斉明天皇が崩御した年に中大兄皇子が即位したくてもそのための条件に不備が生じていたという理由――それが女性天皇からの譲位という形式だったというのです。
孝徳天皇は蘇我入鹿らの専横を許したという理由で退位した皇極天皇からの譲位という形で即位していたため、中大兄皇子は重祚した斉明天皇から譲位される必要がありました。
しかし、天皇の死が急だったことから、その手続きを踏むことができなかったというのです。
一方、668年に即位できたのは、最愛の女性とみられる実妹の間人皇女が亡くなり、その葬礼を取り仕切った中大兄が彼女を斉明の代役に立て、その時点で、8年前に実現できなかった条件を満たすことができたからだといわれます。
たしかに間人は孝徳天皇の皇后で斉明天皇の娘ですから、天皇に比肩する地位の者として中大兄へ譲位するという形は取り繕えるように思えます。
しかし、まだまだこの問題は、解決したとはいえない課題を残しています。
皆さんの検証に期待いたします。
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