白ヤギとペンギン -2ページ目

5月・6月

5月。ゴールデンウィーク。

後半は2泊3日、優紀が家に泊まりに来てくれた。

デートとして、船橋のららぽーととIKEAに行った。

凄い人ごみにびっくり。

手を繋いで、迷子にならないようにしながら、お店を見て回った。


週末の度にできるだけ会って、色んなことをした。

一日に邦画ばっかり3本も見たり、カラオケ行ったり、前から行きたかったケーキ食べに行ったり。

お金もいっぱい使って、できるだけ一緒に過ごそうと時間調整して、ワガママもいっぱい言って。

とってもとっても楽しかった。

少しでも距離を縮めておきたくて、必死だったのかもしれないけれど。


5月26日。

優紀は大分へ営業研修へ旅立った。

一ヵ月半。

「遠距離恋愛の練習だね」

そんなことを言っていた気がする。


前夜は焼肉を食べた。

寂しい思いをさせるんだから、と理由をつけて、優紀のおごり。

帰ってきても付き合っていられたら、そのときは私がおごるから。

寂しい、不安・・・・私の中は色々な感情であふれていた。

優紀の中も不安はいっぱいだったと思うけど、それは仕事に対してがほとんどだったんだと思う。

それが寂しくて仕方なかったけど・・・・・・

ウィルコムを持ってくれるようになったし、優紀なりには私との関係のことも考えてくれていたんだ。

なんとか続けていける気がする。

たった1ヵ月半、と自分に言い聞かせた。

優紀がいたらできないこと・・・土日に友達と一日中遊んだりしよう。

必死だったのかもしれないけど、なんとか自分を前向きに奮い立たせようとした。


遠距離開始。

これでもか、というくらい友達と遊んだり、ご飯を食べたり、お茶をした。

平日も、土日も。

同期やゼミの友達とドライブしたりもした。

親戚の家を訪ねたり、部屋を掃除したり、色々。。。


予定があれば気持ちは安定していた。

けれど、優紀のことをやっぱり考えない日はなかった。

忙しいのはわかるけれど、メールや電話がそっけないのは不服だった。

何より、大分という土地が嫌だった。

優紀の元カノや高校時代の友達がいる大分。

私より良い人はいくらでもいるから、気持ちが変わってしまうんじゃないかって不安でしかたなかった。


喧嘩もいっぱいした。

泣くこともあった。

でも、楽しくお喋りできる日もあった。

まだ切りたくないってワガママを言い続けたけれど、優紀には通じず・・・・

一つのことに集中する姿を好きになったはずなのにね。

邪魔ばかりしてしまっている気がする。


半年記念日。

一緒に過ごしたかったのに・・・・残念。

でも、電話でカウントダウンをした。

「半年、あっという間だったね」

素直な感想だった。

これからも、ずっとずっと一緒にいたい。

でも、続けていける自信はなくて・・・・・弱気になりつつある自分を支えるのに必死だった。






4月

4月。

ついに、私たちは社会人になった。

真新しいスーツに身を包み、緊張でいっぱいの胸をどきどきさせながら、それぞれの会社へ向かう。


4月2日。

私の配属発表。

地方だったら、優紀と離れ離れになってしまう・・・・・

そんな不安をよそに、配属発表は淡々と読み上げられていった。

絶対に地方だと思っていたのだが・・・意外にも、私は本社配属となった。

これで、しばらく東京にいられる。

嬉しさでいっぱいになり、優紀にメール。

喜んでくれて、私もとっても嬉しかった。


お互いに研修が忙しく、ばたばたと過ぎていった。

けれど、土日の度に会うようにし、デートした。

家でゴロゴロしたり、カレーの食べ放題に行ったり。

引越しを手伝ってもらったりもした。

要領の悪い私を叱りつつ、荷物を運ぶのを手伝ってくれた。

「むぅ~」とは思ったけれど、同時に「頼りになるなぁ」と改めて感心した。


4月25日

優紀のバースデー前日。

この日のために、バースデープレゼントを探し、あちこち駆け回った。

お気に入りの品物を見つけるのには、かなり骨を折った。

当日。カウントダウンをするべく、会社が終わるなり、急いで優紀の家へ。

ケーキを探したのだが、時間が時間だっただけに、買えなかった。

待ち合わせ場所にやってきた優紀。

ケーキがないことを伝え、一緒にケーキ屋を探したが見当たらず。

仕方なく、ダイエーで小さなケーキとワインを買った。

夜ご飯は、一緒にカレーを食べた。

社宅の傍の小さなカレー屋さんだったが、とっても美味しかった♪

家に帰り、ケーキに蝋燭をさし、火を灯す。

ハッピーバースデーの歌を歌い、優紀に火を消してもらった。

「おめでとう!」

プレゼントは、優紀の名前入りのシャープペンとボールペンのセット、筆箱。

社会人になって、会社で使ってもらいたかったから。

喜んでもらえたみたいで、一安心☆

来年はちゃんと大きなケーキを囲んでお祝いしようね(^^)


