●オーディション合格した人が100%やったトレーニング
こんにちは!
ボイストレーナーの不破です。
いきなりですが、絵の話です。
画家のピカソは、絵画に興味のない人でも、一度は耳にしたことのある名前ですよね。
キュビズムと呼ばれる、独特なスタイルで描かれた絵画が、パッと思いつくはずです。
そんなピカソも、若かりし頃は、見えたものを忠実に描く、写実的な絵画をたくさん残しています。
つまり、『完コピ』もできるのだけど、あえて『独自のスタイル』を確立した・・・ということです。
では、今度は音楽の話です。
職業がら、プロのギタリストさんと会う機会も多いのですが、その誰もが!
ギターを弾き始めた頃は、いろんな曲を夢中になって『完コピ』したと言います。
譜面や耳コピなど、あらゆる手段を使って、憧れであるギタリストのちょっとしたニュアンスまでも真似したそうです。
つまり、『完コピ』で技術を磨いて、だんだんと『独自のスタイル』を確立した・・・というわけです。
では、今度はボーカリストの話です。
職業がら、プロを目指している!という人と、たくさん出会いますが、そのほとんどが!
歌の『完コピ』をしたことがない、というのです。
あれ?なんだかおかしな話ですよね?
実は、この『完コピ』・・・『レコード・コピー』という、立派なトレーニングなのです。
音楽や絵画以外のジャンルでも、『レコード・コピー』という名前こそ使われないにせよ、このトレーニング法は、用いられる機会が多いです。
にも関わらず、ボーカリストというジャンルに限って、トレーニングを取り入れている人口が圧倒的に少ないのです。
実際、私のレッスンでも、『レコード・コピー』については、一度はふれるカリキュラム。
そして、『この人は、レコード・コピーのトレーニングを忠実にやり遂げた』と、私が認めることのできる場合。
100%と言っても過言ではないほど、オーディションに合格するなどの結果を残しています。
とは言え、誤解のないよう、付け加えておきます。
なにも『声を似せて下さい』『顔や衣装を似せて下さい』というわけではありません。
あくまでも、『歌』について『完コピ』をして欲しいわけなのです。
今日は『レコード・コピー』初級編として、次の手順を紹介しておきますね。
1、曲選び
まずは、初級編として、歌い慣れている曲を選ぶと良いでしょう。
そして、なるべくKEYを変えなくて済むものを選ぶと良いでしょう。
それは、なぜか?
例えば、男性KEYの人が、いきなり女性KEYの曲を選んだとします。
しかし、女性にとって中音域の発声で出せるものが、男性だと高音域の発声に切り替えなければならなかったり・・・。
KEYが違いすぎると、『完コピ』をするには不都合が生じるからです。
2、何度も原曲を聴いて『歌』をコピー
ブレスの位置・発音の仕方・ロングトーンの長さ・フレーズの切り方・強弱の付け方・・・。
自分がどのくらい喉を開いて発声すると、オリジナルの人と同じ声の明るさ・大きさになるのか?・・・など。
選んだ曲の歌い手が、どのように歌っているのか?
細部にいたるまで、何度も聴いて、何度もコピーしてみて下さい。
できれば、録音をして聴き返しながらトレーニングすることをおすすめします。
と、このようになります。
実際にやってみると分かることですが、なかなか奥の深いトレーニングです。
きっと研究すれば研究するほど、次のように思えることでしょう。
『歌い慣れていると思っていた曲だったのに、こんなにも自分とオリジナルの歌い手とで、違いがあったとは!』
・・・と。
それと同時に、今まで自分の知りえなかった、歌唱技術が自然と身につくキッカケにもなります。
ようするに『新たな歌テク』を発見できるチャンスが生まれるわけですね。
絵でいうところの微細なタッチ、音楽でいうところの繊細なニュアンスの出し方というのは、決して本で学べるものではありません。
自分が実践してこそ、身につくものです。
生まれたばかりの子供は、当然ながら喋ることができません。
しかしながら、家族などの喋る言葉を『学び=真似(まね)び』ながら、自分の話せる言語を増やしていき、その上でオリジナリティーを加えていきます。
個性を生み出す根底に『完コピ』あり。
アナタも一度、試してみてはいかがでしょうか?
では、本日はここまでです。
このブログが、アナタの役に立つなら幸いです!