『銀座の若大将』を観ました。
京南大学に通う雄一は、父の友人が経営するレストランで、城東大学の拳闘部部員と喧嘩沙汰を起こしてしまう。
それを理由に、負け続きの拳闘部に助っ人として入部させられたり、先の喧嘩で目茶目茶になった店内の賠償代わりにレストランで働かされたり、
雄一の生活はいつもに増して忙しいものに。
そんな中、雄一は洋裁店で働く澄子と知り合いう。二人は徐々に親密になってゆくが、様々なアクシデントが度重なり、お互いの思いはなかなか通じない。
澄子への誤解を解けないまま、雄一は城北大学との試合に臨み……といったお話。
後に18作も作られる事になる若大将シリーズ第2弾。
その人気の大半は雄一=若大将を演じる加山雄三さんの魅力によるところが大きかったんでしょうね。
若大将はスポーツ万能、音楽の才能にも恵まれ、麻布にある名店すき焼き屋の御曹司。頼み事は断れないような男女を問わず人好きのする性格で、しかも女性にモテモテ――という設定だけは以下のシリーズにおいてもリセットされないようです。
妬み癖のない人から見ても、何だこのヨイショ映画は?と思うんでしょうが、ここまで来ればわざわざ目くじらを立てる事なく、呆れ半分で作品に順応して楽しんだモン勝ちです。
前作では水泳がフィーチャーされていましたが、今作ではスキーに拳闘(と、あえて呼ぶ)、そしてお得意の弾き語り(笑)と、相変わらず加山さんが何でもできちゃうんだよね。
できない弱味を突っついてアヤを付けるのがアンチの仕事ですが、あれだけできてしまえば(少なくともサマにはなってる)黙らざるを得ません(笑)。
若大将シリーズの魅力は以前にも綴りましたが、やはりあのお気楽ムードが最高です。
多くの物語に欠かせない対立の要素はあるにはあるけど、せいぜい好き嫌い程度のもので、嫌いが憎しみに高じて殺意にまで発展するなんて事は全くない。
一方的に雄一=若大将をライバル視する石山=青大将が何かと絡んできて、因縁に決着を付けるべく殴り合いの決闘に発展するものの、そこでスパッと終わるのがいいんです。
それどころか、自分をフッた澄子に力を貸してやるだけでなく、若大将の大きな勝負には現地に赴いて応援すらするんだから青大将は愛すべき敵役。
田中邦衛さんというキャスティングが絶妙すぎると実感!
対立と言えば、若大将を巡る、女性キャラたちの恋のさや当ても見どころです。
若大将シリーズとは田沼雄一が様々な競技に勝って中里澄子という名の女性と結ばれる話ですから、数多の女性が雄一に群がっても結果は変わらないんですがね。
学友やファッションモデルや経営者の娘が寄ってきますが、雄一が選ぶのは洋裁店のお針子でもある澄子。どうも若大将は地味子が好きなご様子で(笑)。
そんな澄ちゃんとの心が通い合うのが、裏窓同士で弾き語りをするシーン。いかにも昭和~って感じの雰囲気が良いんですよ。今の視点で見れば恥ずかしいくらいにクサすぎるけど、ああいうのを1ミリの照れもなく大真面目にやるほど気持ちは伝わると思うんだよね。
若大将のもう一つの魅力は食いっぷり。
実際に食事のシーンも多く、何しろ1日5食ってんだから、もはや呆れるくらいの大食漢でもあるんですよ(笑)。その割にあの体型を維持しているんだから、よっぽどよく動いているというか、毎日が忙しい表れなんでしょうね。
拳闘部でのごった煮は、前作の衝撃的な鉄板焼きに勝るとも劣らない恐ろしさです。割れた皿を入れてまでかさ増ししたいかね…(笑)。
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若大将シリーズはBlu-ray化されないんかなぁ。
久々に若大将企画やりませんかね、BSテレ東さん? 予告編まで放送してくれるマニアックさが良かったんだよねぇ。