4月の末

ゴールデンウィークにかけて、長期連休がとれた。

ので、二人で金沢に旅行に行くことになった。

新宿に集合し、居酒屋で夜ご飯。

その足で夜行バスに乗った。

久しぶりの旅行が嬉しくて、バスの中では優紀にべったりくっついた。

金沢では、忍者寺や古くからの町並みを見て回った。

昼には海鮮丼を食べ、日本海の新鮮な海の幸に舌堤を打った。

川沿いの町並みは、のんびり過ごすのには最適だった。

抹茶パフェを食べたり、お土産を見たり。

優紀がサークルの女の子からバースデーメールをもらっていたのにはショックを受け、ちょっとぎくしゃくしてしまった。

返信してないって言ってたけど、、、どうせ嘘なんだろうなぁ。。。。

夜はなぜかメキシコ料理。

おなかいっぱい、食べた。

県庁に行って、夜景を見た。

どこまでも小さな明かりが広がっていた。

東京や札幌のような派手さはないけれど、十分満足した。

昼間だったら日本海が見れたらしいが、それは次回にとっておくことにしよう。

夜の温泉は、なぜかとってもぬるくて、風邪を引くかと思った(笑)

翌日一番印象的だったのは、金箔を目の前で打ってくれたこと。

手で触れると消えてしまうのには驚いた。

バタバタした金沢旅行だったけど、とっても楽しかった♪

帰りの電車の中は、ぐったりと二人とも爆睡だった。

また行きたいなぁ~。



電車の中でのうたた寝・・・・・変な夢を見た。

優紀が死んでしまったという設定で、最後の言葉を伝えに、幽霊になって私の夢枕に立つというもの。

はっとして目覚めると、目に涙が浮かんでいた。

田端駅でのこと。

なんでそんな夢を見たんだ!?

不安になって、家に帰り着くなりケータイに電話をかけてみる。

が、出ない。

心配は募るばかり・・・・・。


でも、だんだんと自分がばからしくなってきた。

たった夢くらいで、何を心配する必要があるのだろう。

寝てるのかもしれない、飲みに行ってるのかもしれない。

外出しているなら、連絡さえくれなかったひどい優紀を、なんでこんなに心配しなきゃならないんだろう。

怒りもすぐに消え、諦めの境地に陥ってきた。

やばい、少しずつ優紀から気持ちが離れていっている気がする。


私は、放って置かれることが大嫌い。

平日なら仕事があるから、と諦めもつくし、我慢もできる。

でも、土日まで・・・・・・たった一通のメールをもらうために、電話でどれだけの労力を使わなきゃならないんだ。

しかも、電話でも優紀は私の悪いところばかりを指摘するようになった。

どこが好きかをたずねても、ろくに答えてくれないのに。

嫌いなところばかりを言われると、つい言いたくなってしまう。

「そんなに嫌なとこばかりの欠点彼女なら、別れちゃえば」


昨日、高校の友達と久しぶりに飲んだ。

お互いの近況を語り合う中で、元彼の話になった。

まだ付き合っていたとき、二人を引き合わせて以来、仲良くなっていたらしい。

新しく彼女を作り、元気にやっているとのことだった。

「へえ~」

その時は特に何も思わなかった。

だが、家に帰り、優紀と連絡が付かず・・・・・ぼーっと色々考えていると、急に大きなショックを受けた。

一つの時代が終わってしまった、そんな気がした。

お互いに別々の人を好きになって、それぞれに違う道を歩むようになった私たち。

数年前は、お互いがお互いを必要とし、なくてはならない存在だったのに・・・・

メールが来るのを楽しみにしたり、あちこちデートしたり・・・・思い出の中の二人はいつも楽しそうに輝いていた。

戻りたいとも思わないけど、戻ることもできなくなってしまったんだと思うと、急に寂しくなった。

急にポツンと置いてけぼりになったような、そんな気分になった。

この寂しさを誰が埋めてくれるんだろう。

咄嗟に浮かんだのは、優紀の顔だった。

優紀にこの穴をうめてもらいたい。

私を愛してもらいたい。

そしてまた、はっとする。

私が寂しさを埋めて欲しいと思う人は、元彼ではなくなっていたのだ。

一つの恋が、完全に終わった瞬間だった。


だが、最近優紀と思うように連絡が取れない。

夜は電話もメールもない。

朝電話しても、忙しいといってすぐに切られてしまう。

秋も深まって寂しくてたまらない時期に、この態度はひどいと思う。

優紀は実家も近いし、友達もいっぱいいるし、やらなきゃならないこともいっぱいあるし、いいかもしれないけど。

私は・・・・・・・・。

優紀にはもう少し危機感が必要だと思う。

気づいたときに、私はいなくなっているかもしれないから。