今までとは違った状況下で2020年の春から初夏にかけて3ヶ月以上が過ぎた。
その間、リモートワークなどをやりながら様々な音楽と接してきた。
新旧取り混ぜて、所有するCDもチェックしつつ、新しいアーチストとのめぐり逢いもあった。
Vaundy、King Gnu、WONK、tofubeats。
雨後の筍のごとく才能の溢れたアーチストたちが出てくる。
すごい時代だ!
という中で、藤井風という飛びっきりの音楽の申し子に出会ってしまった。
皆さん仰る通り、中毒性のある楽曲を引っ提げてあっという間に音楽界を席巻している。
彼はとにかく華がある。声が素晴らしく魅力的。
売れる要素がたくさんあり過ぎて、神様の依怙贔屓は間違いなく彼に注がれていると断言できる。
毎日スルメのようにアルバムを聴き、時間があればMVを観ているのだが、何度でも聴きたくなり、何度でも観たくなるというのはカリスマ性というか、才能に溢れている「Gifted」であるとしか言いようがない。
Giftとはドイツ語では「毒」らしい。
まさしく彼は中毒性があるという意味でもそれにピッタリだ。
時には平井堅のように甘く、郷ひろみのようなアイドル声も出せるし、正統派の美しい澄んだ歌声も・・かと思えば狡猾な感じも。
そしてキングオブAORのボズ・スキャッグスみたいな大人な男性の歌声も出せるという、なんだか声も雰囲気も七変化で、曲調もJpopの王道物から、歌謡曲ぽいもの、椎名林檎風や、フォークの流れ、AOR風、ヒップホップ風、Jazzの要素が入ったもの、筒美京平のようなメロディまで。
ひとくくりに出来ないところが、彼の魅力でもある。
声の質が、特に低音ヴォイスがうっと唸らせる。彼の素人時代のYouTubeを観ていると、とにかく音楽が好きでたまらない様子が手に取るようにわかるし。
あらゆるアーチストをリスペクトしつつ、拝めるだけでなく自分も一緒に楽しんで自分のものにしていく様は、無邪気で残酷な子どものようでもあり、すべてを知り尽くした老成した大人のようである。
コンサートが出来なくなったというので、ライブ配信していたYouTubeでは、惜しげもなく同世代の白日やプリテンダーを軽々とピアノで演奏したりして、あれはね・・・大胆というか、自分の才能を信じている自尊感情の高い人にしか出来ません。それも全く屈託なく、嫌みなくサラリとこなすのは、音楽の申し子ならではの出来る仕業。
何より反則なのは、類まれなる容姿に恵まれていること。どんなに才能があり、雰囲気も持ち、自分のスタイルを持っているアーチストでも、あれだけの顔面偏差値と長身で細身のスタイルで来られたら参りましたと言うしかないだろう。
本人、全く気にしてないけどね、自分のイケメンぶりを。無頓着なくらい気取ってなくて、腹立つ人もいるだろうなぁ、笑
きょうの一曲というくらいだから、楽曲を取り上げなければならないのだが、どうしよう。
その日によって、好きな曲が変わる。
これってすごくないか。アルバム「HELP EVER HURT NEVER」の11曲すべてが素晴らしい出来で、それも歌詞も曲も舌を巻くほど上手い。
23歳になったばかりとは思えん。
今日の気分で行けば「さよならべいべ」
さよならべいべ
作詞:藤井風 作曲:藤井風
来んと思った 時はすぐに来た
時間てこんな 冷たかったかな
余裕のない 愛の言葉
空気の読めぬ 恋の歌
どうかしそうやこの胸は
なんとかしてや
さよならがあんたに捧ぐ愛の言葉
わしかてずっと一緒におりたかったわ
別れはみんないつか通る道じゃんか
だから涙は見せずに さよならべいべ
意地はっても すぐに崩れるし
見栄はっても すぐに剥がれるし
飾りのない 愛の言葉
カッコの悪い 恋の歌
あんたに聴かすだけだから
それでいいでしょ
さよならがあんたに捧ぐ愛の言葉
わしかてずっと一緒におりたかったわ
別れはみんないつか通る道じゃんか
だから涙は見せずに さよならべいべ
煩わしいから 何にも包まずにおくわ
紛らわしいから まっすぐな言葉にするわ
気恥ずかしいから 置き手紙だけで許してな
もう行く時間か 最後までカッコ悪いわしじゃったな
新しい扉を叩き割った
前に進むことしか出来ん道じゃから
泣いとる時間もないようになるけどな 今
誰も見とらんから少しくらいええかな
さよならがあんたに捧ぐ愛の言葉
わしかてずっと一緒におりたかったわ
別れはみんないつか通る道じゃんか
だから涙は見せずに さよならべいべ
だから笑って手を振る さよならべいべ
これこそ彼の等身大の詞かなと思う。
岡山弁もすんなり入るし。これは歌謡曲風で、郷愁も感じるし、安心して聴ける可愛い唄。
藤井風、ずっと風を吹かせて欲しい。いつも新しい風を。
一瞬の風ではなく、常に人を何かに突き動かせてくれる新鮮な空気を運び続ける風。
次の新曲もアルバムもMVも応援してるからね。
明るい希望の見えるようなキラキラした星をみんなが待っていたと思う。
そんなすごく新しいミュージシャンの誕生を目の当たりにして幸せだ。
やっぱり音楽が好きってことで。