『ダーティハリー2』を観ました。
労働組合のボスであるリッカが殺された。リッカには殺人容疑が掛けられたものの、証拠不十分として無罪を勝ち取ったばかりの身だった。
その後も、民衆の敵とも呼べる者たちが殺される事件が多発。事件を追うハリーと、彼のやり方に異を唱えるブリッグスが反目し合う中、犯人は警官である事が判明する。
その後、犯行グループに同志として迎えられるものの、ハリーはこれを拒否し……といったお話。
要約すると、ハリーが私刑を執行する警官を探るお話です。
因果応報、自業自得――本来、悪い事をすればバチが当たるものですが、そんな言葉がなかなか適用されない人間も少なからず存在します。
あくどい真似をしても法で裁かれないならセーフとされる理不尽が許せないのが、デイヴィスを始めとする白バイ警官隊。新人ながら腕があるデイヴィスらは彼らなりの正義感を以て、罰を免れる悪人に次々と私刑(かつ死刑)を執行していきます。
警官という、かなりの力(や権限)を持っている立場を濫用した、青臭い若者による正義の暴走です。
まだ見識も狭い純粋な若者をそそのかしたであろう、年上である黒幕のやり方も小賢しいですね。
彼らに少なからずのシンパシーを抱きつつも、ハリーは彼らの行き過ぎた行動を断罪します。度合いに関係なく罪を犯せば死刑になるのはやりすぎだと。
確かにハリーも現代(=1973年当時)の法律、特に司法について納得はしておらず、許されるはずもない人間がのうのうと歩いている事に怒りを感じる事もありました(これは前作に顕著)。
けど、個人レベルで善悪を審判すれば秩序が崩壊します。
それを分かっているから、どんなに矛盾を感じながらも古臭い法を遵守する――愚直というか、実はハリーにも青臭い一面がある事を見せてくれるのが本作の特徴ですかね。
今作の一連の事件の発端でもある、冒頭の、労働組合のボスであるリッカの無罪判決。
実はギャングのボスでもあるのは公然の秘密だったようで、そんなリッカが無罪になった事で市民のブーイングは相当なもの。
数百人はいるでしょうか、判決を不服とする市民が裁判所の前に集まりリッカを糾弾しますが、ああいう大規模なデモやブーイングがたった一人に向けられる画は近年では皆無に等しいが故に、たとえ劇の中の事であっても力を感じます。
特に見どころにもならない程度のシーンですが、妙に空恐ろしさを感じたので…。
にしても、今作でのハリーさん……謎に女性にモテませんか?
同じアパートに住んでいるソニーとか、別に娼婦でもなさそうなのに初対面で「私と寝ない?」だもんね。理由を言え、理由を(笑)。
それが実現する事はないものの、だったら何のために出てきたんだ、この人?
他にも同僚の奥さんもハリーとヤリたがるし、そもそもハリーはそんなキャラじゃないでしょ…。
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Blu-ray版の映像特典はドキュメンタリーと、シリーズ前作の予告編を収録しています。