関東平野を悠々と流れる日本一の河川、利根川。無数の支流を含め、その河川面積も日本一。昭和30年代には、田園地帯を流れる利根川水系の小川にもうなぎが棲息していた。ヅッポと呼ばれた竹筒を川に沈め、簡単にうなぎを捕ることができた。しかし今では、そうした小川で、うなぎを捕ることは、まったくできない。2014年に、ニホンウナギは、国際自然保護連合から、絶滅危惧1B類に指定された。
利根川流域の天然ウナギ激減の最大の原因は、塩害防止の利根川河口堰です。、ウナギを含め、魚類の上流下流への、自由な往来が分断され、親ウナギは、マリアナ海の産卵場に行くことができず、河口から遡上するシラスウナギは、河口堰を越えることができないため、利根川流域のウナギは激減した。
防潮水門 上流が淡水、下流は海水が混じる汽水域。冬に海から利根川を遡上するウナギの稚魚、シラスウナギは、閉鎖された水門が障害となり、遡上はここでストップ。また、秋にマリアナ海域へ産卵に向かうため、利根川を下り、海を目指すが、この河口堰が障害となり、海に出ることができない。ウナギの稚魚の遡上が妨げられ、産卵に向かう親ウナギが海に出られず、産卵出来ない。
川の隅に魚道が設けられているが、川の広さに比べ、あまりにも狭過ぎる。
この魚道を、これまで何匹の親ウナギが通過し、海に出出られたか?また、何匹のシラスウナギが通過し、遡上できたのかはわからない。
狭く浅い魚道は、通過する魚を狙うカラスなどの餌場となっている。この状況から、利根川流域の天然ウナギの棲息は、さらに減少し、自然増加を望むことなど、到底無理。
日本の伝統食文化。世界に誇れる[うな重]。このうな重が、将来消えてしまう。天然ウナギのうな重は別として、養殖ウナギのうな重が消えることは無い、と思われるかもしれないが、現在、養殖の稚魚は、天然のシラスウナギを捕獲して、利用されている。
養殖ウナギの出荷量は、天然シラスウナギの漁獲高に左右される。シラスウナギ漁は、不漁続きで、特に2018年度のシラスウナギ漁は、これまでに無い、超不良で、シラスウナギが確保できず、やむなく閉鎖に追い込まれた養殖池もあったそうです。このまま不漁が続けば、養殖池は、次々と閉鎖され、採算割れとなり、養殖業者は、廃業に追い込まれます。当然、うな重も姿を消すことになるでしょう。
ウナギを焼くこの光景が、過去のものにならぬよう、知恵を絞り、策を講じることが急務です。手始めに、うな重を食べ、ウナギへの関心を高め、遡上するシラスウナギの絶対量をいかに増やすか、そのことに私たちの知恵を結集すれば、良策はみつかります。天然ウナギを絶滅危惧種に追い込んだのは、私たち人間です。利根川天然ウナギ復活は、私たち人間の知恵と手で・・・・・・・・・・ つづく