白ヤギとペンギン -5ページ目

8ヶ月を記念して2

エジプトで付き合い始めた、私たち。


けれど、帰国後にすぐ優紀は実家に帰ってしまった。

付き合うことがわかっていたなら帰らなかったのに・・・とは言ってくれたけれど、寂しい。

おかげで、クリスマスも、年越しも、友達と過ごすことになってしまった。


電話したり、メールしたりはするものの、なかなか価値観の違いが埋められない。

一日に数通のメールさえ嫌がる優紀。

かといって、電話も毎日あるわけではない。

これまで、一日に何通ものメールと、最低一回の電話を欠かさなかった元彼。

悪いとは思ってみても、やっぱり比較してしまう。

そして、その度に寂しさがこみ上げる。

慣れるには、かなりの時間が要した。


冬休みは、卒論とバイトに明け暮れるうちに終わってしまった。

毎日が、あっという間に過ぎていく。

気づけば、1月9日。優紀の帰京の日になっていた。

空港まで迎えにいくと、大きな荷物を抱えた優紀が出てきた。

照れたように、はにかむ。

せっかく羽田まで来たし、時間もお昼だからお茶位するのか・・・・と思いきや、そのまま足早に京浜急行へ向かってしまった。

「家に帰って荷物を置いてくる。大学で待ってて」

思わず唖然とし、固まってしまった。

わざわざ空港まで来る必要はなかったじゃないか。

仕方がないので、大学のPCルームへ。

偶然出会ったゼミの仲間としゃべった後、約束の時間に一時間以上遅刻してきた優紀と合流。

二人で靖国神社へ初詣しに行くことにした。


しかし、時間が遅かったこともあり、入り口は閉まっていた。

むぅ。。。

公園を散歩した後、高田馬場でご飯を食べた。

付き合ってから二人きりで会うのは、この日が初めて。

恥ずかしいような、気まずいような・・・・・。

優紀は相変わらず、目を合わせてくれない。

お互いに照れてあだ名でしか呼び合えないまま、この日は別れた。


大学が始まると、顔を合わせる機会も増え、少しずつ距離も埋まってきたような気がした。

「どこで何をしているかわからない人=優紀」の、その日の行動くらいはわかるようになってきた。

私にとっては大きな進歩。

それとともに、いろいろな側面が見えるようになってきた。

好きなところ、嫌いなところ。

いろいろな優紀を知ることができるのは、うれしいことだ。

ただ、あまり過去の話をしてくれないのは不満だけれど・・・・・

過去の彼女(特に5年位付き合った人)の話になると、怪しい位に隠そうとするし。

もしかしたら、まだまだ、気持ちの整理がついていないんじゃないかって不安になる。。

この不安は8ヶ月経った今も解決されていないけれど、以前ほどは気にならなくなっている。


1月20日。ゼミの卒論打ち上げ飲み。

どのタイミングでみんなに打ち明けようかと考えた末、この日にした。

みんなにいっせいに言ってしまったほうが楽だと考えたからだ。

それに、一方的に私の片思いだと思われている節があり、それを解消したいとも思っていたから。

みんなの反応は、想像以上だった。



8ヶ月を記念して1

エジプト旅行最終日の夜は、私にとって、忘れられない夜となった。


夜ご飯は、ナイル川のディナークルーズ。

おなかいっぱいにバイキング料理を食べた後は、甲板で、のんびり街の明かりを見ていた。

もちろん、二人っきりにはなかなかなれない。

写真を撮ったり、思い出について語ったり。


だが、気を利かせてくれたのか、ネタにしたかったのか。

後半になって、I君が別の友達のところへ行ってしまった。

優紀と二人きりで、夜景を眺めながら、ナイルクルーズ。

ロマンチックな状況にドキドキ。

旅行が終わってしまう、どうしよう。。。

告白するなら今だけど、I君が戻ってきたら・・・・・

そんなことを考え、旅行が終わる寂しさを語り合った。

「何でも聞きたいことがあったら言ってね」

何でも言い合える関係でいたい、そんな思いからの何気ない言葉だった。

だが、次の優紀の言葉で、状況は一変する。

「聞きたいことがないわけじゃないけど・・・・・・ゴモゴモ」

「何?何?」

「・・・一緒に遊びに行ったりしてるけど、俺のこと、どう思ってるの?」

正直、戸惑った。固まった。

ここは冗談としてスルーするべきだろうか。

でも、敢えて真面目に答えることにした。絶好の機会を逃す手はない。

「好きだよ」

心臓の高鳴りが、自分でも感じられた。

横に居る優紀。黙る優紀に、今度は私から。

「優紀は私の事、どう思ってるの?」

「好きだよ」

照れながら、優紀は言ってくれた。

やっと気持ちを確認することができた。

