・・・私の願いは届かなかった。
優紀を信じられなくなってしまうことが怖い。
気持ちが冷めて、手も繋ぎたくないと思ってしまうようになるのが怖い。
優紀の口から「さよなら」を聞く日が来るのが怖い。
怖くてたまらない。
ただただ、涙が止まらない。
綺麗事を言うなら、優紀を信じて、前向きにこの恋を大切にしようと頑張れば良いのだ。
頭ではわかってる。
でも、私はそれほど強くない。
いつかこの日が来ることはわかっていた。
わかってはいた、頭の中で。
でも、リアルではなかった。
こうして現実味を帯びて、期限が迫っただけで、私はこんなにも脆くなってしまった。
どうして良いかわからなくて、メールさえも返せないでいる。
現実逃避しようとしてしまう。
私は、弱い。
元彼と別れた頃の私と何も変わっていない。
こんな私で、遠距離が続くだろうか。
不安ばかりが先行してしまう・・・・・・・・・。
8ヶ月を記念して3
1ヶ月記念は、池袋でお祝いした。
大学で待ち合わせをし、のんびりと歩いていった。
寒い1月だったけど、手をつなぎ、弾むおしゃべり。
少しずつ、カップルらしくなってきた二人。
20日の飲みの後、家でみんなで飲んでいた。
その中で、優紀だけがベッドで爆睡していたら、明け方、みんなに置いていかれた。
部屋に二人きり。
彼氏なのだから、緊張することもないのかもしれないけれど・・・・・・
照れてしまって、私はコタツで丸くなることにした。
明かりを消した拍子に、優紀は目を覚ましたみたいだった。
起きたら誰もいない、という状況にびっくりしたようだったが、すぐに私を発見し起こした。
部屋に二人きり。
恥ずかしいやら、照れくさいやら。
でも、オール明けということもあって、寝ることにした。
一緒にベッドに入る。
どきどき。どきどき。
優紀も同じ気分じゃないかな。
ぎゅっと抱きしめてくれたのは、結構時間が経ってから。
熱いキスと温かい体温。
ずっと一緒にこうしていたい、そんな気分でいっぱいだった。
腕の中は、とっても安心できた。
数日後の一ヶ月記念。
池袋のサンシャイン。コールドストーンアイスを食べた。
色々な味の中から、「優紀ならこれかな?」と予想していた味を優紀が選んだので、ちょっとうれしかった。
甘かったけど、おいしかった。
アイスの後は、プラネタリウム。
アロマの香りに癒されながら、世界中の星空を眺めた。
手をつなぎながら、二人の世界に浸りながら。
付き合って、もう一ヶ月が経ったんだ・・・・・・早かった。
あっという間だった。
ゼミのメンバーの一人だった優紀、今、彼氏なんだなぁ・・・と改めて実感した。
サンシャインを満喫した後は、居酒屋北の家族へ。
ただ券を使いたかったからだが、個室なのも気に入っていた。
二人で食べたいものを食べ、飲みたいものを飲んだ。
卒論の話、ゼミの話、これからの話、プラネタリウムの話。青ちゃんの話。
元カノの話はやっぱり聞き出せなかった。
でも、楽しかった。
少し距離を取られているのは寂しかったし、個室なんだからキスくらいしたい・・・・と思ったけど、自分から切り出すことはできなかった。
楽しい時間が終わってしまうことが嫌で、時計は敢えて確認しなかった。
それが仇になり・・・・二人そろって終電を逃してしまった。
どうしようか。頭を抱える優紀。
一緒にファミレスででも過ごすかな・・・と思いきや、帰ることに。
夜のピクニック。
明治通りから目白通り。西武新宿線沿いを延々歩いていく。
夜中の道は人影も少なく、二人きりだった。
いっぱいおしゃべりした。
優紀の高校時代の話や大学のこれまでの話など、聞くことができた。
優紀について、少しずつでも、知れたことが嬉しくてたまらなかった。
近づけた気がする。
「彼女なんだから、ベッドに入ってくればよかったのに」
昨日の朝のできごとを、こう振り返ってくれた。
なぜだろう、彼女扱いしてくれたことに感動してしまった。嬉しかった。
途中からタクシーを使い、3時前くらいには家に着いた。
この日も、ベッドの中では、抱擁とキス。
優紀の温もりが心地よくて、やめられない。
ずっとこうしていたい。
優紀と一緒にいると、安心して眠れるから。
好きだから、今よりもっと近づきたいと思ってしまう。
その日からしばらくは、優紀の資格試験が近いこともあり、会えなかった。
電話メールが少なくても、我慢。
私自身、バイトとテストがあったこともあって忙しかった。
でも、資格試験が終わると、優紀は可能な限り時間を作ってくれた。
これまで、学生らしい学生と付き合ったことがなかったこともあって、新鮮だった。
来る予定じゃなかったのに、本人の一存で、突然止まりに来れるようになったりする。
ついつい「来て」ってワガママを言いたくなってしまう。
寒い季節という事もあって、よく二人で鍋をした。
二人で食べたり飲んだりすると、楽しかった。
楽しい日々はあっという間に過ぎ、2月になっていた。