跡部蛮の「おもしろ歴史学」

跡部蛮の「おもしろ歴史学」

歴史ファンの皆さんとともに歴史ミステリーにチャレンジし、その謎を解き明かすページです(無断転載禁止)

 清少納言はご存じの通り、古典文学の名作『枕草子』の作者です。

 

 また、『源氏物語』の作者紫式部のライバルとされ、その式部はみずからの日記で「清少納言こそ、したり顔にいみじう待りける人」(高慢ちきな顔した変わり者)とライバルを手厳しく批判しています。

 

 そんな清少納言には50歳のころのこんな逸話があります。

 

 『古事談』(鎌倉時代の説話集)によりますと、源頼親(摂津源氏の一族)の手の者がある事件の報復のために彼女の兄の邸を囲んだことがあったといいます。

 

 そのとき出家していた彼女は尼僧の姿で兄の家にいましたが、男の僧と間違われ、殺されかけたというのです。

 

 そこで清少納言は着物をたくしあげ、陰部を見せて女だと証明し、難を免れたという逸話です。

 

 華麗な文体からは想像もできない猛女ぶりといえます。

 

 さらに歌人の藤原定家が『百人一首』を選定する際、彼女の後ろ姿を肖像画として描かせたという通り、容姿に難があるという話も定説化しています。

 

 こうして清少納言には「悪い噂」がつきまとうわけですが、本当なのでしょうか。

(つづく)

 

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 ある夜、紫式部の部屋の戸を誰かが叩き、翌朝、歌が贈られてきたので歌を返したという話が『紫式部日記』に掲載され、その「誰か」が藤原道長であったことは他の史料で確認できます。

 

 ただ『紫式部日記』には「恐ろしさにそのまま答えをしないで夜を明かした」とあります。

 

 式部が時の左大臣(道長)の夜這いを気丈にも断った形です。

 

 後世、この解釈を巡り、「そうなんども断れないので最後は道長のオンナになった」といわれます。

 

 しかし、天皇の平均寿命が30代の当時、道長はこのとき44歳でまずまずの高齢。

 

 もちろん、藤原実資のように55歳で娘をもうけた例もあります。

 

 しかし、実資は女好きで知られる公卿です。

 

 筆者は、式部が好意を抱いていると知る道長がからかう気持ちで戸を叩き、彼女を驚かせてやろうとしただけのような気がするのですが……。

 

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 藤原道長の娘の彰子に女房として仕えたのが紫式部でした。

 

 式部が彰子の女房になった当時、一条天皇の皇后定子(道長の兄道隆の娘)の女房の中には、『枕草子』の作者で才女の清少納言がいました。

 

 このため、天皇と娘の彰子の間にどうしても皇子をもうけたい道長が、定子に負けないような文化サロンを作ろうと、妻倫子と又従姉妹の関係であり、『源氏物語』で有名になりつつあった式部に白羽の矢を立てたと考えられます。

 

 そもそも彼女が『紫式部日記』を書き始めたのは、寛弘5年(1008)、彰子が道長にとって念願の天皇の子(のちの後一条天皇)を宿し、その皇子出産のために土御門邸へ里帰りした時でした。

 

 当然、日記では道長に温かまなざしを向けています。

 

 そうして、翌年のある夜、事件は起きました。

 

 式部の部屋の戸を誰かが叩き、彼女がじっと身を潜めていると、翌朝、歌が贈られてきたので歌を返したというのです。

 

 情を交わした男女がこうした歌のやりとりをするのは常識だった時代で、この戸を叩いた男が道長であったのは他の史料で確認できます。

(つづく)

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