パッと私の手を掴むと、優紀は両手で握り締めてくれた。

夢みたいで、フワフワして・・・・・実感がわかなかった。

気持ちを伝え合ったものの、その後の話にはならず、付き合うことになったのか、ちょっと不安になった。

しかし、嬉しさで、不安は吹っ飛んでしまった。

この恋は、ナイルの賜物。

最高の夜になった。


ホテルに戻り、最終日の夜もやっぱりトランプをしていた。

思い出を語りながら、盛り上がった。

これまでの中で最も高級なホテルだったことも、テンションを上げる要因だった。

途中でI君が爆睡し始めた。

とことん、この旅行ではI君に感謝だ。

その隙に、二人でベランダに出て、星空を見上げた。

綺麗な庭も見ることができた。

室内のI君を気にしながらも、手を繋ぎながら、映画の話をした。

今後の二人の話もした。

エジプトの夜は、冷え込む。

優紀に肩を抱いて暖めてもらっていたが、急に、ぎゅっと抱き寄せられた。

まず、肩の広さに驚いた。包まれているみたいだった。

声が耳元で聞こえる。白く、綺麗な項には、色気が漂っている。

ドキドキ。ドキドキ。

優紀の体温が温かくて、気持ちが良かった。

顔を上げても、目が合うとすぐにそらす優紀。

照れてるのが可愛かった。

何か躊躇して、何か言いたげなのだが・・・・・

「何?」

「いや・・・・」

挙動不審。

「キスしたいなと思って」

口早に、

「でも付き合いだしたばかりだし、手が早いと思われたくない・・・・・」

必死に言い訳している。けれど、優紀だったら、構わない。

私は目を閉じて、いいよ、と言った。

そっと、キス。

これまでに経験したことのないような、情熱的なキスだった。

ぽわぁんと、頭の中が白くなった。

夢みたい。

「すっごく、幸せ」

私はこんな言葉でしか、この状況を言い表す術を持たなかった。


付き合った場所はエジプト。

普通ではないシチュエーション。

二人が出会い、恋に落ちるのは運命だったんじゃないか、と思えるくらい。

近づけば近づくほど、どんどん好きになる。

もっと色々なことを知りたいと思ってしまう。


帰国後、優紀は実家に帰ってしまい、クリスマスはゼミの友達たちと過ごした。

しかも、優紀は帰国してすぐに急性腸炎になってしまい、苦しんでいた。

せっかく付き合えたのだが、まだ日も浅く、電話は照れた。

名前も、あだ名から名前で呼ぶようにしようと約束したけれど、恥ずかしくて、なかなか実践できず。

ちゃんと呼べるようになったのは、一ヵ月後の話。


7ヶ月を記念して7

エジプト旅行の二日目は、ナイル川西岸観光の後、王家の墓でツタンカーメンの墓を見たり、ハトシェプスト女王の墓へ行ったりした。

時差ボケに苦しむI君だったが、私と優紀は元気だった。

私の元気さに、優紀は驚いていたけど。


夜はやっぱりトランプ。UNO。

驚異的な強さのI君は、何をやっても一番に抜けてしまう。

私と優紀でビリ決定戦をひたすらやっていた。

むきになって勝負して、決着はなかなかつかない。

I君も寝てしまった後、Dさんのお土産をどうしようかと話していた。

エジプトでは有名な、香水瓶にしようかという話になった。

「ayutamiには、俺が買ってあげるよ」

予想外の発言にちょっとびっくり。

本当だったら、ものすごく嬉しい。

「わぁい」

ニコニコ笑顔を作ってみた。


翌日、ホルス神殿とコムオンボ神殿をバスで回った。

ルクソールからアスワンへの長時間移動は、警察の警備がつく厳戒体制。

ちょっとびびった。

バスの中でのおしゃべりも弾んでいたけれど、だんだんと疲れも出てきて、爆睡。

優紀に寝顔を見られてしまった・・・・・ショック。

でも、眠いものは眠い。


アスワンハイダムの壮大な景色。広いナイル川。

エジプトのスケールの大きさに圧倒されっぱなし。

切りかけのオベリスクも大きなものの一つ。

オベリスクは、一つの石から切り出す。

途中で折れてしまったので、切りかけたまま、そのオベリスクは残されていた。


そしていよいよ、香水のお店へ。

どの瓶にしようか。沢山ある香水瓶は、どれもキラキラして、色鮮やか。

綺麗過ぎて、どれにしようか選ぶのに時間がかかってしまった。

結局、一番初めに気に入った、水色と透明の硝子に、金色の金具があしらわれた瓶にした。

これだけでも買ってもらうのは気が引けたのだが、香水まで買ってくれると言う。

「気に入った香りを選んでいいよ」

「優紀が気に入ったのにするよ」

「じゃあルータス」

香水瓶と香水を買ってもらってしまった。

まだ付き合ってもいないのにいいのかなぁ・・・・・でも、悪いなぁ・・・・・・・

とてもとても嬉しいのだが、申し訳ない気持ちが先行してしまい、ひたすらお礼と謝罪を繰り返してしまった。

「せっかくの優紀の気持ちなんだから、謝るなよ」

I君の一喝により、ちょっと気持ちが落ち着いた。

後日談、優紀もこの一言で救われたらしい。


ホテルはナイル川の真ん中の島にある。

そのため、ホテルまでは船で移動する。

景色を見に行くと言って、一人で船べりに行ってしまった優紀。

I君にごめんと言って、追いかける。

「ありがとうね」

ちゃんとお礼が言いたかった。

照れてはにかんだ優紀は、可愛らしかった。

「大事にするからね」

大事に、大事にしたい。心の底からそう思った。


どうしてプレゼントしてくれたんだろう。

私の事、好きなのかな?

それとも・・・・ネタなのかな?

考えてもはじまらないのだが、考えてしまう。


その夜、ホテル内を探検しようと言っていたのに・・・・

約束の時間にドアを叩いても、何の応答もなし。

寝ちゃったのかぁ・・・・残念。

仕方なく、私は部屋に戻り、すぐに寝てしまった。

・・・・・実は、その直後に優紀は起きたらしい。

慌てて私の部屋のドアを叩いたのだが、すでに夢の中・・・・

仕方なく、部屋に帰って凹んでいたらしい。

すれ違いだと知ったのは、翌日のこと。


4日目は、アブシンベル神殿へ。

バスで片道6時間。夜中に出発し、着くのは朝。

夜は冷え込んでいて、バスの中は寒かった。

「寒いね」

コートやら何やら着込んでいるにも関わらず、暖房も無い車内は寒くて仕方ない。

「ちょっと手貸して」

ドキッとしてしまった。

「冷たいね。俺手に汗かくほうだから。あんまり手をつなぐの苦手なんだ」

優紀の手は温かかった。

「別に変な意味じゃないんだけど・・・・」

弁明を始めるのだけれど、私は相変わらずドキドキしていた。

優紀が意識しているのが伝わってきたから。

もしかしたら、ううん、もしかしなくても、両思いなのかもしれない。

数時間。

眠っていたけれど、不意に優紀に起こされた。

「見てみて」

窓の外を指差して、目をキラキラさせている。

空には、満点の星。

砂漠の中を走っているので、さえぎるものは何も無い。

優紀にめちゃめちゃ密着しながら、窓に近づき星空を見上げる。

綺麗だった。

そして、ドキドキした。

私、やっぱりこの人のことが好きだ・・・・痛感した。


アブシンベル神殿のスケールは、他の神殿とは群を抜いていた。

ラムセス2世の巨大な像。色鮮やかな壁画。

写真撮影禁止だったので、目に焼き付けようと必死だった。

大小二つの神殿を見終わるには、一時間を要した。

I君は仲良くなった他の男の子とスタスタ回ってしまった。

私はじっくり見たかったので、列の最後尾を歩いていた。

優紀も一緒に回った。

そういえば、この旅行でずっと優紀の横を歩いている。

ペースが一緒なのだ。

二人で古代の神秘に感動しながら、絵を見て回った。


またバスでの移動。帰りも爆睡。

手を繋いでいると勘違いして、驚いたI君は私たちを隠し撮り。

それに気づいたのは、帰国後だけど。


アスワンからギザへは寝台特急で移動。

初めての体験だったので、ドキドキ。

しかも一人部屋だったから寂しかった。

ご飯も一人だし。

夜は3人一緒だったけど・・・・・ぐすん。

疲れもたまってきていたので、今夜は早めに就寝。


エジプトといったら、ピラミッド。

5日目は、ギザのピラミッドやスフィンクスを訪れた。

初歩的な話だけど、ピラミッドが3つあることを初めて知った。

ピラミッドの中は、ずっと階段。しかも一方通行ではないので、対向者がやってくる。

滑ったら大勢の人に迷惑がかかる。

階段恐怖症の私にとっては、かなり過酷な場所だった。

優紀はちょくちょく後ろを振り返っては、ペースの遅い私を待っていてくれた。

その優しさが嬉しかった。


らくだに乗った。

初めての体験。

I君の策略により、私と優紀は二人で乗ることに。

らくだの凄い揺れに耐え切れず、前に乗っていた優紀の肩につかまった。

らくだに乗って砂漠をお散歩。

楽しかった。

私が下りた後、今度は優紀とI君がらくだへ。

見送りながら、たくさん写真を撮ってしまった。


考古学博物館は、時間が足りなかった。

ここそこに展示されている歴史的な像など、見回るには数日かかるのではないかと思われた。

金の装飾品やミイラを見て回った。

外に出ると、バザールへ行き、お土産などを見た。

おそろいのカルトゥーシュに合わせるチェーンを探し、二人で色々お店を見て回った。

最後には、無理やりお願いして安くしてもらってGET。

わぁい、お揃いだぁぁぁぁ♪